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Nreal Airを徹底レビュー できること12選と使い方を正直に解説

Nreal Airを徹底レビュー、できることと使い方を正直に解説

AR(拡張現実)技術が身近になるにつれて、私たちのデジタルコンテンツの楽しみ方や働き方は大きな変革期を迎えています。かつてはSF映画の中の出来事だった「空中に浮かぶスクリーン」が、今や手軽に体験できる時代になりました。その中心的な役割を担っているのが、サングラスのようにかけるだけで目の前に大画面を映し出せる「ARグラス」です。

中でも、スタイリッシュなデザインと高い映像品質で注目を集めているのが「Nreal Air(現XREAL Air)」です。本記事では、このNreal Airが一体どのようなデバイスなのか、その基本的な仕組みから具体的な活用方法、そして実際に使って見えてきたメリット・デメリットまで、あらゆる角度から徹底的にレビューします。

「ARグラスって何ができるの?」「Nreal Airの購入を検討しているけど、自分に合っているかわからない」「具体的な使い方や設定方法が知りたい」といった疑問をお持ちの方は、ぜひこの記事を最後までお読みください。Nreal Airがあなたのデジタルライフをどのように変える可能性があるのか、その全貌を明らかにします。

Nreal Air(現XREAL Air)とは?

Nreal Air(現XREAL Air)とは?

まずはじめに、この記事の主役である「Nreal Air」がどのような製品なのか、その基本的な概要から解説します。ARグラスという新しいカテゴリの製品であるため、その仕組みや背景を理解することが、製品の価値を正しく評価する上で非常に重要です。また、製品名が「Nreal」から「XREAL」へと変更された経緯や、購入を検討する上で欠かせない詳細なスペックについても触れていきます。

ARグラスの基本的な仕組み

Nreal Airを理解する上で、まず「AR(Augmented Reality:拡張現実)」とは何かを知る必要があります。ARとは、現実世界にデジタルの情報や映像を重ね合わせて表示する技術のことです。スマートフォンアプリで、現実の風景にキャラクターを登場させるゲームなどがその一例です。

Nreal AirのようなARグラスは、このAR体験をより没入感の高い形で提供するために開発されました。VR(Virtual Reality:仮想現実)ゴーグルのように完全に視界を覆い尽くすのではなく、現実の風景を見ながら、その上に情報を重ねて表示できるのが大きな特徴です。これを実現しているのが「シースルー(透過)型」と呼ばれる方式です。

Nreal Airは、サングラス型のレンズ部分に超小型のディスプレイと光学系を内蔵しています。具体的には、テンプル(つる)の部分に内蔵された極小のプロジェクターから映像を投射し、それをレンズ内部の「バードバス型」と呼ばれる光学系(ハーフミラーなど)で反射・屈折させることで、ユーザーの網膜に映像を届けます。これにより、まるで目の前の空間に巨大なスクリーンが浮かんでいるかのような体験が生まれるのです。

この仕組みの利点は、装着したままでも周囲の状況を確認できることです。そのため、VRゴーグルのように完全に孤立することなく、移動中やオフィスでの作業中など、様々なシーンで「ながら利用」が可能です。例えば、新幹線の座席で窓の外の景色を楽しみながら、目の前には100インチ超のスクリーンで映画を観るといった使い方ができます。これが、Nreal Airが提供する新しいデジタル体験の核心部分です。

NrealからXREALへの名称変更について

Nreal Airの情報を調べていると、「Nreal」と「XREAL」という2つの名称を目にすることがあり、混乱するかもしれません。結論から言うと、これらは同じ会社・製品であり、2023年にブランド名が変更されました。

もともと、開発元の企業名は「Nreal」でしたが、2023年5月にグローバルでブランド名を「XREAL(エックスリアル)」にリブランディングすることを発表しました。日本法人名も「日本Nreal株式会社」から「日本XREAL株式会社」へと変更されています。

この名称変更の背景には、いくつかの理由が考えられています。公式な発表では、”X”という文字が「現実世界とデジタル世界の交差点」や「未来への探求」を象徴しており、ARの枠を超えてMR(複合現実)やXR(クロスリアリティ)全般へと事業領域を拡大していくという意思表示が込められているとされています。

一方で、業界ではEpic Games社との商標を巡る訴訟問題が影響したのではないかという見方もあります。Epic Games社が開発するゲームエンジン「Unreal Engine」と「Nreal」の名称が類似しているとして争いがあり、その和解の一環としてブランド名を変更した可能性が指摘されています。

ユーザーとしては、現在市場で販売されている製品は「XREAL Air」という名称が正式であり、「Nreal Air」はその旧名称であると理解しておけば問題ありません。機能や性能に違いはなく、本記事で解説する内容はすべて現行のXREAL Airに当てはまります。

Nreal Airのスペック一覧

製品の性能を客観的に判断するために、Nreal Airの主要なスペックを確認しておきましょう。これらの数値が、実際の使用感にどう影響するのかをイメージしながらご覧ください。

スペック項目 詳細 補足説明
ディスプレイ Sony製OLED(有機EL)マイクロディスプレイ 高いコントラストと鮮やかな発色が特徴。黒がしっかりと沈むため、映像に深みが出ます。
解像度 1920 x 1080 (片目あたり) Full HD解像度を両目に表示。高精細で、文字の視認性も良好です。
リフレッシュレート 最大90Hz (ARスペースモード時) 画面の書き換え頻度。数値が高いほど、滑らかな映像表示が可能です。ミラーリングモードでは通常60Hzで動作します。
視野角 (FoV) 46度 (対角) 映像が見える範囲の広さ。4m先に130インチのスクリーンを置いた際の見た目に相当します。
明るさ (輝度) 最大400nits 周囲の明るさに応じて調整可能。日中の明るい場所でも視認性を確保できます。
重量 約79g サングラスと同程度の軽さ。長時間の使用でも疲れにくい設計です。
オーディオ 指向性スピーカー (テンプル部分に内蔵) 耳元でクリアな音声を再生。特殊な設計で音漏れを最小限に抑えています。
接続方法 USB Type-C (DisplayPort Alternate Mode対応) ケーブル1本で映像入力と給電を同時に行います。
トラッキング 3DoF (ARスペースモード時) 頭の回転(上下、左右、傾き)を検知。視点を動かすと画面も追従します。
その他 近接センサー、マイク内蔵 装着を検知して自動でON/OFFする機能や、音声入力用のマイクも搭載しています。

