「メタバース」という言葉をニュースやSNSで見聞きする機会が、ここ数年で急激に増えました。しかし、「言葉は知っているけれど、具体的に何なのか、何ができるのかはよく分からない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんなメタバース初心者の方に向けて、その基本的な意味から、注目される背景、私たちの生活やビジネスに与える影響、そして具体的な始め方まで、網羅的かつ分かりやすく解説します。仮想空間で繰り広げられる新しい世界の可能性を、一緒に探っていきましょう。
目次
メタバースとは
メタバースは、単なるオンラインゲームやバーチャル会議ツールとは一線を画す、より広範で社会的な概念です。ここでは、メタバースの正確な定義、その言葉が生まれた背景、そして混同されがちなVRやARといった技術との違いを明確にしていきます。
メタバースの定義
メタバース(Metaverse)とは、一般的に「インターネット上に構築された、アバターを通じて人々が交流し、社会・経済・文化活動を行うことができる3次元の仮想空間」と定義されます。この言葉は、「超越」を意味する「Meta」と、「宇宙」を意味する「Universe」を組み合わせた造語です。
メタバースを理解する上で重要な要素は以下の3つです。
- 3DCGで構築された仮想空間: ユーザーは単に画面を見るだけでなく、3次元的に表現された空間の中に入り込み、自由に移動したり、オブジェクトに触れたりできます。これにより、従来の2Dのウェブサイトやアプリとは比較にならないほどの没入感と臨場感が得られます。
- アバターの介在: ユーザーは「アバター」と呼ばれる自分の分身を操作して、メタバース空間内で活動します。アバターは、リアルな自分に似せることも、理想の姿や全く異なるキャラクターにすることも可能です。このアバターを通じて他者とコミュニケーションをとり、アイデンティティを表現します。
- 社会・経済活動の場: メタバースは、単なる娯楽の場に留まりません。他のユーザーとの会話や共同作業、イベントへの参加といった社会活動はもちろん、仮想空間内のアイテムや土地を売買したり、サービスを提供して対価を得たりといった経済活動も行われます。この「もう一つの社会・経済圏」としての側面が、メタバースの最も革新的な点の一つです。
これらの要素が組み合わさることで、メタバースは現実世界とは別の「もう一つの世界」として機能します。そこでは、物理的な制約を超えて、世界中の人々とリアルタイムで繋がり、新しい体験や創造、ビジネスが生まれる可能性を秘めています。
メタバースの語源と由来
メタバースという言葉が初めて登場したのは、今から30年以上前の1992年に発表された、ニール・スティーヴンスンによるSF小説『スノウ・クラッシュ』です。
この小説には、コンピューターによって生成された仮想現実空間「メタバース」が登場します。作中の人々は、ゴーグル型のデバイスを装着し、自身のアバター(分身)を操作してメタバースにアクセスします。そこでは、世界中の人々が交流し、ビジネスを行い、情報を交換するなど、現実世界さながらの社会が形成されていました。
小説で描かれたこの先進的なビジョンは、後の多くの技術者や起業家にインスピレーションを与え、仮想空間技術の発展における一つの道標となりました。そして、3Dグラフィックス、インターネット、VR技術などが十分に成熟した現代において、小説で描かれた世界が現実のものとなりつつあります。
つまり、メタバースは最近突然生まれた概念ではなく、数十年前からSFの世界で構想され、技術の進化と共に徐々に現実化してきた、未来のインターネットの形の一つなのです。
VR・AR・仮想空間との違い
メタバースを語る上で、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、従来の仮想空間といった言葉が頻繁に登場します。これらは密接に関連していますが、意味は異なります。その違いを正しく理解することが、メタバースの全体像を掴む鍵となります。
用語 | 特徴 | 関係性 |
---|---|---|
メタバース | 概念・場所。アバターを介して社会経済活動が行われる持続的な3D仮想空間。 | VR/AR技術を使ってアクセスする「行き先」であり、従来の仮想空間を発展させたもの。 |
VR(仮想現実) | 技術・体験。視界を完全に覆うゴーグルを使い、デジタル世界に没入する技術。 | メタバースに没入するための主要な手段の一つ。 |
AR(拡張現実) | 技術・体験。現実世界にデジタル情報を重ねて表示する技術。 | メタバースの要素を現実世界に持ち込むための技術。 |
従来の仮想空間 | 限定的な空間。特定の目的(ゲームなど)のために作られ、サービス終了と共に消えることが多い。 | メタバースの前身。メタバースはより永続性、社会性、経済性を持つ。 |
VR(仮想現実)との違い
VR(Virtual Reality)は、「仮想現実」と訳され、専用のヘッドマウントディスプレイ(VRゴーグル)を装着することで、視覚と聴覚をデジタル情報で満たし、まるでその場にいるかのような没入体験を生み出す技術です。
VRとメタバースの最も大きな違いは、VRが「技術」や「体験」そのものを指すのに対し、メタバースはその技術を使って訪れる「場所」や「空間」を指す点にあります。
例えるなら、VRが「飛行機」という乗り物(技術)だとすれば、メタバースは「海外の国々」(場所)です。飛行機に乗ることで海外旅行という特別な体験ができますが、飛行機自体が目的地ではありません。同様に、VRゴーグルを使うことでメタバースという仮想空間に深く没入できますが、VR自体がメタバースというわけではないのです。
実際、メタバースにはVRゴーグルを使わずに、パソコンやスマートフォンの画面からアクセスすることも可能です。ただし、VRを用いることで、より高い臨場感と没入感を得られるため、メタバース体験の質を向上させる上で非常に重要な技術と位置づけられています。
AR(拡張現実)との違い
AR(Augmented Reality)は、「拡張現実」と訳され、スマートフォンのカメラやスマートグラスなどを通じて見る現実の風景に、デジタル情報(文字、画像、3Dモデルなど)を重ねて表示する技術です。代表的な例として、特定の場所にスマホをかざすとキャラクターが現れるゲームや、家具を自分の部屋に実寸大で試し置きできるアプリなどが挙げられます。
ARとメタバースの根本的な違いは、ARが「現実世界を主軸」としているのに対し、メタバースは「完全に独立した仮想世界を主軸」としている点です。ARは現実を「拡張」する技術であり、メタバースは現実とは別の世界を「創造」する概念です。
しかし、両者は対立するものではなく、将来的には融合していくと考えられています。例えば、ARグラスをかけて街を歩くと、メタバース上の友人のアバターが隣に現れて一緒に道を歩いたり、現実の建物にメタバース内の広告が表示されたりする、といった活用が想定されています。このように、ARはメタバースの世界を現実空間にまで広げるための架け橋となる技術と言えるでしょう。
従来の仮想空間との違い
「仮想空間」という言葉自体は、メタバースが登場する以前から存在し、特にオンラインゲームの世界で広く使われてきました。MMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲーム)などは、その代表例です。
では、メタバースと従来の仮想空間は何が違うのでしょうか。主な違いは、「永続性」「同時性」「経済連携」「相互運用性」といった点にあります。
- 永続性: 従来のゲーム空間は、運営会社がサービスを終了すれば消滅してしまいます。一方、メタバースは特定の運営者に依存せず、ユーザーの活動によって永続的に存在し、発展し続けることを目指しています。
