Webマーケティングにおいて、コンバージョン獲得の要となる「LP(ランディングページ)」。広告や検索結果から訪れたユーザーを、商品購入や問い合わせといった具体的な成果へと導くために、その設計は極めて重要です。しかし、成果の出るLPを制作するには専門的な知識とノウハウが必要であり、「自社で作るべきか、外注すべきか」「どの制作会社に依頼すれば良いのか」と悩む担当者の方も少なくありません。
この記事では、LP制作を検討している企業担当者に向けて、LPの基礎知識から制作会社の選び方、料金相場、さらには成果を最大化するための制作のコツまで、網羅的に解説します。LP制作の目的や自社の状況に合わせて最適な選択ができるよう、具体的なポイントを分かりやすく整理しました。
この記事を読めば、LP制作に関するあらゆる疑問が解消され、失敗しない制作会社選びと、成果につながるLP制作プロジェクトを推進できるようになるでしょう。まずはLPとは何か、その本質的な役割から理解を深めていきましょう。
目次
LP(ランディングページ)とは?
Webサイト制作やデジタルマーケティングの世界で頻繁に耳にする「LP(ランディングページ)」。言葉自体は知っていても、その正確な定義やホームページとの違い、そしてなぜビジネスにおいて重要なのかを深く理解している方は意外と少ないかもしれません。このセクションでは、LPの基本的な概念と、その目的・重要性について掘り下げて解説します。
LPの目的と重要性
LP(ランディングページ)とは、直訳すると「着地ページ」を意味し、検索結果やWeb広告、SNSの投稿などをクリックしたユーザーが最初に訪れる(着地する)ページのことです。広義にはWebサイト内のすべてのページがランディングページになり得ますが、Webマーケティングの世界で「LP」という場合、一般的には「商品購入」や「問い合わせ」「資料請求」といった特定のコンバージョン(CV)獲得に特化して作られた、縦長の1枚構成のWebページを指します。
LPの最大の目的は、訪問したユーザーに特定の行動(アクション)を促し、コンバージョンを達成することです。例えば、以下のようなゴールが設定されます。
- 商品・サービスの購入
- 問い合わせ・見積もり依頼
- 資料請求・ホワイトペーパーのダウンロード
- セミナー・イベントへの申し込み
- 無料トライアル・会員登録
- メルマガ登録
これらの目的を達成するために、LPは一般的なWebサイトとは異なる、特殊な構造と設計思想で作られます。ユーザーの注意を逸らさず、一直線にコンバージョンへと導くために、他のページへのリンクを極力排除し、情報を特定の順序で展開していくのが特徴です。
LPの重要性は、特にWeb広告との連携において際立ちます。リスティング広告やSNS広告などで集めた「見込み客」を、効率的に「顧客」へと転換させるための受け皿として、LPは不可欠な存在です。広告費をかけて集客しても、その受け皿であるLPの出来が悪ければ、ユーザーはすぐに離脱してしまい、広告費が無駄になってしまいます。コンバージョン率(CVR)の高いLPを持つことは、広告の費用対効果(ROAS)を最大化し、事業成長を加速させる上で極めて重要なのです。
LPとホームページの違い
LPとホームページ(コーポレートサイトなど)は、しばしば混同されがちですが、その目的と構造には明確な違いがあります。どちらが良い・悪いという話ではなく、それぞれの役割を理解し、目的に応じて使い分けることが重要です。
比較項目 | LP(ランディングページ) | ホームページ(公式サイト) |
---|---|---|
目的 | コンバージョン獲得(購入、問い合わせなど) | 情報提供、ブランディング、信頼性の担保 |
ページ構成 | 縦長の1ページ完結型 | 複数のページで構成される階層構造 |
ターゲット | 特定のニーズを持つ顕在層(広告などから流入) | 潜在層から既存顧客まで幅広い層 |
リンク構造 | 外部リンクや他ページへのリンクを極力排除 | サイト内を回遊させるための内部リンクが豊富 |
デザイン | ユーザーの感情に訴えかけ、行動を促すための強い訴求力を持つデザイン | 企業イメージやブランドの世界観を伝える、整理されたデザイン |