※参照:XREAL公式サイト

このスペック表からわかるNreal Airの大きな特徴は、「高解像度の有機ELディスプレイ」を「約79gという軽量な筐体」に搭載している点です。これにより、高画質でありながらも快適な装着感を実現し、長時間のコンテンツ視聴や作業にも耐えうる実用性を確保しています。次の章からは、このスペックを持つNreal Airで具体的にどのようなことができるのかを詳しく見ていきましょう。

Nreal Airでできること12選

Nreal Airが持つポテンシャルは非常に多岐にわたります。ここでは、その中でも特に代表的で魅力的な12の活用方法を、具体的なシナリオと共に詳しく解説します。これらのユースケースを知ることで、Nreal Airがあなたのライフスタイルにどのような変化をもたらすかを具体的にイメージできるはずです。

① 自宅が映画館に!大画面で動画鑑賞

Nreal Airの最も代表的な使い方が、動画コンテンツの視聴です。 自宅のリビングや寝室が、瞬時にプライベートシアターに変わります。公式には「4m先に130インチ相当」のスクリーンと表現されており、これは一般的な家庭用テレビとは比較にならないほどの巨大さです。

Netflix、Amazon Prime Video、YouTube、Huluといった主要な動画配信サービス(VOD)を、まるで映画館のスクリーンで見ているかのような没入感で楽しめます。特に、有機ELディスプレイによる鮮やかな色彩と引き締まった黒の表現は、映画の世界観をより深く味わうのに最適です。アクション映画の爆発シーンの迫力や、美しい自然を映したドキュメンタリーの壮大さは、スマートフォンの小さな画面では決して得られない感動を与えてくれます。

具体的には、DisplayPort Alternate Modeに対応したAndroidスマートフォンにNreal Airを接続し、スマートフォンのVODアプリを起動するだけ。これだけで、スマートフォンの画面が目の前に巨大なスクリーンとしてミラーリングされます。PCと接続すれば、PC上のブラウザや専用アプリで視聴することも可能です。

② SwitchやPS5などのゲームを大画面でプレイ

Nreal Airはゲーマーにとっても非常に魅力的なデバイスです。Nintendo SwitchやPlayStation 5、Xboxといった家庭用ゲーム機を接続すれば、100インチを超える大画面でゲームをプレイできます。

特に、美しいグラフィックが売りのオープンワールドゲームや、迫力ある演出が魅力のアクションゲームとの相性は抜群です。広大なフィールドを駆け巡る感覚や、巨大なボスと対峙する緊迫感は、大画面になることで何倍にも増幅されます。また、FPS(一人称視点シューティング)ゲームでは、広い視野で敵を索敵しやすくなるという実用的なメリットも期待できます。

ただし、これらのゲーム機は基本的にHDMI出力しか持たないため、Nreal Airと直接接続することはできません。接続するには、HDMI入力をUSB-C(DisplayPort)出力に変換する専用のアクセサリー「XREAL Adapter」などが必要になります。このアダプターを介することで、ゲーム機からの映像信号をNreal Airで受信できるようになります。この手軽な拡張性もNreal Airの魅力の一つです。

③ PC・Macのサブモニターとして作業効率アップ

Nreal Airはエンターテイメントだけでなく、ビジネスやクリエイティブな作業の効率化にも大きく貢献します。ノートPCやMacBookに接続することで、物理的なスペースを必要としない仮想のサブモニターとして活用できます。

例えば、カフェやコワーキングスペース、出張先のホテルといった限られたスペースで作業する際、ノートPCの小さな画面だけでは作業効率が落ちがちです。しかしNreal Airがあれば、メインの画面で資料を作成しながら、目の前の仮想スクリーンに参考資料やコミュニケーションツール(Slack, Teamsなど)を表示しておく、といったマルチタスク環境をどこでも構築できます。

特に、プログラマーがコーディングをしながらリファレンスを確認したり、デザイナーがデザイン作業をしながらプレビューを確認したり、ライターが執筆しながら情報収集をしたりといった使い方に最適です。物理的なモニターを持ち運ぶ必要がなく、USB-Cケーブル1本でデュアルディスプレイ環境が手に入る手軽さは、ノマドワーカーや外出の多いビジネスパーソンにとって革新的なソリューションと言えるでしょう。

④ 寝ながら楽な姿勢でコンテンツを楽しむ

「寝る前に少しだけ動画を見たい」「疲れているので横になってSNSをチェックしたい」と感じることは多いでしょう。しかし、スマートフォンを長時間持ち上げていると腕が疲れたり、顔に落としてしまったりといった経験がある方も少なくないはずです。

Nreal Airは、こうした「寝ながらコンテンツ」の体験を劇的に改善します。ベッドやソファに寝転がったまま、天井に巨大なスクリーンを映し出すことができます。 スマートフォンを持つ必要がないため、両手は自由になり、首や腕に負担がかかることもありません。

リラックスした最高の状態で、映画を1本丸ごと観たり、好きなアーティストのライブ映像に没入したり、あるいは電子書籍を読んだりと、就寝前や休日のリラックスタイムの質を格段に向上させることができます。この「寝ながら視聴」は、一度体験すると元に戻れないほど快適で、Nreal Airの価値を最も実感できる利用シーンの一つです。

⑤ 移動中の新幹線や飛行機でプライベートシアター

新幹線や飛行機での長距離移動は、退屈になりがちです。スマートフォンで映画を観るにしても、画面が小さく、隣の席の人からの覗き見も気になります。

Nreal Airを使えば、移動中の座席が完全にプライベートな空間に変わります。 装着すると、目の前には自分だけの巨大なスクリーンが広がり、周囲の視線を一切気にすることなくコンテンツに集中できます。ライトシールド(付属の遮光カバー)を取り付ければ、外光を遮断してさらに没入感を高めることも可能です。