- 同時性: メタバースでは、現実世界と同じように、多くのユーザーが同じ空間と時間をリアルタイムで共有します。予定されたイベントだけでなく、偶発的な出会いや出来事が常に起こり得ます。
- 経済連携: 従来のゲーム内通貨やアイテムは、そのゲーム内でしか価値を持ちませんでした。しかし、メタバースではブロックチェーン技術などを活用し、仮想空間内の資産(土地、アイテムなど)が現実世界の経済と結びつき、実際に資産価値を持つことが可能になります。
- 相互運用性: 将来的には、あるメタバースプラットフォームで購入したアバターやアイテムを、別のメタバースプラットフォームでも利用できるようになる(相互運用性)ことが期待されています。これにより、プラットフォームの垣根を越えた、より自由な活動が可能になります。
このように、メタバースは従来の仮想空間の概念を拡張し、より社会性や経済性を帯びた、現実世界と並行して存在する「もう一つの世界」を目指しているのです。
アバターとの関係性
アバターは、メタバース空間における「あなた自身」です。ユーザーはアバターを自分の分身として操作し、空間内を移動したり、他者とコミュニケーションをとったり、様々な活動に参加します。
アバターは単なる操作キャラクターではありません。髪型、服装、体型などを自由にカスタマイズすることで、自己表現の手段となります。現実の自分を忠実に再現することも、全く異なる理想の姿になることも、あるいは人間以外のキャラクターになることさえ可能です。この自由度の高さが、現実の属性(年齢、性別、国籍、身体的特徴など)にとらわれない、新しい形のアイデンティティ形成とコミュニケーションを可能にします。
メタバースにおけるコミュニケーションは、テキストチャットや音声通話だけでなく、アバターの身振り手振り(ジェスチャー)や表情といった非言語的な要素も含まれます。これにより、オンラインでありながら、まるで対面で話しているかのような、より豊かで人間らしい交流が実現するのです。アバターは、メタバースという仮想世界とユーザーをつなぐ、最も重要なインターフェースと言えるでしょう。
メタバースが注目されている背景
メタバースという概念は以前から存在していましたが、なぜ今、これほどまでに世界的な注目を集めているのでしょうか。その背景には、テクノロジーの進化、社会情勢の変化、そして象徴的な企業の動きが複雑に絡み合っています。
テクノロジーの進化とVR/ARデバイスの普及
メタバースが現実味を帯びてきた最大の要因は、それを支える関連技術が飛躍的に進化したことです。特に、コンピュータの処理能力の向上とグラフィック技術の発展は、リアルで広大な3D空間を滑らかに描写することを可能にしました。
さらに決定的だったのが、VR/ARデバイスの進化と低価格化です。かつてVRヘッドセットは、数十万円もする高価で専門的な機器であり、設定も複雑でした。しかし、近年では数万円程度で購入でき、パソコンに接続しなくても単体で動作する「スタンドアロン型」の高性能なVRゴーグルが次々と登場しています。
これにより、一般の消費者が気軽に高品質なVR体験、ひいてはメタバース体験への入り口を手に入れることができるようになりました。テクノロジーが一部の専門家や愛好家のものではなくなり、大衆に普及する下地が整ったことが、現在のメタバースブームの大きな推進力となっています。インフラが整ったことで、多くの企業がコンテンツ開発やサービス提供に参入しやすくなり、エコシステム全体が活性化しているのです。
新型コロナウイルスによる生活様式の変化
2020年初頭から世界的に拡大した新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活様式や働き方に大きな変化をもたらしました。外出制限やソーシャルディスタンスの確保が求められる中で、オンラインでのコミュニケーションや活動の需要が爆発的に増加しました。
リモートワークの普及により、多くの人が物理的に離れた場所で共同作業を行うようになりました。また、音楽ライブや展示会、友人との集まりといった様々なイベントがオンライン開催へと移行しました。このような状況下で、従来のビデオ会議ツールやSNSだけでは満たせない、より臨場感や一体感のあるコミュニケーションへの渇望が生まれました。
ここで注目されたのがメタバースです。メタバース空間では、アバターを通じて同じ場所に集まり、身振り手振りを交えながら会話したり、一緒にイベントを楽しんだりできます。これは、「非対面・非接触」でありながら、孤独感を和らげ、人との繋がりを実感できる新しいソリューションとして大きな期待を集めました。
例えば、出社が難しい状況でも、バーチャルオフィスにアバターで「出社」し、同僚と雑談したり、ホワイトボードを囲んで会議をしたりできます。また、中止になった卒業式をメタバース空間で再現し、友人たちと記念写真を撮るといった試みも行われました。パンデミックが、期せずしてメタバースの実用性や社会的な価値を証明し、その普及を加速させる一因となったのです。
NFT(非代替性トークン)市場の拡大
メタバースが単なるコミュニケーションツールに留まらず、新たな経済圏として注目されるようになった背景には、NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)の存在が欠かせません。
NFTとは、ブロックチェーン技術を活用して、デジタルデータに唯一無二の価値(所有権)を証明する仕組みです。従来、画像や音楽などのデジタルデータは簡単にコピーできたため、オリジナルとしての価値を持たせることが困難でした。しかし、NFTによって、そのデータの所有者が誰であるかを改ざん不可能な形で記録し、証明できるようになったのです。
この技術がメタバースと結びつくことで、革命的な変化が起きました。メタバース空間内の土地、建物、アバター用のファッションアイテム、アート作品といったあらゆるデジタルアセットがNFTとして売買されるようになったのです。ユーザーは、プラットフォーム内でデジタル資産を所有し、それを他のユーザーに販売して暗号資産(仮想通貨)を得ることができます。
これにより、メタバースは「遊ぶ場所」から「稼ぐ場所(Play to Earn)」へとその性質を変化させました。クリエイターは自身の作品をNFTとして販売し、収益を得られます。企業はメタバース内にバーチャル店舗を出店し、NFTアイテムや現実の商品を販売できます。NFTはメタバースに本格的な経済活動をもたらす起爆剤となり、投機的な側面も含めて多くの人々の関心を引きつけました。
Facebookの「Meta」への社名変更
メタバースという言葉が一気にメインストリームに躍り出る、最も象徴的な出来事が起こりました。2021年10月、世界最大のソーシャルネットワークサービスを運営するFacebook社が、社名を「Meta Platforms, Inc.(通称:Meta)」へと変更したのです。
この社名変更は、同社が今後の事業の核としてメタバースに全力を注ぐという、世界に向けた強烈な意思表示でした。CEOのマーク・ザッカーバーグは、メタバースを「モバイルインターネットの後継者」と位置づけ、今後数年で数十億ドル規模の投資を行うことを発表しました。
巨大IT企業であるFacebook(当時)のこの大胆な方針転換は、世界中のテクノロジー業界、投資家、メディアに衝撃を与えました。それまで一部の界隈で語られていたメタバースという言葉が、一躍、世界的なビジネストレンドの最前線に押し上げられたのです。
この出来事をきっかけに、他の大手IT企業も次々とメタバース分野への参入や投資を表明し、開発競争が激化しました。Meta社の社名変更は、技術的な可能性や社会的な需要だけでなく、巨大資本が動く巨大市場としてのメタバースの未来を人々に確信させ、ブームを決定的なものにしたと言えるでしょう。
