転職活動において、あなたの価値を企業に伝えるための最も重要な書類が「職務経歴書」です。履歴書だけでは伝えきれない、これまでの経験やスキル、実績を具体的にアピールするためのプレゼンテーション資料と言えます。しかし、多くの求職者が「何を書けばいいのか分からない」「どうすれば魅力的に伝わるのか」といった悩みを抱えています。
この記事では、職務経歴書の基本的な役割から、採用担当者の心に響く作成のポイント、具体的な書き方の手順までを網羅的に解説します。さらに、職種別の豊富な例文20選や、すぐに使えるテンプレートの構成例も紹介。この記事を最後まで読めば、あなたのキャリアを最大限に輝かせる職務経歴書を自信を持って作成できるようになるでしょう。
目次
職務経歴書とは
転職活動を始めるにあたり、ほとんどの企業から提出を求められる職務経歴書。その役割や履歴書との違いを正しく理解することが、効果的な書類を作成する第一歩です。ここでは、職務経歴書が持つ本質的な意味と、その重要性について深く掘り下げていきます。
職務経歴書の役割
職務経歴書の最も重要な役割は、あなたが「何ができて、どのように企業に貢献できる人物なのか」を具体的に証明することです。採用担当者は、職務経歴書を通して、応募者が自社の求めるスキルや経験を持っているか、つまり「即戦力として活躍できるか」を判断します。
単に過去の職歴を時系列で並べただけの書類では、あなたの本当の魅力は伝わりません。職務経歴書は、あなたという「商品」の価値を伝えるための企画書であり、プレゼンテーション資料なのです。採用担当者という読み手(顧客)が、どのような情報を求めているかを意識し、戦略的に情報を配置する必要があります。
採用担当者が職務経歴書から読み取りたいと考えているのは、主に以下の4つの要素です。
- 業務遂行能力(スキル・経験): これまでどのような業務に携わり、どのようなスキルを身につけてきたのか。募集職種で求められる専門知識や技術を持っているか。
- 実績・再現性: 過去の職務でどのような成果を上げてきたのか。その成功体験を自社でも再現し、貢献してくれる可能性はあるか。
- 人柄・仕事への姿勢: 仕事に対してどのような価値観を持ち、どのように課題に取り組む人物なのか。チームの中で円滑に業務を進められるか。
- ポテンシャル・意欲: 未経験の業務や新しい環境に対して、どれだけ意欲的に学び、成長していけるか。
これらの情報を、客観的な事実に基づいて分かりやすく整理し、アピールすることが職務経歴書の役割です。あなたのキャリアのハイライトを凝縮し、採用担当者に「この人に会って話を聞いてみたい」と思わせることが最終的なゴールとなります。ただの作業記録ではなく、未来のキャリアを切り拓くための戦略的なツールとして、その役割を最大限に活用しましょう。
履歴書との違い
転職活動では、職務経歴書とあわせて履歴書の提出を求められるのが一般的です。この2つの書類は、目的や記載内容が明確に異なります。その違いを理解し、それぞれの役割分担を意識することで、より効果的な応募書類を作成できます。
項目 | 履歴書 | 職務経歴書 |
---|---|---|
目的 | 応募者のプロフィール(氏名、学歴、職歴の概要など)を伝えること | 業務経験やスキル、実績を具体的にアピールし、即戦力性を証明すること |
役割 | 「あなたが誰であるか(Who)」を伝える公的なプロフィールシート | 「あなたに何ができるか(What/How)」を伝えるプレゼンテーション資料 |
記載内容 | 氏名、住所、連絡先、学歴、職歴(会社名と入退社年月日が中心)、資格、本人希望欄など、定型的な個人情報 | 職務要約、職務経歴(具体的な業務内容と実績)、活かせるスキル、自己PRなど、キャリアの詳細 |
形式・枚数 | フォーマットはJIS規格などでほぼ定まっている。A4またはB5で1〜2枚。 | フォーマットは自由(編年体、逆編年体、キャリア形式など)。A4で1〜2枚が一般的。 |
重要視される点 | 記載内容の正確さ、基本的な人物像、応募の意思 | 応募職種との親和性、実績の具体性、スキルのレベル、論理的な構成力 |
端的に言えば、履歴書は「応募者の基本情報を網羅したダイジェスト版」であり、採用担当者が応募者を管理・把握するための書類です。一方、職務経歴書は「あなたのビジネスパーソンとしての価値を詳細にプレゼンする企画書」です。
採用担当者は、まず履歴書で氏名や年齢、学歴、職歴の概要といった基本的なスペックを確認します。そして、その応募者が自社の募集要件に合致しそうだと判断した場合、次に職務経歴書を読み込み、具体的なスキルや実績、仕事への取り組み方を詳細にチェックするのです。
したがって、履歴書は正確かつ簡潔に、職務経歴書は具体的かつ魅力的に作成することが求められます。履歴書で最低限のフィルターを通過し、職務経歴書で採用担当者の心を掴む。この二段構えで、書類選考の突破を目指しましょう。この2つの書類は補完関係にあり、両方が揃って初めてあなたの魅力が最大限に伝わるのです。
職務経歴書に書くべき基本項目
職務経歴書には決まったフォーマットはありませんが、採用担当者にあなたの経験やスキルを効果的に伝えるために、一般的に記載すべきとされる基本項目が存在します。これらの項目を漏れなく、かつ戦略的に記述することが、書類選考を突破する鍵となります。ここでは、主要な5つの基本項目について、それぞれの書き方のポイントを詳しく解説します。
日付・氏名
書類の一番最初に記載する、基本的な情報です。些細な点に見えますが、ビジネスマナーが問われる部分でもあります。
- 日付: 職務経歴書を提出する日を記載するのが基本です。メールで送付する場合は送信日、郵送する場合は投函日、面接に持参する場合は面接日を記入します。作成日ではない点に注意しましょう。西暦・和暦はどちらでも構いませんが、履歴書と表記を統一することが重要です。
- 氏名: フルネームで正確に記載します。フォントサイズを本文より少し大きくすると、誰の書類か分かりやすくなります。氏名の右横にふりがな(ひらがな)を記載すると、より丁寧な印象を与えます。
職務要約
職務要約は、採用担当者が最初に目を通す、いわば職務経歴書の「予告編」です。ここで興味を引けなければ、その先の詳細な経歴を読んでもらえない可能性もあります。これまでのキャリアの要点と、自身の最もアピールしたい強みを200〜300字程度に凝縮して記述します。
【職務要約作成のポイント】
- キャリアの全体像を伝える: これまでどのような業界・職種で、何年程度の経験を積んできたのかを簡潔に示します。
- 強みや得意分野を明確にする: 数ある経験の中から、特に自信のあるスキルや得意な業務領域を具体的に記述します。(例:「法人向け新規開拓営業」「WebサービスのUI/UXデザイン」など)
- 実績を盛り込む: 可能であれば、具体的な数字を用いた実績を1〜2点盛り込むと、説得力が格段に増します。(例:「売上目標を10期連続で達成」「〇〇の導入により、業務時間を月間20時間削減」など)
- 応募企業への貢献意欲を示す: 最後に、これまでの経験を活かして、応募企業でどのように貢献したいかを一言添えると、熱意が伝わります。
この職務要約を読むだけで、採用担当者が「この応募者は、我々が求めるスキルと経験を持っていそうだ」と感じられるように、戦略的に内容を構成することが極めて重要です。
職務経歴
職務経歴は、職務経歴書の核となる部分です。これまでの業務経験を具体的に記述し、あなたの実務能力を証明します。単なる業務内容の羅列ではなく、「どのような環境で」「何を考え」「どのように行動し」「どのような成果を出したか」が伝わるように記述することがポイントです。
【職務経歴の記載項目例】
- 在籍期間: 例「20XX年4月~20YY年3月」
- 会社名: 正式名称で記載します。
- 事業内容・資本金・従業員数など: 企業の規模感や事業内容を補足することで、採用担当者の理解を助けます。特に異業種からの転職の場合、丁寧に記載すると親切です。
- 所属部署・役職: どのような立場で業務に携わっていたかを示します。