周りからはサングラスをかけているようにしか見えないため、プライバシーが確保されます。機内で提供される映画サービスや、事前にダウンロードしておいた映画、ビジネス文書の確認など、周囲を気にせずに好きなことを行えます。長時間のフライトや移動が、退屈な時間から楽しみな時間へと変わる画期的な使い方です。

⑥ NebulaアプリでAR空間を体験する

ここまでは主に画面をミラーリングする使い方が中心でしたが、Nreal Airの真価はAR体験にあります。専用アプリ「Nebula」を使用することで、「ARスペース」という未来的な空間を体験できます。

ARスペースモードでは、単に1枚のスクリーンを投影するだけでなく、現実の空間に複数のWebブラウザやアプリのウィンドウを自由に配置できます。例えば、正面に動画を再生しながら、右側にはTwitterのタイムラインを、左側には天気予報のウィジェットを浮かべておく、といった使い方が可能です。

Nebulaアプリ内には、AR技術を活用したミニゲームやアートコンテンツなども用意されており、Nreal Airが持つARグラスとしてのポテンシャルを存分に味わえます。このARスペースは、3DoF(頭の回転を検知する機能)に対応しているため、顔を向けた方向に合わせてウィンドウが追従し、直感的な操作が可能です。未来のコンピューティング環境をいち早く体験したいガジェット好きにはたまらない機能と言えるでしょう。

⑦ ドローンのFPVモニターとして活用

ドローンの操縦において、FPV(First Person View:一人称視点)は非常に人気のあるスタイルです。通常は専用のゴーグルを使用しますが、Nreal AirもFPVモニターとして活用できます。

ドローンの送信機(プロポ)とスマートフォンを接続し、そのスマートフォンにNreal Airを接続することで、ドローンからの空撮映像をリアルタイムで目の前の大画面に表示できます。まるで自分が鳥になって空を飛んでいるかのような、圧倒的な没入感と臨場感を得られます。

シースルー型の利点を活かし、映像を見ながらも手元の送信機や周囲の安全確認が容易である点も、専用FPVゴーグルにはないメリットです。ドローン愛好家にとって、Nreal Airは新しい空撮体験を提供する魅力的なツールとなり得ます。

⑧ WebブラウジングやSNSを大画面で見る

普段スマートフォンで何気なく行っているWebブラウジングやSNSのチェックも、Nreal Airを通すと全く異なる体験になります。

スマートフォンの縦長の画面では一度に表示できる情報量に限りがありますが、Nreal Airの大画面なら、Webサイトやニュース記事をPCサイト表示で快適に閲覧できます。また、TwitterやInstagramのタイムラインを巨大なパネルで眺めるのは、情報が滝のように流れてくるような感覚で、これまでにない新鮮さがあります。特に、写真や動画がメインのSNSでは、その迫力と美しさを存分に楽しめます。

⑨ 周囲を気にせず自分だけの空間を作る

オープンなオフィスやカフェ、家族がいるリビングなど、集中したいけれど周囲の環境が気になる場面は少なくありません。Nreal Airは、物理的な壁がなくても心理的なパーソナルスペースを作り出すツールとして機能します。

グラスをかけると、視界の一部がスクリーンで占有されるため、自然と意識が目の前のコンテンツや作業に集中しやすくなります。付属のライトシールドを使えば、より外部の視覚情報をシャットアウトし、深い没入状態に入ることが可能です。これにより、「ここにいるけど、ここにいない」というような、自分だけのデジタルな空間をどこにでも作り出せます。

⑩ スマートフォンの画面をそのままミラーリング

最もシンプルで汎用性が高い使い方が、この「ミラーリング」です。これは、接続したスマートフォンやPCの画面に表示されている内容を、そのままNreal Airのスクリーンに映し出す機能です。

この機能の素晴らしい点は、特定のアプリに依存しないことです。スマートフォンで動作するアプリであれば、ゲーム、動画、SNS、電子書籍、ビジネスツールなど、基本的に何でも大画面で表示できます。新しいアプリを覚える必要もなく、普段スマートフォンで行っている操作をそのまま大画面に拡張できるため、ARグラス初心者でも直感的に使い始めることができます。

⑪ クラウドゲーミングを大迫力で体験

5G通信の普及に伴い、「クラウドゲーミング」が注目されています。これは、ゲームの処理をサーバー側で行い、その映像をストリーミングで受信してプレイするサービスです。「Xbox Cloud Gaming」や「GeForce NOW」などが代表的です。

Nreal Airは、このクラウドゲーミングと非常に相性が良いデバイスです。スマートフォンでクラウドゲーミングサービスにアクセスし、Nreal Airに接続すれば、場所を選ばずにPCやコンソール級のゲームを大画面で楽しむことができます。高速通信が可能な環境であれば、外出先でもハイクオリティなゲーム体験が可能です。

⑫ フィットネスアプリと連携して運動を楽しむ

自宅でのフィットネスやトレーニングも、Nreal Airで新しい体験に変わります。フィットネスアプリのトレーナーを目の前に等身大で表示させたり、ヨガのインストラクターの動きを大画面で確認しながらポーズをとったりすることができます。

また、サイクリングマシンの前に風景動画を映し出せば、まるで屋外を走っているかのような気分でトレーニングに取り組めます。退屈になりがちな単調な運動も、エンターテイメント性を加えることで、楽しく継続しやすくなるでしょう。

Nreal Airの基本的な使い方と設定方法

Nebulaアプリのインストール、Nreal Airの接続、アクティベーションの実行

Nreal Airの魅力的な活用法を理解したところで、次に気になるのは「実際にどうやって使うのか?」という点でしょう。ここでは、製品を開封してから各種デバイスに接続して使い始めるまでの基本的な手順を、初心者にも分かりやすく解説します。