メタバースを支える主な技術
メタバースという壮大な仮想世界は、単一の技術で成り立っているわけではありません。様々な最先端技術が複雑に組み合わさることで、初めて実現します。ここでは、メタバースの基盤となる主要な5つの技術について解説します。
VR/AR/MR
VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、そしてMR(複合現実)は、総称してXR(クロスリアリティ)とも呼ばれ、メタバース体験の核となる技術です。
- VR (Virtual Reality / 仮想現実):
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)で視界を完全に覆い、ユーザーをデジタルの世界に没入させます。メタバース空間に「入る」ための最も代表的な技術であり、高い臨場感と一体感を提供します。ユーザーはアバターの視点で世界を見渡し、コントローラーを使ってオブジェクトを掴んだり、操作したりできます。 - AR (Augmented Reality / 拡張現実):
スマートフォンやスマートグラスを通して、現実の風景にデジタル情報を重ね合わせます。これにより、現実世界にメタバースの要素を「持ち出す」ことが可能になります。例えば、部屋の中に実物大のアバターを登場させたり、現実の公園でメタバース内のゲームを楽しんだりできます。 - MR (Mixed Reality / 複合現実):
ARをさらに発展させた技術で、現実世界と仮想世界をより密接に融合させます。MRでは、仮想のオブジェクトが現実の物理法則や環境を認識し、相互に影響を与えます。例えば、仮想のボールを投げると、現実の壁に当たって跳ね返る、といった表現が可能です。ビジネス分野での遠隔支援やシミュレーションなどでの活用が期待されています。
これらのXR技術が、ユーザーとメタバース空間とを繋ぐインターフェースとして機能し、これまでにないリアルな体験を生み出します。
5G(第5世代移動通信システム)
メタバースでは、高品質な3Dグラフィックスや多数のユーザーの動きなど、膨大な量のデータがリアルタイムでやり取りされます。このデータ通信をスムーズに行うためには、高速で安定した通信インフラが不可欠です。そこで重要な役割を果たすのが5G(第5世代移動通信システム)です。
5Gには主に3つの特徴があります。
- 超高速・大容量: 4Gの約20倍の通信速度。大容量の3Dデータを瞬時にダウンロード・ストリーミングできます。
- 超低遅延: 遅延が4Gの10分の1程度に短縮。アバターの動きや音声がほぼリアルタイムで伝わるため、ストレスのないコミュニケーションが可能です。
- 多数同時接続: 1平方キロメートルあたり100万台のデバイスを同時に接続可能。大規模なイベントや都市のようなメタバース空間でも、多くのユーザーが同時に安定してアクセスできます。
5Gの普及は、場所を選ばずに高品質なメタバース体験を享受できる環境を整える上で極めて重要です。これにより、スマートフォンやスタンドアロン型VRゴーグルなど、モバイルデバイスでのメタバース利用がより快適になり、普及をさらに後押しすると期待されています。
ブロックチェーンとNFT
メタバース内で経済活動を成立させるための根幹技術が、ブロックチェーンと、それを基盤とするNFT(非代替性トークン)です。
ブロックチェーンは「分散型台帳技術」とも呼ばれ、取引記録を暗号化して鎖(チェーン)のように繋ぎ、複数のコンピュータ(ノード)で分散して管理する技術です。この仕組みにより、データの改ざんが極めて困難になり、高い透明性と安全性が確保されます。
このブロックチェーン技術を応用したのがNFTです。NFTは、デジタルデータに対して、偽造不可能な所有証明書を発行し、その取引履歴を記録します。これにより、メタバース内の以下のようなデジタルアセットに、唯一無二の資産価値を持たせることができます。
- 土地(LAND): メタバース空間内の区画
- アバター: ユーザーの分身
- ウェアラブル: アバターが身につける服やアクセサリー
- アート作品: デジタルアートや彫刻
ユーザーはこれらのNFTアセットを暗号資産(仮想通貨)を用いて売買できます。ブロックチェーンとNFTは、メタバースに「所有」という概念をもたらし、クリエイターエコノミーを活性化させ、現実世界と連携した新たな経済圏を創出するための基盤となっているのです。
クラウドコンピューティング
リアルで広大なメタバース空間を個人のパソコンやスマートフォンの処理能力だけで動かすには限界があります。そこで不可欠となるのがクラウドコンピューティングです。
クラウドコンピューティングとは、データ処理や保存といった高度な計算を、インターネット経由でアクセスできる高性能なサーバー群(クラウド)側で行う技術です。ユーザーの手元にあるデバイス(クライアント)は、主に操作と表示に専念します。
メタバースにおけるクラウドの役割は絶大です。
- 処理負荷の軽減: 複雑な3Dグラフィックスのレンダリングや物理演算などをクラウド側で行うことで、ユーザーはデバイスのスペックを気にすることなく、高品質なメタバース体験を楽しめます。
- データの永続性: ユーザーデータやワールドのデータはクラウド上に安全に保存され、いつでもどこからでも同じ状態でアクセスできます。これにより、メタバースの「永続性」が担保されます。
- スケーラビリティ: アクセスするユーザー数に応じて、クラウドのリソースを柔軟に増減できます。これにより、大規模イベント開催時にもサーバーダウンを防ぎ、安定したサービス提供が可能になります。
クラウドコンピューティングは、メタバースを誰もが手軽に、かつ安定して利用するための縁の下の力持ちと言える存在です。
3DCG技術
メタバースの見た目、つまり空間そのものやアバター、オブジェクトなどを創り出すのが3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)技術です。
3DCGは、縦・横・奥行きの3つの座標軸を持つ空間内に、仮想の物体を立体的に表現する技術です。物体の形状(モデリング)、質感(テクスチャリング)、光の当たり方(ライティング)、動き(アニメーション)などを緻密に設定することで、現実と見紛うほどリアルな世界から、独創的でファンタジックな世界まで、あらゆる空間を創造できます。
近年のゲームエンジン(Unreal EngineやUnityなど)の進化は目覚ましく、専門家でなくても比較的容易に高品質な3Dコンテンツを制作できる環境が整いつつあります。
魅力的で没入感のあるメタバースを構築するためには、高度な3DCG技術が不可欠です。クリエイターたちがこの技術を駆使して創造する多種多様なワールドやアバターが、メタバースの豊かさと面白さを決定づける重要な要素となります。
メタバースでできること
メタバースは、私たちの生活の様々な側面を豊かにする可能性を秘めたプラットフォームです。コミュニケーションからエンターテイメント、ビジネス、教育まで、その活用範囲は広がり続けています。ここでは、具体的にメタバースでどのようなことができるのか、代表的な例を6つ紹介します。
他のユーザーとのコミュニケーション
メタバースの最も基本的で重要な機能は、他のユーザーとのコミュニケーションです。これは、従来のテキストチャットやビデオ通話とは一線を画す、より豊かで直感的な体験を提供します。