- 業務内容: 担当した業務を具体的に記述します。箇条書きなどを用いて、分かりやすく整理しましょう。
- Point1:5W1Hを意識する: 「誰に(Who)」「何を(What)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」などを意識すると、業務内容が具体的になります。
- Point2:動詞で表現する: 「~を担当」という表現だけでなく、「~を企画立案」「~を改善」「~を構築」など、能動的な動詞を使うと、主体性が伝わります。
- 実績・成果: 業務内容と関連付けて、具体的な数字を用いて実績を記述します。(例:「営業目標に対し、125%の達成率を記録」「新機能の開発により、ユーザーの離脱率を5%改善」など)。数字で示せない場合は、業務改善の具体的な内容や、顧客・上司からの評価などを記述します。
活かせる経験・知識・スキル
職務経歴でアピールした内容を補強し、あなたのスキルセットを一覧で分かりやすく提示する項目です。採用担当者が求めるスキルを素早く確認できるように、整理して記載します。
【記載するスキルの分類例】
- PCスキル:
- Word: ビジネス文書作成、差込印刷など
- Excel: VLOOKUP・ピボットテーブル、マクロ・VBAなど(具体的な関数名や機能を挙げるとレベルが伝わりやすい)
- PowerPoint: プレゼン資料作成、図形・アニメーション活用など
- 語学スキル:
- 英語: TOEIC 〇〇点、ビジネスメール・電話会議での使用経験など
- その他言語: 中国語検定〇級など
- 専門スキル・テクニカルスキル:
- IT系: プログラミング言語(Java, Python)、フレームワーク(React, Vue.js)、データベース(MySQL)、クラウド(AWS, Azure)など、経験年数も併記すると良い。
- デザイン系: Adobe Photoshop, Illustrator, Figma などの使用歴、コーディングスキル(HTML/CSS, JavaScript)など。
- 保有資格:
- 応募職種に関連する資格を優先的に記載します。取得年月日も忘れずに記入しましょう。(例:日商簿記検定2級(20XX年11月取得)、基本情報技術者試験(20YY年4月取得))
ここでのポイントは、応募職種の求人情報に記載されている「歓迎スキル」などを確認し、合致するものを優先的に、かつ具体的に記述することです。
自己PR
自己PRは、職務経歴で示した「事実(Fact)」の裏付けとなる、あなたの「強み」や「仕事への価値観」を伝えるための項目です。職務経歴だけでは伝わりきらない、あなたの人柄やポテンシャルをアピールする絶好の機会です。
【自己PR作成のポイント】
- 職務経歴との一貫性を持たせる: 職務経歴でアピールした実績や経験と結びついた強みを記述することで、内容に説得力が生まれます。
- 具体的なエピソードを盛り込む: 「コミュニケーション能力が高いです」と書くだけでなく、その能力を発揮して困難な状況を乗り越えた具体的なエピソード(STARメソッドなどを活用)を交えて説明します。
- S (Situation): どのような状況で
- T (Task): どのような課題・目標があり
- A (Action): 自身がどのように考え、行動したか
- R (Result): その結果、どのような成果に繋がったか
- 応募企業への貢献イメージを伝える: アピールする強みが、入社後、応募企業のどのような課題解決や事業成長に貢献できるのかを具体的に示します。「自分の強み」と「企業の求める人物像」の接点を見つけ出し、そこを力強くアピールすることが重要です。
これらの基本項目を一つひとつ丁寧に、かつ戦略的に作り込むことで、あなたの魅力が詰まった、説得力のある職務経歴書が完成します。
職務経歴書の書き方【4ステップ】
魅力的な職務経歴書をいきなり書き始めるのは難しいものです。しかし、正しい手順を踏むことで、誰でも論理的で説得力のある書類を作成できます。ここでは、職務経歴書を完成させるまでの具体的な4つのステップを紹介します。この手順に沿って進めることで、抜け漏れなく、あなたのアピールポイントが整理された職務経歴書が出来上がります。
① これまでのキャリアをすべて書き出す(キャリアの棚卸し)
最初のステップは、応募企業のことは一旦忘れ、これまでの自分のキャリアに関する情報を、質より量でとにかくすべて書き出す「キャリアの棚卸し」です。これは、後のステップでアピールポイントを選ぶための「材料集め」の工程です。記憶を掘り起こし、些細なことでも遠慮せずにリストアップしていきましょう。
【書き出す項目例】
- 所属情報: 在籍したすべての会社名、部署名、役職、在籍期間
- 業務内容:
- 日常的に行っていたルーティン業務(日報作成、データ入力など)
- 担当したプロジェクトや企画(目的、規模、期間、自分の役割)
- 後輩の指導やチームマネジメントの経験
- 社内・社外でのプレゼンテーション経験
- 実績・成果:
- 売上や契約数、目標達成率などの数値的な成果
- コスト削減や業務効率化に繋がった取り組み(削減時間、削減コスト)
- 顧客満足度向上に繋がった工夫
- 社内表彰やコンテストでの受賞歴
- スキル・知識:
- 業務で習得した専門知識や技術
- 使用していたツールやソフトウェア(PCスキル、専門ツールなど)
- 取得した資格や受講した研修
- 評価・学び:
- 上司や同僚、顧客から褒められたこと
- 成功体験から得た自信や学び
- 失敗体験から得た教訓や改善点
この段階では、「こんなことはアピールにならないかも」と自己判断せずに、思いつくままに書き出すことが非常に重要です。マインドマップを使ったり、時系列でノートに書き出したりと、自分に合った方法で整理してみましょう。この網羅的なリストが、あなたのキャリアの財産目録となります。
② 応募企業に合わせてアピールする経験を選ぶ
キャリアの棚卸しで膨大な「材料」が集まったら、次のステップは、その中から応募企業に響く「食材」を選び出す作業です。すべての経験を盛り込むのではなく、応募する企業や職種に合わせて、アピールするポイントを取捨選択します。
【選択の手順】
- 企業研究を徹底する: 応募企業の公式ウェブサイト、採用ページ、求人情報を隅々まで読み込みます。特に、「求める人物像」「仕事内容」「必須スキル」「歓迎スキル」といったキーワードに注目します。経営者のメッセージや事業戦略に関する情報にも目を通し、企業が今どのような課題を抱え、どのような人材を求めているのかを深く理解します。
- 「企業のニーズ」と「自分の経験」をマッチングさせる: 企業研究で明らかになったニーズと、ステップ①で洗い出した自分のキャリアリストを照らし合わせます。企業の求めるスキルや経験と合致する項目に印を付けていきましょう。
- アピールする経験の優先順位を決める: マッチングした項目の中から、特に強くアピールしたいものに優先順位を付けます。最も関連性が高く、かつ成果を具体的に示せる経験を主軸に据え、それを補強する経験をいくつか選ぶ、というイメージです。関連性の低い経験は、思い切って削除するか、ごく簡潔な記述に留めます。
このステップによって、自己満足な職務経歴書ではなく、「企業が求める情報」が的確に盛り込まれた、ターゲット志向の強い書類の骨子が固まります。
③ アピールポイントが伝わるようにまとめる
アピールする経験が決まったら、それを採用担当者に伝わる「料理」、つまり論理的で分かりやすい文章に仕上げていきます。事実を並べるだけでなく、その背景にあるあなたの思考や工夫を伝えることが重要です。
【まとめる際のポイント】
- ストーリーテリングを意識する: 特に自己PRや職務要約では、単なる強みの羅列ではなく、ストーリー性を持たせましょう。「どのような課題(Situation/Task)に対し、あなたがどのように考え行動し(Action)、その結果どのような成果(Result)が生まれたのか」という構成(STARメソッド)で記述すると、非常に説得力が増します。