コンテンツ | ターゲットの課題解決に特化した、ストーリー性のある構成 | 会社概要、事業内容、採用情報、IR情報など網羅的な情報 |
ホームページの目的は、いわば「企業の顔」として、事業内容や理念、最新情報などを網羅的に伝え、訪問者との長期的な関係を築くことにあります。そのため、様々な情報にアクセスしやすいよう、複数のページとナビゲーションメニューで構成されています。訪問者はサイト内を自由に回遊し、自分の興味のある情報を探します。
一方、LPの目的は「セールスパーソン」のように、訪問者を説得し、たった一つのゴール(コンバージョン)へと導くことです。そのため、ユーザーが他の情報に気を取られて離脱しないよう、あえて他のページへのリンクを設置しません。ファーストビューで興味を引き、ボディで共感やメリットを伝え、クロージングで行動を促すという、計算された情報設計(ストーリーテリング)がなされています。
このように、LPとホームページは似て非なるものです。広告のリンク先としてホームページのトップページを設定してしまうケースが見られますが、これは機会損失に繋がる可能性が高いです。広告のメッセージと着地するページの内容が一致していることが、ユーザーの期待を裏切らず、コンバージョン率を高めるための鉄則です。そのため、特定のキャンペーンや商品プロモーションには、専用のLPを用意することが現代のWebマーケティングの常識となっています。
LP制作を依頼する前に知っておきたい料金相場
LP制作を外注しようと決めた際に、まず気になるのが「費用」ではないでしょうか。制作会社によって料金体系は様々で、数万円で作れるものから数百万円かかるものまで幅広く存在します。なぜこれほど価格に差があるのか、そして自社の目的や予算に合った依頼先をどう見極めれば良いのか。このセクションでは、LP制作の料金相場やその内訳、費用を抑えるコツについて詳しく解説します。
LP制作の費用相場まとめ
LP制作の費用は、主に「どこまでを依頼するか」によって大きく変動します。一般的に、以下の3つの価格帯に大別できます。それぞれの価格帯で依頼できる内容の目安を把握しておきましょう。
料金プラン | 費用相場 | 主な内容 |
---|---|---|
格安プラン | 〜30万円 | テンプレートを使用したデザイン、基本的なコーディング、テキスト・画像の支給が前提。 |
標準プラン | 30万円 〜 60万円 | オリジナルデザイン、企画・構成の提案、コピーライティング、基本的なSEO対策、レスポンシブ対応。 |
高品質・マーケティング重視プラン | 60万円以上 | 詳細な市場・競合分析、ペルソナ設計、戦略的な構成、A/Bテスト設計、LPOコンサルティング、広告運用連携。 |
この表はあくまで目安であり、制作会社の規模や実績、依頼内容の複雑さによって金額は変動します。重要なのは、価格の安さだけで選ぶのではなく、自社の目的を達成するために必要な要素が料金に含まれているかを確認することです。
料金別にできることの違い
次に、各料金プランで具体的にどのようなLPが制作できるのか、その特徴とメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
#### 〜30万円(格安プラン)
この価格帯は、コストを最優先したい場合に適したプランです。主に、既存のデザインテンプレートを活用して制作が進められます。
- できること:
- テンプレートデザインの適用
- 提供されたテキストと画像の反映
- 基本的なコーディングとサーバーへのアップロード
- メリット:
- 圧倒的に費用が安い
- 制作期間が短い(最短で1〜2週間程度)
- デメリット:
- デザインの自由度が低く、他社と似たようなLPになりがち
- マーケティング戦略や構成の提案は基本的に含まれない
- 成果(コンバージョン)に繋がりにくい可能性がある
- 向いているケース:
- とにかく予算が限られている
- 一時的なキャンペーン告知など、デザイン性をあまり問わない
- まずはLPというものを試してみたい
- 社内にマーケティング担当者がおり、構成案や原稿をすべて用意できる
格安プランでは、基本的に「手を動かす作業」のみを依頼するイメージです。成果を出すための戦略立案や分析といった「頭を使う部分」は自社で担う必要があると理解しておきましょう。