アバターを介して同じ空間を共有し、相手の存在をすぐそばに感じながら、音声で会話することができます。ボイスチャットだけでなく、コントローラーの操作や体の動きをトラッキングすることで、頷いたり、手を振ったり、拍手をしたりといった身振り手振り(ジェスチャー)を交えた、非言語的なコミュニケーションが可能です。これにより、感情やニュアンスが伝わりやすくなり、オンラインでありながら対面に近い、あるいはそれ以上の親密な交流が生まれます。
友人たちとバーチャル空間に集まって雑談を楽しんだり、共通の趣味を持つ人々が集まるコミュニティに参加して新しい出会いを見つけたりと、その使い方は無限大です。言語の壁を超える翻訳機能が実装されているプラットフォームも多く、世界中の人々と気軽に交流できるのも大きな魅力です。
オンラインゲームへの参加
メタバースとオンラインゲームは非常に親和性が高く、多くのメタバースプラットフォームがゲーム機能を提供しています。その体験は、単に画面上でキャラクターを操作する従来のゲームとは異なり、自分がゲームの世界に完全に入り込んだかのような圧倒的な没入感が特徴です。
VRゴーグルを装着すれば、360度見渡す限りゲームの世界が広がり、まるで主人公になったかのような感覚でプレイできます。ファンタジーの世界で剣を振るってモンスターと戦ったり、未来都市でレーザー銃を撃ち合ったり、友達とチームを組んでスポーツを楽しんだりするなど、多種多様なジャンルのゲームが提供されています。
また、メタバースにおけるゲームは、単にクリアを目指すだけでなく、ゲーム空間が一種のソーシャルな場として機能する点も重要です。ゲーム内で他のプレイヤーと協力したり、対戦したりすることを通じて、自然なコミュニケーションが生まれ、コミュニティが形成されていきます。
イベントや音楽ライブの体験
メタバースは、物理的な制約を一切受けない新しいイベント会場としても活用されています。特に、音楽ライブやフェスティバルとの相性は抜群です。
ユーザーは自宅にいながらにして、世界的なアーティストのライブにアバターとして参加できます。そこでは、現実のライブ会場さながらの巨大なステージや派手な演出が繰り広げられ、他のファンたちと一体となって盛り上がることができます。現実では不可能な、空を飛びながらライブを鑑賞したり、アーティストのすぐそばまで近づいたりといった、メタバースならではの特別な体験も可能です。
音楽ライブ以外にも、
- 展示会・カンファレンス: 企業が製品を展示するバーチャルブースや、専門家が講演を行うカンファレンスが開催されます。
- ファンミーティング: アイドルやタレントがアバターで登場し、ファンと交流するイベント。
- 上映会: 友人たちとバーチャルな映画館に集まり、大画面で映画を鑑賞する。
といった様々なイベントが開催されており、場所や収容人数の制限なく、世界中から参加者を集めることができます。これは、主催者側にとっても参加者側にとっても大きなメリットとなります。
ショッピングや経済活動
メタバースは、新たなショッピング体験と経済圏を創出しています。ユーザーは、仮想空間内に再現された店舗(バーチャルストア)を訪れ、商品を手に取って眺めたり、試着したりしながら買い物を楽しむことができます。
取り扱われる商品は、大きく分けて2種類あります。
- デジタルアイテム: アバターが着用する服やアクセサリー、バーチャルな住居に飾る家具、アート作品など、メタバース空間内でのみ利用できるアイテムです。これらはNFTとして販売されることが多く、ユーザーは購入したアイテムの所有権を持つことができます。また、不要になったアイテムを他のユーザーに販売(二次流通)して収益を得ることも可能です。
- 現実(フィジカル)の商品: バーチャルストアで展示されている商品を気に入れば、その場で購入手続きを行い、後日、現実の自宅に商品が配送されるサービスも登場しています。アパレルブランドが仮想のファッションショーを開催し、そこで発表された新作をすぐに購入できる、といった連携も進んでいます。
このように、メタバースは新たな消費の場であると同時に、クリエイターや企業が収益を上げるための新しいビジネスの舞台にもなっています。
ビジネスでの会議や共同作業
新型コロナウイルスの影響で普及したリモートワークの、次なるステップとしてメタバースが注目されています。ビデオ会議ツールでは難しかった、偶発的な雑談や一体感のある共同作業を、バーチャルオフィスで実現しようという試みです。
参加者はアバターとして仮想のオフィス空間に「出社」します。自分のデスクで作業に集中したり、近くの席の同僚に気軽に話しかけたり、会議室に集まって議論を交わしたりできます。特に、3Dモデルやデータを空間に表示し、参加者全員でそれを囲みながら多角的に検討したり、仮想のホワイトボードにアイデアを書き込んだりといった共同作業は、メタバースならではの利点です。
これにより、物理的に離れた場所にいるメンバー同士でも、まるで同じ部屋にいるかのような臨場感と一体感を持って仕事を進めることができます。これは、チームの創造性や生産性の向上に繋がると期待されています。
旅行や観光の疑似体験
メタバースを使えば、時間やお金、身体的な制約を気にすることなく、世界中の観光地や、普段は立ち入れない場所への旅行を疑似体験できます。
歴史的な建造物や雄大な自然が3DCGで忠実に再現され、ユーザーはその中を自由に散策できます。エジプトのピラミッドの内部を探検したり、マチュピチュの頂上から景色を眺めたり、宇宙空間を遊泳したりすることも可能です。
また、単に景色を眺めるだけでなく、現地の文化や歴史を学べるガイドツアーや、他のユーザーと一緒に観光を楽しむソーシャルな体験も提供されています。これは、旅行の下見として活用したり、病気や高齢で旅行が難しい人が思い出の場所を再訪したり、あるいは教育目的で歴史的な現場を体験したりと、様々な応用が考えられます。メタバースは、私たちの知的好奇心を満たし、世界を広げるための新しいツールとなり得るのです。
メタバースを導入するメリット
メタバースは、個人ユーザーに新たな体験を提供するだけでなく、ビジネスや社会全体にとっても多くのメリットをもたらします。ここでは、メタバースを導入することで得られる5つの主要な利点について掘り下げていきます。
新たなビジネスチャンスの創出
メタバースは、未開拓の市場であり、多種多様なビジネスチャンスの宝庫です。企業はこれまでにない形で顧客と接点を持ち、新たな収益源を生み出すことができます。
- バーチャルコマース: メタバース内に仮想店舗を出店し、デジタルアイテム(NFT)や現実の商品を販売します。物理的な店舗の家賃や人件費を抑えつつ、世界中の顧客にアプローチできます。
- 広告・マーケティング: メタバース空間内の看板やイベントを通じて、没入感の高い広告を展開できます。ユーザーが能動的に関与する体験型のプロモーションは、従来の広告よりも高い効果が期待できます。
- イベント事業: 音楽ライブ、カンファレンス、展示会などをメタバースで開催することで、物理的な会場の制約なく大規模なイベントを実施できます。チケット販売やスポンサーシップが新たな収益モデルとなります。
- コンテンツ制作・販売: 魅力的なワールド、アバター、ゲームなどを制作し、プラットフォーム上で販売することができます。これは「クリエイターエコノミー」と呼ばれ、個人クリエイターにも大きなチャンスがあります。
- BtoBソリューション: 企業向けに、バーチャルオフィスや研修、製品シミュレーションなどのサービスを提供します。業務効率化やコスト削減に貢献するビジネスとして成長が見込まれます。
このように、メタバースは既存のビジネスモデルを拡張するだけでなく、全く新しい産業を創出する可能性を秘めています。早期に参入し、ノウハウを蓄積することが、将来の競争優位に繋がるかもしれません。
場所や身体的な制約からの解放
メタバースの最も根源的なメリットの一つは、現実世界における物理的な制約から人々を解放することです。
