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メタバースの始め方を初心者向けに解説 スマホでのやり方も紹介

メタバースの始め方を初心者向けに解説、スマホでのやり方も紹介

「メタバース」という言葉を耳にする機会が増え、「自分も始めてみたいけれど、何から手をつければ良いかわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。仮想空間でアバターを介して交流したり、ゲームやイベントを楽しんだりできるメタバースは、私たちのコミュニケーションやエンターテイメントのあり方を大きく変える可能性を秘めています。

特に、近年ではスマートフォンで手軽に始められるプラットフォームも増え、メタバースは決して一部の専門家やコアなゲーマーだけのものではなくなりました。この記事では、メタバースの基本から、初心者の方が迷わず始められる具体的なステップ、必要なものや費用、そしておすすめのプラットフォームまで、網羅的に解説します。

この記事を読めば、メタバースの世界へ飛び込むための準備がすべて整います。さあ、あなたもアバターとなって、もう一つの世界での新しい体験を始めてみましょう。

メタバースとは?

メタバースとは?

メタバース(Metaverse)とは、「超越」を意味する「Meta」と、「世界」を意味する「Universe」を組み合わせた造語です。一般的には、インターネット上に構築された3次元の仮想空間で、ユーザーは「アバター」と呼ばれる自分の分身を介して活動する世界を指します。

単なるオンラインゲームやSNSと一線を画すのは、その持続性と社会性、経済性です。メタバースは、あなたがログアウトしてもその世界が存続し続け、他のユーザーが活動しています。そこでは、現実世界と同じように、他の人々とコミュニケーションを取り、共同で何かを創造し、さらには経済活動を行うことも可能です。

この概念は、1992年にニール・スティーヴンスンが発表したSF小説『スノウ・クラッシュ』で初めて登場しました。小説の中で描かれた仮想空間サービス「メタバース」が、現在の概念の原型とされています。長らくSFの世界の出来事でしたが、近年のテクノロジーの進化により、急速に現実のものとなりつつあります。

メタバースでできること

メタバースの世界では、現実の物理的な制約を超えて、多種多様な活動が可能です。ここでは、メタバースで具体的にどのようなことができるのか、その代表的な例をいくつかご紹介します。

1. アバターを介したコミュニケーション
メタバースの最も基本的な機能は、アバターを通じた他者とのコミュニケーションです。テキストチャットはもちろん、ボイスチャットを使えば、まるでその場にいるかのように自然な会話が楽しめます。
さらに、VRゴーグルを使えば、身振り手振りといったジェスチャーもアバターに反映され、より感情豊かなコミュニケーションが実現します。例えば、遠く離れた友人とバーチャルなカフェに集まっておしゃべりしたり、世界中の人々と焚き火を囲んで語り合ったりといった、現実さながらの交流が可能です。

2. イベントへの参加
メタバースは、大規模なイベントを開催する場所としても活用されています。有名アーティストによるバーチャル音楽ライブ、企業の製品発表会、学術的なカンファレンス、アート作品の展示会など、その種類は多岐にわたります。
現実のライブでは考えられないような、幻想的な演出の中で音楽を楽しんだり、最前列でプレゼンテーションを聞いたりできるのはメタバースならではの魅力です。物理的な距離や会場の収容人数の制約なく、世界中の人々が同じ体験を共有できる点が大きな特徴です。

3. ゲームやエンターテイメント体験
多くのメタバースプラットフォームには、多彩なゲームやアトラクションが用意されています。他のユーザーと協力して巨大なボスを倒すアクションゲームや、謎解きを楽しむ脱出ゲーム、のんびりと仮想世界を冒険するRPGなど、その内容はプラットフォームによって様々です。
また、ユーザー自身がゲームを制作して公開できるプラットフォームも存在し、日々新しいコンテンツが生まれ続けています。ゲームという共通の目的を通じて、自然に他のユーザーとの交流が生まれることも少なくありません。

4. デジタルコンテンツの制作・売買
メタバースは、ユーザーがクリエイターとして活動できる場でもあります。アバターが着る洋服やアクセサリー、バーチャル空間に設置する家具、さらにはアート作品まで、様々なデジタルコンテンツを制作できます。
特に、ブロックチェーン技術を活用したメタバースでは、これらのデジタルコンテンツをNFT(非代替性トークン)として、唯一無二の資産として所有し、専用のマーケットプレイスで売買することが可能です。自分の創造性を発揮し、それが経済的な価値に繋がる「クリエイターエコノミー」がメタバース内で形成されています。

5. バーチャル空間での経済活動
NFT化されたデジタルコンテンツの売買だけでなく、メタバース内ではより本格的な経済活動も行われています。代表的なのが、仮想空間内の「土地(LAND)」の売買です。ユーザーは土地を購入し、その上に建物を建ててイベントを開催したり、他のユーザーに貸し出して賃料を得たりできます。
現実の不動産投資のように、将来性の高いエリアの土地を安く購入し、価値が上がった時点で売却して利益を得るといった動きも活発です。

6. 教育やトレーニングでの活用
メタバースの没入感は、教育やトレーニングの分野でも大きな可能性を秘めています。例えば、危険な化学実験を安全な仮想空間でシミュレーションしたり、医療現場で手術の手順をリアルに体験したりできます。また、歴史的な出来事を再現した空間を訪れ、まるでタイムスリップしたかのような体験を通じて学ぶことも可能です。言葉や写真だけでは伝わりにくい内容も、メタバースなら直感的に理解を深めることができます。

メタバースが注目されている理由

なぜ今、これほどまでにメタバースが世界中から注目を集めているのでしょうか。その背景には、技術、社会、経済といった複数の要因が複雑に絡み合っています。

1. テクノロジーの飛躍的進化
メタバースという概念自体は以前から存在しましたが、それを実現するための技術が追いついていませんでした。しかし、近年、以下のような技術が飛躍的に進化したことで、メタバースは一気に現実味を帯びてきました。

  • VR/AR技術の成熟と低価格化: 高性能なVRゴーグルが比較的手頃な価格で入手できるようになり、一般の消費者にも没入感の高い体験が身近になりました。
  • 通信技術の高速化(5G/6G): 3Dデータをリアルタイムでやり取りするためには、高速・大容量・低遅延の通信環境が不可欠です。5Gの普及は、メタバース体験の質を大きく向上させました。
  • コンピューティングパワーの向上: 高精細なグラフィックスを描画するためのGPU(Graphics Processing Unit)の性能が向上し、よりリアルで複雑な仮想空間の構築が可能になりました。
  • ブロックチェーン技術の台頭: NFTや暗号資産を支えるブロックチェーン技術により、仮想空間内でのデジタル資産の所有権が明確になり、安全な取引が可能になったことは、メタバース経済圏の成立において決定的な役割を果たしました。

2. 社会的背景の変化
2020年以降の新型コロナウイルス感染症の世界的流行は、人々の働き方やコミュニケーションのあり方を根本から変えました。リモートワークやオンライン授業、オンラインイベントが急速に普及し、人々は物理的な接触なしにコミュニケーションを取ることに慣れていきました。
このような状況下で、既存のビデオ会議ツールなどでは得られない「一体感」や「臨場感」を求める声が高まり、その解決策としてメタバースが脚光を浴びたのです。オンラインでありながら、同じ空間を共有している感覚を得られるメタバースは、アフターコロナの新しいコミュニケーション様式として期待されています。