開封して確認する付属品一覧

まず、Nreal Airを購入して箱を開けると、以下のものが同梱されています。

  • Nreal Air本体: サングラス型のグラス本体です。
  • USB-Cケーブル: Nreal Airと各種デバイスを接続するための専用ケーブル。片方がL字型になっています。
  • ノーズパッド (3種類): ユーザーの鼻の形に合わせて交換可能なノーズパッド。最適なフィット感を得るために重要です。
  • ライトシールド: 外光を遮断し、没入感を高めるためのプラスチック製カバー。マグネットで簡単に着脱できます。
  • 度付きレンズ用フレーム: メガネ利用者が度付きレンズを作成・装着するためのインサートフレームです。
  • キャリングケース: 本体やケーブルを安全に持ち運ぶための専用ハードケース。
  • クリーニングクロス: レンズの汚れを拭き取るための布。

これらの付属品がすべて揃っているか、最初に確認しましょう。特にノーズパッドは装着感に直結するため、自分に合うものを試してみることが重要です。

初期設定の簡単な手順

Nreal Airを初めて使用する際には、アクティベーション(有効化)という作業が必要です。この作業は、専用アプリ「Nebula」をインストールしたスマートフォンで行います。

  1. Nebulaアプリのインストール:
    お使いのスマートフォンのアプリストア(Google Play Storeなど)から「XREAL Nebula」アプリを検索し、インストールします。
  2. Nreal Airの接続:
    付属のUSB-Cケーブルを使って、Nreal Airとスマートフォンを接続します。ケーブルのL字型コネクタをNreal Airの右テンプル先端に、ストレート型コネクタをスマートフォンのUSB-Cポートに差し込みます。
  3. アクティベーションの実行:
    接続すると、Nebulaアプリが自動的にNreal Airを認識し、アクティベーションプロセスが開始されます。画面の指示に従って操作を進めれば、数分で完了します。このプロセスで、グラスのファームウェアが最新版にアップデートされることもあります。

このアクティベーションは初回のみ必要で、一度完了すれば、以降はどの対応デバイスに接続してもすぐに使用できるようになります。

スマートフォンとの接続方法

スマートフォンとの接続には、大きく分けて2つのモードがあります。「ミラーリングモード」と「ARスペースモード」です。

ミラーリングモードの使い方

ミラーリングモードは、スマートフォンの画面をそのままNreal Airに映し出す最も基本的なモードです。

使い方:

  1. DisplayPort Alternate Modeに対応したAndroidスマートフォンのUSB-Cポートに、Nreal Airを接続します。
  2. これだけで、自動的にミラーリングモードが起動します。スマートフォンの画面に表示されているものが、そのまま目の前の仮想スクリーンに表示されます。
  3. あとは、普段通りスマートフォンを操作するだけです。YouTubeアプリを開けばYouTubeが、Netflixアプリを開けばNetflixが大画面で再生されます。

このモードでは、スマートフォンがリモコンの役割を果たします。非常にシンプルで直感的なため、誰でもすぐに使いこなせます。

ARスペースモード(Nebulaアプリ)の使い方

ARスペースモードは、Nreal AirのAR機能を最大限に活用する、より高度なモードです。

使い方:

  1. スマートフォンにNebulaアプリがインストールされている状態で、Nreal Airを接続します。
  2. Nebulaアプリを起動すると、ARスペースモードへの切り替えを促す通知が表示されるので、それに従います。
  3. ARスペースが起動すると、目の前に複数のウィンドウを配置できる仮想空間が広がります。
  4. このモードでは、スマートフォンがレーザーポインターのようなコントローラーに変わります。 スマートフォンの画面をタッチパッドのようにスワイプしてカーソルを動かし、タップしてクリックします。
  5. ARスペース内のブラウザでWebサイトを閲覧したり、用意されたARアプリやゲームを楽しんだりできます。

ミラーリングモードが「コンテンツ消費」に特化しているのに対し、ARスペースモードは「未来的な操作体験」そのものを楽しむモードと言えるでしょう。

パソコン(Windows/Mac)との接続方法

Nreal Airは、PCのサブモニターとしても非常に優秀です。

接続条件:
PC側にDisplayPort Alternate Modeに対応したUSB Type-Cポートが必須です。この規格に対応していないUSB-Cポートや、USB-Aポートでは映像出力ができないため注意が必要です。多くの最新ノートPC(特にMacBookシリーズやSurface Proなど)はこの規格に対応しています。

使い方(Windows/Mac共通):

  1. PCの対応USB-Cポートに、Nreal Airを直接接続します。
  2. OSがNreal Airを外部ディスプレイとして自動的に認識します。
  3. PCのディスプレイ設定(Windowsなら「表示設定」、macOSなら「ディスプレイ」環境設定)を開きます。
  4. ここで、Nreal Airを「複製(ミラーリング)」モードで使うか、「拡張」モードで使うかを選択できます。サブモニターとして活用する場合は「拡張」を選択しましょう。
  5. 「拡張」に設定すると、Nreal Airが2台目のデスクトップとして機能し、ウィンドウやアプリをドラッグ&ドロップで移動させることができます。

ゲーム機(Nintendo Switch/PS5)との接続方法

Nintendo SwitchやPlayStation 5などの家庭用ゲーム機は、映像出力がHDMIポートのみです。そのため、Nreal Airと接続するには変換アダプタが別途必要になります。

必要なもの:

  • XREAL Adapter または同等の機能を持つHDMI-USB-C変換アダプタ
  • ゲーム機付属のHDMIケーブル
  • Nreal Air付属のUSB-Cケーブル

使い方:

  1. ゲーム機のHDMI出力ポートと、XREAL AdapterのHDMI入力ポートをHDMIケーブルで接続します。
  2. XREAL AdapterのUSB-C出力ポートと、Nreal AirをUSB-Cケーブルで接続します。
  3. XREAL Adapterはバッテリーを内蔵しており、電源をONにすると変換が開始され、Nreal Airにゲーム画面が映し出されます。
    • Nintendo Switch(通常モデル/有機ELモデル)の場合: TVモードでドックにセットし、ドックのHDMI出力をAdapterに接続します。
    • PlayStation 5の場合: 本体のHDMI出力をAdapterに接続します。