- 地理的な制約の克服: インターネット環境さえあれば、世界中のどこからでもメタバースにアクセスできます。これにより、地方や海外に住んでいても、都市部で開催されるイベントやビジネス会議に気軽に参加できます。過疎化や地域格差といった社会課題の解決にも繋がる可能性があります。
- 身体的な制約の克服: アバターを介して活動するため、年齢、性別、人種、そして身体的なハンディキャップといった現実の属性に縛られることはありません。病気や障がいで外出が困難な人でも、メタバース空間で友人と交流したり、仕事をしたり、社会参加を果たすことができます。メタバースは、誰もが平等に参加できるインクルーシブ(包摂的)な社会を実現するための強力なツールとなり得ます。
- 物理法則からの解放: 現実世界では不可能な、空を飛んだり、瞬間移動したりといった体験が可能です。これにより、エンターテイメントやクリエイティブな活動の幅が飛躍的に広がります。
このように、メタバースは「どこにいるか」「何ができるか」という現実の制約を取り払い、すべての人に平等な機会と自由な活動の場を提供します。
新しい形のコミュニケーションが生まれる
メタバースは、これまでのオンラインコミュニケーションのあり方を根本から変える可能性を持っています。
テキストや2Dのビデオ通話では伝わりにくかった「同じ空間を共有している」という感覚(共在感覚)が、メタバースでは得られます。アバターの身振り手振りや位置関係といった非言語情報が加わることで、より人間らしく、直感的なコミュニケーションが生まれます。
また、アバターによる匿名性や自己表現の自由度も、新しい人間関係を育む土壌となります。現実の姿や肩書にとらわれず、内面や趣味、価値観で繋がるコミュニティが形成されやすくなります。普段は内気な人でも、アバターを介することで積極的に自己表現できる場合もあります。
さらに、共通の体験がコミュニケーションを深める触媒となります。一緒にゲームをクリアしたり、ライブで盛り上がったり、美しい景色を眺めたりといった共同体験は、参加者間に強い一体感と絆を生み出します。これは、単なる情報のやり取りを超えた、感情の共有を伴う深いコミュニケーションと言えるでしょう。
非日常的なエンターテイメント体験
メタバースは、エンターテイメントの可能性を無限に広げます。現実では決して味わえない、非日常的で没入感の高い体験を提供できるからです。
例えば、
- 人気アニメや映画の世界に入り込み、登場人物の一員として物語を体験する。
- 歴史上の出来事を再現した空間で、その時代の雰囲気を肌で感じる。
- 重力や物理法則が異なる不思議な世界を探検する。
- 自分自身でワールドを創造し、他のユーザーを招待して楽しむ。
といったことが可能になります。これは、「見る」「聞く」といった受動的なエンターテイメントから、「参加する」「体験する」「創造する」といった能動的なエンターテイメントへのシフトを意味します。
ユーザーはもはや単なる消費者ではなく、物語や世界の創造主にもなれるのです。このような体験は、人々に強い感動や興奮を与え、日々の生活に彩りをもたらします。企業にとっては、自社のIP(知的財産)を活用した新たなファン体験を創出する絶好の機会となります。
物理的な移動コストの削減
ビジネスや日常生活において、移動には多くの時間と費用(コスト)がかかります。メタバースは、この物理的な移動を仮想的な移動に置き換えることで、様々なコストを大幅に削減できるという実用的なメリットがあります。
- 通勤・出張コストの削減: バーチャルオフィスやバーチャル会議室を利用すれば、従業員は自宅からアバターで「出社」できます。これにより、通勤にかかる時間や交通費、出張に伴う旅費や宿泊費が不要になります。
- イベント開催・参加コストの削減: 大規模なイベントを開催する際、物理的な会場のレンタル費や設営費、運営スタッフの人件費は大きな負担です。メタバースならこれらのコストを大幅に削減できます。参加者側も、会場までの交通費や宿泊費を気にすることなく、気軽に参加できます。
- 環境負荷の低減: 人々の移動が減ることは、航空機や自動車の利用を減らし、CO2排出量を削減することに繋がります。メタバースの普及は、サステナビリティやSDGsの観点からも社会に貢献する可能性を秘めています。
これらのコスト削減は、企業の収益性を改善するだけでなく、個人の可処分時間や所得を増やすことにも繋がり、社会全体の生産性向上に貢献すると期待されています。
メタバースのデメリットと課題
メタバースは多くの可能性を秘めている一方で、その発展と普及には解決すべきデメリットや課題も山積しています。技術的な問題から、社会的・倫理的な問題まで、健全な発展のために向き合わなければならない点を4つに分けて解説します。
導入や運用にコストがかかる
メタバースを快適に体験したり、ビジネスとして活用したりするためには、相応のコストがかかるのが現状です。
- ユーザー側の導入コスト: メタバースの没入感を最大限に引き出すためには、高性能なPCとVRヘッドセットの購入が推奨されます。これらを揃えるには、安価なものでも十数万円、高性能なものになると数十万円の初期投資が必要です。スマートフォンで利用できるプラットフォームもありますが、体験の質は限定的です。この初期費用の高さが、一般層への普及を妨げる一因となっています。
- 企業側の開発・運用コスト: 企業が自社でメタバースプラットフォームを開発したり、高品質なコンテンツを制作したりする場合、莫大な費用と時間がかかります。3DCGデザイナーやエンジニアといった専門人材の確保も必要であり、人件費も高騰しがちです。また、プラットフォームの維持管理やアップデート、ユーザーサポートにも継続的な運用コストが発生します。
これらのコストの問題は、技術の進化や市場の成熟によって徐々に解決されていくと考えられますが、現時点では参入の大きなハードルとなっています。
法律やルールの整備が追いついていない
メタバースは国境のない新しい空間であるため、現実世界の法律やルールをそのまま適用するのが難しいケースが数多く存在します。法整備が技術の発展に追いついていないのが実情です。
- 著作権・肖像権の問題: ユーザーが作成したアバターやアイテムが、既存のキャラクターやブランドのデザインを無断で模倣していた場合、誰がどのように責任を負うのか。アバターの肖像権はどのように保護されるのか。これらのルールはまだ明確ではありません。
- 取引に関するトラブル: NFTや仮想通貨を用いた取引では、詐欺的なプロジェクトや価格の急変動による損失リスクが伴います。トラブルが発生した際の消費者保護の仕組みは、まだ十分に整っていません。
- 言論・表現の自由と規制: 匿名性の高いメタバース空間では、ヘイトスピーチや誹謗中傷、過激な表現が問題となることがあります。表現の自由を尊重しつつ、他者を傷つける行為をどのように規制していくかは、非常に難しい課題です。
- 管轄権の問題: ある国に住むユーザーが、別の国のユーザーに対してメタバース内で不法行為を行った場合、どちらの国の法律で裁くのか(準拠法・裁判管轄)という問題も生じます。
これらの法的課題を解決し、ユーザーが安心して活動できるためのグローバルなルールメイキングが急務となっています。
仮想空間への依存や健康への影響
メタバースが提供する没入感の高い体験は、魅力的である反面、心身への悪影響も懸念されています。
- 仮想空間への依存: メタバースの居心地の良さや楽しさのあまり、現実世界での生活や人間関係よりも仮想空間を優先してしまう「メタバース依存」のリスクが指摘されています。長時間利用することで、昼夜逆転や社会的孤立に繋がる可能性があります。