- 実績を数字で語る: 「頑張りました」「貢献しました」といった抽象的な表現は避け、「売上を前年比15%向上させた」「問い合わせ対応時間を平均20%短縮した」など、定量的な表現を徹底します。数字にできない場合でも、「〇〇という独自のチェックリストを作成し、ヒューマンエラーをゼロにした」のように、行動を具体的に記述します。
- 一貫性のあるメッセージ: 職務要約、職務経歴、自己PRで伝えるメッセージに一貫性を持たせます。例えば「課題解決力」をアピールするなら、職務要約でその強みを提示し、職務経歴で具体的な課題解決エピソードを述べ、自己PRでその能力を入社後にどう活かすかを語る、といった流れを作ります。
この工程で、単なる経験のリストが、あなたの価値を雄弁に物語る魅力的なコンテンツへと昇華します。
④ 基本項目を埋めて完成させる
最後に、ステップ③で作り上げた文章のブロックを、職務経歴書のフォーマットに落とし込み、最終的な体裁を整えます。
【最終仕上げのチェックリスト】
- フォーマットの選択: 自身のキャリアに合わせて、逆編年体、編年体、キャリア形式の中から最適なフォーマットを選びます。(詳細は後述)
- 基本情報の記入: 日付、氏名など、基本的な項目に漏れがないか確認します。
- レイアウトの調整: 見出し、箇条書き、太字などを効果的に使い、視覚的に読みやすいレイアウトに整えます。フォントサイズは10.5〜12pt、余白を適切に取り、A4用紙1〜2枚に収まるように調整します。
- 誤字脱字の徹底チェック: 書類全体の信頼性を損なう誤字脱字は絶対に避けたいポイントです。声に出して読んでみたり、時間を置いてから再度確認したりすると、ミスを発見しやすくなります。
- 第三者によるレビュー: 可能であれば、家族や友人、あるいは転職エージェントのキャリアアドバイザーなど、第三者に読んでもらい、客観的なフィードバックをもらうことを強く推奨します。自分では気づかなかった分かりにくい表現や、アピール不足な点が見つかることがあります。
これらの4ステップを着実に実行することで、あなたのキャリアの価値を最大限に引き出し、採用担当者の目に留まる職務経歴書を完成させられます。
採用担当者に響く職務経歴書作成の6つのポイント
書類選考を通過するためには、基本的な項目を埋めるだけでなく、他の応募者と差をつけるための工夫が必要です。採用担当者は日々多くの職務経歴書に目を通しており、その中で「会ってみたい」と思わせるには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。ここでは、あなたの職務経歴書をワンランク上のものにするための6つの秘訣を紹介します。
① 応募企業に合わせて内容を最適化する
最も重要なポイントは、職務経歴書を使い回さず、応募する一社一社に合わせて内容をカスタマイズ(最適化)することです。多くの応募者が同じ職務経歴書を複数の企業に送りがちですが、これは採用担当者に見抜かれます。「誰にでも当てはまる内容」は、「誰の心にも響かない内容」と同じです。
まず、応募企業の求人情報を徹底的に読み解きます。「事業内容」「仕事内容」「求める人物像」「必須・歓迎スキル」などのキーワードを抽出し、その企業がどのような人材を求めているのかを正確に把握します。その上で、あなたの数ある経験やスキルの中から、企業のニーズに最も合致するものをハイライトし、専門用語も企業に合わせて調整します。
例えば、同じ営業職の募集でも、A社が「既存顧客との関係構築」を重視しているのに対し、B社が「新規市場の開拓」を求めているのであれば、アピールすべき実績やエピソードは自ずと変わってきます。A社には「既存顧客からのリピート率を〇%向上させた経験」を、B社には「未開拓エリアで新規契約を〇件獲得した実績」を強調するなど、相手に合わせた「おもてなしの心」が大切です。この一手間が、あなたの熱意と志望度の高さを伝える強力なメッセージとなります。
② A4用紙1〜2枚に簡潔にまとめる
多忙な採用担当者が一つの職務経歴書に目を通す時間は、決して長くありません。伝えたいことが多いからといって、何枚にもわたる長文の書類を作成してしまうと、要点が分からず、最後まで読んでもらえない可能性があります。
職務経歴書の理想的な枚数は、A4用紙で1〜2枚です。社会人経験が豊富な方でも、最大3枚までには収めるように心掛けましょう。社会人経験が浅い第二新卒や20代の方であれば、1枚にまとめるのが基本です。
枚数を抑えるためには、情報を「すべて書く」のではなく、「アピールに必要なものだけを書く」という意識が重要です。応募職種との関連性が薄い経験は省略するか、一行程度で簡潔に触れるに留めます。また、箇条書きや適度な余白を効果的に使い、視覚的にスッキリと見せることも、読みやすさを向上させる上で欠かせません。伝えたい情報を凝縮し、簡潔にまとめる能力も、ビジネススキルの一つとして評価されています。
③ 実績は具体的な数字で示す
自己PRや実績をアピールする際、最も説得力を持たせる方法が「数字」を用いることです。「売上に貢献しました」という曖昧な表現では、その貢献度合いが全く伝わりません。
「前年同月比で売上を120%達成した」「リーダーとして5名のチームをマネジメントし、プロジェクトを納期内に完了させた」「業務フローの見直しにより、月間の残業時間を一人あたり平均10時間削減した」のように、具体的な数字を入れることで、実績の規模感やインパクトが明確になり、客観的な事実として信頼性が格段に高まります。
営業職や販売職のように数字で示しやすい職種はもちろん、事務職や管理部門であっても、「〇〇の導入により、書類処理の時間を30%短縮」「マニュアル作成により、新人教育の期間を2週間から1週間に短縮」など、工夫次第で定量的に表現できることは多くあります。どうしても数字で示せない場合は、「どのような工夫をして、どのようなポジティブな変化(周囲からの評価など)があったか」を具体的に記述しましょう。
④ 見やすいレイアウトを心掛ける
どれだけ素晴らしい内容が書かれていても、文字が詰まりすぎていたり、構成が分かりにくかったりすると、読む気力を削いでしまいます。職務経歴書は、中身だけでなく「見た目の美しさ」も重要です。見やすいレイアウトは、あなたが読み手に対して配慮できる人物であることを示すことにも繋がります。
【レイアウトのチェックポイント】
- フォントとサイズ: フォントは「MS明朝」や「メイリオ」など、ビジネス文書で一般的に使われるものを選びます。サイズは10.5pt〜12pt程度が見やすいでしょう。
- 余白: 上下左右に適切な余白を設けることで、圧迫感がなくなり、洗練された印象になります。
- 見出し: 見出しを立てて情報をグループ化し、太字にするなどして強調すると、どこに何が書かれているかが一目で分かります。
- 箇条書き: 業務内容や実績を説明する際は、だらだらと文章で書くのではなく、箇条書きを活用することで、要点が整理され、格段に読みやすくなります。
- 統一感: 文末の表現(「です・ます調」または「である調」)や西暦・和暦の表記などを、書類全体で統一します。
これらの細やかな配慮が、書類全体のクオリティを高め、採用担当者に好印象を与えます。
⑤ 専門用語を避け分かりやすい言葉で書く
前職の社内でしか通用しない略語や、特定の業界だけで使われる専門用語(ジャーゴン)を多用するのは避けましょう。採用担当者が必ずしもその分野の専門家であるとは限りません。一次選考を担当するのが人事部の場合、現場の専門用語が理解されず、あなたの素晴らしい経験が正しく評価されないリスクがあります。
職務経歴書は、その業界に詳しくない人が読んでも理解できる、平易な言葉で書くのが原則です。どうしても専門用語を使わなければ説明が難しい場合は、「〇〇(△△を実現するための分析手法)」のように、簡単な注釈を加える配慮をしましょう。自分の経験を客観的に見つめ直し、誰にでも伝わる言葉に翻訳する作業は、コミュニケーション能力の高さを示すことにも繋がります。
⑥ パソコンでの作成が基本
