近年、エンターテイメントの世界で急速に注目を集めている「メタバースライブ」。仮想空間を舞台に、アーティストとファンが一体となって創り上げるこの新しい音楽体験は、私たちのライブの楽しみ方を根底から変える可能性を秘めています。
物理的な距離や時間の制約を超え、誰もが最前列でアーティストのパフォーマンスを体感できる。アバターを通じて世界中のファンと交流し、現実では不可能な演出に心を躍らせる。そんな次世代のエンターテイメントが、すでに現実のものとなっています。
しかし、「メタバースライブって何?」「どうやって参加するの?」「なんだか難しそう」と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、メタバースライブの基本的な知識から、従来のオンラインライブとの違い、参加するメリット・デメリット、具体的な参加方法までを網羅的に解説します。さらに、国内外で話題となった注目のライブ事例10選や、人気のプラットフォーム、今後の展望についても詳しく掘り下げていきます。
この記事を読めば、メタバースライブの魅力と可能性を深く理解し、あなたも今すぐにでも次世代の音楽体験へ飛び込む準備が整うはずです。
目次
メタバースライブとは
メタバースライブとは、一言でいえば「仮想空間(メタバース)で開催される音楽ライブやエンターテイメントイベント」のことです。参加者は「アバター」と呼ばれる自分の分身を操作して仮想空間の会場に入場し、アーティストのパフォーマンスを鑑賞したり、他の参加者とコミュニケーションを取ったりします。
単に映像を視聴するだけでなく、自らがその空間の一員として「体験」することに主眼が置かれているのが最大の特徴です。物理的な制約から解放された仮想空間ならではの、ダイナミックで幻想的な演出も魅力の一つとなっています。
仮想空間で楽しむ次世代の音楽体験
メタバースライブが「次世代の音楽体験」と呼ばれる理由は、それが従来のライブ体験の概念を大きく拡張するからです。現実のライブでは、座席の位置によってアーティストとの距離が決まり、会場の規模には限界があります。しかし、メタバース空間では、誰もがアーティストを間近に感じられる特等席でライブを楽しむことが可能です。
例えば、巨大化したアーティストが街中でパフォーマンスを繰り広げたり、楽曲の世界観に合わせてライブ会場の風景が瞬時に変化したり、参加者全員で空を飛んだりといった、現実では到底不可能な演出が実現します。これは、参加者が単なる「観客」ではなく、ライブを構成する「当事者」として、その世界観に没入できることを意味します。
また、アバターを介することで、普段はなかなかできないような積極的な自己表現も可能になります。好きなファッションに身を包み、エモート(感情表現のアクション)でアーティストに声援を送ったり、近くにいるファンと気軽に会話を始めたりと、コミュニケーションの形もより自由で多様になります。このように、音楽を聴くだけでなく、空間そのものを楽しみ、他者と交流するソーシャルな体験こそが、メタバースライブの本質的な価値といえるでしょう。
従来のオンラインライブとの違い
コロナ禍以降、アーティストのライブをオンラインで楽しむ「配信ライブ」が一般的になりました。しかし、メタバースライブは、この従来のオンラインライブとは似て非なるものです。その違いを理解することで、メタバースライブの独自性と魅力がより明確になります。
両者の最も大きな違いは「体験の主観性」と「双方向性」にあります。従来のオンラインライブは、テレビ放送のように、あらかじめ決められたカメラアングルからの映像を一方的に「視聴」する受動的な体験でした。コメント機能などで一体感を演出する試みはありましたが、参加者自身が空間に介入する余地はほとんどありませんでした。
一方、メタバースライブは、参加者が自らの意思でアバターを動かし、好きな場所、好きな角度からライブを「体験」する能動的なものです。視点を自由に動かせるため、ステージ全体を見渡したり、特定のメンバーに注目したり、時にはステージの裏側に回り込んだりすることもできます。
さらに、ボイスチャットやテキストチャット、エモート機能などを通じて、アーティストとファン、あるいはファン同士がリアルタイムで双方向のコミュニケーションを取れる点も大きな違いです。隣にいるアバターに話しかけたり、みんなで同じペンライトを振って盛り上がったりと、物理的に離れていながらも、同じ空間を共有しているという強い「一体感」が生まれます。
比較項目 | メタバースライブ | 従来のオンラインライブ(映像配信) |
---|---|---|
参加形態 | アバターとして仮想空間に参加 | 映像を視聴 |
視点の自由度 | 高い(360度自由に移動・視点変更が可能) | 低い(固定またはスイッチングされた映像) |
臨場感・没入感 | 非常に高い(空間への没入) | 限定的(映像への没入) |
双方向性 | 高い(チャット、エモート、音声会話など) | 限定的(コメント投稿など) |
ファン同士の交流 | 活発(同じ空間で直接コミュニケーション) | 間接的(コメント欄での交流) |
体験の性質 | 能動的・参加型 | 受動的・視聴型 |
このように、メタバースライブは単なるライブの代替手段ではなく、テクノロジーを活用して音楽体験そのものをアップデートする、全く新しいエンターテイメントの形なのです。
メタバースライブの主な種類
メタバースライブは、その目的や規模に応じて、いくつかの種類に分類できます。ここでは代表的な3つのタイプを紹介します。
アーティストライブ型
最も一般的でイメージしやすいのが、特定のアーティストが単独、あるいは複数のアーティストが対バン形式でパフォーマンスを行うタイプです。現実のライブコンサートをメタバース空間に再現したもので、チケットを購入して参加する有料イベントが多く見られます。