この方法により、これまでテレビやモニターが必要だったゲームを、場所を選ばずに大画面でプレイできるようになります。

正直レビュー!Nreal Airを実際に使って感じたメリット

サングラス型で軽量なデザインと優れた装着感、有機ELによる高画質で鮮やかな映像体験、想像以上にクリアな内蔵スピーカーの音質、USB-Cケーブル1本で接続できる手軽さ

ここまでNreal Airの機能や使い方を解説してきましたが、実際の使用感はどうなのでしょうか。ここでは、スペックの数値だけでは伝わりにくい、Nreal Airを実際に使って感じた具体的なメリットを4つのポイントに絞って深掘りします。

サングラス型で軽量なデザインと優れた装着感

AR/VRデバイスと聞くと、大きくて重いヘッドセットを想像するかもしれません。しかし、Nreal Airの最大のメリットの一つは、その常識を覆すスタイリッシュで軽量なデザインにあります。

一見すると少し未来的なデザインのサングラスにしか見えず、街中でかけていても過度に目立つことはありません。このデザイン性の高さは、公共の場での利用に対する心理的なハードルを大きく下げてくれます。

そして、特筆すべきはその軽さです。本体重量は約79gしかなく、これは一般的なメガネやサングラスとほとんど変わりません。この軽さのおかげで、2時間ほどの映画を1本観続けても、首や肩が凝ったり、重さで不快に感じたりすることはほとんどありませんでした。

さらに、装着感をカスタマイズできる点も秀逸です。3種類のサイズのノーズパッドが付属しており、自分の鼻の高さや形に最適なものを選ぶことで、安定したフィット感が得られます。テンプル(つる)の部分も適度な弾力があり、頭を優しくホールドしてくれます。これらの工夫により、長時間の利用でも疲れにくい、優れた装着感が実現されています。この「普通のサングラスのように、気軽に長時間使える」という点が、Nreal Airを単なるガジェットから実用的な日用品へと昇華させている最大の要因と言えるでしょう。

有機ELによる高画質で鮮やかな映像体験

Nreal Airが提供する映像体験は、その軽量な筐体からは想像もつかないほど高品質です。その秘密は、ディスプレイにSony製の有機EL(OLED)マイクロディスプレイを採用している点にあります。

有機ELは、液晶(LCD)と異なり、画素一つひとつが自ら発光する技術です。これにより、以下のようなメリットが生まれます。

  • 圧倒的なコントラスト: 黒を表現する際に画素を完全にオフにできるため、「完全な黒」を再現できます。これにより、映像全体が引き締まり、特に暗いシーンが多い映画などでは、液晶では表現しきれない深みと奥行きを感じられます。
  • 豊かな色彩表現: 発色が非常に鮮やかで、広色域をカバーしています。アニメのカラフルな世界観や、自然の風景の微妙な色の階調まで、忠実に再現してくれます。
  • 高速な応答速度: 映像の切り替わりが速く、残像感が少ないため、動きの速いアクション映画やゲームでもクリアな映像を楽しめます。

解像度は片目あたり1920×1080ピクセル(Full HD)であり、仮想スクリーンのサイズを考えると十分な精細感があります。テキストも問題なく読めるレベルで、PCのサブモニターとして利用しても、文字の滲みなどが気になることは少ないでしょう。「こんなに小さなデバイスから、これほど綺麗で迫力のある映像が出てくるのか」という驚きは、初めてNreal Airを体験した多くの人が抱く感想です。

想像以上にクリアな内蔵スピーカーの音質

映像体験において、音は映像と同じくらい重要です。Nreal Airは、テンプル(つる)部分の耳に近い位置に、超小型の指向性スピーカーを内蔵しています。

このスピーカーの性能が、想像以上に優秀です。音の出る位置が耳に非常に近いため、イヤホンをしていないにもかかわらず、クリアで広がりのあるステレオサウンドが聞こえてきます。映画のセリフや効果音、ゲームのBGMなどがしっかりと聞き取れ、コンテンツへの没入感を高めてくれます。

さらに特筆すべきは、その「指向性」です。音をユーザーの耳の方向に集中させるように設計されているため、周囲への音漏れが最小限に抑えられています。 静かな図書館のような場所ではさすがに厳しいですが、ある程度雑音のあるカフェや電車内であれば、よほど音量を上げない限り、隣の人に聞こえる心配は少ないでしょう。この手軽さは、わざわざイヤホンを接続する手間を省いてくれるため、日常的な利用において大きなメリットとなります。

USB-Cケーブル1本で接続できる手軽さ

ガジェットは高機能であっても、セットアップが複雑だと次第に使わなくなってしまうものです。その点、Nreal Airは「USB-Cケーブル1本を挿すだけ」という驚異的なシンプルさを実現しています。

DisplayPort Alternate Modeに対応したデバイスであれば、このケーブル1本で映像信号の伝送とNreal Air本体への給電が同時に行われます。充電の必要も、複数のケーブルを接続する必要もありません。使いたいと思ったら、ケースから取り出してスマートフォンやPCに接続するだけ。わずか数秒で、目の前に大画面が広がります。

この手軽さは、Nreal Airの利用シーンを格段に広げます。例えば、電車で座れた数分間だけニュースをチェックしたり、仕事の合間に少しだけ動画を観たりといった「すきま時間」の活用が非常に容易になります。複雑な準備が不要で、思い立ったらすぐに使えるという点は、Nreal Airが提供する体験の価値を支える、非常に重要な要素です。

正直レビュー!Nreal Airのデメリットと注意点

音漏れするので公共の場所ではイヤホン推奨、有線接続のためケーブルが少し邪魔に感じる、バッテリーは接続したデバイスに依存する、メガネ利用者は度付きレンズが必要な場合も、画面の四隅が見えにくいことがある