#### 30万円~60万円(標準プラン)
多くの企業がLP制作を依頼する際に選ぶ、最も一般的な価格帯です。テンプレートではなく、自社のサービスやブランドイメージに合わせたオリジナルデザインのLPを制作できます。
- できること:
- ヒアリングに基づく企画・構成案(ワイヤーフレーム)の作成
- オリジナルデザインの制作
- 基本的なコピーライティング
- スマートフォン表示への最適化(レスポンシブデザイン)
- 基本的な内部SEO対策
- メリット:
- 独自性のあるデザインでブランディングにも貢献できる
- ある程度のマーケティング視点を取り入れた構成が期待できる
- コストと品質のバランスが良い
- デメリット:
- 詳細な市場分析やペルソナ設計までは含まれないことが多い
- 公開後の改善(LPO)や広告運用は別途費用がかかる場合がほとんど
- 向いているケース:
- 初めて本格的なLP制作を外注する
- ある程度のクオリティと成果を両立させたい
- 自社の強みを的確に表現したLPが欲しい
この価格帯であれば、LP制作のプロとして、一定の成果を出すための提案が期待できます。制作会社との打ち合わせを通じて、二人三脚でLPを作り上げていくイメージです。
#### 60万円以上(高品質・マーケティング重視プラン)
この価格帯は、単にLPを「作る」だけでなく、「成果を最大化する」ことを目的としたプランです。制作前のリサーチや戦略設計に多くの時間を費やし、データに基づいたLP制作を行います。
- できること:
- 3C分析(市場・競合・自社)やペルソナの詳細な設計
- カスタマージャーニーマップの作成
- データに基づいた戦略的な情報設計とコピーライティング
- A/Bテストの複数パターン制作
- 公開後の効果測定、分析、改善提案(LPOコンサルティング)
- 広告運用との連携を前提とした設計
- メリット:
- コンバージョン率の最大化が期待できる
- Webマーケティング戦略全体から逆算した、精度の高いLPが手に入る
- 制作後の運用まで一気通貫でサポートしてもらえることが多い
- デメリット:
- 費用が高額になる
- 制作期間が長くなる(3ヶ月以上かかることも)
- 向いているケース:
- Web広告に大きな予算を投下しており、CPA(顧客獲得単価)を改善したい
- 競争の激しい市場で勝ち抜くためのLPが必要
- 社内にWebマーケティングの専門家がおらず、戦略立案から任せたい
事業の成否を大きく左右するような重要なプロジェクトの場合、初期投資はかかりますが、この価格帯のプランを検討する価値は十分にあります。
LP制作にかかる費用の内訳
LP制作の見積もりを取ると、様々な項目が並んでいます。それぞれの項目が何を指すのかを理解しておくことで、見積もりの妥当性を判断しやすくなります。
- ディレクション費: プロジェクト全体の進行管理や品質管理、クライアントとの窓口業務などにかかる費用です。総額の10〜20%程度が目安です。
- 企画・構成費: ターゲットや目的をヒアリングし、どのような情報をどのような順番で見せるかという「設計図(ワイヤーフレーム)」を作成する費用です。LPの成果を左右する非常に重要な部分です。
- デザイン費: ワイヤーフレームを元に、LPのビジュアルデザインを作成する費用です。LPの長さ(コンテンツ量)やデザインの複雑さによって変動します。
- コピーライティング費: LP内のキャッチコピーや説明文など、全てのテキストを作成する費用です。セールスライティングの専門知識が求められます。
- コーディング費: 完成したデザインを、Webブラウザで表示できるようにHTML/CSS/JavaScriptなどを使って実装する費用です。アニメーションなどの動きを加える場合は高くなります。
- 撮影・素材費: LPに使用する写真やイラストの費用です。カメラマンによる撮影や、有料素材サイトの利用料などが含まれます。
- その他: フォーム設置などのシステム開発が必要な場合、その開発費が別途かかることがあります。
これらの費用は、制作会社によっては「制作一式」としてまとめられている場合もあります。見積もりが不透明だと感じた場合は、内訳を詳しく説明してもらうようにしましょう。