このタイプの魅力は、アーティストの世界観を仮想空間ならではの演出で最大限に表現できる点にあります。楽曲に合わせてステージが変形したり、空からオブジェクトが降ってきたり、参加者のアバターが演出の一部になったりと、クリエイティブな表現の可能性は無限大です。アーティストを3Dモデル化し、リアルな動きと歌声を再現するだけでなく、アニメやゲームのキャラクターのような姿で登場することもあり、ファンにとっては新鮮な驚きと感動を与えてくれます。
フェス・イベント型
複数のアーティストが出演し、広大な仮想空間に設けられた複数のステージで同時にパフォーマンスが繰り広げられる、大規模な音楽フェスティバル形式です。参加者は会場内を自由に歩き回り、自分の好きなアーティストのステージを選んで鑑賞できます。
音楽ライブだけでなく、アーティストのグッズを販売するバーチャルストア、企業のプロモーションブース、参加者同士が交流できるラウンジなどが併設されることも多く、一日中楽しめる複合的なエンターテイメント空間となっています。現実の音楽フェスのように、「どのステージを観に行こうか」「次はどこを散策しようか」と計画を立てる楽しみも味わえます。サンリオが主催する「SANRIO Virtual Festival」などがこのタイプの代表例です。
ファンミーティング型
音楽パフォーマンスだけでなく、アーティストとファンの交流に重きを置いた小規模なイベントです。トークセッション、質疑応答、ミニゲーム、記念撮影会など、より近い距離でコミュニケーションが取れるコンテンツが中心となります。
メタバース空間の特性を活かし、アーティストのアバターが参加者一人ひとりの近くまで来て話しかけたり、参加者がステージに上がって直接質問したりといった、現実のイベントでは難しいインタラクティブな体験が可能です。ファンにとっては、憧れのアーティストと個人的な時間を共有できる、非常に価値の高いイベントといえるでしょう。チケットの価格は比較的高価になる傾向がありますが、その分、濃密で満足度の高い体験が期待できます。
メタバースライブに参加する3つのメリット
メタバースライブは、従来のライブ体験にはない多くの魅力とメリットを提供します。ここでは、参加者が享受できる主な3つのメリットについて詳しく解説します。
① 場所や時間の制約なく参加できる
メタバースライブ最大のメリットは、地理的な制約から完全に解放されることです。インターネットに接続できる環境さえあれば、自宅の部屋からでも、旅行先のホテルからでも、世界中どこからでもお目当てのライブに参加できます。
現実のライブでは、会場までの交通費や移動時間、宿泊費などが大きな負担となることがありました。特に、地方や海外に住んでいるファンにとっては、人気のライブに参加すること自体が高いハードルでした。しかし、メタバースライブなら、これらの物理的な障壁は一切ありません。チケット代以外のコストを大幅に削減できるため、より多くのライブに参加する機会が生まれます。
また、育児や介護、仕事の都合、あるいは身体的な理由で長時間の外出が難しい方々にとっても、メタバースライブは素晴らしい選択肢となります。自宅という安心できる空間で、自分のペースでライブを楽しめるアクセシビリティの高さは、エンターテイメントの享受における格差をなくし、より多くの人々に感動を届ける力を持っています。
さらに、多くのメタバースライブでは「アーカイブ配信」が用意されています。これにより、リアルタイムで参加できなかった場合でも、後から好きな時間にライブを追体験できます。時間の制約からも解放されることで、ライフスタイルに合わせて音楽を楽しむ柔軟性が格段に向上するのです。
② アーティストを間近に感じられる臨場感
「仮想空間のライブなんて、生のライブの熱気には敵わないだろう」と思うかもしれません。しかし、メタバースライブは、現実のライブとは異なる質の、しかし非常に高い臨場感と没入感を提供します。
現実のライブでは、良席のチケットを手に入れない限り、アーティストを間近で見ることは困難です。しかし、メタバース空間では、参加者全員が「最前列」です。アーティストのアバターが目の前で歌い、踊る姿を、遮るものなく堪能できます。時には、自分のすぐ隣を通り過ぎたり、ハイタッチをしてくれたりといった、夢のようなインタラクションが発生することもあります。
特にVRゴーグルを使用して参加した場合、その没入感は圧倒的です。360度見渡す限り広がるライブ会場、立体音響による迫力あるサウンド、そして目の前で繰り広げられるダイナミックなパフォーマンス。これらが一体となることで、まるで自分がその世界に入り込んだかのような感覚に包まれます。楽曲の世界観を表現するために、会場全体が海の中になったり、宇宙空間になったりする演出は、参加者を物語の主人公にしてくれます。
これは、単に「見る」のではなく「そこにいる」という感覚です。物理的な距離は離れていても、アーティストとの心理的な距離はむしろ現実のライブ以上に縮まるかもしれません。この「究極のパーソナルなライブ体験」こそ、メタバースライブが提供する大きな価値の一つです。
③ アバターを通じたファン同士の交流
ライブの楽しみは、音楽そのものだけではありません。同じアーティストを愛するファン同士が集い、感動を分かち合う一体感も、ライブ体験の重要な要素です。メタバースライブは、このファン同士のコミュニケーションを新たな形で促進します。
参加者は、現実の姿ではなくアバターとして会場に集います。これにより、年齢、性別、国籍、外見といった属性から解放され、純粋に「一人のファン」として、他の参加者と対等な立場で交流できます。人見知りな人でも、アバターを介することで気軽に話しかけやすくなるという効果もあります。