現代のビジネスシーンにおいて、職務経歴書はパソコンで作成するのが一般的です。企業から特別な指定がない限り、手書きで作成する必要はありません。
パソコンで作成することには、以下のようなメリットがあります。
- ビジネススキルのアピール: WordやExcelなどの基本的なOAスキルがあることを示せます。
- 修正・編集の容易さ: 内容の修正や、応募企業ごとのカスタマイズが簡単に行えます。
- 可読性の高さ: 誰が読んでも読みやすい、均一で整った文字で作成できます。
- データでの提出に対応: 近年主流となっているメールや応募フォームでのデータ提出にスムーズに対応できます。
手書きの文字に自信がある場合でも、ビジネス文書としての体裁や効率性を考慮すると、パソコンでの作成を強く推奨します。作成ソフトは、最も一般的なWordが良いでしょう。
職務経歴書の3つの基本フォーマット
職務経歴書には、決まった様式はありませんが、キャリアの伝え方によって大きく3つの基本フォーマットに分類されます。それぞれの特徴を理解し、自身の経歴や応募する職種、アピールしたいポイントに合わせて最適なフォーマットを選ぶことが、効果的な書類作成の鍵となります。
フォーマット種類 | 特徴 | メリット | デメリット | おすすめな人 |
---|---|---|---|---|
逆編年体形式 | 直近の職歴から過去へと遡って記述する形式。現在最も一般的。 | 最新のスキルや経験を最初にアピールでき、即戦力性を強調しやすい。 | 職務内容が大きく変わっている場合、キャリアの一貫性が見えにくいことがある。 | ・キャリアに一貫性がある人 ・直近の経験を最もアピールしたい人 ・同業種・同職種へ転職する人 |
編年体形式 | 過去の職歴から現在へと時系列に沿って記述する形式。伝統的なスタイル。 | キャリアの変遷や成長のプロセスが分かりやすい。 | 最新の職歴が最後になるため、アピールしたい経験が埋もれがちになる。 | ・社会人経験が浅い第二新卒など ・卒業後のキャリアの歩みを伝えたい人 ・職歴が少ない人 |
キャリア形式 | 時系列ではなく、職務内容やスキル分野ごとに経歴をまとめて記述する形式。 | 特定の専門性やスキルを強力にアピールできる。転職回数の多さやブランク期間を目立たなくできる。 | どの時期にどの会社で何をしていたかが分かりにくい。作成の難易度が高い。 | ・専門職(ITエンジニア、クリエイター等) ・転職回数が多い人 ・異業種・未経験職種へ挑戦する人 |
① 逆編年体形式
逆編年体形式は、現在の職歴(または直近の職歴)から始まり、過去に遡って経歴を記述していくフォーマットです。採用担当者が最も知りたいのは「今、何ができるのか」ということ。この形式は、最新かつ最もアピールしたい経験やスキルを最初に提示できるため、即戦力性を効果的に伝えることができます。
多くの採用担当者はこの形式に慣れ親しんでいるため、スムーズに内容を理解してもらいやすいというメリットもあります。特に、これまでのキャリアに一貫性があり、直近の業務内容が応募職種と強く関連している場合には最適なフォーマットと言えるでしょう。現在、転職市場で最も広く使われているのが、この逆編年体形式です。どのフォーマットを使うか迷ったら、まずはこの形式で作成してみることをおすすめします。
② 編年体形式
編年体形式は、学校卒業後の最初の職歴から始まり、時系列に沿って現在までの経歴を記述していく、最も伝統的なフォーマットです。あなたのキャリアの歩みや、経験を積む中での成長過程を分かりやすく示すことができます。
この形式は、社会人経験がまだ浅い第二新卒や20代の方に適しています。限られた経験の中で、どのようにスキルを習得し、成長してきたかをストーリーとして伝えやすいからです。また、異業種から現在の職種へキャリアチェンジした経緯などを丁寧に説明したい場合にも有効です。
ただし、キャリアが長い方の場合、直近の重要な経験が書類の後半に来てしまうため、採用担当者の目に留まりにくくなるというデメリットもあります。アピールしたい最新のスキルが埋もれてしまわないよう、職務要約でしっかりと強みをアピールするなどの工夫が必要です。
③ キャリア形式
キャリア形式(職務分野別形式)は、時系列にとらわれず、「営業」「マーケティング」「プロジェクトマネジメント」といった職務内容や、「〇〇業界向けソリューション」「△△技術」といったスキル分野ごとに、関連する経験や実績をまとめて記述するフォーマットです。
この形式の最大のメリットは、特定の専門性やスキルセットを際立たせてアピールできることです。例えば、複数の会社で同様のプロジェクトマネジメント経験を積んできた場合、それらを一つにまとめて示すことで、その分野における深い知見と実績を強調できます。
また、転職回数が多い方や、職歴にブランク(空白期間)がある方にとっても有効なフォーマットです。時系列が主体ではないため、経歴のマイナス面が目立ちにくくなります。専門性の高いITエンジニアやクリエイター、特定のスキルを活かして異業種へ転職を目指す方などにも適しています。
一方で、どの期間にどの会社で何をしていたのかが分かりにくくなるため、別途、簡単な職歴のサマリーを時系列で記載するなどの配慮が必要です。作成の難易度は他の形式より高めですが、自身のキャリアを最も効果的に見せられる強力なフォーマットです。
すぐに使える職務経歴書テンプレート【Word形式】
ここでは、前述した3つの基本フォーマットに基づいた職務経歴書のテンプレート構成例をテキストで紹介します。これらの構成を参考に、Wordなどの文書作成ソフトでご自身の職務経歴書を作成してみてください。各項目にどのような内容を記述すべきかのガイドも記載していますので、キャリアの棚卸しとあわせてご活用ください。
逆編年体形式のテンプレート
現在最も一般的なフォーマットです。直近の経験を強くアピールしたい場合に最適です。
職務経歴書
[日付:YYYY年MM月DD日]
[氏名:〇〇 〇〇]
■職務要約
[これまでのキャリアの概要と自身の強みを200~300字程度で簡潔にまとめます。採用担当者が最初に読む部分なので、最もアピールしたい実績やスキルを盛り込みましょう。]
■職務経歴
[直近の職歴から順に記載します。]
株式会社〇〇(在籍期間:YYYY年MM月~現在)
事業内容:〇〇〇〇
資本金:〇〇円
従業員数:〇〇名
[所属部署・役職] 営業部 営業第一課(YYYY年MM月~現在)
[業務内容]
・(業務内容1:担当領域、顧客、商材など)
・(業務内容2:具体的なアクション、役割など)
・(業務内容3:後輩指導、チームでの役割など)
[実績]
・(売上目標達成率、契約件数など、具体的な数字で示します)
・(業務改善によるコスト削減、効率化など)
株式会社△△(在籍期間:YYYY年MM月~YYYY年MM月)
事業内容:△△△△
資本金:△△円
従業員数:△△名
[所属部署・役職] 〇〇部 〇〇課(YYYY年MM月~YYYY年MM月)
[業務内容]
・(具体的な業務内容を箇条書きで記載)
[実績]
・(具体的な実績を数字で記載)
■活かせる経験・知識・スキル
・PCスキル(Word、Excel、PowerPointなど、具体的なレベルを記載)
・語学(TOEICスコア、実務での使用経験など)
・専門スキル(プログラミング言語、デザインツール、マーケティング手法など)
■保有資格
・〇〇免許(YYYY年MM月取得)
・〇〇検定〇級(YYYY年MM月取得)
■自己PR
[職務経歴で示した実績の裏付けとなる、自身の強みや仕事への姿勢をアピールします。具体的なエピソードを交え、入社後にどのように貢献できるかを記述しましょう。300~400字程度が目安です。]
以上
編年体形式のテンプレート
キャリアのスタートから順に記述するフォーマット。社会人経験が浅い方や、成長過程をアピールしたい場合に適しています。
職務経歴書
[日付:YYYY年MM月DD日]
[氏名:〇〇 〇〇]
■職務要約
[キャリアの概要と強みを200~300字でまとめます。編年体形式は最新の職歴が最後に来るため、この要約部分で現在のスキルレベルをしっかりアピールすることが重要です。]