Nreal Airは多くのメリットを持つ素晴らしいデバイスですが、完璧な製品というわけではありません。購入後に「思っていたのと違った」と後悔しないために、実際に使用して感じたデメリットや注意すべき点についても正直にお伝えします。

音漏れするので公共の場所ではイヤホン推奨

メリットとして「想像以上にクリアな内蔵スピーカー」を挙げましたが、これはあくまで「スピーカーとしては優秀」という意味であり、イヤホンやヘッドホンのように完全に音を遮断するものではありません。

指向性スピーカーによって音漏れはかなり抑えられていますが、ゼロではありません。特に、静かなオフィス、図書館、満員電車といった環境では、周囲の人に迷惑をかけてしまう可能性が高いです。また、自分自身がコンテンツに集中したい場合も、周りの雑音が聞こえてきてしまうため、没入感が損なわれることがあります。

そのため、公共の場で使用する場合や、音に集中したい場合は、別途イヤホンやヘッドホンを接続することを強く推奨します。 Nreal Airにはイヤホンジャックはありませんが、接続しているスマートフォンやPCのイヤホンジャック、あるいはBluetoothイヤホンを利用すれば問題ありません。この一手間をかけることで、TPOに合わせた快適な利用が可能になります。

有線接続のためケーブルが少し邪魔に感じる

USB-Cケーブル1本で接続できる手軽さは大きなメリットである一方、「有線である」こと自体がデメリットになる場面もあります。

特に、寝ながら使用する際に寝返りを打とうとすると、ケーブルが体に絡まって煩わしく感じることがあります。また、PCに接続して作業している際に少し席を立とうとした時、うっかりケーブルが繋がっていることを忘れてPCを引っ張りそうになる、といったヒヤリハットも考えられます。

ケーブルの存在は、完全なワイヤレス体験と比較すると、どうしても物理的な制約を生み出します。この有線の煩わしさを解決したい場合は、後述するアクセサリー「XREAL Beam」の利用が有効な選択肢となります。

バッテリーは接続したデバイスに依存する

Nreal Air本体にはバッテリーが内蔵されていません。動作に必要な電力は、すべて接続したスマートフォンやPCから供給されます。 これが軽量化に貢献している一方で、注意すべきデメリットにもなっています。

Nreal Airを使用している間は、接続デバイスのバッテリーが通常よりも速いペースで消費されていきます。スマートフォンの機種やバッテリーの状態にもよりますが、映画を1本(約2時間)観ると、バッテリーが半分以上減ってしまうことも珍しくありません。

長時間のフライトや外出先で連続して使用したい場合は、接続デバイス自体のバッテリー残量に常に気を配る必要があります。 スマートフォンを充電しながらNreal Airを使用できるハブや、モバイルバッテリーを併用するなどの対策が事実上必須となるでしょう。このバッテリー問題は、Nreal Airを本格的に活用する上で避けては通れない課題です。

メガネ利用者は度付きレンズが必要な場合も

Nreal Airは、メガネをかけたまま装着することはできません。 デザイン上、メガネと干渉してしまうためです。

視力が低いユーザーのために、製品には「度付きレンズ用インサートフレーム」が付属しています。 これをJINSや眼鏡市場といった提携の眼鏡店に持ち込むことで、自分の視力に合った度付きレンズを作成し、Nreal Airの内側に装着することができます。

ただし、これには当然ながら別途レンズの作成費用がかかります。また、普段コンタクトレンズを使用している人は問題ありませんが、そうでないメガネユーザーにとっては、この追加のコストと手間が購入のハードルになる可能性があります。自分の視力とライフスタイルを考慮し、度付きレンズが必要かどうかを事前に検討しておくことが重要です。

画面の四隅が見えにくいことがある

Nreal Airの視野角(FoV)は対角46度とされており、これはARグラスとしては標準的なスペックです。しかし、実際に使用してみると、表示される仮想スクリーンの四隅が少し見切れてしまう、あるいはピントが合いにくいと感じることがあります。

これは、人間の目の視野とデバイスの視野角、そして装着位置のズレによって発生する現象です。画面の中央部分は非常にクリアに見えるのですが、端にある情報(例えば、PCデスクトップのタスクバーやメニューバーなど)を確認するためには、少し視点を意識的に動かす必要があります。

最適な装着位置を見つけるためにノーズパッドを調整したり、グラスの位置を微調整したりすることで、ある程度は改善できます。しかし、視野の周辺部まで完璧にクリアに見えるわけではない、ということは理解しておくべきです。特に、画面の隅々まで精密な視認性が求められる作業には、若干の慣れが必要になるかもしれません。

購入前に必ずチェック!Nreal Airの対応機種

Nreal Airは非常に魅力的なデバイスですが、すべてのスマートフォンやPCで使えるわけではありません。 購入してから「自分の持っているデバイスでは使えなかった」という事態を避けるために、対応機種の条件を必ず確認してください。

対応スマートフォン

スマートフォンでNreal Airを利用するための最も重要な条件は、「USB Type-CポートがDisplayPort Alternate Modeに対応していること」です。これは、USB-Cポートを通じて映像信号を出力するための規格です。この機能を持たないUSB-Cポートでは、充電はできても映像を映し出すことはできません。

【Androidスマートフォン】
多くのハイエンド〜ミドルレンジのAndroidスマートフォンがこの規格に対応しています。

  • Samsung: Galaxy Sシリーズ、Noteシリーズ、Fold/Flipシリーズの多く
  • Sony: Xperia 1シリーズ、Xperia 5シリーズなど
  • Google: Pixelシリーズは非対応の場合が多い(Pixel 8など一部で対応の動きあり)
  • Sharp: AQUOS Rシリーズなど

上記は一例であり、対応状況は機種やキャリアによって異なる場合があります。最も確実な方法は、XREAL公式サイトで公開されている対応スマートフォンリストを確認することです。公式サイトでは、ミラーリングだけでなくARスペース(Nebula)の対応状況も確認できます。