ライブが始まる前の待機時間には、会場内のあちこちで自然と会話が生まれます。「どのアバターの衣装、素敵ですね」「どの曲が一番楽しみですか?」といった何気ない会話から、ファン同士の輪が広がっていきます。ライブ中も、ボイスチャットやテキストチャットでリアルタイムに感想を言い合ったり、エモート機能を使って一緒にジャンプしたり、ペンライトを振ったりすることで、会場全体の一体感が高まります。
これは、従来の配信ライブのコメント欄での交流とは質が異なります。コメント欄は匿名性の高い文字の羅列ですが、メタバースではアバターという身体性を伴った存在が、同じ空間と時間を共有します。隣にいるアバターの存在を感じながら、同じものを見て、同じ音を聴き、共に感動する。この「共体験」の感覚は、孤独な視聴体験を、温かみのあるソーシャルなイベントへと昇華させるのです。ライブ後も、フレンドになったファンと次のライブで再会を約束するなど、新たなコミュニティが生まれるきっかけにもなります。
メタバースライブのデメリット・注意点
多くのメリットがある一方で、メタバースライブにはまだ発展途上な側面や、参加する上での注意点も存在します。事前にこれらを理解しておくことで、より快適にライブを楽しむことができるでしょう。
高品質な体験には機材や通信環境が必要
メタバースライブの魅力を最大限に引き出すためには、ある程度のスペックを持つ機材と、安定したインターネット環境が求められます。これが、参加へのハードルとなる場合があります。
最高の没入感を得るためには、VRゴーグルや、VRに対応した高性能なゲーミングPCが必要になります。これらの機材は数万円から数十万円と高価であり、誰もが気軽に揃えられるものではありません。初期投資が必要になる点は、メタバースライブの大きなデメリットの一つといえます。
もちろん、多くのメタバースライブはスマートフォンや一般的なパソコンからでも参加できるように設計されています。VRゴーグルがなくても、画面越しに仮想空間の様子を楽しむことは可能です。しかし、その場合の体験は、VRで参加した場合の圧倒的な没入感とは大きく異なり、3Dゲームをプレイしている感覚に近いものになります。
また、メタバースは大量の3Dデータをリアルタイムで送受信するため、安定した高速なインターネット回線が不可欠です。通信速度が遅かったり、不安定だったりすると、映像がカクついたり、音声が途切れたり、最悪の場合はサーバーから切断されてしまうこともあります。快適な体験のためには、光回線などのブロードバンド環境(できれば有線接続)が強く推奨されます。ポケットWi-Fiやスマートフォンのテザリングでは、特に大規模なイベントの場合、通信が不安定になるリスクがあることを念頭に置く必要があります。
操作に慣れるまで時間がかかる場合がある
初めてメタバースの世界に足を踏み入れる人にとって、アバターの操作は少し戸惑うかもしれません。キーボードやコントローラーを使って仮想空間を自由に移動したり、視点を変えたり、他のユーザーとコミュニケーションを取ったりするには、ある程度の慣れが必要です。
特に、VRChatのように自由度の高いプラットフォームでは、メニュー画面の項目が多く、機能も豊富なため、最初はどこをどう触ればいいのか分からなくなりがちです。ライブが始まる直前に初めてログインして、操作方法が分からずに焦ってしまう、という事態は避けたいところです。
このデメリットを克服するためには、事前の準備が重要になります。ライブに参加するプラットフォームが決まったら、イベントの数日前にアカウントを作成し、アプリをインストールしておきましょう。多くのプラットフォームには、基本的な操作方法を学べるチュートリアルエリアが用意されています。まずはそこでアバターの移動、ジャンプ、視点変更、エモートの使い方などを一通り試してみるのがおすすめです。
また、本番のライブに参加する前に、同じプラットフォームで開催されている小規模な無料イベントや、誰でも自由に入れるパブリックなワールド(交流広場のような場所)に訪れてみるのも良い練習になります。そこで実際に他のユーザーと簡単な挨拶を交わしてみるなど、コミュニケーションの練習をしておけば、当日はリラックスしてライブそのものに集中できるでしょう。少しの予習で、当日の体験価値は大きく向上します。
メタバースライブへの参加方法【4ステップ】
ここからは、実際にメタバースライブに参加するための具体的な手順を、4つのステップに分けて分かりやすく解説します。この流れに沿って準備を進めれば、初心者の方でもスムーズにライブ当日を迎えることができます。
① 参加したいライブを探す
まずは、自分の好きなアーティストや興味のあるイベントがメタバースで開催されていないかを探すことから始めます。情報収集の方法はいくつかあります。
- アーティストの公式サイトやSNSをチェックする:
最も確実な方法です。応援しているアーティストがいる場合、その公式サイトのニュース欄や、公式X(旧Twitter)、Instagramなどを定期的に確認しましょう。メタバースライブのような特別なイベントは、大々的に告知されることがほとんどです。 - メタバースプラットフォームの情報を追う:
「cluster」「VRChat」といった主要なメタバースプラットフォームの公式サイトや公式SNSアカウントをフォローしておくと、そこで開催される様々なイベント情報が流れてきます。アプリ内のイベントカレンダーや告知ページも有力な情報源です。 - メタバース・VR関連のニュースサイトを見る:
メタバース業界の動向を専門に扱うニュースサイトや、イベント情報をまとめているWebサイトを活用するのも有効です。まだ知らないアーティストの魅力的なライブに出会えるかもしれません。
ライブ情報を見つけたら、開催日時、参加に必要なプラットフォーム、チケットの有無と価格、推奨されるデバイス(PC、スマホ、VRなど)といった詳細を必ず確認しましょう。
② 必要な機材を準備する