3. 新たな経済圏(クリエイターエコノミー)への期待
Facebook社が社名を「Meta」に変更し、年間1兆円規模の投資を表明したことに象徴されるように、世界中の大手IT企業がメタバースを次世代のプラットフォームと位置づけ、巨額の投資を行っています。
これは、メタバースが広告、Eコマース、エンターテイメントなど、あらゆる産業を巻き込む巨大な経済圏に成長する可能性を秘めているからです。特に、ユーザーがコンテンツを創造し、それを収益化する「クリエイターエコノミー」のハブとして期待されています。クリエイターは、プラットフォームに縛られることなく、自身の創造物をNFTとして資産化し、グローバルな市場で販売できるようになります。これは、個人の創造性が正当に評価され、経済的価値に直接結びつく新しい時代の到来を意味しています。

4. Z世代の価値観との親和性
生まれたときからインターネットやSNSが身近にあったZ世代(1990年代後半~2010年代生まれ)は、オンライン空間での自己表現やコミュニティ形成に抵抗がありません。彼らにとっては、現実の自分とオンライン上のアバターの自分を巧みに使い分け、複数のアイデンティティを持つことはごく自然なことです。
ゲームプラットフォーム『フォートナイト』や『Roblox』のように、ゲームの枠を超えてコミュニケーションやイベントの場となっているサービスが若年層に絶大な人気を誇っていることからも、彼らの価値観とメタバースの親和性の高さがうかがえます。現実世界と仮想世界の境界が曖昧なZ世代が社会の主役になるにつれて、メタバースはさらに生活に浸透していくと考えられます。

これらの要因が複合的に作用し、メタバースは一時的なブームに終わらない、社会の大きな変革のうねりとして注目されているのです。

メタバースの始め方 4つのステップ

利用するプラットフォームを選ぶ、アカウントを登録してアプリを準備する、自分だけのアバターを作成する、メタバースの世界へログインする

メタバースの世界は広大ですが、足を踏み入れるための手順は意外とシンプルです。ここでは、初心者の方が迷わずにメタバースを始められるよう、具体的な4つのステップに分けて詳しく解説します。

① 利用するプラットフォームを選ぶ

メタバースを始めるにあたって、最も重要で最初のステップが「プラットフォーム選び」です。メタバースと一言で言っても、その種類は多種多様で、それぞれに特徴や目的が異なります。自分に合わないプラットフォームを選んでしまうと、楽しさが半減してしまう可能性もあります。

プラットフォーム選びのポイントは、「メタバースで何をしたいか?」を明確にすることです。

  • 友達と気軽に交流したい、アバターファッションを楽しみたい: ZEPETOやclusterのような、スマートフォンで手軽に始められるソーシャル系のプラットフォームがおすすめです。
  • 色々なゲームをプレイしたい: Robloxやフォートナイトのように、ゲームコンテンツが豊富なプラットフォームが良いでしょう。
  • 世界中の人々とディープなコミュニケーションを取りたい: VRChatのように、ユーザーが創り出す無数のワールドを探索できるプラットフォームが適しています。
  • NFTアイテムや土地を売買して経済活動に参加したい: The SandboxやDecentralandのような、ブロックチェーン技術を基盤としたプラットフォームが選択肢になります。

また、どのデバイスで利用したいかも重要な判断基準です。

  • 手軽に始めたい → スマートフォン対応プラットフォーム
  • 高画質で本格的に楽しみたい → PC対応プラットフォーム
  • 最高の没入感を体験したい → VR対応プラットフォーム

多くのプラットフォームは複数のデバイスに対応していますが、メインとなる体験は異なります。例えば、VRChatはPCやVRでの体験が最適化されていますが、スマートフォン(Quest版)でも一部機能を利用できます。

まずは、この記事の後半で紹介する「おすすめプラットフォーム」を参考に、自分の興味や目的に合ったプラットフォームを2〜3個リストアップし、それぞれの公式サイトやレビュー動画などを見て比較検討することから始めましょう。ほとんどのプラットフォームは無料で始められるので、気軽に試してみて、自分に合う場所を見つけるのが一番です。

② アカウントを登録してアプリを準備する

利用したいプラットフォームが決まったら、次にアカウントを登録し、必要なアプリケーションを準備します。この手順は、一般的なオンラインサービスやゲームを始める際の流れとほとんど同じです。

1. アプリケーションのダウンロードとインストール
まず、使用するデバイスに応じて、プラットフォームのアプリケーションをダウンロードします。

  • スマートフォン(iPhone/Android)の場合:
    • App Store(iPhone)または Google Play ストア(Android)で、プラットフォーム名(例:「ZEPETO」「cluster」)を検索し、ダウンロード・インストールします。
  • PC(Windows/Mac)の場合:
    • 多くの場合は、プラットフォームの公式サイトから直接インストーラーをダウンロードします。
    • VRChatやRobloxなど一部のプラットフォームは、「Steam」というPCゲームのプラットフォームアプリ経由でインストールする必要があります。その場合は、まずSteamをインストールし、Steam内で目的のメタバースアプリを探してインストールします。
  • VRゴーグル(Meta Questシリーズなど)の場合:
    • ゴーグル内のストア(Meta Quest Storeなど)から直接アプリを検索してダウンロード・インストールします。

2. アカウントの登録
アプリケーションの準備ができたら、起動してアカウントを作成します。登録方法はプラットフォームによって異なりますが、主に以下の方法が一般的です。

  • メールアドレスで登録: 使用するメールアドレスとパスワードを設定します。確認メールが届くので、メール内のリンクをクリックして認証を完了させます。
  • SNSアカウントで連携: Google、Apple、X(旧Twitter)、Facebookなどの既存アカウントと連携して登録します。入力の手間が省けて便利ですが、連携するSNSアカウントのセキュリティ管理が重要になります。

この際、ユーザー名(表示名)とIDを設定します。ユーザー名は他の人から見える名前で、後から変更できることが多いです。一方、IDはアカウント固有の識別子で、変更できない場合があるため慎重に決めましょう。

セキュリティに関する注意点
アカウントは、あなたのメタバース内でのアイデンティティそのものです。パスワードは他のサービスで使っているものを使い回さず、英数字と記号を組み合わせた複雑なものに設定しましょう。また、プラットフォームが二段階認証に対応している場合は、必ず設定しておくことを強くおすすめします。これにより、不正ログインのリスクを大幅に減らすことができます。

③ 自分だけのアバターを作成する

アカウント登録が完了すると、いよいよメタバースでのあなたの分身となる「アバター」の作成です。アバターは、他者とのコミュニケーションの起点となる非常に重要な要素であり、メタバースの楽しさを大きく左右すると言っても過言ではありません。

多くのプラットフォームでは、非常に自由度の高いアバタークリエイト機能が提供されています。

  • 外見のカスタマイズ: 顔の輪郭、目、鼻、口の形や大きさ、髪型、肌の色、体型などをスライダーで細かく調整できます。現実の自分に似せることも、理想の姿を創り出すことも、あるいは人間以外のキャラクターになることも自由自在です。
  • ファッションのコーディネート: Tシャツやパーカー、ドレス、スーツといった衣服から、帽子、メガネ、アクセサリーなどの小物まで、豊富なアイテムが用意されています。プラットフォーム内のストアで無料または有料のアイテムを入手し、自分だけのスタイルを追求できます。ZEPETOのように、現実のファッションブランドとコラボしたアイテムが登場することもあります。

アバター作成のコツ
最初はどこから手をつけていいか分からないかもしれませんが、まずはプリセット(あらかじめ用意されたデザイン)の中から好みのものを選び、そこから少しずつカスタマイズしていくのがおすすめです。時間をかけてじっくりと、「もう一人の自分」を創り上げるプロセスそのものを楽しむことが、メタバースに愛着を持つための第一歩です。