■職務経歴
[最初の職歴から順に記載します。]
株式会社△△(在籍期間:YYYY年MM月~YYYY年MM月)
事業内容:△△△△
資本金:△△円
従業員数:△△名
[所属部署・役職] 〇〇部 〇〇課(YYYY年MM月~YYYY年MM月)
[業務内容]
・(具体的な業務内容を箇条書きで記載)
[実績]
・(具体的な実績を数字で記載)
株式会社〇〇(在籍期間:YYYY年MM月~現在)
事業内容:〇〇〇〇
資本金:〇〇円
従業員数:〇〇名
[所属部署・役職] 営業部 営業第一課(YYYY年MM月~現在)
[業務内容]
・(業務内容1:担当領域、顧客、商材など)
・(業務内容2:具体的なアクション、役割など)
[実績]
・(売上目標達成率、契約件数など、具体的な数字で示します)
■活かせる経験・知識・スキル
・PCスキル(Word、Excel、PowerPointなど)
・語学(TOEICスコアなど)
■保有資格
・〇〇免許(YYYY年MM月取得)
■自己PR
[これまでの経験を通じて培った強みと、今後のポテンシャルや学習意欲をアピールします。入社後にどのように成長し、貢献していきたいかを具体的に示しましょう。]
以上
キャリア形式のテンプレート
スキルや専門分野ごとに経歴をまとめるフォーマット。専門職や転職回数が多い方、異業種へ挑戦する方に有効です。
職務経歴書
[日付:YYYY年MM月DD日]
[氏名:〇〇 〇〇]
■職務要約
[これまでのキャリアで培った専門分野と、最も得意とするスキルセットを200~300字で明確に提示します。応募職種で求められる専門性と合致する点を強調しましょう。]
■活かせる経験・知識・スキル
[最初にスキルをまとめて提示することで、専門性を強く印象付けます。]
・専門分野:〇〇、△△、□□
・テクニカルスキル:Java(〇年), Python(△年), AWS, MySQL など
・マネジメントスキル:プロジェクトマネジメント(〇件、〇名規模)、チームリーダー経験(△年)
■職務経歴(職務分野別)
[スキル分野ごとに、関連する業務経験と実績をまとめて記載します。]
【〇〇のプロジェクトマネジメント経験】
・プロジェクトA(株式会社〇〇 / YYYY年MM月~YYYY年MM月)
- 概要:〇〇システムの開発プロジェクト
- 役割:プロジェクトリーダー
- 規模:メンバー5名、予算〇〇円
- 実績:納期を1ヶ月前倒しで完遂、追加機能〇〇を実装。
・プロジェクトB(株式会社△△ / YYYY年MM月~YYYY年MM月)
- 概要:△△の導入支援プロジェクト
- 役割:テクニカルサポート
- 実績:導入後の顧客満足度アンケートで95%の「満足」評価を獲得。
【△△のWebアプリケーション開発経験】
・(担当した開発業務や実績を具体的に記載)
■職務経歴一覧
[どの会社にいつ在籍していたかが分かりにくいため、別途、簡易的な職歴一覧を記載します。]
YYYY年MM月~現在 株式会社〇〇(事業内容:〇〇)
YYYY年MM月~YYYY年MM月 株式会社△△(事業内容:△△)
■自己PR
[自身の専門性が、応募企業のどのような課題解決や事業発展に貢献できるかを具体的に論じます。専門性を追求してきた背景や、今後のキャリアビジョンについても触れると良いでしょう。]
以上
【職種別】職務経歴書の書き方例文20選
ここでは、20の代表的な職種について、職務経歴書の「職務要約」や「自己PR」で使える書き方のポイントと例文を紹介します。ご自身の職種に近いものを参考に、アピールポイントを整理してみてください。重要なのは、例文をそのまま使うのではなく、ご自身の経験や実績に合わせて内容を具体化することです。
① 営業職
【ポイント】
目標達成意欲、課題解決力、コミュニケーション能力をアピール。実績は「売上高」「目標達成率」「新規契約件数」「顧客単価」など、具体的な数字で示すことが不可欠です。
【職務要約 例文】
大学卒業後、法人向けITソリューションの新規開拓営業として5年間従事してまいりました。特に、中小企業向けの業務効率化提案を得意とし、顧客の潜在的な課題をヒアリングし、最適なソリューションを提案することで、担当エリアの売上を3年間で150%成長させた実績がございます。これまでに培った課題発見力と関係構築力を活かし、貴社のさらなる事業拡大に貢献したいと考えております。
② 事務職
【ポイント】
正確性、迅速性、業務改善・効率化への意識、サポート力をアピールします。「〇〇を導入して業務時間を月△時間削減」「マニュアル作成で問い合わせ件数を〇%削減」など、効率化の実績を具体的に示しましょう。PCスキルは必須です。
【自己PR 例文】
現職では営業事務として、見積書・請求書作成、受発注管理、電話・メール対応などを担当しております。常に「どうすればもっと効率的になるか」を考え、Excelマクロを独学で習得し、手作業で行っていた月次報告書の作成を自動化しました。これにより、毎月約5時間かかっていた作業を30分に短縮し、営業担当がコア業務に集中できる環境作りに貢献しました。この経験で培った業務改善への主体性とPCスキルを活かし、貴社の円滑な事業運営をサポートいたします。
③ 企画・マーケティング職
【ポイント】
市場分析力、論理的思考力、企画立案力、実行力、効果測定・改善のサイクルを回した経験をアピールします。「担当商品の売上〇%増」「WebサイトのCVRを〇%改善」「新規顧客獲得数〇〇人」など、企画がもたらした成果を数字で示します。
【職務要約 例文】
化粧品メーカーにて、3年間マーケティング担当として主に20代女性向け新商品の企画立案からプロモーション戦略の実行、効果測定までを一貫して担当してまいりました。Web広告やSNSを活用したデジタルマーケティングを得意とし、インフルエンサーと連携したキャンペーンを企画・実行した結果、発売後3ヶ月で目標の130%となる5万個の販売を達成しました。市場分析力と実行力を活かし、貴社のブランド価値向上に貢献できると確信しております。
④ 人事・総務職
【ポイント】
採用、労務、制度設計、教育研修など、担当分野の専門知識を明確にします。コミュニケーション能力、調整力、コンプライアンス意識の高さも重要です。「採用コストを〇%削減」「離職率を〇%改善」といった実績がアピール材料になります。
【自己PR 例文】
人事として、新卒・中途採用を5年間担当してまいりました。特に採用手法の見直しに注力し、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用を導入した結果、前年比で採用コストを20%削減しつつ、採用目標人数を達成しました。また、採用後の定着支援にも力を入れ、メンター制度の企画・導入を通じて、新入社員の入社後1年以内の離職率を15%から7%に改善させました。幅広い人事業務の経験と課題解決力を活かし、貴社の組織力強化に貢献いたします。
⑤ 経理・財務職
【ポイント】
月次・年次決算、税務申告、資金繰り、予算管理などの専門知識と経験を具体的に記述します。正確性、緻密さ、コスト意識の高さは必須。「経費精算システムの導入で月次決算を2営業日短縮」などの業務改善実績も有効です。
【職務要約 例文】
事業会社にて6年間、経理担当として日々の仕訳入力から月次・年次決算までの一連の業務を経験しました。会計ソフトは弥生会計、勘定奉行の使用経験がございます。近年は、クラウド会計ソフトへの移行プロジェクトにリーダーとして携わり、ペーパーレス化を推進。経費承認フローを効率化し、月次決算の締め日を3営業日早めることに成功しました。日商簿記2級の知識と業務改善経験を活かし、貴社の正確かつ迅速な経理業務に貢献いたします。
⑥ ITエンジニア・SE
【ポイント】
使用言語、フレームワーク、DB、OS、クラウド環境などの技術要素を具体的に、かつ経験年数も併記します。担当したプロジェクトの規模、内容、自身の役割(PL/PM、設計、開発、テストなど)を明確にしましょう。
【活かせる経験・知識・スキル 例文】