参加したいライブが決まったら、次にそのライブを楽しむために必要な機材を準備します。イベントの告知ページに記載されている「推奨環境」や「動作環境」をよく確認することが重要です。
- デバイスの確認:
そのライブは、パソコンから参加するのか、スマートフォンなのか、それともVRゴーグルが必須なのかを確認します。PC参加の場合は、OSのバージョン、CPU、メモリ、グラフィックボードなどのスペックが、要求される基準を満たしているかを確認しましょう。スペックが不足していると、動作が重くなったり、そもそも起動できない場合があります。 - 周辺機器の準備:
ライブの音響を最大限に楽しむために、ヘッドホンまたはイヤホンは必須と考えましょう。内蔵スピーカーでは、繊細な音や立体感が損なわれてしまいます。また、他の参加者とボイスチャットで交流したい場合は、マイク付きのヘッドセットがあると便利です。 - VRゴーグルの検討:
もし、より深い没入感を求めるなら、VRゴーグルの導入を検討する価値は十分にあります。必須ではないイベントがほとんどですが、「VR推奨」とされている場合は、VRで参加することでしか得られない特別な体験が用意されている可能性が高いです。
③ 対応するプラットフォームに登録する
ライブが開催されるメタバースプラットフォームのアカウントを作成し、アプリケーションをPCやスマートフォンにインストールします。
例えば、ライブが「cluster」で開催されるなら、clusterの公式サイトでアカウントを登録し、PC版またはスマートフォン版のアプリをダウンロードします。Steamで配信されているプラットフォーム(VRChatなど)の場合は、まずSteamのアカウントを作成し、そこからプラットフォームのアプリをインストールする流れになります。
アカウント作成時には、ユーザー名(アバターの名前)やメールアドレス、パスワードなどを設定します。この作業は、ライブ当日ではなく、数日前までに余裕をもって済ませておくことを強くおすすめします。当日にサーバーが混み合って登録に時間がかかったり、アプリのダウンロードやアップデートに時間がかかったりする可能性があるためです。
④ アバターを設定して会場に入場する
プラットフォームへの登録とインストールが完了したら、いよいよ自分の分身となるアバターを設定します。
多くのプラットフォームでは、初期状態でいくつかのアバターが用意されており、その中から好きなものを選ぶことができます。髪型や服装、アクセサリーなどをカスタマイズできる機能があれば、自分だけのオリジナルアバターを作成する楽しみも味わえます。アバターは仮想空間におけるあなたの「顔」です。納得のいく姿でライブに参加できるよう、事前に設定を済ませておきましょう。
そしてライブ当日。イベントの告知ページに記載されている「開場時間」になったら、いよいよ会場に入場します。入場方法はプラットフォームによって異なりますが、一般的にはイベントページの「会場へ入場」ボタンをクリックしたり、送られてきたURLにアクセスしたりすることで会場のワールドに入ることができます。
開演時間ギリギリではなく、開場時間に入場するのがおすすめです。早めに入ることで、会場の雰囲気を楽しんだり、操作に慣れたり、他のファンと交流したりする時間ができます。万が一、入場トラブルがあっても、開演までに対応する余裕が生まれます。準備が整ったら、あとは開演を待つだけ。次世代のエンターテイメント体験を存分に楽しみましょう。
メタバースライブの参加に必要なもの
メタバースライブに参加するために、必ずしも特別な機材が必要なわけではありません。多くのイベントは、皆さんが普段使っているデバイスで気軽に参加できます。ここでは、参加に必要なものを基本的なものから、体験をより豊かにするものまで順番に紹介します。
パソコンまたはスマートフォン
これがメタバースライブに参加するための最も基本的なデバイスです。多くのプラットフォームは、WindowsやMacといったパソコン、そしてiOSやAndroidといったスマートフォンに対応したアプリを提供しています。
- パソコンの場合:
3Dグラフィックスを処理するため、ある程度のスペックが要求されることがあります。特に、大規模なイベントやグラフィックがリッチなライブに参加する場合は、ゲーミングPCと呼ばれるような、高性能なグラフィックボードを搭載したPCが推奨されます。参加したいライブの公式サイトに記載されている「推奨スペック」を事前に確認し、自分のPCが対応しているかを見ておきましょう。 - スマートフォンの場合:
手軽に参加できるのが最大のメリットです。専用アプリをインストールするだけで、いつでもどこでもメタバース空間にアクセスできます。ただし、PCに比べて画面が小さく、操作性も限定されるため、得られる体験はPC版とは少し異なります。また、バッテリーの消費が激しく、本体が熱を持つこともあるため、充電しながらの参加や、長時間の利用には注意が必要です。
インターネット環境
メタバースは、膨大なデータをリアルタイムでやり取りするため、高速で安定したインターネット接続が極めて重要です。快適な体験のためには、以下の点を心がけましょう。
- 光回線の利用:
最も推奨されるのは、光回線などの固定ブロードバンドです。十分な通信速度と安定性を確保できます。 - 有線LAN接続:
可能であれば、Wi-Fi(無線)ではなく、LANケーブルを使った有線接続をおすすめします。Wi-Fiは他の電波の干渉を受けやすく、通信が不安定になることがありますが、有線接続はそのリスクを最小限に抑えられます。 - 通信速度の確認:
一般的に、快適なメタバース体験には、下り(ダウンロード)で30Mbps以上、上り(アップロード)で10Mbps以上の速度が目安とされています。特に、ボイスチャットなど双方向のコミュニケーションを行う場合は、上りの速度も重要になります。