一部のプラットフォーム(VRChatなど)では、外部の3Dモデリングソフト(Blenderなど)で作成したオリジナルのアバターをインポートすることも可能です。これは上級者向けですが、完全にユニークなアバターで活動したいという方は、将来的に挑戦してみるのも良いでしょう。

作成したアバターは後からでも何度でも編集できるので、まずは気軽に作成して次のステップへ進みましょう。

④ メタバースの世界へログインする

アバターの作成が完了すれば、準備は万端です。いよいよメタバースの世界へ足を踏み入れましょう。

1. ログインと初期ワールドへの移動
アプリを起動し、作成したアカウントでログインすると、多くの場合、最初に「チュートリアルエリア」や「ホームワールド」「ウェルカムロビー」といった初心者が集まる初期地点に転送されます。
ここでは、移動方法や視点操作、他のユーザーとのコミュニケーション方法など、基本的な操作を学ぶためのガイドが用意されています。まずは焦らず、ガイドに従って一通りの操作を試してみましょう。

2. 基本操作に慣れる
メタバースでの基本的な操作は、3Dゲームと似ています。

  • 移動:
    • スマホ:画面上の仮想スティックで移動します。
    • PC:キーボードの「W」「A」「S」「D」キーで前後左右に移動するのが一般的です。
    • VR:コントローラーのスティックで移動したり、実際にてくてく歩いたり(ルームスケール)します。
  • 視点操作:
    • スマホ:画面をスワイプします。
    • PC:マウスを動かします。
    • VR:実際に頭を動かします。
  • コミュニケーション:
    • 近づいてマイクをオンにすればボイスチャットができます。
    • メニューからテキストチャットウィンドウを開いて文字で会話することも可能です。
    • エモート(手を振る、拍手する、踊るなど)機能を使えば、言葉がなくても感情を表現できます。

3. ワールドを探索してみる
基本操作に慣れたら、色々な「ワールド」や「サーバー」に移動してみましょう。プラットフォームには、ユーザーが作成した美しい風景のワールド、ゲームが楽しめるワールド、特定の趣味を持つ人が集まるコミュニティワールドなど、無数の空間が存在します。
最初は一人で散策するだけでも十分に楽しめます。気になるワールドを見つけたら、勇気を出して足を踏み入れてみましょう。もし他のユーザーがいたら、「こんにちは」と声をかけてみるのも良いかもしれません。メタバースでは、誰もが最初は初心者です。 多くのユーザーは、新しい仲間を温かく迎え入れてくれるはずです。

以上がメタバースを始めるための4つのステップです。この手順に沿って進めれば、誰でも簡単にもう一つの世界での生活をスタートできます。

メタバースを始めるのに必要なもの

メタバースの世界に飛び込むためには、いくつかの「道具」が必要です。手軽に始められるものから、より本格的な体験を追求するためのものまで、ここではメタバースを始めるのに必要なものを3つのカテゴリーに分けて詳しく解説します。

デバイス(スマホ・PC・VRゴーグル)

メタバースへの入り口となるのが「デバイス」です。どのデバイスを選ぶかによって、体験の質やできることが大きく変わってきます。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分の目的や予算に合ったものを選びましょう。

デバイスの種類 メリット デデメリット
スマートフォン ・最も手軽で安価(手持ちのスマホでOK)
・いつでもどこでもアクセス可能
・対応プラットフォームが多い
・没入感が低い
・グラフィック品質が制限される
・操作性がPCやVRに劣る
PC ・高精細なグラフィックで楽しめる
・安定した動作と快適な操作性
・対応プラットフォームが最も多い
・高性能なゲーミングPCが必要な場合がある
・初期費用が高い
・場所が固定される
VRゴーグル ・圧倒的な没入感と臨場感
・直感的な操作が可能
・「そこにいる」感覚が最も強い
・初期費用がかかる
・VR酔いの可能性がある
・長時間の使用は疲れやすい

1. スマートフォン(スマホ)
最も手軽にメタバースを始めたいなら、スマートフォンが最適です。普段使っているiPhoneやAndroid端末にアプリをインストールするだけで、すぐにメタバースの世界に入ることができます。ZEPETO、Roblox、clusterなど、人気のプラットフォームの多くがスマホに対応しています。
通勤・通学の途中や休憩時間など、スキマ時間に気軽にアクセスできるのが最大のメリットです。一方で、小さな画面を指で操作するため、没入感や操作性はPCやVRに劣ります。まずはスマホでメタバースの雰囲気を掴み、もっと本格的に楽しみたくなったらPCやVRへのステップアップを検討するのが良いでしょう。

2. PC(パソコン)
より高品質なグラフィックや快適な操作性を求めるなら、PCがおすすめです。特に、VRChatやThe Sandboxといった高精細なグラフィックを特徴とするプラットフォームを最大限に楽しむためには、ある程度のスペックを持つPCが必要になります。
一般的に「ゲーミングPC」と呼ばれる、高性能なCPU(中央演算処理装置)とGPU(画像処理装置)を搭載したモデルが推奨されます。キーボードとマウスによる操作は直感的で、長時間の利用でも疲れにくいのがメリットです。また、PCはVRゴーグルを接続して「PCVR」として利用するための母艦にもなります。
要求されるスペックはプラットフォームによって異なりますが、目安として、CPUはIntel Core i5以上、メモリは16GB以上、GPUはNVIDIA GeForce RTX 3060以上を備えていると、多くのメタバースを快適に楽しめるでしょう。

3. VRゴーグル
最高の没入感を求めるなら、VRゴーグル一択です。VRゴーグルを装着すると、視界の360度が仮想空間に覆われ、まるで本当にその世界にいるかのような圧倒的な臨場感を体験できます。コントローラーを使って自分の手を動かしたり、オブジェクトを掴んだりする操作は非常に直感的です。
VRゴーグルには、PCに接続せずに単体で動作する「スタンドアローン型」(例:Meta Quest 3)と、高性能なPCに接続して利用する「PC接続型」があります。近年はスタンドアローン型が高性能化しており、手軽さと高い没入感を両立しています。
ただし、価格が数万円からと高価であることや、人によっては「VR酔い」を起こす可能性がある点がデメリットです。初めての方は、家電量販店などで一度体験してみることをおすすめします。

安定したインターネット環境

メタバースは、3D空間のデータや他のユーザーのアバターの動き、音声などをリアルタイムで大量にやり取りします。そのため、快適に楽しむためには、高速で安定したインターネット環境が不可欠です。

回線速度が遅かったり、不安定だったりすると、以下のような問題が発生する可能性があります。

  • ワールドの読み込みに時間がかかる
  • 自分のアバターや他のユーザーのアバターがカクカク動く
  • 音声が途切れたり、遅延したりする
  • サーバーから切断されてしまう

快適なプレイのための推奨環境としては、ダウンロード(下り)速度が30Mbps以上、アップロード(上り)速度が10Mbps以上が一つの目安とされています。特に、自分の音声やアバターの情報をサーバーに送る「上り」の速度も重要になります。

最も理想的なのは、「光回線」を契約し、有線LANで接続することです。Wi-Fi(無線LAN)を利用する場合は、ルーターの性能も重要になります。可能であれば、電波干渉が少なく高速な「5GHz帯」に対応したWi-Fiルーターを使用し、ルーターの近くでプレイすることをおすすめします。

暗号資産(仮想通貨)とウォレット

この項目は、すべてのメタバースで必須というわけではありません。 ZEPETOやVRChat、clusterといった多くのプラットフォームは、暗号資産がなくても十分に楽しめます。

暗号資産とウォレットが必要になるのは、主にThe SandboxやDecentralandといった「ブロックチェーンベース」のメタバースで、NFTアイテムや土地の売買など、経済活動を行いたい場合です。