LP制作後の運用にかかる費用
LPは作って終わりではありません。むしろ、公開してからがスタートです。成果を維持・向上させるためには、継続的な運用が必要となり、そこにも費用が発生します。
- サーバー・ドメイン代: LPを公開しておくための場所代と住所代です。年間で数千円〜2万円程度が一般的です。
- LPO(改善)費用: 公開後、アクセス解析やヒートマップ分析、A/Bテストなどを行い、LPを改善していくための費用です。月額制のコンサルティング契約(月5万円〜)や、施策ごとのスポット契約などがあります。
- 広告運用費: LPへの集客を行うための広告費です。リスティング広告やSNS広告など、媒体や規模によって大きく異なります。広告代理店に運用を依頼する場合は、広告費の20%程度を手数料として支払うのが一般的です。
- 保守管理費: テキストの修正や画像の差し替え、システムのアップデート対応など、軽微な更新作業を依頼するための費用です。月額数千円〜数万円が目安です。
LP制作の費用を安く抑えるコツ
予算が限られている中で、できるだけコストを抑えたいと考えるのは自然なことです。以下に、LP制作の費用を賢く抑えるためのいくつかのコツを紹介します。
- 原稿や素材(写真・イラスト)を自社で用意する: コピーライティングや写真撮影を自社で行うことで、その分の費用を削減できます。ただし、クオリティが低いとLP全体の成果に影響するため注意が必要です。
- テンプレートを活用する: オリジナルデザインにこだわらなければ、テンプレートを利用することでデザイン費やコーディング費を大幅に削減できます。
- 依頼範囲を絞る: 例えば、デザインとコーディングだけを依頼し、企画構成は自社で行うなど、得意な部分は自社で巻き取ることで費用を調整できます。
- 複数の会社から相見積もりを取る: 複数の会社から見積もりを取ることで、自社の要件に対する適正な価格相場を把握できます。価格交渉の材料にもなります。
- 補助金・助成金を活用する: IT導入補助金や小規模事業者持続化補助金など、Webサイト制作に活用できる制度があります。対象となるか、管轄の商工会議所や自治体に確認してみましょう。
- フリーランスに依頼する: 制作会社に比べて、フリーランスのデザイナーやコーダーに直接依頼する方が費用を抑えられる傾向があります。ただし、品質や進行管理は自己責任となる部分が大きくなります。
これらの方法を検討し、自社のリソースと求めるクオリティのバランスを取りながら、最適な発注方法を見つけることが重要です。
【失敗しない】LP制作会社の選び方7つのポイント
数あるLP制作会社の中から、自社のビジネスを成功に導いてくれるパートナーを見つけ出すのは簡単なことではありません。料金やデザインの好みだけで選んでしまうと、「思っていたような成果が出なかった」「コミュニケーションがうまくいかず、プロジェクトが頓挫した」といった失敗に繋がりかねません。ここでは、LP制作会社選びで失敗しないための7つの重要なポイントを解説します。
① 実績や得意な業種を確認する
LP制作会社を選ぶ上で、最も基本的かつ重要なのが「実績(ポートフォリオ)」の確認です。実績を見ることで、その会社のデザインのクオリティ、技術力、そしてどのようなLP制作を得意としているのかを具体的に把握できます。
特に注目すべきは、自社と同じ業界や、近い商材での制作実績があるかどうかです。例えば、BtoCの化粧品通販とBtoBのSaaSツールでは、ターゲットとなるユーザー層も、響くメッセージも、効果的なデザインも全く異なります。
- 化粧品や健康食品: 美容や健康への関心が高い女性層がターゲット。共感を呼ぶストーリーや、使用後の未来を想像させるビジュアル、信頼性を担保するお客様の声などが重要になります。
- BtoBのSaaSツール: 企業の課題解決を担う担当者がターゲット。論理的な構成、導入による費用対効果の明示、機能一覧、導入事例などが求められます。
業界特有の専門知識や薬機法などの関連法規への理解がある会社であれば、より的確で効果的な提案が期待できます。制作会社のウェブサイトで実績を確認し、もし自社に近い実績が掲載されていない場合は、問い合わせの際に「〇〇業界での制作実績はありますか?」と直接聞いてみることをお勧めします。