ヘッドホン・イヤホン
メタバースライブの体験において、映像と同じくらい重要なのが「音」です。アーティストの歌声、楽器の演奏、会場の歓声、そして空間の広がりを感じさせる音響効果。これらを最大限に楽しむために、ヘッドホンやイヤホンの使用は必須と言っても過言ではありません。
PCやスマートフォンの内蔵スピーカーでは、音質が低く、立体感も乏しいため、ライブの迫力が半減してしまいます。ヘッドホンやイヤホンを使うことで、外部の雑音を遮断し、音楽の世界に深く没入できます。また、深夜の参加など、周囲への音漏れを気にする必要がある場合のマナーとしても重要です。
VRゴーグル(あるとより楽しめる)
VRゴーグルは、メタバースライブへの参加に必須ではありませんが、その体験を究極のものへと引き上げてくれるデバイスです。VRゴーグルを装着すると、視界のすべてが仮想空間に置き換わり、まるで本当にその場にいるかのような圧倒的な没入感を得られます。
現在、市場には様々なVRゴーグルがありますが、特に人気が高いのはPCやゲーム機に接続しなくても単体で動作する「スタンドアローン型」です。代表的なモデルをいくつか紹介します。
モデル名 | 主な特徴 | 価格帯の目安 |
---|---|---|
Meta Quest 3 | 高解像度ディスプレイ。現実世界に仮想映像を重ねるMR(複合現実)機能が強力。豊富な対応アプリ。 | 7万円台~ |
PICO 4 | 軽量で装着時のバランスが良い。Questシリーズに匹敵する性能を持ちながら、比較的手頃な価格。 | 4万円台~ |
PlayStation VR2 | PlayStation 5専用。視線トラッキングやヘッドセット振動など、独自の没入技術を搭載。 | 7万円台~ |
Meta Quest 3
Meta社(旧Facebook)が開発した、現在最もポピュラーなスタンドアローン型VRゴーグルの一つです。高解像度なディスプレイと、現実の風景にデジタル情報を重ねて表示する「カラーパススルー」機能による高品質なMR(複合現実)体験が特徴です。豊富なゲームやアプリが揃っており、メタバースライブに対応したプラットフォームも数多く利用できます。PCと接続して、より高性能なPCVRゴーグルとして使用することも可能です。(参照:Meta公式サイト)
PICO 4
ByteDance社傘下のPICOが開発したVRゴーグルで、Meta Questシリーズの強力なライバルとされています。パンケーキレンズの採用により、本体が薄く軽量で、前後の重量バランスが良いのが特徴です。長時間の使用でも疲れにくい設計になっています。性能もQuestシリーズに引けを取らず、コストパフォーマンスに優れている点も魅力です。(参照:PICO公式サイト)
PlayStation VR2
ソニー・インタラクティブエンタテインメントが開発した、PlayStation 5専用のVRシステムです。4K HDRディスプレイによる美麗な映像に加え、視線の動きを検知する「視線トラッキング」や、映像と連動してヘッドセットが振動する「ヘッドセットフィードバック」など、独自の技術によって他のデバイスにはない深い没入感を実現します。主にゲームでの利用が中心ですが、対応するメタバースプラットフォームも登場しています。(参照:ソニー・インタラクティブエンタテインメント公式サイト)
人気のメタバースライブプラットフォーム5選
メタバースライブは、様々なプラットフォーム上で開催されています。それぞれに特徴やユーザー層、得意なイベントの種類が異なります。ここでは、特に人気が高く、ライブイベントの実績も豊富な5つのプラットフォームを紹介します。
① cluster(クラスター)
日本発のメタバースプラットフォームで、国内でのイベント開催実績はトップクラスです。スマートフォン、PC、VRゴーグルと幅広いデバイスに対応しており、誰でも気軽に始められる手軽さが魅力です。
アバターやワールド(仮想空間)をユーザーが自由に制作・アップロードできる機能があり、クリエイターコミュニティも活発です。企業や自治体との連携も積極的に行っており、「バーチャル渋谷」や「バーチャル大阪」といった実在の都市を模した空間での大規模イベントも多数開催されています。操作が比較的シンプルで、日本語のサポートも充実しているため、メタバース初心者が最初に体験するプラットフォームとして非常におすすめです。(参照:クラスター株式会社公式サイト)
② VRChat
世界最大級のソーシャルVRプラットフォームとして知られ、全世界に膨大な数のユーザーを抱えています。最大の特徴は、その圧倒的な自由度の高さです。アバターやワールドはほぼ無制限にユーザーが制作・アップロードでき、そのクオリティも非常に高いものが多く存在します。
音楽ライブはもちろん、演劇、展示会、トークショー、さらにはユーザー主催の小規模な集会まで、ありとあらゆる種類のイベントが日々開催されています。PCVRでの利用がメインで、最大限に楽しむには高性能なPCが必要ですが、Meta Quest単体でも利用可能です。深くメタバースの世界に浸りたい、コアなユーザーに人気のプラットフォームです。(参照:VRChat Inc.公式サイト)
③ Fortnite(フォートナイト)
本来は世界的な人気を誇るバトルロイヤルゲームですが、そのプラットフォームとしてのポテンシャルを活かし、大規模な音楽ライブの開催地としても注目されています。Travis Scottや米津玄師、星野源といったトップアーティストがゲーム内でバーチャルライブを開催し、世界中の数千万人が同時に参加するという、驚異的な実績を持っています。
ゲームならではの物理法則を無視したダイナミックな演出が特徴で、プレイヤーは戦いを忘れ、一つのエンターテイメントを共有します。アーティストのライブだけでなく、映画の予告編上映や政治的な演説が行われるなど、単なるゲームの枠を超えた巨大なメディアプラットフォームへと進化を続けています。(参照:Epic Games, Inc.公式サイト)