1. 暗号資産(仮想通貨)
ブロックチェーンベースのメタバースでは、アイテムや土地の購入にプラットフォーム独自の暗号資産(ネイティブトークン)や、イーサリアム(ETH)などの汎用的な暗号資産が使用されます。例えば、The Sandboxでは「SAND」、Decentralandでは「MANA」というトークンが基軸通貨として使われています。これらの暗号資産は、国内または海外の暗号資産取引所で日本円などから交換して入手します。

2. ウォレット(Wallet)
ウォレットとは、購入した暗号資産やNFT(デジタルアイテムや土地)を保管・管理するための「デジタルの財布」です。代表的なウォレットとして「MetaMask(メタマスク)」が広く利用されています。
ウォレットはブラウザの拡張機能やスマホアプリとして提供されており、無料で作成できます。メタバースプラットフォームに自分のウォレットを接続することで、初めてアイテムの購入や売却が可能になります。
ウォレットの管理は非常に重要です。ウォレットを復元するための「シークレットリカバリーフレーズ」や「秘密鍵」は、絶対に他人に教えてはいけません。 これが漏洩すると、ウォレット内の資産をすべて盗まれてしまう危険性があります。厳重に管理しましょう。

まとめると、まずは手持ちのスマホと自宅のWi-Fi環境で始めてみて、物足りなくなったらPCやVRゴーグル、光回線の導入を検討し、さらに経済活動に興味が湧いたら暗号資産とウォレットの準備を進める、というステップアップがおすすめです。

メタバースを始めるのにかかる費用

「メタバースを始めるには、たくさんお金がかかるのでは?」と心配している方もいるかもしれません。しかし、結論から言うと、メタバースは無料で始めることが可能です。ここでは、メタバースを始めるにあたって考えられる「初期費用」と「月額費用」について、具体的に解説します。

初期費用

初期費用は、あなたがどのレベルの体験を求めるかによって大きく変動します。

費用の種類 金額の目安 備考
デバイス費用 0円 ~ 30万円以上 手持ちのスマホなら0円。ゲーミングPCやVRゴーグルを購入する場合は費用が発生。
プラットフォーム利用料 0円 ほとんどの主要なメタバースプラットフォームは、基本プレイ無料。
コンテンツ購入費 0円 ~ アバターの衣装やアイテム、土地(LAND)などを購入する場合にかかる費用。必須ではない。
暗号資産関連費用 0円 ~ ブロックチェーンゲームで遊ぶ場合のみ。暗号資産の購入代金や取引手数料など。

1. デバイス費用(0円~)
初期費用の中で最も大きな割合を占めるのがデバイスの購入費用です。

  • スマートフォン: すでに所有しているものを使えば0円です。これが最もコストを抑えられる方法です。
  • VRゴーグル: エントリーモデルの「Meta Quest 2」でも約4万円台から、最新の「Meta Quest 3」は約7万円台からとなっています。本格的な没入体験を求める場合の投資となります。
  • PC: メタバースを快適に楽しめるスペックの「ゲーミングPC」を新規で購入する場合、15万円~30万円程度が相場です。グラフィックボードの性能によって価格が大きく変わります。

2. プラットフォーム利用料(基本0円)
嬉しいことに、ZEPETO, Roblox, cluster, VRChat, The Sandbox, Decentralandなど、この記事で紹介する主要なメタバースプラットフォームは、いずれもアカウント登録や基本プレイは無料です。初期費用としてプラットフォーム側に支払うお金は基本的にありません。

3. コンテンツ購入費(0円~)
メタバース内での体験をより豊かにするために、オプションとして様々なコンテンツを購入できます。

  • アバターアイテム: アバターが着る洋服やアクセサリーなど。無料でもらえるものも多いですが、数百円~数千円程度の有料アイテムも豊富にあります。
  • ゲーム内通貨: プラットフォーム内で使える専用通貨。これを購入し、アイテムや便利な機能と交換します。
  • 土地(LAND)やNFTアイテム: The Sandboxなどのブロックチェーンベースのメタバースでは、資産となる土地やアイテムをNFTとして購入できます。価格は需要と供給によって変動し、数万円から、人気の土地では数千万円以上になることもあります。これは投資的な側面が強く、すべてのユーザーに必須なものではありません。

結論として、手持ちのスマホで始め、無料のコンテンツだけで遊ぶのであれば、初期費用は一切かかりません。

月額費用

メタバースを継続して楽しむために、毎月かかる可能性のある費用についても見ていきましょう。

費用の種類 金額の目安 備考
インターネット回線費用 約4,000円 ~ 6,000円 快適なプレイのために光回線の契約を推奨。すでに契約済みなら追加費用はなし。
電気代 数百円 ~ 数千円 使用するデバイスや利用時間による。特に高性能PCは消費電力が大きい。
サブスクリプション料金 0円 ~ 約1,200円 特定のプラットフォームで、特典が得られる月額有料プラン。加入は任意。

1. インターネット回線費用(約4,000円~6,000円/月)
メタバースには安定したネット環境が不可欠なため、光回線の契約が推奨されます。すでに自宅に光回線を引いている場合は、追加の費用は発生しません。これから契約する場合は、マンションタイプで月額4,000円前後、戸建てタイプで月額5,000円~6,000円程度が一般的な料金です。

2. 電気代
見落としがちですが、特に高性能なゲーミングPCやVRゴーグルを長時間使用すると、電気代が通常よりもかかります。利用頻度にもよりますが、月々数百円から数千円程度は見ておくと良いでしょう。

3. サブスクリプション料金(0円~)
一部のプラットフォームでは、より快適に遊ぶための月額制の有料プラン(サブスクリプション)が用意されています。

  • Roblox Premium: 月額料金に応じてゲーム内通貨Robuxが毎月もらえたり、限定アイテムが手に入ったりします。プランは複数あります。(参照:Roblox公式サイト)
  • VRChat Plus: 月額9.99ドル(または年間99.99ドル)で、お気に入りアバターの登録枠が増えたり、カスタム絵文字が使えたりするなどの特典があります。加入しなくてもVRChatの基本的な機能はすべて無料で利用できます。(参照:VRChat公式サイト)
  • フォートナイトクルー: 月額1,320円(税込)で、限定のコスチュームやバトルパスへのアクセス権などが得られます。(参照:Epic Games公式サイト)

これらのサブスクリプションは、あくまでヘビーユーザー向けの特典であり、加入は完全に任意です。

まとめると、月額費用も、すでに光回線があれば、サブスクに加入しない限りは電気代以外はほとんどかかりません。 このように、メタバースは始めるのも続けるのも、自分のスタイルに合わせてコストをコントロールできる、非常に間口の広い世界なのです。

【スマホでOK】初心者におすすめのメタバースプラットフォーム3選

「まずは手軽に始めてみたい」という方のために、スマートフォン一台で楽しめる、初心者におすすめのメタバースプラットフォームを3つ厳選してご紹介します。いずれも無料で始められ、多くのユーザーで賑わっています。

プラットフォーム 特徴 主なユーザー層
ZEPETO(ゼペット) ・アバター作成の自由度が非常に高い
・K-POPやファッションとの連携が強い
・写真や動画のSNS投稿機能が充実
10代~20代の女性
Roblox(ロブロックス) ・ユーザーが作成した無数のゲームで遊べる
・「ゲーム版YouTube」とも呼ばれる
・子供から大人まで楽しめる
小中学生を中心に幅広い年代
cluster(クラスター) ・日本発のメタバースプラットフォーム
・音楽ライブやカンファレンスなどのイベントに強い
・スマホ/PC/VRのマルチデバイス対応
アニメ・VTuberファン、イベント参加者