・言語:Java (5年), Python (3年), JavaScript (5年)
・フレームワーク:Spring Boot, Django, Vue.js
・データベース:MySQL, PostgreSQL
・インフラ/クラウド:AWS (EC2, S3, RDS, Lambda), Docker, Jenkins
・その他:Gitによるバージョン管理、アジャイル開発(スクラム)の経験
⑦ Webデザイナー・クリエイター
【ポイント】
ポートフォリオの提出が最も重要です。職務経歴書では、担当したプロジェクトの概要、自身の担当範囲(デザイン、コーディングなど)、デザインの意図、使用ツール(Photoshop, Illustrator, Figma, etc.)、そして「デザイン変更によりUI/UXがどう改善し、PV数やCVRにどう貢献したか」を記述します。
【自己PR 例文】
Web制作会社で4年間、Webデザイナーとして従事し、主にECサイトのUI/UXデザインを担当してまいりました。常にユーザー視点を第一に考え、A/Bテストを繰り返しながらデザイン改善に取り組んでいます。前職で担当したECサイトでは、購入ボタンの配置と配色を見直すことで、クリック率を1.5倍、最終的なコンバージョン率を1.2倍に向上させた実績がございます。デザインスキルだけでなく、HTML/CSS、JavaScriptの基礎知識もあり、エンジニアとの円滑な連携が可能です。
⑧ 販売・サービス職
【ポイント】
接客スキル、コミュニケーション能力はもちろん、個人売上実績、店舗売上への貢献度、顧客単価、リピート率などを数字で示します。店長経験があれば、スタッフ育成や在庫管理、売上管理などのマネジメントスキルもアピールしましょう。
【職務要約 例文】
アパレルブランドの販売員として5年間勤務し、うち2年間は副店長として店舗運営に携わりました。お客様一人ひとりに合わせた丁寧な接客を心掛け、個人の売上目標を24ヶ月連続で達成。また、顧客管理を徹底し、DM送付やパーソナルな声かけにより、担当顧客のリピート率を店舗平均の1.5倍まで引き上げました。スタッフの接客指導にも力を入れ、チーム全体の売上向上に貢献しました。
⑨ 飲食関連職
【ポイント】
店舗運営能力(ホール、キッチン)、売上管理、原価管理、衛生管理、人材育成などの経験をアピールします。「新メニュー開発で売上〇%増」「オペレーション改善で提供時間を〇分短縮」といった具体的な実績が有効です。
【自己PR 例文】
イタリアンレストランで店長として3年間、店舗運営全般を担いました。FLコスト管理を徹底し、食材の廃棄ロス削減やシフトの最適化により、利益率を5%改善しました。また、地域の特産品を使った季節限定メニューを企画し、SNSでの情報発信を強化した結果、前年比で客単価を10%向上させることに成功しました。アルバイトスタッフの育成にも力を入れ、主体的に動けるチーム作りを実現しました。
⑩ 建築・土木技術職
【ポイント】
担当した工事の種類(マンション、橋梁、道路など)、規模(請負金額、工期)、工法、自身の役職(現場代理人、監理技術者など)を具体的に記述します。保有資格(建築士、施工管理技士など)は必須のアピールポイントです。
【職務経歴 例文】
・工事名称:〇〇駅前再開発に伴うオフィスビル新築工事
・発注者:〇〇建設株式会社
・工期:YYYY年MM月~YYYY年MM月
・構造/規模:S造、地上15階建、延床面積〇〇㎡
・請負金額:〇〇億円
・立場/担当:現場代理人として、工程管理、品質管理、安全管理、原価管理、発注者との折衝など現場全体の統括を担当。
⑪ 医療・福祉専門職(看護師・介護士など)
【ポイント】
保有資格、経験年数、所属していた施設の種類(急性期病院、クリニック、特別養護老人ホームなど)と規模(病床数など)、担当業務を明確にします。対応可能な医療行為やケア内容、リーダーや教育担当などの経験も重要です。
【職務要約 例文】
看護師として、〇〇大学病院の循環器内科病棟にて5年間勤務してまいりました。急性期から終末期まで、幅広い病態の患者様の看護を経験し、心電図モニターの管理や救急対応にも習熟しております。プリセプターとして新人看護師の指導を2年間担当した経験もございます。これまでの臨床経験で培ったアセスメント能力とコミュニケーション能力を活かし、貴院の地域医療に貢献したいと考えております。
⑫ 保育士・教育関連職
【ポイント】
担当したクラスの年齢や人数、年間指導計画の作成、行事の企画・運営、保護者対応などの経験を具体的に記述します。子どもたちの安全管理や発達支援に対する自身の考え方や工夫もアピールしましょう。
【自己PR 例文】
認可保育園で5年間、3歳児クラスの担任として従事しました。子どもたちの主体性を尊重した保育を心掛け、自然素材を使った遊びや、異年齢交流の機会を積極的に取り入れました。特に、保護者との連携を重視し、毎日の連絡帳での丁寧なやり取りや、個別面談の実施により、信頼関係を構築。保護者アンケートでは「安心して預けられる」との評価を多数いただきました。
⑬ 金融専門職
【ポイント】
所属機関(銀行、証券、保険など)、担当業務(個人/法人営業、融資、ディーリングなど)、取扱商品、営業実績(預かり資産、新規契約額など)を具体的に示します。コンプライアンス意識の高さも重要です。
【職務要約 例文】
都市銀行にて7年間、個人顧客向けの資産運用コンサルティングに従事。投資信託、保険商品、NISAなどを活用し、お客様のライフプランに合わせたポートフォリオを提案してまいりました。担当顧客の預かり資産残高を3年間で5億円から8億円に拡大させた実績があります。ファイナンシャル・プランニング技能士2級の知識を活かし、貴社においても顧客満足度の高い提案を実現します。
⑭ コンサルタント
【ポイント】
所属ファームの専門領域(戦略、IT、人事など)、担当したプロジェクトの業界、テーマ、期間、自身の役割、そして「クライアントの課題をどのように解決し、どのような成果(売上増、コスト削減など)に貢献したか」を具体的に記述します。
【自己PR 例文】
ITコンサルティングファームにて、製造業のクライアントを中心に、基幹システムの刷新プロジェクトを5件担当しました。要件定義から設計、導入支援まで一貫して携わり、クライアントの業務プロセスの分析を通じて、課題を的確に抽出・整理することを得意としています。あるプロジェクトでは、新システムの導入により、在庫管理業務の工数を40%削減し、年間約3,000万円のコスト削減を実現しました。
⑮ 不動産専門職
【ポイント】
担当業務(売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメント、開発など)、取扱物件の種類、営業実績(仲介件数、取扱高など)を明記します。宅地建物取引士などの資格は必須です。
【職務要約 例文】
不動産売買仲介会社にて、6年間、都心エリアのマンションを中心に営業活動を行ってまいりました。お客様のニーズを深く理解し、的確な物件提案と資金計画のサポートを行うことで、年間平均30件の売買契約を成立させてきました。宅地建物取引士として、重要事項説明から契約、引き渡しまで責任を持って担当できます。
⑯ 製造・生産管理
【ポイント】
生産性向上(リードタイム短縮など)、品質管理(QC活動、不良率低減)、コスト削減、安全管理などの実績を数字で示します。5S、カイゼン、TQM、IEなどの知識や実践経験も強力なアピールになります。
【自己PR 例文】
自動車部品メーカーで生産管理を8年間担当し、生産計画の立案から工程管理、品質改善まで幅広く携わりました。IE手法を用いて生産ラインのボトルネックを分析し、工程改善を行った結果、製品1つあたりの生産時間を15%短縮しました。また、QCサークル活動を主導し、不良品発生率を0.5%から0.2%に低減させた実績があります。
⑰ 研究・開発職
【ポイント】
研究テーマ、専門分野、使用した分析機器や実験手法、開発した製品や技術について具体的に記述します。特許の出願・取得件数、学会発表、論文投稿の実績は非常に重要です。