④ REALITY
スマートフォンでのアバターライブ配信に特化したプラットフォームです。ユーザーは簡単に自分だけのアバターを作成し、顔出しせずにライブ配信を行ったり、他のユーザーの配信を視聴したりできます。
視聴者はギフトやコメントを送ることで配信者とリアルタイムにコミュニケーションを取ることができ、そのインタラクティブ性の高さが人気です。プロのバーチャルアーティストによる音楽ライブも頻繁に開催されており、視聴者参加型の演出や、ファンとの近い距離感が特徴です。スマートフォン一つで完結するため、非常に手軽にバーチャルなエンターテイメントに触れることができます。(参照:REALITY株式会社公式サイト)
⑤ VARK
「VRライブ」に特化し、その体験品質を徹底的に追求しているプラットフォームです。VR空間ならではの演出に力を入れており、「アーティストがすぐ目の前で自分だけのために歌ってくれる」といった、パーソナルで没入感の高い体験を提供することを目指しています。
観客はステージの目の前に移動したり、楽曲の世界観に入り込んだりと、ライブの演出に積極的に関わることができます。主にVTuberやバーチャルアーティストのライブが多く開催されており、そのファンからは熱狂的な支持を得ています。最高のVR音楽体験を求めるなら、まずチェックすべきプラットフォームの一つです。(参照:株式会社VARK公式サイト)
【2024年最新】メタバースライブの注目事例10選
メタバースライブの可能性を世に知らしめた、画期的な事例は数多く存在します。ここでは、国内外で特に大きな話題を呼んだ10のライブ事例を紹介します。これらの事例は、メタバースがエンターテイメントの未来をどう変えていくかを示唆しています。
① 米津玄師|Fortnite
2020年8月、日本人アーティストとして初めてFortnite内でバーチャルライブを開催。自身のアルバム「STRAY SHEEP」の世界観を再現したステージで、巨大化した米津玄師のアバターがパフォーマンスを繰り広げました。リアルタイムで全世界のプレイヤーが参加し、日本の音楽シーンにおけるメタバース活用の象徴的な出来事となりました。
② 星野源|Fortnite
2022年6月、Fortniteのサウンドウェーブシリーズの一環として、バーチャルライブを実施。代表曲「喜劇」や「恋」などを披露し、楽曲に合わせて変化するインタラクティブな空間でプレイヤーを楽しませました。ゲーム内のアイテムとしてオリジナルエモート「恋ダンス」が配布されたことも大きな話題を呼びました。
③ Ado|VRChat
2024年4月に開催された「SANRIO Virtual Festival 2024」において、AdoがVRChat内のステージに登場。バーチャルアーティスト「Ado」として、現実のライブさながらの熱いパフォーマンスを披露し、多くのファンを魅了しました。サンリオキャラクターとの共演など、バーチャルならではの演出も注目されました。
④ Travis Scott|Fortnite
2020年4月に開催されたこのライブは、メタバースライブの歴史における金字塔とされています。「Astronomical」と題されたこのイベントでは、超巨大なトラヴィス・スコットのアバターが島中を闊歩し、プレイヤーを異次元空間へと誘う圧巻のパフォーマンスを披露。全世界で延べ2,770万人以上が参加し、メタバースの持つ集客力と表現力を証明しました。
⑤ 藤井風|VRChat
2021年、日産スタジアムでの無観客ライブ「Fujii Kaze “Free” Live 2021」の一部が、VRChat上の特設ワールドでパブリックビューイング形式で配信されました。ファンはアバターとなってバーチャルなスタジアムに集い、ライブ映像を鑑賞しながら一体感を共有しました。
⑥ SANRIO Virtual Festival
サンリオが主催する、世界最大級のバーチャル音楽フェスティバル。2021年から毎年開催されており、VRChatやDOORといったプラットフォーム上で展開されます。サンリオキャラクターはもちろん、VTuberやバーチャルアーティスト、リアルアーティストまで、ジャンルを超えた多様な出演者が魅力です。
⑦ V-FES
VTuberに特化した大規模なオンライン音楽フェス。「V-FES JAPAN」などの名称で開催され、多くの人気VTuberが一堂に会し、パフォーマンスを披露します。ファンにとっては、推しのVTuberたちの共演を一度に見ることができる貴重な機会となっています。
⑧ バーチャルマーケットミュージックフェス
世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」内で開催される音楽フェスティバルです。バーチャルマーケットの広大な会場内に特設ステージが設けられ、様々なアーティストがライブを行います。企業の出展ブースを回りながら、音楽も楽しめるという複合的な体験が魅力です。
⑨ Justin Bieber|Wave
2021年11月、ジャスティン・ビーバーがメタバースプラットフォーム「Wave」でバーチャルコンサートを開催。彼自身がモーションキャプチャースーツを着用し、リアルタイムでアバターを操作してパフォーマンスを行いました。ファンはアバターを通じてバーチャルなギフトを送るなど、インタラクティブな体験が提供されました。
⑩ Marshmello|Fortnite
2019年2月、Fortniteで開催されたこのライブは、ゲーム空間での音楽イベントの先駆けとなりました。覆面DJのMarshmelloがゲーム内のプレザント・パークでパフォーマンスを行い、1,000万人以上が参加。戦闘が一時的に無効化され、全プレイヤーが平和的にライブを楽しむという光景は、ゲームと音楽の融合の新たな可能性を示しました。