- 健康への影響: VRヘッドセットの長時間利用は、「VR酔い」と呼ばれる乗り物酔いに似た症状(吐き気、めまい、頭痛など)を引き起こすことがあります。また、目に近いディスプレイを見続けることによる視力への影響や、運動不足も懸念されます。特に、脳や身体が発達途上にある子どもへの影響については、慎重な議論が必要です。
- 現実感の喪失: 仮想空間と現実世界の区別がつきにくくなることで、アイデンティティの混乱や現実感の喪失を招く可能性も考えられます。
プラットフォーム運営者側は、利用時間制限の推奨や休憩を促す機能を設けるなどの対策が求められます。ユーザー自身も、節度を守って利用する自己管理能力が重要になります。
なりすましや詐欺などの犯罪リスク
匿名性が高く、現実の身元が結びつきにくいメタバースは、残念ながら新たな犯罪の温床となるリスクも抱えています。
- なりすまし・アバター窃盗: 他人のアバターやアカウントを不正に乗っ取り、本人になりすまして悪事を働く行為が考えられます。特に、高価なNFTアバターなどが標的になる可能性があります。
- 詐欺・ハラスメント: 偽の投資話を持ちかけて暗号資産をだまし取るNFT詐欺や、恋愛感情を利用したロマンス詐欺などが、メタバースを舞台に行われる可能性があります。また、アバターに対するつきまといや性的嫌がらせといった、新たな形のハラスメントも問題となっています。
- マネーロンダリング(資金洗浄): NFTの高額取引などを利用して、犯罪で得た資金の出所を分からなくするマネーロンダリングに悪用される懸念も指摘されています。
- 個人情報の漏洩: プラットフォームへのサイバー攻撃により、アカウント情報や決済情報、活動履歴といったセンシティブな個人情報が流出するリスクも存在します。
これらの犯罪から身を守るためには、プラットフォーム側のセキュリティ強化はもちろんのこと、ユーザー一人ひとりがセキュリティ意識を高め、怪しい誘いには乗らない、複雑なパスワードを設定するといった基本的な対策を徹底することが不可欠です。
メタバースの始め方【4ステップ】
メタバースの世界は、意外と簡単に始めることができます。ここでは、初心者の方がメタバースを体験するまでの基本的な流れを4つのステップに分けて解説します。
① 必要なものを準備する
メタバースを始めるにあたり、まずは必要な機材や環境を整えましょう。利用したいプラットフォームによって要求されるスペックは異なりますが、一般的に以下の3つが必要になります。
準備するもの | 概要とポイント |
---|---|
パソコンやスマートフォン | 多くのメタバースはPCからアクセスします。3Dグラフィックスを扱うため、ある程度のスペック(特にグラフィックボード)が推奨されます。スマホ専用のメタバースアプリもあります。 |
VRゴーグル(ヘッドセット) | 必須ではありませんが、メタバースの醍醐味である没入感を味わうには強く推奨されます。PCに接続するタイプと、単体で動作するスタンドアロン型があります。 |
安定したインターネット回線 | 大容量のデータをリアルタイムで送受信するため、光回線などの高速で安定した有線接続が理想です。無線(Wi-Fi)でも可能ですが、通信が不安定になる場合があります。 |
パソコンやスマートフォン
多くのメタバースプラットフォームは、パソコンのアプリケーションとして提供されています。特に、グラフィックが美麗なメタバースや、VRに対応しているものを楽しむためには、ゲーミングPCと呼ばれるような、グラフィックボード(GPU)を搭載した高性能なPCがあると快適です。各プラットフォームの公式サイトには、推奨スペックが記載されているので、事前に確認しましょう。
一方、「cluster」や「ZEPETO」のように、スマートフォンアプリとして提供されているメタバースもあります。これらはPCがなくても手軽に始められるのが魅力ですが、PC版に比べて機能が制限されていたり、グラフィックの質が簡略化されていたりする場合があります。まずはスマホで試してみて、より深く楽しみたくなったらPCの導入を検討するのも良いでしょう。
VRゴーグル(ヘッドセット)
メタバースの真骨頂である没入感を体験したいなら、VRゴーグルの導入がおすすめです。VRゴーグルを装着すると、視界が360度すべて仮想空間になり、まるでその世界に入り込んだかのような感覚を味わえます。
VRゴーグルには、大きく分けて2つのタイプがあります。
- PC接続型: 高性能なPCとケーブルで接続して使用します。PCの処理能力を活かせるため、非常に高品質なグラフィックを描写できますが、価格が高価で、ケーブルが動きの妨げになることがあります。(例:VALVE INDEX)
- スタンドアロン型: PCに接続せず、ゴーグル単体で動作します。ケーブルレスで自由に動ける手軽さと、比較的安価な点が魅力です。近年性能が向上し、主流になりつつあります。(例:Meta Questシリーズ)
初心者の方には、手軽に始められるスタンドアロン型がおすすめです。
安定したインターネット回線
メタバースは、自分や他のユーザーのアバターの動き、音声、ワールドのデータなど、膨大な情報を常にインターネット経由でやり取りしています。そのため、通信速度が遅かったり、回線が不安定だったりすると、動きがカクカクしたり、音声が途切れたり、最悪の場合サーバーから切断されたりします。
快適なメタバース体験のためには、光回線のような高速・大容量のインターネット回線の契約が強く推奨されます。接続方法も、可能であれば無線LAN(Wi-Fi)よりも安定している有線LAN接続を選ぶと良いでしょう。
② メタバースのプラットフォームを選ぶ
準備が整ったら、次にどのメタバースで遊ぶかを選びます。メタバースプラットフォームは数多く存在し、それぞれに特徴があります。自分の目的や興味に合わせて選ぶことが重要です。
- コミュニケーションを楽しみたい: 世界中の人と交流したいなら「VRChat」、国内のイベントに参加したいなら「cluster」など。
- ゲームを中心に遊びたい: ユーザーが作った無数のゲームで遊べる「Roblox」、バトルロイヤルだけでなくライブイベントも楽しめる「Fortnite」など。
- 経済活動(稼ぐこと)に興味がある: 土地やアイテムをNFTとして売買できる「The Sandbox」や「Decentraland」など。
- アバターのおしゃれを楽しみたい: ファッションやK-POPカルチャーと連携した「ZEPETO」など。
まずは無料で始められるプラットフォームをいくつか試してみて、自分に合った居場所を見つけるのがおすすめです。
③ アカウントを作成する
利用したいプラットフォームが決まったら、公式サイトやアプリストアからアプリケーションをダウンロード・インストールし、アカウントを作成します。
アカウント作成の手順はプラットフォームによって多少異なりますが、一般的には以下の情報が必要になります。
- メールアドレス
- ユーザー名(メタバース内で表示される名前)
- パスワード
- 生年月日
プラットフォームによっては、SteamアカウントやGoogle、Apple、Facebook(Meta)などの外部サービスのアカウントと連携して、簡単に登録できる場合もあります。利用規約をよく読み、同意した上で登録を進めましょう。
④ アバターを設定する
アカウント作成が完了したら、いよいよメタバース空間にログインします。最初にやるべきことは、あなたの分身となる「アバター」の設定です。
ほとんどのプラットフォームでは、初期アバターが用意されているほか、髪型、顔のパーツ、体型、服装などを自由にカスタマイズできる機能があります。まずはこの機能を使って、自分だけのアバターを作ってみましょう。