【活かせる経験・知識・スキル 例文】
・専門分野:高分子化学、ポリマーアロイの物性研究
・研究テーマ:〇〇樹脂の耐衝撃性向上に関する研究
・使用機器:電子顕微鏡(SEM),示差走査熱量計(DSC),フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)
・実績:本研究に関する特許を2件出願(うち1件は登録済)、〇〇国際学会にてポスター発表(YYYY年)
⑱ 公務員
【ポイント】
所属していた官公庁・自治体名、部署、担当業務を具体的に記述します。「〇〇計画の策定」「△△条例の改正業務」「□□事業の予算執行管理」など、どのような法令や計画に基づいて、どのような業務を遂行したかを明確にします。民間企業への転職の場合は、調整力や資料作成能力、法令遵守意識などをアピールします。
【職務要約 例文】
〇〇市役所の市民課にて5年間、窓口業務および各種証明書の発行業務を担当。その後、企画課に異動し、3年間「〇〇市総合計画」の策定および進行管理に携わりました。関係各課との調整や、市民向け説明会の企画・運営、議会対応資料の作成などを通じて、高い調整能力と文書作成能力を培いました。
⑲ 第二新卒
【ポイント】
短い社会人経験の中で、何を学び、どのようなスキルを身につけたかを具体的に示します。実績よりも、仕事に対する意欲、学習意欲、ポテンシャルを強調することが重要です。「指示されたことだけでなく、自ら考えて行動した経験」などをアピールしましょう。
【自己PR 例文】
前職では約1年間、Web広告の営業として新規顧客の開拓に従事しました。短い期間ではありましたが、ビジネスマナーの基礎から、顧客へのヒアリング、提案書の作成までの一連の営業プロセスを学びました。特に、お客様からいただいたご意見を週次ミーティングで共有し、サービス改善に繋げる提案を自発的に行った経験は、主体的に仕事に取り組む姿勢を身につける上で大きな糧となりました。若さを活かした吸収力と行動力で、一日も早く貴社に貢献できる人材になります。
⑳ 未経験職種への応募
【ポイント】
これまでの経験の中から、応募職種でも活かせる「ポータブルスキル」(持ち運び可能なスキル)を抽出してアピールします。例えば、営業職から企画職へ応募する場合、「顧客の課題を分析し、解決策を提案してきた課題解決能力」は共通して活かせます。なぜその職種に挑戦したいのかという強い意欲と、現在行っている自己学習(資格勉強、スクール通学など)を具体的に示すことが不可欠です。
【自己PR 例文】
現職の販売員として、5年間でお客様のニーズを汲み取り、最適な商品を提案するスキルを磨いてまいりました。この「課題ヒアリング能力」と「提案力」は、お客様の潜在的な課題を解決するWebマーケターの仕事においても必ず活かせると考えております。現在、Webマーケティングの専門知識を体系的に学ぶため、オンラインスクールに通い、Web解析士の資格取得に向けて勉強中です。未経験ではありますが、熱意と学習意欲は誰にも負けません。
職務経歴書の提出方法とマナー
丹精込めて作成した職務経歴書も、提出時のマナーが守られていなければ、採用担当者にマイナスの印象を与えかねません。提出方法は主に「メール」「郵送」「面接持参」の3つです。それぞれの方法に応じた注意点をしっかり押さえ、最後まで好印象を保ちましょう。
メールでデータを送る場合
近年、最も一般的となっているのがメールでのデータ提出です。手軽で迅速な反面、いくつか注意すべきビジネスマナーがあります。
#### ファイル形式はPDFが基本
職務経歴書や履歴書をデータで送る際は、ファイル形式を「PDF」に変換するのが鉄則です。WordやExcelのままで送ってしまうと、受け取った相手のPC環境(OSやソフトのバージョンの違い)によってはレイアウトが崩れて表示されたり、最悪の場合ファイルが開けなかったりするリスクがあります。また、第三者による意図しない編集や改ざんを防ぐという意味でも、PDF形式が推奨されます。Wordなどのソフトには、作成した文書をPDF形式で保存・エクスポートする機能が標準で備わっています。
#### ファイル名にも配慮する
採用担当者は、日々多くの応募者からメールを受け取ります。ファイル名が「職務経歴書.pdf」のような単純なものだと、誰の何の書類なのか一目で分からず、管理の手間をかけさせてしまいます。
「職務経歴書_氏名フルネーム_YYYYMMDD.pdf」「(応募職種)職務経歴書_〇〇〇〇.pdf」のように、「書類の種類」「氏名」「(任意で)提出日」を入れるのが親切です。履歴書も同様のルールで命名し、2つのファイルを送る場合は、「履歴書_氏名フルネーム_YYYYMMDD.pdf」のように統一感を持たせましょう。こうした細やかな配慮が、あなたのビジネスパーソンとしての評価に繋がります。
#### パスワード設定の有無を確認する
セキュリティ意識の高まりから、ファイルにパスワードを設定することを考える方もいるかもしれません。しかし、企業からの指示がない限り、応募書類にパスワードを設定するのは避けるのが一般的です。パスワードを設定すると、採用担当者がファイルを開く際に一手間増えることになり、わずらわしさを感じさせてしまう可能性があります。また、パスワードを記載したメールとファイルを添付したメールを分ける必要があり、管理が煩雑になります。
もし企業側からパスワード設定の指示があった場合は、その指示に従います。その際は、ファイルを添付したメールとは別のメールでパスワードを通知するのが基本的なマナーです。
郵送する場合
企業によっては、応募書類の郵送を求められる場合があります。物理的な書類を送るため、クリアファイルや添え状など、データ提出とは異なる準備が必要です。
#### 添え状(送付状)を同封する
郵送でビジネス書類を送る際は、「添え状(送付状)」を同封するのがビジネスマナーです。添え状とは、「誰が(差出人)」「誰に(宛先)」「何を(同封書類)」「何のために(応募の旨)」送ったのかを伝えるための挨拶状です。
添え状には、①日付、②宛名(会社名、部署名、担当者名)、③自分の連絡先と氏名、④件名(「応募書類の送付につきまして」など)、⑤頭語・結語(「拝啓・敬具」)、⑥本文(応募の経緯や簡単な挨拶)、⑦同封書類の一覧(「記」として箇条書き)を記載します。A4サイズ1枚で簡潔に作成しましょう。
#### 書類はクリアファイルにまとめる
提出する書類(添え状、履歴書、職務経歴書など)は、無色透明のクリアファイルにまとめてから封筒に入れます。これにより、郵送中に雨で濡れたり、汚れたり、折れ曲がったりするのを防ぐことができます。書類を重ねる順番は、上から①添え状、②履歴書、③職務経歴書、④その他の書類(ポートフォリオなど)とするのが一般的です。採用担当者が最初に目にするのが挨拶状である添え状、という流れを意識しましょう。
封筒は、A4サイズの書類が折らずに入る「角形2号(角2)」の白無地のものを選びます。封筒の表面には宛名を、裏面には自分の住所と氏名を丁寧に記入し、切手を貼って投函します。
面接に持参する場合
応募書類を事前にデータや郵送で提出済みであっても、面接時には念のため、印刷したものを一部持参するのがマナーです。面接官が手元に書類を用意していない場合や、複数人の面接官がいて書類が不足している場合に、スムーズにお渡しできます。
持参する場合も、郵送時と同様にクリアファイルに入れておきましょう。カバンの中で書類が汚れたり折れたりするのを防ぎ、面接官から提出を求められた際にさっと綺麗に取り出せます。面接が始まる際に「応募書類を持参いたしましたが、いかがいたしましょうか」と一言尋ねるか、面接官から指示があった際に提出しましょう。すぐに取り出せるように、カバンの外ポケットなどに入れておくとスマートです。
職務経歴書の書き方に関するよくある質問
職務経歴書を作成していると、様々な疑問や不安が出てくるものです。ここでは、多くの求職者が抱きがちな質問に対して、Q&A形式で分かりやすくお答えします。
手書きとパソコン作成はどちらが良い?