① ZEPETO(ゼペット)

ZEPETOは、自分そっくりのアバターや理想のアバターを簡単かつ細かく作成して、仮想空間で他のユーザーと交流できる、韓国発のメタバースプラットフォームです。特に10代~20代の女性を中心に、全世界で数億人以上のユーザーを抱える人気を誇ります。

最大の特徴は、圧倒的なアバターカスタマイズ機能です。顔のパーツを細かく調整できるのはもちろん、数百万点を超えるファッションアイテムが用意されており、自分だけのオリジナルコーディネートを無限に楽しめます。有名ファッションブランドやディズニー、K-POPアーティスト(BLACKPINKなど)とのコラボも積極的に行われており、最新のトレンドを取り入れたおしゃれが可能です。

ZEPETO内には「ワールド」と呼ばれる様々なテーマの仮想空間があり、友達とおしゃべりしたり、アスレチックや鬼ごっこなどのミニゲームで遊んだりできます。また、作成したアバターを使って写真やショート動画を撮影し、それをZEPETO内のフィードや他のSNS(InstagramやTikTok)に簡単に投稿できる機能も充実しており、「アバターを使ったSNS」としての側面が強いのが特徴です。

メタバースの第一歩として、自分の分身となるアバターを可愛く着飾って、友達とコミュニケーションする楽しさを体験したい方に最適なプラットフォームです。(参照:ZEPETO公式サイト)

② Roblox(ロブロックス)

Robloxは、単一のゲームではなく、世界中のユーザーが作成した多種多様なゲームをプレイできる「ゲームプラットフォーム」型のメタバースです。そのコンテンツの豊富さから「ゲーム版のYouTube」と形容されることもあります。

Robloxにアクセスすると、そこにはアクション、RPG、レース、シミュレーション、脱出ゲームなど、想像を絶する数のゲーム(Roblox内では「エクスペリエンス」と呼ばれる)が広がっています。これらのゲームは、Robloxが提供する「Roblox Studio」という無料のツールを使って、プログラミングの知識がなくても比較的簡単に制作できるため、日々新しいゲームがユーザーの手によって生み出されています。

ユーザーは、お気に入りのゲームを探して友達と一緒にプレイしたり、チャットで交流したりできます。アバターのカスタマイズも可能で、ゲームをクリアしたり、課金したりすることで得られるアイテムで自分好みのアバターを作成できます。

「一つの世界に留まらず、気分に合わせて様々なゲームや体験を渡り歩きたい」という方にぴったりのプラットフォームです。子供向けの簡単なゲームから、大人でも楽しめる本格的なゲームまで揃っているため、親子で一緒に楽しめるのも魅力の一つです。(参照:Roblox公式サイト)

③ cluster(クラスター)

clusterは、「バーチャルSNS」を掲げる日本発のメタバースプラットフォームです。スマートフォン、PC、VRゴーグルといった様々なデバイスからアクセスできる「マルチデバイス対応」が大きな特徴です。

clusterの強みは、誰でも気軽にイベントを開催・参加できる点にあります。個人が開催する小規模な集会から、数千人~数万人規模の企業主催のカンファレンスや有名アーティストのバーチャル音楽ライブまで、毎日様々なイベントが開催されています。アバターでイベントに参加すれば、隣にいる参加者と感想を言い合ったり、拍手やエモートで一体感を味わったりと、リアルイベントさながらの体験が可能です。

また、ユーザーが自由に「ワールド」と呼ばれる仮想空間を創造できる機能もあり、美しい景色を眺めるワールドや、ゲームが楽しめるワールドなど、個性豊かな空間が公開されています。

日本企業が運営しているため、プラットフォーム全体のUIやサポートが日本語に完全対応しており、初心者でも安心して利用できる点も嬉しいポイントです。日本のカルチャー(アニメ、VTuberなど)との親和性が高く、そうした趣味を持つ人々との交流の場としても活発に利用されています。「まずは日本のコミュニティで、安心してメタバースを始めたい」という方におすすめです。

【本格派】PC/VRで楽しむおすすめメタバースプラットフォーム4選

スマートフォンの手軽さから一歩進んで、より没入感の高い、本格的なメタバース体験をしたい方には、PCやVRゴーグルでの利用を前提としたプラットフォームがおすすめです。ここでは、世界的に人気が高く、それぞれに独自のエコシステムを持つ4つのプラットフォームをご紹介します。

プラットフォーム 特徴 必要なもの(推奨)
The Sandbox ・ブロックチェーンベース(NFT)
・ボクセルアート調の世界
・土地(LAND)の売買やゲーム制作で収益化が可能
PC、暗号資産ウォレット
VRChat ・ソーシャルVRの代表格
・ユーザー制作のワールドとアバターが無限
・コミュニケーションの自由度が非常に高い
PC、VRゴーグル
Decentraland ・ブロックチェーンベース(NFT)
・DAOによる分散型運営
・イベントやカジノなど大人の社交場的側面
PC、暗号資産ウォレット
フォートナイト ・バトルロイヤルゲームから発展
・有名アーティストのライブなど大型イベント
・クリエイティブモードで自由に島を制作可能
PC、各種ゲーム機

① The Sandbox(ザ・サンドボックス)

The Sandboxは、イーサリアムのブロックチェーン技術を基盤とした「ユーザー主導」のメタバースプラットフォームです。マインクラフトのようなボクセルアート(立方体のブロックで構成されたアートスタイル)が特徴的です。

このプラットフォームの最大の特徴は、メタバース内のあらゆる要素がNFT(非代替性トークン)化されており、ユーザーが真の所有権を持てる点です。「LAND」と呼ばれる仮想空間上の土地を購入・所有し、その上にオリジナルのゲームやジオラマを構築して公開したり、他のユーザーに貸し出したりできます。

また、「VoxEdit」という無料ツールでアバターやアイテムなどのデジタルアセットを制作し、「Game Maker」というツールでそれらを使ってゲームを開発できます。制作したアセットやゲームはNFTとしてマーケットプレイスで販売し、プラットフォームの基軸通貨である「SAND」で収益を得ることが可能です。

このように、The Sandboxは単に遊ぶだけでなく、創造し、所有し、収益化するという「Play-and-Earn(遊んで稼ぐ)」の要素が強く、クリエイターエコノミーを体現するプラットフォームとして注目されています。本格的な経済活動やゲーム開発に興味がある方におすすめです。始めるには、MetaMaskなどの暗号資産ウォレットが必要になります。(参照:The Sandbox公式サイト)

② VRChat

VRChatは、その名の通りVR(仮想現実)でのソーシャルな交流に特化した、世界最大級のメタバースプラットフォームです。PCまたはVRゴーグルでの利用がメインとなり、最高の没入感を体験できます。

VRChatの魅力は、ユーザーによって創り出される無限の「ワールド」と「アバター」にあります。美しい風景、作り込まれたゲーム、テーマ性のある集会所など、数百万を超える多種多様なワールドが公開されており、ユーザーはそれらを自由に探索できます。また、アバターの自由度も非常に高く、外部ツールで制作した完全オリジナルのアバターを使用するユーザーが大多数を占めています。これにより、アニメキャラクターやロボット、動物など、思い思いの姿でコミュニケーションを楽しんでいます。

決まった目的やゴールはなく、ただそこに集まった人々と雑談したり、一緒にワールドを巡ったり、ゲームをしたりと、過ごし方は完全に自由です。世界中の人々と、まるで本当に会っているかのようなリアルなコミュニケーションを楽しみたい方に最適なプラットフォームと言えるでしょう。コミュニティ活動が非常に活発で、毎日のように何かしらのユーザー主催イベントが開催されています。