今後のメタバースライブ開催予定の探し方
魅力的なメタバースライブを見逃さないためには、能動的に情報を収集することが大切です。ここでは、最新のライブ開催予定を見つけるための効果的な方法を3つ紹介します。
各プラットフォームの公式サイトやSNSをチェックする
最も基本的な情報収集方法です。「cluster」「VRChat」「REALITY」など、主要なメタバースプラットフォームの公式サイトには、イベントカレンダーや告知ページが設けられています。これらのページを定期的にブックマークして確認する習慣をつけると、大小さまざまなイベント情報に触れることができます。
また、プラットフォームの公式X(旧Twitter)アカウントをフォローしておくのも非常に有効です。最新のイベント情報やキャンペーン情報がリアルタイムで発信されるため、いち早く情報をキャッチできます。特に注目しているプラットフォームがあれば、スマートフォンの通知をオンにしておくと良いでしょう。
アーティストの公式サイトを確認する
特定の応援しているアーティストがいる場合、そのアーティストの公式サイトやファンクラブ、公式SNSが最も信頼性の高い情報源となります。メタバースライブのような特別な企画は、チケット販売情報などと合わせて、必ず公式サイトで正式にアナウンスされます。
メジャーなアーティストだけでなく、インディーズで活動するアーティストやVTuberなども、自身のSNSやファンコミュニティ(Fanbox、Fantiaなど)でライブの告知を行うことが多いため、こまめにチェックすることが重要です。メールマガジンに登録しておけば、見逃すリスクをさらに減らすことができます。
イベント情報まとめサイトを活用する
メタバースやVRに関連するニュースを専門に扱うウェブメディアや、様々なプラットフォームのイベント情報を横断的にまとめているサイトも存在します。これらのサイトを活用することで、自分がまだ知らなかったプラットフォームやアーティストのライブに出会うきっかけになります。
「メタバース イベント」「VR ライブ 予定」といったキーワードで検索すると、こうしたまとめサイトを見つけることができます。複数のプラットフォームの情報を一度に比較検討できるため、自分の興味に合ったイベントを探す際に非常に効率的です。また、過去のイベントのレポート記事なども掲載されていることが多く、メタバースライブのトレンドを把握する上でも役立ちます。
企業がメタバースライブを開催するメリット
メタバースライブは、ファンに新たな体験を提供するだけでなく、主催する企業やアーティスト側にも多くのビジネス上のメリットをもたらします。
新たな収益源の創出
メタバースライブは、多様なマネタイズの可能性を秘めています。最も直接的な収益は、有料イベントにおけるチケット販売です。会場の物理的なキャパシティに縛られないため、理論上は無限の数のチケットを販売できます。
さらに、デジタルグッズの販売も大きな収益源となり得ます。アバターが着用できる限定Tシャツやアクセサリー、ライブ中に使える特別なペンライトやエモート(感情表現)など、ファンは自分のアバターを通じてアーティストを応援し、自己表現するためにデジタルアイテムを購入します。これらのアイテムは製造コストや在庫リスクがゼロであるため、利益率が非常に高いビジネスモデルです。
また、プラットフォームによっては「ギフティング」や「投げ銭」といった機能も実装されており、ファンがパフォーマンスに対して直接的に金銭的な支援を送ることも可能です。これにより、アーティストは新たな形で収益を得ることができます。
グローバルなファンへのアプローチ
メタバースには国境がありません。インターネットに接続できれば、世界中のどこからでも同じ空間にアクセスできます。これは、企業やアーティストがグローバル市場に直接アプローチできることを意味します。
これまで、海外のファンが日本のアーティストのライブに参加するには、渡航費や言語の壁など、非常に高いハードルがありました。しかし、メタバースライブであれば、海外のファンも自国にいながらリアルタイムでライブに参加できます。多言語対応の字幕やチャット機能を用意すれば、より多くの海外ファンにリーチすることが可能です。
これにより、海外でのファンベースを拡大し、将来的な海外公演やグッズ販売に繋げる布石とすることもできます。地理的な制約を超えて、ブランドや音楽を世界に届ける強力なツールとなるのです。
プロモーションやブランディングへの活用
メタバースライブは、単なる音楽イベントにとどまらず、強力なプロモーションやブランデングの場としても機能します。先進的なテクノロジーであるメタバースを活用してイベントを開催すること自体が、「革新的」「未来志向」といった企業イメージを構築するのに役立ちます。
例えば、自動車メーカーがメタバース空間で新車発表会と連動した音楽ライブを開催したり、ファッションブランドがバーチャルなランウェイショーとライブを組み合わせたりといった活用が考えられます。参加者は楽しみながら自然にブランドの世界観に触れることができ、深いブランドエンゲージメントを醸成できます。
また、メタバース空間では、参加者の行動データ(どのエリアに長く滞在したか、どのアバターアイテムに興味を示したかなど)を分析することも可能です。これにより、ファン層のインサイトを深く理解し、今後のマーケティング戦略に活かすといった活用も期待されています。
メタバースライブの今後の展望
メタバースライブはまだ黎明期にあり、これからさらなる進化が期待されています。技術の進歩と社会への浸透に伴い、私たちのエンターテイ-メント体験はどのように変わっていくのでしょうか。
最新技術による表現力の向上
テクノロジーの進化は、メタバースライブの表現力を飛躍的に向上させます。