【iPhone】
iPhoneはLightningポートを搭載しているため、直接Nreal Airを接続することはできません。 iPhoneで利用するためには、後述する「XREAL Adapter」とApple純正の「Lightning – Digital AVアダプタ」が別途必要になります。この組み合わせでミラーリング機能のみ利用可能となりますが、ARスペースは利用できません。

対応パソコン・タブレット

パソコンやタブレットの場合も、スマートフォンと同様の条件が適用されます。

【Windows PC / タブレット】
DisplayPort Alternate Modeに対応したUSB Type-Cポート、またはThunderbolt 3/4ポートが搭載されている必要があります。多くの最新ノートPCやSurfaceシリーズはこの条件を満たしています。デスクトップPCの場合は、対応するポートを持つグラフィックボードやマザーボードが必要です。

【Mac / iPad】

  • MacBook / iMac: USB-CまたはThunderboltポートを搭載したMacBook Pro, MacBook Air, iMacの多くが対応しています。macOSとの親和性も高く、接続するだけで外部ディスプレイとして認識されます。
  • iPad: USB-Cポートを搭載したiPad Pro, iPad Air, iPad miniは、Nreal Airを接続してミラーリング表示が可能です。

繰り返しになりますが、購入前には必ずXREAL公式サイトの互換性ページで、ご自身のデバイスがリストに含まれているかを確認してください。 これが、Nreal Airを快適に使い始めるための最も重要なステップです。
(参照:XREAL公式サイト 互換性ページ)

Nreal Airの体験を拡張するアクセサリー

Nreal Airは単体でも十分に楽しめますが、専用のアクセサリーを組み合わせることで、その可能性はさらに広がります。ここでは、Nreal Airの体験をより豊かにする、代表的な純正アクセサリーを2つ紹介します。

ワイヤレス化や機能拡張ができる「XREAL Beam」

「XREAL Beam」は、Nreal Airのユーザー体験を根本から向上させる、非常に重要なアクセサリーです。これは、Nreal Airと各種デバイスの間に接続する、小型のハブのようなデバイスです。

XREAL Beamの主な機能:

  1. 空間ディスプレイ (3DoF) 機能の追加:
    Nreal Air単体でスマートフォンやPCに接続した場合、頭を動かすと画面も一緒に追従してきます。しかし、Beamを介すると「空間アンカー」という機能が働き、画面を空間上の一点に固定できます。これにより、まるで壁に本物のテレビが掛かっているかのように、顔を横に動かしても画面は元の位置に留まり続けます。この機能は、PCのサブモニターとして使う際や、寝ながら天井に画面を固定したい場合に絶大な効果を発揮します。
  2. 実質的なワイヤレス化:
    Beamはバッテリーを内蔵しており、多くのデバイスとワイヤレス(Miracast/AirPlay)で接続できます。スマートフォンからBeamへ映像をワイヤレスで飛ばし、BeamとNreal Airを有線で接続することで、スマートフォンをポケットやカバンに入れたまま、自由に動きながら大画面を楽しむといった使い方が可能になります。有線接続の煩わしさから解放される、大きなメリットです。
  3. 非対応デバイスとの接続互換性向上:
    Beamには有線接続ポートもあり、これを使えば本来Nreal Airに直接接続できないデバイス(DisplayPort Alternate Mode非対応のスマホやPCなど)でも、画面を映し出すことが可能になります(一部制限あり)。
  4. 画面サイズの調整:
    Beamを通じて、仮想スクリーンのサイズや距離を自由に調整できます。コンテンツに合わせて最適な表示にカスタマイズできる便利な機能です。

Nreal Airのデメリットであった「有線接続の煩わしさ」や「画面が頭に追従する問題」を解決してくれるXREAL Beamは、Nreal Airを本格的に活用したいユーザーにとって、必須のアクセサリーと言っても過言ではないでしょう。

iPhoneやゲーム機接続に便利な「XREAL Adapter」

「XREAL Adapter」は、主にHDMI出力を持つデバイスとNreal Airを接続するために設計された変換アダプタです。

XREAL Adapterの主な役割:

  1. HDMI信号の変換:
    PlayStation 5, Nintendo Switch, Xboxなどの家庭用ゲーム機や、Blu-rayプレイヤー、一部のPCなど、HDMIポートからしか映像を出力できないデバイスの信号を、Nreal Airが認識できるUSB-C(DisplayPort)信号に変換します。
  2. iPhoneとの接続:
    Apple純正の「Lightning – Digital AVアダプタ」と組み合わせることで、iPhoneの画面をNreal Airにミラーリングできます。iPhoneユーザーがNreal Airを使いたい場合には、このAdapterが必須となります。
  3. 電源供給:
    Adapterはバッテリーを内蔵しており、Nreal Airへの電力供給を行います。これにより、接続デバイスのバッテリーを消費することなく、長時間の利用が可能です(Adapter自体の充電は必要)。公称で最大3時間の連続使用が可能です。

ゲーム機やiPhoneでNreal Airを使いたいと考えているユーザーにとっては、このXREAL Adapterが不可欠です。自分の使いたいデバイスがHDMI出力のみの場合は、Nreal Air本体と合わせてこのAdapterの購入を検討しましょう。
(参照:XREAL公式サイト アクセサリーページ)

Nreal Airと競合製品の比較

ARグラス市場は急速に成長しており、Nreal Air以外にも魅力的な製品が登場しています。ここでは、主要な競合製品である「VITURE One」と「Rokid Max」を取り上げ、Nreal Airとの違いを比較します。これにより、ご自身のニーズに最も合った製品を選ぶ手助けとなるでしょう。