③ Decentraland(ディセントラランド)

Decentralandは、The Sandboxと並ぶ代表的なブロックチェーンベースのメタバースプラットフォームです。The Sandbox同様、イーサリアムのブロックチェーン上に構築されており、ユーザーは「LAND」と呼ばれる土地やアイテムをNFTとして所有・取引できます。

Decentralandの際立った特徴は、DAO(Decentralized Autonomous Organization:自律分散型組織)によって運営されている点です。これは、特定の企業が中央集権的に管理するのではなく、プラットフォームの基軸通貨「MANA」やLANDの所有者による投票によって、運営方針やアップデートの内容が決定される仕組みです。まさに「分散型」の名を体現したプラットフォームと言えます。

グラフィックスタイルはThe Sandboxのボクセルアートとは異なり、より一般的な3Dポリゴンで表現されています。プラットフォーム内では、アートギャラリーの散策、カジノでのポーカー、音楽ライブへの参加など、やや大人向けのソーシャルなアクティビティが活発に行われています。Sotheby’s(サザビーズ)のような有名企業もバーチャルギャラリーを構えるなど、ビジネスやアートシーンとの連携も進んでいます。ブロックチェーン技術と民主的な運営システムに興味があり、大人の社交場のような雰囲気を求める方に向いています。こちらも、始めるには暗号資産ウォレットが必要です。(参照:Decentraland公式サイト)

④ フォートナイト

フォートナイトは、元々はEpic Gamesが開発したバトルロイヤルゲームですが、現在ではその枠を大きく超え、一つの巨大なメタバースへと進化しています。

ゲームの中心であるバトルロイヤルモードに加え、ユーザーが自由に島(ワールド)を制作して公開できる「クリエイティブモード」や、戦闘なしで他のプレイヤーと交流したり、ライブイベントに参加したりできる「パーティーロイヤル」モードが存在します。

特に、トラヴィス・スコットやアリアナ・グランデといった世界的なトップアーティストが開催したバーチャルライブは社会現象にもなり、メタバースの可能性を広く知らしめました。 近年では、レゴとコラボしたサバイバルクラフトゲーム「レゴ フォートナイト」や、レースゲーム「Rocket Racing」、音楽ゲーム「Fortnite Festival」といった、全く新しいゲームモードも追加され、プラットフォームとしての拡大を続けています。

すでに世界中に数億人のプレイヤーがいるため、常に多くのユーザーで賑わっているのが強みです。高品質なゲーム体験と、大規模なエンターテイメントイベントの両方を楽しみたい方に最適なプラットフォームです。

メタバース体験を向上させるおすすめVRゴーグル3選

メタバースの真骨頂である「没入感」を最大限に味わうためには、VRゴーグルの導入が欠かせません。ここでは、現在市場で人気が高く、性能とコストパフォーマンスのバランスに優れた、初心者から中級者におすすめのVRゴーグルを3機種ご紹介します。スペックや価格は変動する可能性があるため、購入時には公式サイトで最新情報をご確認ください。

製品名 特徴 価格帯の目安
Meta Quest 3 ・最新・最高性能モデル
・高解像度ディスプレイ
・高性能なMR(複合現実)機能
7万円台~
Meta Quest 2 ・圧倒的なコストパフォーマンス
・VR入門機の決定版
・豊富な対応アプリ
4万円台~
PICO 4 ・軽量で装着感に優れる
・パンケーキレンズによる薄型デザイン
・Quest 2対抗の高性能モデル
4万円台~

① Meta Quest 3

Meta Quest 3は、2023年10月に発売された、Meta社(旧Facebook)の最新スタンドアローン型VR/MRヘッドセットです。Quest 2からあらゆる面で大幅な進化を遂げた、現行最高峰のコンシューマー向けモデルと言えます。

最大の特徴は、飛躍的に向上したMR(Mixed Reality:複合現実)機能です。本体前面の高性能なカラーカメラにより、現実の風景をクリアにゴーグル内に映し出す「カラーパススルー」が可能です。これにより、現実の部屋に仮想のオブジェクトを配置したり、仮想のキャラクターが現実世界で動き回ったりするような、現実と仮想が融合した新しい体験が楽しめます。

ディスプレイの解像度もQuest 2から約30%向上し、よりシャープで没入感の高い映像を実現。また、次世代の「パンケーキレンズ」を採用したことで、光学系が薄型化され、装着時の快適性も向上しています。搭載されているプロセッサも最新世代のものとなり、グラフィック性能はQuest 2の2倍以上とされています。

価格はQuest 2よりも高価ですが、最高のVR体験と、未来を感じさせるMR体験の両方を求めるなら、間違いなく最高の選択肢です。(参照:Meta公式サイト)

② Meta Quest 2

Meta Quest 2は、2020年に発売されて以来、世界で最も普及したVRゴーグルであり、「VR元年」を本格的に到来させたと評価されるモデルです。発売から時間は経っていますが、その圧倒的なコストパフォーマンスにより、今なおVR入門機として絶大な人気を誇ります。

PCやケーブルを必要としないスタンドアローン型で、箱から出してすぐにVRを始められる手軽さが魅力です。ディスプレイ解像度や処理性能はQuest 3に劣るものの、VRChatやBeat Saberといった主要なVRアプリを快適に楽しむには十分なスペックを備えています。

最大のメリットは、その価格です。最新モデルの登場により価格が改定され、より手に入れやすくなりました。また、世界で最も売れたVRゴーグルであるため、対応するゲームやアプリの数が非常に豊富で、情報やアクセサリーも手に入りやすいという利点があります。

「まずはVRがどんなものか試してみたい」「できるだけコストを抑えてVRを始めたい」という初心者の方にとって、現在でも最もおすすめできる鉄板のモデルです。(参照:Meta公式サイト)

③ PICO 4

PICO 4は、TikTokを運営するByteDance社傘下のPICOが開発した、Meta Questシリーズの強力な対抗馬となるスタンドアローン型VRゴーグルです。

Quest 2と比較して、多くの面でスペックが上回っているのが特徴です。特に、Quest 3にも採用されている「パンケーキレンズ」をいち早く搭載したことで、本体が薄く、重量バランスに優れています。バッテリーを後頭部側に配置する設計により、顔への圧迫感が少なく、長時間の使用でも疲れにくい快適な装着感を実現しています。

ディスプレイの解像度もQuest 2より高く、視野角も広いため、よりクリアで広がりのある映像体験が可能です。また、標準でカラーパススルー機能に対応している点も強みです(ただし、Quest 3ほどの高精細ではありません)。

一方で、Meta Questストアに比べて対応アプリの数はまだ少ないという側面もあります。しかし、SteamVR(PCVR)と連携すればPC向けのVRゲームも楽しめるため、PCVRでの利用をメインに考えているユーザーにとっては、装着感の良さから魅力的な選択肢となります。装着感を重視する方や、Meta以外の選択肢を検討したい方におすすめの高性能モデルです。

メタバースを始める際の3つの注意点

個人情報の管理とセキュリティ対策を徹底する、のめり込みすぎに注意する、詐欺や金銭的なトラブルに気をつける

メタバースは無限の可能性を秘めた魅力的な世界ですが、新しいテクノロジーであるからこそ、利用する上で注意すべき点も存在します。安全に楽しくメタバースを続けるために、以下の3つのポイントを必ず心に留めておきましょう。