② マーケティング全体の視点があるか
優れたLPは、単体で存在するのではなく、Webマーケティング戦略全体の中に正しく位置づけられてこそ、その真価を発揮します。 どんなに美しいデザインのLPを作っても、ターゲットユーザーをそこに呼び込めなければ意味がありませんし、コンバージョン後の顧客育成(ナーチャリング)の仕組みがなければ、長期的な成果には繋がりません。
したがって、制作会社を選ぶ際には、LP制作を「点」で捉えるのではなく、集客から育成までの一連の流れ(線)を理解し、提案してくれる会社を選びましょう。
確認すべきポイントは以下の通りです。
- 集客戦略との連携: リスティング広告、SNS広告、SEOなど、どのようなチャネルからの流入を想定しているかを理解し、各チャネルの特性に合わせたLPの構成を提案してくれるか。
- CV後の導線設計: 問い合わせや資料請求があった後、その見込み客をどのようにフォローしていくか(サンクスメール、インサイドセールスへの連携、MAツールとの連携など)まで視野に入れた提案があるか。
- データ分析の視点: Google Analyticsなどの解析ツールやヒートマップツールを用いて、どのような数値を計測し、どのように改善していくかという視点を持っているか。
初回のヒアリングの際に、「このLPへの集客は主にリスティング広告を考えているのですが、どのような点に注意すべきですか?」あるいは「コンバージョン後のフォローアップについて、何かご提案はありますか?」といった質問を投げかけてみると、その会社のマーケティングに対する知見の深さを測ることができます。
③ 制作後の運用サポート(LPO)が充実しているか
LPは「作って公開したら終わり」ではありません。むしろ、公開してからが本当のスタートです。市場の反応を見ながら継続的に改善を加えていく「LPO(Landing Page Optimization:ランディングページ最適化)」が、成果を最大化する上で不可欠です。
LPOの具体的な施策には、以下のようなものがあります。
- A/Bテスト: キャッチコピーやメインビジュアル、CTAボタンの色や文言などを2パターン以上用意し、どちらがより高いコンバージョン率を達成できるかを比較検証する手法。
- ヒートマップ分析: ユーザーがページのどこを熟読し、どこで離脱しているのかを視覚的に分析し、改善点を見つけ出す。
- アクセス解析: ユーザーの流入経路、滞在時間、離脱率などのデータを分析し、LPの課題を特定する。
制作会社を選ぶ際には、これらのLPO施策に対応できる体制が整っているかを確認しましょう。制作だけでなく、公開後の分析や改善提案までを一気通貫でサポートしてくれる会社は、長期的なパートナーとして非常に心強い存在です。サポートの範囲や料金体系(月額制のコンサルティングなのか、施策ごとのスポット対応なのか)についても、契約前にしっかりと確認しておくことが重要です。
④ 料金体系が明確で分かりやすいか
LP制作の費用は決して安いものではありません。だからこそ、料金体系の透明性は非常に重要です。「制作一式 〇〇円」といった大雑把な見積もりではなく、何にどれくらいの費用がかかるのか、その内訳が明記されているかを確認しましょう。
チェックすべき主なポイントは以下の通りです。
- 見積もりの内訳: ディレクション費、企画構成費、デザイン費、コーディング費などがきちんと項目立てされているか。
- 基本料金に含まれる範囲: どこまでが基本料金で、どこからがオプション料金になるのかが明確か。(例:修正回数の上限、スマホ対応、フォーム設置など)
- 追加料金が発生するケース: 仕様変更や追加要望があった場合に、どのような料金が発生するのかが事前に示されているか。
料金体系が不明瞭な会社は、後から「これも別途費用がかかります」といった追加請求が発生し、トラブルの原因となりがちです。誠実な会社であれば、料金について質問した際に、丁寧に分かりやすく説明してくれるはずです。
⑤ 担当者とのコミュニケーションが円滑か
LP制作は、発注側と制作会社との共同プロジェクトです。数ヶ月にわたってやり取りを重ねていく中で、担当者との相性やコミュニケーションの質は、プロジェクトの成否を大きく左右します。