- 通信技術の進化(5G/6G):
より高速・大容量・低遅延な通信が実現することで、さらに高精細なグラフィックスや滑らかな動き、大人数が同時に参加しても安定した環境が提供されるようになります。 - グラフィック技術の向上:
フォトリアルなアバターや、現実と見紛うほどの精巧な仮想空間の構築が可能になり、没入感が格段に高まります。リアルタイムレイトレーシングなどの技術が一般化すれば、光の反射や影の表現がより現実に近くなります。 - AI技術の活用:
AIが楽曲の盛り上がりに合わせて最適な演出を自動生成したり、参加者一人ひとりの好みに合わせたインタラクションを提供したりと、よりパーソナライズされたライブ体験が生まれる可能性があります。 - ハプティクス技術の発展:
特殊なスーツやデバイスを通じて、触覚を再現する技術も研究されています。将来的には、ライブ会場の振動や、アーティストとのハイタッチの感触までもが伝わるようになるかもしれません。
これらの技術が融合することで、もはや現実か仮想か区別がつかないほどの、超リアルなエンターテイメント体験が実現する日も遠くないでしょう。
音楽以外の多様なイベントへの展開
現在、メタバースイベントの中心は音楽ライブですが、その活用範囲はあらゆるエンターテイメントに広がっていくと予想されます。
例えば、演劇やミュージカル、お笑いライブ、ファッションショー、スポーツ観戦などがメタバースで開催されるようになるでしょう。観客は舞台上の好きな場所に移動して俳優の表情を間近で見たり、フィールドの中に立って選手の視点で試合を観戦したりといった、現実では不可能な新しい鑑賞スタイルが生まれます。
また、教育分野での活用も期待されています。歴史上の出来事を再現した空間での社会科見学や、人体の内部を探検する理科の授業など、メタバースは学習体験をより直感的で面白いものに変える可能性を秘めています。
日常的なエンターテイメントとしての定着
現在はまだ「特別なイベント」という側面が強いメタバースライブですが、将来的には映画やゲームのように、より日常的なエンターテイメントの一つとして社会に定着していくでしょう。
その鍵を握るのが、デバイスの進化です。VRゴーグルが現在のスマートフォンのように小型・軽量・低価格化し、メガネのように誰もが気軽に装着できるデバイスになれば、メタバースへのアクセスは格段に容易になります。
そうなれば、週末に友人とライブに行くのと同じ感覚で、「今夜、メタバースで集合しない?」と気軽に約束を交わすようになります。壮大な音楽フェスだけでなく、小規模なカフェでの弾き語りライブや、友人同士だけで楽しむカラオケなど、より多様で日常に根差したエンターテイメントがメタバース空間で花開くはずです。物理的な制約から解放された「もう一つの日常」が、そこには広がっているのです。
メタバースライブに関するよくある質問
最後に、メタバースライブに関して初心者の方が抱きがちな疑問について、Q&A形式でお答えします。
参加に料金はかかりますか?
イベントによって異なります。
- 有料ライブ:
人気アーティストのライブや大規模なフェスは、有料のチケット制であることが多いです。価格は数千円から一万円を超えるものまで様々です。 - 無料ライブ:
新人アーティストのプロモーションや、プラットフォームの利用促進を目的とした無料のライブも数多く開催されています。まずは無料のイベントに参加して、メタバースライブの雰囲気を体験してみるのがおすすめです。 - 一部無料・一部有料:
フェス形式のイベントで、会場への入場は無料だが、特定の人気アーティストのステージを観るには別途チケットが必要、というケースもあります。
チケットはどこで購入できますか?
購入方法はイベントごとに異なりますが、主に以下の方法があります。
- 各プラットフォームのストア:
clusterやVARKなど、プラットフォーム内にチケット販売機能がある場合、そこで直接購入できます。 - イベントの公式サイト:
イベント専用の公式サイトが設けられ、そこから外部のチケット販売サイト(イープラス、チケットぴあなど)にリンクしている場合があります。 - デジタルコンテンツ販売サイト:
SPWNやZ-aNといった、オンラインイベントのチケットを専門に扱うサイトで販売されることも多いです。
いずれの場合も、参加したいライブの告知ページに購入方法が明記されているので、必ず確認しましょう。
VRゴーグルは絶対に必要ですか?
いいえ、必須ではありません。
本記事で紹介したプラットフォームの多くは、パソコンやスマートフォンからも参加可能です。VRゴーグルを持っていなくても、メタバースライブを楽しむことはできます。
ただし、VRゴーグルを使って参加すると、視界が完全に仮想空間に覆われるため、得られる没入感や臨場感は格段に高まります。アーティストが本当に目の前にいるかのような感覚や、自分がその世界の一員になったかのような感覚は、VRならではの体験です。もしメタバースライブに深くハマり、最高の体験をしたいと感じたら、VRゴーグルの購入を検討してみるのが良いでしょう。
途中参加や途中退出は可能ですか?
はい、ほとんどのライブで可能です。
現実のライブ会場のように、ドアが閉められて入れなくなる、ということは基本的にありません。開演後でも会場に入場できますし、自分の都合でいつでも退出することができます。
ただし、注意点もあります。ライブによっては、オープニングからエンディングまでが一つのストーリーとして構成されている場合があります。その場合、途中から参加すると演出の意図が分かりにくくなる可能性があります。また、人気のライブでは、開演直後にアクセスが集中してサーバーが不安定になり、入場しにくくなることも考えられます。
特別な理由がない限りは、できるだけ開場時間に合わせて入場し、最後まで楽しむことをおすすめします。