① 個人情報の管理とセキュリティ対策を徹底する

メタバースはインターネット上の空間であり、現実世界と同様、あるいはそれ以上に個人情報の管理が重要になります。

  • 安易な個人情報の開示は避ける: アバターを介した交流では、つい気が緩んで本名、住所、電話番号、学校名、職場名といった個人情報を話してしまいがちです。特に、親しくなったばかりの相手には、絶対に個人情報を教えないようにしましょう。アバター名やプロフィールからも個人が特定できるような情報は避けるのが賢明です。
  • アカウントのセキュリティを強化する: メタバースのアカウントは、あなたの大切な資産です。
    • パスワードは、他のサービスで使っているものを絶対に使い回さないでください。 英大文字、小文字、数字、記号を組み合わせた、推測されにくい複雑なものを設定しましょう。
    • プラットフォームが二段階認証(2FA)に対応している場合は、必ず設定してください。これにより、万が一パスワードが漏洩しても、第三者による不正ログインを効果的に防ぐことができます。
  • 知らない人からの接触には慎重に: 見知らぬユーザーから送られてくるフレンド申請やダイレクトメッセージ(DM)内のリンクは、安易にクリックしないようにしましょう。個人情報を抜き取るためのフィッシングサイトへ誘導される可能性があります。

メタバースは、アバターという仮面を被っているからこそ、相手がどのような人物なのかを判断するのが難しい世界です。常に一定の警戒心を持つことが、自分自身を守ることに繋がります。

② のめり込みすぎに注意する

メタバースの没入感は非常に高く、時間を忘れて夢中になってしまう魅力があります。しかし、その楽しさのあまり、現実世界の生活がおろそかになってしまっては元も子もありません。

  • 現実世界とのバランスを保つ: 「平日は2時間まで」「週末は夜12時まで」のように、あらかじめ自分で利用時間を決めておくことが有効です。タイマーをセットするなどして、時間を意識的に管理しましょう。メタバースは素晴らしい世界ですが、あなたの人生の基盤はあくまで現実世界にあることを忘れないでください。
  • 健康への影響に配慮する:
    • 身体的な健康: 長時間同じ姿勢でいることによる肩こりや腰痛、運動不足に注意が必要です。特にVRゴーグルを長時間使用すると、目の疲れやドライアイ、人によっては「VR酔い」(乗り物酔いに似た症状)を引き起こすことがあります。定期的に休憩を取り、軽いストレッチをしたり、遠くの景色を眺めたりすることを心がけましょう。
    • 精神的な健康: メタバース内の人間関係や評価に過度に依存してしまうと、精神的なバランスを崩す原因になりかねません。現実世界の家族や友人との交流も大切にし、バランスの取れた生活を送りましょう。

メタバースは、現実世界を豊かにするためのツールの一つです。メタバースに「支配」されるのではなく、上手に「活用」するという意識を持つことが大切です。

③ 詐欺や金銭的なトラブルに気をつける

特に、暗号資産やNFTが関わるブロックチェーンベースのメタバースでは、金銭的な利益を狙った詐欺やトラブルが発生するリスクがあります。新しい技術領域であるため、法整備が追いついていない側面もあり、自己防衛の意識が極めて重要になります。

  • フィッシング詐欺: 「限定NFTを無料でプレゼント」「ウォレットを接続すればエアドロップ(無料配布)がもらえる」といった甘い言葉で偽のウェブサイトに誘導し、ウォレットの接続を促して資産を盗み取る手口です。公式の発表か必ず確認し、安易にDMのリンクをクリックしたり、ウォレットを接続したりしないでください。
  • ラグプル(Rug Pull): プロジェクト運営者が、資金を集めた後に突然プロジェクトを放棄して資金を持ち逃げする詐欺です。将来性を謳う未知のプロジェクトに投資する際は、運営チームの実績やコミュニティの評判などを入念に調査する必要があります。
  • ハッキングや盗難: ウォレットのシークレットリカバリーフレーズや秘密鍵が漏洩すると、中の資産をすべて盗まれてしまいます。これらの情報は、パスワード以上に重要なものであり、絶対にデジタルデータ(PCのメモ帳、クラウドストレージなど)で保管せず、紙に書いて物理的に安全な場所に保管してください。

「うまい話には裏がある」という言葉は、メタバースの世界でも鉄則です。 高額なリターンを約束するような話は、まず詐欺を疑いましょう。信頼できる情報源(公式サイト、公式Discord/Xアカウントなど)から情報を得て、慎重に行動することが、あなたの大切な資産を守る上で不可欠です。

メタバースの将来性と今後の課題

ビジネス・働き方の変革、新しいコマース(商業)の形、教育・医療分野への応用、デバイスの進化、相互運用性の欠如、法整備の遅れ、倫理的な問題とガバナンス、デジタルデバイド(情報格差)の拡大

メタバースは現在、技術的な進化と社会的な需要が交差する、大きな変革の時代を迎えています。その未来は非常に明るいと期待されていますが、同時に乗り越えるべき課題も存在します。

メタバースの輝かしい将来性

メタバースの応用範囲は、エンターテイメントやコミュニケーションに留まりません。今後、社会のあらゆる領域に浸透していくと予測されています。

  • ビジネス・働き方の変革:
    • バーチャルオフィス: 世界中の従業員が同じ仮想オフィスにアバターで出社し、会議や共同作業を行う。これにより、リモートワークでありながらチームの一体感を醸成できます。
    • 研修・トレーニング: 危険な作業や高コストな訓練(例:パイロットの操縦訓練、外科医の手術シミュレーション)を、安全かつ低コストな仮想空間でリアルに再現できます。
  • 新しいコマース(商業)の形:
    • バーチャル店舗: 現実の店舗を忠実に再現した「デジタルツイン」をメタバース上に構築。ユーザーはアバターで店内を歩き回り、商品を360度から確認し、そのまま購入できます。試着や専門スタッフとの相談も可能になり、オンラインショッピングの体験が格段に向上します。
  • 教育・医療分野への応用:
    • 没入型学習: 歴史上の出来事をその場で体験したり、人体の内部を探索したりと、教科書だけでは得られない直感的な学びを実現します。
    • 遠隔医療: 専門医が遠隔地からアバターで診察に参加したり、若手医師の手術をベテラン医師がVRを通じて指導したりすることが可能になります。
  • デバイスの進化:
    • 現在のヘッドセットはまだ大きく重いですが、将来的には普段使いのメガネと変わらないような、軽量でスタイリッシュなAR/VRグラスが登場すると予想されています。これにより、メタバースと現実世界がよりシームレスに繋がります。

乗り越えるべき今後の課題

一方で、メタバースが社会インフラとして完全に普及するためには、いくつかの重要な課題を解決する必要があります。

  • 相互運用性(インターオペラビリティ)の欠如:
    • 現状では、ZEPETOで購入したアバターアイテムをVRChatに持ち込むことはできません。各メタバースプラットフォームが「壁に囲まれた庭(Walled Garden)」のように孤立しているためです。将来的には、プラットフォームの垣根を越えて、アバターやデジタル資産を自由に持ち運べる標準規格の確立が求められます。
  • 法整備の遅れ:
    • アバターの肖像権や人格権、仮想空間内でのハラスメントや名誉毀損、NFT資産の所有権や相続など、現行法では想定されていない問題が山積しています。新しいデジタル社会の実態に合わせた法整備が急務です。
  • 倫理的な問題とガバナンス:
    • メタバースへの過度な依存、なりすまし、ヘイトスピーチ、偽情報の拡散といった問題にどう対処していくか。プラットフォーム運営者だけでなく、ユーザーコミュニティを含めたガバナンス(統治)の仕組み作りが重要になります。
  • デジタルデバイド(情報格差)の拡大:
    • メタバースを快適に体験するには、高性能なデバイスや高速なインターネット回線が必要です。これらを持てない人々が、経済活動や教育、社会参加の機会から取り残されてしまう「新たなデジタルデバイド」を生み出す懸念があります。誰もがアクセスできる環境の整備が課題となります。

これらの課題は決して簡単なものではありません。しかし、世界中の企業や技術者、そしてユーザー自身が議論を重ね、試行錯誤を続けることで、一つずつ解決されていくでしょう。メタバースは、単なる仮想空間に留まらず、現実世界と融合し、私たちの生活をより豊かで便利なものに変えていく、次世代の社会基盤となる可能性を秘めているのです。

メタバースに関するよくある質問

メタバースは無料で始められますか?、メタバースはスマホだけでもできますか?、メタバースでお金を稼ぐことはできますか?、メタバースは危ない・怪しいというのは本当ですか?、メタバースはオワコン(時代遅れ)ではないのですか?