アバターは、メタバースにおけるあなたのアイデンティティです。リアルな自分に似せるのも、理想の姿を追求するのも、あるいは全くの別キャラクターになりきるのも自由です。このアバターカスタマイズ自体が、メタバースの大きな楽しみの一つです。
プラットフォームによっては、外部で制作したオリジナルの3Dモデルをアバターとしてアップロードすることも可能です。アバターの設定が完了すれば、準備は万端。広大なメタバースの世界へ冒険に出かけましょう。
おすすめのメタバースプラットフォーム10選
ここでは、現在利用できる主要なメタバースプラットフォームの中から、特におすすめの10サービスを厳選して紹介します。それぞれ特徴が異なるため、自分の興味や目的に合ったプラットフォームを見つける参考にしてください。
(以下の情報は2024年5月時点の各公式サイトの情報に基づいています。サービス内容や仕様は変更される可能性があるため、利用の際は必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。)
① VRChat
世界最大級のソーシャルVRプラットフォーム。ユーザーが作成した多種多様なワールド(仮想空間)やアバターが無限に存在し、自由度の高さが最大の特徴です。コミュニケーションやロールプレイング、ゲームなど、楽しみ方はユーザー次第。クリエイティブな活動が盛んで、独自の文化が形成されています。VRでの体験が推奨されますが、PCだけでも(デスクトップモード)利用可能です。
参照:VRChat公式サイト
② cluster
日本発のメタバースプラットフォームで、スマートフォン、PC、VRデバイスから手軽にアクセスできます。特に音楽ライブやカンファレンスなどのイベント開催に強く、数万人規模の同時接続が可能です。個人でも簡単にワールドやイベントを作成できる機能が充実しており、日本のユーザーコミュニティが活発な点が魅力です。
参照:クラスター株式会社公式サイト
③ ZEPETO
韓国のSNOW社が運営する、スマートフォン向けのメタバースアプリ。3Dアバターを作成し、着せ替えやコミュニケーションを楽しむことができます。ファッションブランドやK-POPアーティストとのコラボレーションが活発で、特に10代〜20代の若年層から絶大な人気を誇ります。ユーザーがアイテムやワールドを作成して販売できるクリエイターエコノミーも特徴です。
参照:ZEPETO公式サイト
④ Roblox
ユーザー自身がゲームを制作・公開できる、ゲーム特化型のメタバースプラットフォーム。「遊ぶ」だけでなく「創る」ことができ、公開したゲームが人気になれば、ゲーム内通貨を通じて収益を得ることも可能です。世界中の子どもたちを中心に爆発的な人気を誇り、教育分野での活用も進んでいます。スマホ、PC、ゲーム機など幅広いデバイスに対応しています。
参照:Roblox公式サイト
⑤ The Sandbox
イーサリアムのブロックチェーンを基盤としたメタバースプラットフォーム。ユーザーは「LAND」と呼ばれる仮想空間上の土地をNFTとして所有し、その上にオリジナルのゲームやジオラマなどを構築できます。ボクセルアート調の親しみやすいグラフィックが特徴で、「Play-to-Earn(遊んで稼ぐ)」を体現する代表的なプロジェクトの一つです。
参照:The Sandbox公式サイト
⑥ Decentraland
The Sandboxと並ぶ、ブロックチェーンベースの代表的なメタバース。特定の企業が管理するのではなく、DAO(分散型自律組織)によって運営されているのが最大の特徴です。ユーザーはLAND(土地)やウェアラブル(アバターの服)などをNFTとして所有・売買し、空間内でイベントを開催したり、ビジネスを行ったりできます。
参照:Decentraland公式サイト
⑦ Horizon Worlds
Meta社(旧Facebook)が提供するソーシャルVRプラットフォーム。Meta QuestシリーズのVRゴーグル専用で、高品質なVR体験に特化しています。ユーザーは自分でワールドを作成して公開したり、他のユーザーが作ったワールドでゲームやイベントを楽しんだりできます。Meta社の強力なバックアップのもと、今後の発展が期待されています。
参照:Meta公式サイト
⑧ Fortnite
Epic Gamesが開発・運営する大人気バトルロイヤルゲームですが、近年はメタバースプラットフォームとしての側面を強めています。ゲーム内では、有名アーティストによるバーチャルライブや、映画とのコラボイベントなどが頻繁に開催され、世界中から数千万人が同時参加します。単なるゲームの枠を超えた、巨大なオンラインの「たまり場」となっています。
参照:Epic Games公式サイト
⑨ Spatial
当初はビジネス向けのバーチャル会議ツールとしてスタートしましたが、現在ではアート展示やイベント開催など、より幅広い用途で利用されるメタバースプラットフォームに進化しています。写実的なアバターや美しい空間デザインが特徴で、Webブラウザ、スマホ、VRデバイスから手軽にアクセスできます。NFTアートの展示・売買の場としても注目されています。
参照:Spatial公式サイト
⑩ XR World
株式会社NTTドコモが提供するメタバース。スマートフォンから手軽にアクセスできることを重視しており、専用アプリのダウンロードなしで、Webブラウザから体験できます。アバターでのコミュニケーションはもちろん、吉本興業の芸人によるお笑いライブや、人気アニメとのコラボなど、日本のコンテンツホルダーと連携した多彩なイベントが魅力です。
参照:NTTドコモ XR World公式サイト
プラットフォーム | 主な特徴 | 対応デバイス | 経済活動 |
---|---|---|---|
VRChat | 自由度No.1のソーシャルVR | PC, PC-VR | △(間接的) |
cluster | 日本発、イベントに強い | スマホ, PC, VR | △(有料チケット等) |
ZEPETO | スマホ特化、ファッション | スマホ | ○(アイテム販売) |
Roblox | ゲーム制作・公開 | スマホ, PC, ゲーム機 | ○(ゲーム内課金) |
The Sandbox | ブロックチェーン、Play-to-Earn | PC | ◎(NFT売買) |
Decentraland | ブロックチェーン、DAO運営 | PC | ◎(NFT売買) |
Horizon Worlds | Meta社提供、VR専用 | Meta Quest | ○(アイテム販売) |
Fortnite | 大規模イベント、ゲーム | スマホ, PC, ゲーム機 | △(アイテム課金) |
Spatial | ビジネス・アート、美麗な空間 | Web, スマホ, VR | ○(NFT展示) |
XR World | ドコモ提供、スマホWeb | スマホ, PC | △(イベント参加) |
メタバースの将来性と今後の展望
メタバースは一過性のブームに終わるのでしょうか、それとも私たちの生活に根付く次世代のインフラとなるのでしょうか。市場規模の予測や技術の進化、応用分野の拡大といった観点から、その将来性と今後の展望を探ります。
市場規模の拡大予測
世界中の調査会社が、メタバース市場の驚異的な成長を予測しています。例えば、総務省がまとめた「令和5年版 情報通信白書」では、世界のメタバース市場規模は2021年の4兆2,640億円から、2030年には78兆8,705億円に達すると予測されています。これは、約9年間で市場が18倍以上に拡大することを示唆しています。
参照:総務省 令和5年版 情報通信白書
この予測は、メタバースがエンターテイメントだけでなく、小売、教育、医療、製造業など、あらゆる産業に浸透していくことを前提としています。メタバースは次世代のインターネット(Web3)の中核をなす巨大な経済圏になると見られており、世界中の企業がこの成長市場に大きな期待を寄せ、先行投資を行っているのです。