VITURE Oneとの違い

VITURE Oneは、特にエンターテイメント体験に特化した設計で注目されているARグラスです。

比較項目 Nreal Air (XREAL Air) VITURE One 主な違いとポイント
デザイン スタンダードなサングラス型 やや未来的でスタイリッシュなデザイン デザインの好みは個人差が大きい部分。VITURE Oneはよりファッション性を意識。
特徴的な機能 ARスペース (Nebula) レンズの調光機能 (電気式) VITURE Oneはボタン一つでレンズの透過度を変更でき、明るい場所での没入感を高めやすい。
映像品質 有機EL, 片目1080p, FoV 46° 有機EL, 片目1080p, FoV 43° スペック上の差は僅少。どちらも高画質だが、視野角はNreal Airが僅かに広い。
音響 指向性スピーカー Harman共同開発の空間オーディオ VITURE Oneは音響面に特に力を入れており、より高品質なサウンドを謳っている。
専用アクセサリー XREAL Beam, Adapter ネックバンド, モバイルドック VITURE OneのネックバンドはAndroid TVを内蔵し、単体で動画視聴などが可能。エコシステムが異なる。
その他 度付きレンズは別途作成 度数調整ダイヤル搭載 VITURE Oneは-5.0Dまでの近視であれば、ダイヤルで度数調整が可能。メガネユーザーに優しい。

【まとめ】
VITURE Oneは、よりエンタメ視聴に特化し、利便性(調光機能、度数調整)を高めた製品と言えます。特に、度数調整ダイヤルは近視のメガネユーザーにとって大きな魅力です。一方、Nreal AirはPC接続などの汎用性や、ARスペースによる拡張性に強みがあります。

Rokid Maxとの違い

Rokid Maxも、Nreal Airと直接競合する人気の高いARグラスです。高スペックを特徴としています。

比較項目 Nreal Air (XREAL Air) Rokid Max 主な違いとポイント
視野角 (FoV) 46° 50° Rokid Maxの方が視野角が広く、より大きなスクリーンサイズ(6m先に215インチ相当)を謳っている。
リフレッシュレート 最大90Hz 最大120Hz Rokid Maxはより高いリフレッシュレートに対応し、滑らかな映像表示が可能。ゲームなどで有利。
明るさ 400nits 600nits Rokid Maxの方が輝度が高く、日中の屋外など明るい環境での視認性に優れる。
重量 約79g 約75g Rokid Maxの方がわずかに軽量。装着感への影響は軽微。
その他 度付きレンズは別途作成 度数調整ダイヤル搭載 (-6.0Dまで) VITURE One同様、Rokid Maxも度数調整機能を搭載しており、メガネユーザーに優しい設計。
エコシステム Nebula (ARプラットフォーム) Rokid AR (ARプラットフォーム) どちらも独自のARプラットフォームを持つが、アプリの充実度は発展途上。

【まとめ】
Rokid Maxは、視野角、リフレッシュレート、明るさといった映像に関する基本スペックでNreal Airを上回っており、より高性能を求めるユーザーに適しています。 また、度数調整機能も大きなアドバンテージです。一方、Nreal Airはブランドの知名度やアクセサリー(特にBeam)の完成度、ユーザーコミュニティの大きさなどで先行しており、情報の入手しやすさやエコシステムの成熟度で勝る面があります。

どちらの製品を選ぶかは、何を重視するかによって決まります。汎用性とエコシステムの成熟度ならNreal Air、スペックと利便性(度数調整)ならRokid MaxやVITURE One、という視点で検討するのが良いでしょう。

まとめ:Nreal Airはどんな人におすすめ?

これまで、Nreal Air(現XREAL Air)の機能、使い方、メリット・デメリット、そして競合製品との比較まで、あらゆる角度から詳しく解説してきました。最後に、この記事の総まとめとして、Nreal Airが特にどのような人におすすめできるのかを具体的に示します。

手軽に大画面を体験したい人

「とにかく手軽に、場所を選ばず大画面を体験してみたい」という方に、Nreal Airは最適なエントリーモデルです。

高価で場所を取る大型テレビやプロジェクターを購入しなくても、Nreal AirならUSB-Cケーブル1本で、いつでもどこでも100インチを超えるプライベートスクリーンを手に入れることができます。約79gという軽量設計とスタイリッシュなデザインは、ARグラスという新しいデバイスへの心理的なハードルを下げ、日常生活に自然に溶け込みます。複雑な設定も不要で、スマートフォンに接続するだけというシンプルさは、ガジェットに詳しくない人でも安心して使い始められる大きな魅力です。未来の映像体験への第一歩として、これ以上ないほどコストパフォーマンスに優れた選択肢と言えるでしょう。

自宅や移動中に動画やゲームを楽しみたい人

映画、アニメ、ライブ映像、ゲームといったエンターテイメントコンテンツを、最大限の没入感で楽しみたいと考えている人にとって、Nreal Airは最高のパートナーになります。

自宅のベッドやソファで寝転がりながら、天井に映し出された巨大なスクリーンで映画を観る。長時間のフライトや新幹線の移動中に、周りを気にせず自分だけの世界でゲームに没頭する。Nreal Airは、そんな贅沢な時間を日常にもたらしてくれます。有機ELディスプレイが映し出す高画質で鮮やかな映像は、あらゆるコンテンツの魅力を何倍にも引き立ててくれるはずです。XREAL AdapterやBeamといったアクセサリーを組み合わせれば、その活用範囲はさらに広がります。

PC作業の効率を上げたいガジェット好き

「物理的な制約なく、どこでもデュアルディスプレイ環境で作業効率を上げたい」と考えるノマドワーカー、プログラマー、クリエイター、そして新しい働き方を模索するすべてのガジェット好きに、Nreal Airを強くおすすめします。

カフェや出張先のホテルでも、ノートPCにNreal Airを接続するだけで、瞬時に広大な作業スペースが生まれます。物理モニターを持ち運ぶ手間やコストから解放され、身軽でありながら高い生産性を維持できます。さらに、専用アプリ「Nebula」を使えば、複数のウィンドウを空間に配置するARデスクトップという、一歩先の未来のワークスタイルを体験できます。Nreal Airは、単なるエンタメデバイスに留まらず、あなたの働き方をよりスマートで効率的なものへと変革するポテンシャルを秘めています。

Nreal Airは、私たちのデジタルライフのあり方を再定義する、革新的なデバイスです。この記事が、あなたの購入検討の一助となれば幸いです。