メタバースをこれから始める方が抱きやすい疑問について、Q&A形式でお答えします。

メタバースは無料で始められますか?

はい、ほとんどのメタバースは無料で始めることができます。

この記事で紹介したZEPETO、Roblox、cluster、VRChat、The Sandbox、Decentralandといった主要なプラットフォームは、すべてアカウント登録やアプリケーションのダウンロード、基本的なプレイに料金はかかりません。

費用が発生するのは、以下のようなオプションを利用する場合です。

  • アバターが着る特別な衣装やアクセサリーの購入
  • 一部のプラットフォームで提供されている月額制の有料プラン(特典あり)への加入
  • The Sandboxなどで、資産となる土地(LAND)やNFTアイテムを購入する場合

つまり、「まずはお試しで遊んでみたい」という段階であれば、一切お金をかけずにメタバースの世界を体験することが可能です。手持ちのスマートフォンと無料のWi-Fi環境があれば、今日からでも始められます。

メタバースはスマホだけでもできますか?

はい、スマートフォンだけでもメタバースを楽しむことは十分に可能です。

ZEPETOやRoblox、clusterなど、多くの人気メタバースプラットフォームがスマートフォンアプリを提供しています。アプリをインストールするだけで、アバターを作成し、他のユーザーと交流したり、イベントに参加したり、ゲームで遊んだりできます。

ただし、スマートフォンでの体験と、PCやVRゴーグルを使った体験には違いがあることも知っておくと良いでしょう。

  • スマホのメリット: 手軽さ、携帯性。いつでもどこでもアクセスできる。
  • スマホのデメリット: 画面が小さいため没入感は低い。グラフィックの品質がPC/VR版より劣ることがある。操作性に限界がある。

結論として、メタバースの「入口」としてスマートフォンは非常に優れています。 まずはスマホで気軽に始めてみて、その世界の楽しさに触れ、「もっと深く没入したい」「もっと高画質で楽しみたい」と感じたら、PCやVRゴーグルの導入を検討するというステップがおすすめです。

メタバースでお金を稼ぐことはできますか?

はい、メタバースでお金を稼ぐことは可能ですが、誰でも簡単にできるわけではありません。 専門的な知識やスキル、創造性、そして時には初期投資が必要になります。

主な収益化の方法には、以下のようなものがあります。

  1. クリエイターとして稼ぐ:
    • NFTアセットの制作・販売: The Sandboxの「VoxEdit」のようなツールを使い、アバター、装備、建物などの3Dモデルを制作し、NFTとしてマーケットプレイスで販売する。
    • アバター衣装のデザイン・販売: ZEPETOやVRChat向けに、魅力的なアバターの衣装をデザインして販売する。
    • ゲームやワールドの制作: RobloxやThe Sandbox、フォートナイトのクリエイティブモードで、人々が楽しめるゲームやワールドを制作し、そこから収益(ゲーム内通貨や利用料など)を得る。
  2. 土地(LAND)オーナーとして稼ぐ:
    • The SandboxやDecentralandで土地(LAND)を購入し、価値が上がったタイミングで売却してキャピタルゲインを得る(不動産投資に近い)。
    • 所有する土地の上に建物を建ててイベントを開催し、入場料や出展料を得る。
    • 他のユーザーや企業に土地を貸し出して、賃料を得る。
  3. スキルやサービスを提供して稼ぐ:
    • メタバース内イベントの企画・運営を代行する。
    • オリジナルアバターの制作を受注する。
    • メタバース内での案内人(ガイド)として活動する。

いずれの方法も、一夜にして大金が手に入るような甘い話ではなく、継続的な努力や学習が必要です。まずは趣味の延長として楽しみながら、自分の得意なことや好きなことと結びつけられる方法を探してみるのが良いでしょう。

メタバースは危ない・怪しいというのは本当ですか?

「危ない・怪しい」というイメージは、主に以下の3つの点から来ていますが、これらは正しい知識と対策で回避できるものがほとんどです。

  1. 金銭トラブルのリスク: NFTや暗号資産に関する詐欺(フィッシング詐欺など)のニュースが、「メタバース=危ない」というイメージに繋がっています。しかし、これはメタバースそのものが危険なのではなく、関連する新技術が悪用されているケースです。「注意点」の章で解説したように、うまい話に乗らない、安易にウォレットを接続しない、秘密鍵を厳重に管理する、といった基本的な自衛策を徹底すれば、リスクは大幅に減らせます。
  2. 個人情報漏洩のリスク: 仮想空間での交流で、本名などの個人情報を漏らしてしまう危険性です。これは、従来のSNSなどインターネット全般に共通するリスクであり、メタバース特有のものではありません。オンラインでの振る舞いとして、個人情報を安易に公開しないというリテラシーが重要です。
  3. 依存のリスク: 没入感が高いために、現実の生活とのバランスが崩れることへの懸念です。これも自己管理の問題であり、利用時間を決めるなど、節度を持って楽しむことで解決できます。

結論として、メタバースはナイフのようなもので、正しく使えば生活を豊かにする便利なツールですが、使い方を誤れば危険なことにもなり得ます。リスクを正しく理解し、適切な対策を講じれば、安全に楽しむことが可能です。

メタバースはオワコン(時代遅れ)ではないのですか?

結論から言うと、メタバースは決して「オワコン」ではありません。現在は、過度な期待が先行したブームの時期を終え、より実用的な価値を生み出す「発展・浸透期」に入ったと考えるのが適切です。

2021年~2022年にかけての熱狂的なブームが落ち着いたため、「オワコンだ」という声が聞かれるようになりました。ブームが落ち着いた背景には、以下のような理由があります。

  • 技術的な未成熟: デバイスの重さやVR酔い、グラフィック品質など、誰もが快適に利用できるレベルにはまだ達していない部分がある。
  • コンテンツ不足: 話題が先行し、多くの人が魅力を感じる「キラーコンテンツ」がまだ少ない。
  • 過度な投機熱の終焉: ブームに乗じた投機目的の資金が、市場の冷静化とともに離れていった。

しかし、水面下では着実な進化が続いています。

  • 大手企業の継続的な投資: Meta社、Apple社、Microsoft社、Google社といった巨大IT企業は、メタバースを次世代のコンピューティングプラットフォームと位置づけ、今もなお研究開発に巨額の投資を続けています。
  • ビジネス・産業分野での実用化: エンターテイメントだけでなく、本稿の「将来性」で述べたように、製造業のデジタルツイン、医療分野での手術シミュレーション、教育分野での没入型学習など、具体的なビジネス用途での活用事例が着実に増えています。

現在のメタバースは、かつてのインターネットがそうであったように、黎明期の混沌とした状態から、徐々に社会インフラとして成熟していく過程にあります。一時的なブームに惑わされることなく、長期的な視点で見れば、その重要性は今後ますます高まっていくでしょう。