5Gや6Gの普及による進化
メタバースの体験品質は、通信インフラの性能に大きく左右されます。現在普及が進む5G(第5世代移動通信システム)は、「超高速・大容量」「超低遅延」「多数同時接続」という特徴により、よりリッチで安定したメタバース体験を可能にします。
そして、その先に見据えられているのが6G(第6世代移動通信システム)です。6Gは5Gをさらに上回る「超高速・超低遅延」に加え、「超カバレッジ拡張(空・海・宇宙への通信エリア拡大)」や「超高信頼性」といった性能向上が期待されています。
6Gが実現する世界では、以下のようなメタバースの進化が考えられます。
- 現実世界と見分けがつかないほどのフォトリアルな仮想空間。
- 触覚まで伝達するデバイス(ハプティクス技術)と連携し、仮想のオブジェクトに触れた感覚をリアルに再現。
- 現実空間と仮想空間が完全に同期し、融合する「ミラーワールド」の実現。
通信技術の進化は、メタバースの表現力と実用性を飛躍的に向上させ、社会インフラとしての基盤を強固なものにしていくでしょう。
エンターテイメント以外の分野への広がり
現在、メタバースはゲームやイベントといったエンターテイメント分野での活用が先行していますが、今後は社会のあらゆる分野へとその応用範囲を広げていくと予測されています。
- 医療: 遠隔地にいるベテラン医師が、若手医師が見ている患部の3D映像を共有しながら、手術の指示を出す「遠隔手術支援」。また、現実では難しい希少な症例の手術シミュレーションを、メタバース空間で何度もトレーニングできます。
- 教育: 危険な化学実験や、通常は立ち入れない人体の内部、歴史的な出来事の現場などを、安全かつリアルに体験学習できます。地理的な制約なく、世界中の生徒が同じ仮想教室で学ぶことも可能になります。
- 製造業: 現実の工場や製品を、そっくりそのまま仮想空間に再現する「デジタルツイン」を構築。製品の設計や生産ラインのシミュレーションを仮想空間で行うことで、開発コストの削減と期間の短縮を図ります。
- 都市開発・防災: 現実の都市のデジタルツインを作成し、新しい建物の景観シミュレーションや、災害時の避難経路のシミュレーションなどに活用します。
メタバースは、物理的な制約を超えることで、様々な社会課題を解決するための強力なシミュレーション・プラットフォームとして機能し、私たちの社会をより安全で効率的なものに変えていく可能性を秘めています。
AI(人工知能)との融合
メタバースの未来を語る上で、AI(人工知能)との融合は欠かせない要素です。AIは、メタバースをよりダイナミックで、インテリジェントで、パーソナルな空間へと進化させます。
- 高度なNPC(ノンプレイヤーキャラクター): AIによって、人間のように自律的に会話し、行動するNPCを生成できます。これにより、メタバース空間はより活気に満ち、ユーザーはNPCから情報を得たり、友人になったり、一緒に冒険したりといった、より深いインタラクションが可能になります。
- パーソナライズされた体験: AIがユーザーの好みや行動履歴を学習し、その人に合ったコンテンツやイベント、出会いを推薦してくれます。これにより、広大なメタバースの中から、自分にとって最も価値のある体験を効率的に見つけることができます。
- リアルタイム自動翻訳: AIによる高精度な自動翻訳機能が進化すれば、言語の壁は完全に取り払われ、世界中の人々が母国語でシームレスにコミュニケーションできるようになります。
- コンテンツの自動生成: AI(生成AI)が、ユーザーの指示に基づいて、ワールドやアバター、アイテムなどを自動で生成する技術も進んでいます。これにより、専門知識がない人でも簡単にメタバースのクリエイターになることができます。
AIとメタバースの融合はまだ始まったばかりですが、この二つの技術が組み合わさることで、私たちの想像を遥かに超える新しい世界が創造されていくことは間違いないでしょう。
メタバースに関するよくある質問
最後に、メタバースを始めるにあたって多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。
メタバースは無料で始められますか?
はい、多くのメタバースプラットフォームは無料で始めることができます。
今回紹介した「VRChat」や「cluster」、「Roblox」といった主要なプラットフォームのほとんどは、アカウント作成や基本的な機能の利用に料金はかかりません。無料でダウンロードし、すぐにメタバースの世界を体験することが可能です。
ただし、より楽しむための追加要素には料金が発生する場合があります。具体的には、
- アバターが着る特別な衣装やアクセサリーの購入
- 有料のイベントやゲームへの参加チケット
- 「The Sandbox」などで土地(LAND)を購入する
といったケースです。これらは「アイテム課金」や「Pay-to-Play」と呼ばれるもので、必須ではありません。まずは無料で始め、プラットフォームの世界観やコミュニティが自分に合うかどうかを確かめてから、必要に応じて課金を検討するのがおすすめです。
パソコンがなくてもスマホだけで利用できますか?
はい、スマートフォンだけで利用できるメタバースプラットフォームも増えています。
例えば、「cluster」や「ZEPETO」、「Roblox」などは、スマートフォン向けのアプリが提供されており、PCを持っていなくても手軽にメタバースを始めることができます。通学・通勤の途中や休憩時間など、ちょっとした隙間時間にログインして友人とおしゃべりしたり、イベントを覗いたりできるのがスマホの利点です。
ただし、注意点もあります。スマートフォンの画面は小さいため、PCやVRゴーグルで体験するほどの没入感は得られにくいです。また、PC版に比べて操作性やグラフィックの品質、利用できる機能が一部制限される場合もあります。
「まずはスマホで手軽に体験し、もっと本格的に楽しみたくなったらPCやVRゴーグルの導入を考える」というステップを踏むのが、初心者の方には最適なアプローチと言えるでしょう。
メタバース関連の注目株(銘柄)はありますか?
メタバース市場の成長に伴い、株式投資の対象として関連企業に注目が集まっています。特定の銘柄の購入を推奨することはできませんが、どのような分野の企業が「メタバース関連株」と見なされているかを知ることは、市場の動向を理解する上で役立ちます。
メタバース関連企業は、大きく以下のカテゴリーに分類できます。
- プラットフォーム開発企業: Meta(旧Facebook)のように、メタバース空間そのものを開発・提供する企業。
- デバイスメーカー: VRゴーグルや高性能なPC、スマートフォンを製造する企業。
- 半導体メーカー: メタバースの高度なグラフィックス処理に不可欠なGPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)などを開発・製造する企業。
- ソフトウェア・ゲームエンジン開発企業: 3Dコンテンツを制作するためのソフトウェアや、ゲームエンジン(Unity, Unreal Engineなど)を提供する企業。
- コンテンツホルダー: 人気のIP(知的財産)を持つゲーム会社やエンターテイメント企業。自社のキャラクターや世界観をメタバースで展開することが期待されます。
これらの分野の企業の動向に注目することで、メタバース市場全体の流れを掴むことができるかもしれません。ただし、株式投資は元本割れのリスクを伴います。実際の投資にあたっては、ご自身の判断と責任において、十分な情報収集の上で慎重に行ってください。