結論から言うと、企業から特に指定がない限り、パソコンでの作成を強く推奨します。
現代のビジネスシーンでは、WordやExcelといったPCスキルは必須とされています。パソコンで作成された職務経歴書は、それ自体が基本的なITリテラシーを持っていることの証明になります。また、以下のメリットもあります。
- 可読性が高い: 誰が読んでも読みやすい、整った文書を作成できます。
- 修正・複製が容易: 内容の修正や、応募企業ごとのカスタマイズが簡単に行えます。
- データ提出に対応しやすい: メールやWebフォームでの応募が主流の現在、データで管理できる方が効率的です。
一部、手書きの文字から人柄を見たいと考える企業や、伝統を重んじる業界も存在しますが、ごく稀なケースです。迷った場合は、パソコンで作成しておけば間違いありません。
職務経歴書は何枚にまとめるのがベスト?
A4用紙で1〜2枚がベストです。多くても3枚以内に収めましょう。
採用担当者は多忙であり、長すぎる書類は敬遠される傾向にあります。伝えたい情報を簡潔にまとめる能力も評価の対象となります。
- 社会人経験が5年未満の方: 1枚にまとめるのが基本です。
- 社会人経験が5年以上の方: 2枚程度が適切です。アピールしたい実績が多い場合でも、最大3枚までを目安にしましょう。
情報を詰め込みすぎるのではなく、応募職種と関連性の高い経験を優先的に記載し、取捨選択する意識が重要です。余白を活かした見やすいレイアウトを心掛けてください。
志望動機や退職理由は書くべき?
- 志望動機: 職務経歴書に必須の項目ではありませんが、自己PR欄に含める形で記述すると、入社意欲を強くアピールできます。「自身の〇〇という強みは、貴社の△△という事業に貢献できると考え、志望いたしました」のように、自身の強みと企業の接点を示す形で盛り込むのが効果的です。履歴書に志望動機欄がある場合は、そちらに記載し、職務経歴書ではより詳細な業務経験のアピールに注力するのも良いでしょう。
- 退職理由: 基本的には、職務経歴書に詳細な退職理由を書く必要はありません。ネガティブな印象を与えかねないため、面接で聞かれた際に口頭でポジティブに説明できるよう準備しておくのが得策です。職歴の末尾に「一身上の都合により退職」または「会社都合により退職」と簡潔に記載するだけで十分です。
転職回数が多い場合はどう書けばいい?
転職回数の多さが気になる場合は、「キャリア形式」のフォーマットを活用するのがおすすめです。時系列ではなく、「営業スキル」「マネジメント経験」といったスキルや職務分野ごとに経歴をまとめることで、一貫した専門性やキャリアの軸をアピールできます。
自己PRでは、複数の企業で経験を積んだからこそ得られた「多様な環境への適応力」「幅広い業界知識」「多角的な視点」などをポジティブな強みとして伝えましょう。それぞれの転職に目的があったことを示し、場当たり的な転職ではないことを論理的に説明することが重要です。
職歴にブランク(空白期間)がある場合は?
まず、ブランク期間があることを隠さずに正直に記載することが大切です。経歴を偽ることは経歴詐称にあたります。その上で、ブランク期間中の過ごし方をポジティブに説明しましょう。
例えば、「資格取得のための勉強」「語学留学」「出産・育児」「家族の介護」など、理由を簡潔に記載します。さらに、その期間中に応募職種に活かせるスキルや知識を習得しようと努力していたことをアピールできると理想的です。「育児期間中に、将来の復職を見据えてWebデザインのオンライン講座を受講し、〇〇のスキルを習得しました」のように、ブランク期間をキャリアにとってプラスの時間であったと説明しましょう。
正社員経験がなく派遣・契約・アルバイト経験のみの場合は?
雇用形態に関わらず、仕事を通じて得た経験やスキルはすべて立派な職歴です。正社員経験がないことを気にする必要はありません。職務経歴書には、派遣社員、契約社員、アルバイトとして担当した業務内容と実績を、正社員の場合と同様に具体的に記述します。
派遣社員として複数の企業で働いた経験がある場合は、派遣先企業ごとに「在籍期間」「企業名」「事業内容」「担当業務」を分かりやすくまとめます。様々な職場で経験を積んだことで得られた「高い順応性」や「幅広い業務知識」は、アピールポイントになり得ます。
第二新卒など社会人経験が短い場合は?
社会人経験が短い第二新卒の場合、実績よりも「ポテンシャル」「学習意欲」「仕事へのスタンス」をアピールすることが重要です。短い期間であっても、その中で何を学び、どのような姿勢で仕事に取り組んだのかを具体的に示しましょう。
例えば、「先輩の指導を素直に受け入れ、一度教わったことはメモを取って確実に身につけるよう努めた」「日々の業務の中で疑問点があればすぐに質問・相談し、早期解決を心掛けた」など、基本的なビジネススタンスを示すエピソードが有効です。自己PRでは、今後の成長への強い意欲と、企業に貢献したいという熱意を伝えましょう。
異業種・未経験職種へ応募する場合のポイントは?
異業種・未経験職種への転職では、これまでの経験の中から、応募職種でも活かせる「ポータブルスキル」を的確に抽出してアピールすることが最大のポイントです。ポータブルスキルとは、業種や職種が変わっても持ち運びが可能な、汎用性の高いスキルのことです。
【ポータブルスキルの例】
- コミュニケーション能力
- 課題解決能力
- 論理的思考力
- マネジメントスキル(リーダーシップ、後輩指導など)
- PCスキル
例えば、販売職からIT営業へ転職する場合、「お客様のニーズをヒアリングし、最適な商品を提案してきた経験は、クライアントの課題を解決するソリューション営業にも活かせます」といった形でアピールします。加えて、なぜその業界・職種に挑戦したいのかという強い動機と、すでに行っている自己学習(資格取得の勉強、関連書籍の読破など)を具体的に示すことで、本気度と熱意を伝えられます。