どんなに実績が豊富な会社でも、担当者との意思疎通がうまくいかなければ、自社の要望が正しく伝わらず、理想とはかけ離れたLPが出来上がってしまう可能性があります。
円滑なコミュニケーションが取れる担当者かどうかを見極めるには、以下の点に注目しましょう。
- レスポンスの速さと丁寧さ: 問い合わせや質問に対する返信が迅速かつ丁寧か。
- ヒアリング能力: こちらの曖昧な要望を深く掘り下げ、本質的な課題や目的を正確に引き出してくれるか。
- 専門用語の解説: 専門用語を多用するのではなく、こちらの知識レベルに合わせて分かりやすい言葉で説明してくれるか。
- 提案力: こちらの要望をただ受け入れるだけでなく、プロの視点からより良い代替案や改善案を提案してくれるか。
契約前の打ち合わせは、制作会社の能力を見極めるだけでなく、担当者との相性を確かめる絶好の機会です。この人と一緒にプロジェクトを進めていきたい、と心から思えるかどうかを大切にしましょう。
⑥ 制作会社の種類を理解する
一口に「LP制作会社」と言っても、その成り立ちや得意領域によっていくつかの種類に分類できます。自社の目的や課題に合わせて、どのタイプの会社が最適かを見極めましょう。
制作会社の種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
Webサイト制作会社 | ホームページ制作全般を手掛ける。デザインやコーディングの技術力が高い。 | 高品質でデザイン性の高いLPが期待できる。 | マーケティング視点が弱い場合がある。 |
Web広告代理店 | 広告運用を主軸とし、その受け皿としてLP制作も行う。 | 集客からCVまで一気通貫で依頼でき、広告効果の最大化が期待できる。 | デザインの自由度が低い場合や、制作が下請けの場合がある。 |
マーケティング支援会社 | 戦略立案やコンサルティングを主軸とし、制作も手掛ける。 | データに基づいた戦略的なLP制作が得意。LPOサポートも手厚い。 | 制作費用が高額になる傾向がある。 |
デザイン特化の制作会社 | ブランディングやUI/UXデザインに強みを持つ。 | ビジュアル面で他社と差別化できる、訴求力の高いLPが作れる。 | マーケティング戦略やコピーライティングは別途専門家が必要な場合がある。 |
例えば、「とにかくコンバージョン率を改善したい」のであれば広告代理店やマーケティング支援会社が、「ブランドイメージを刷新したい」のであればデザイン特化の制作会社が候補となるでしょう。自社がLP制作において何を最も重視するのかを明確にすることが、最適な会社選びの第一歩です。
⑦ 複数の会社から相見積もりを取る
最後のポイントは、必ず複数の会社(できれば3社以上)から話を聞き、相見積もりを取ることです。1社だけの話を聞いて決めてしまうと、その会社の提案や見積もりが果たして適正なのかを客観的に判断できません。
相見積もりを取るメリットは、単に価格を比較できるだけではありません。
- 提案内容の比較: 各社が自社の課題に対してどのようなアプローチでLPを提案してくるかを比較できる。
- 担当者の比較: 複数の担当者と話すことで、コミュニケーションの質や相性を比較できる。
- 適正な相場の把握: 自社の要件に対する料金相場が分かり、不当に高い(あるいは安すぎる)見積もりを見抜ける。
手間はかかりますが、このプロセスを惜しまないことが、最終的に満足のいくLP制作に繋がります。ただし、注意点として「価格が最も安い」という理由だけで選ぶのは避けましょう。安さには必ず理由があります。提案内容の質、サポート体制、担当者の信頼性などを総合的に評価し、最もコストパフォーマンスが高い、信頼できるパートナーを選び出すことが肝心です。
【目的別】LP制作会社おすすめ25選
ここでは、数あるLP制作会社の中から、それぞれ異なる強みを持つ25社をピックアップしてご紹介します。各社の特徴や得意分野を参考に、自社の目的や課題に合ったパートナー探しのヒントにしてください。なお、掲載順はランキングを示すものではありません。
① 株式会社ジオコード
成果を追求するWebマーケティング全般に強みを持つ会社です。SEO対策やWeb広告運用のサービスも提供しており、集客から制作、改善までを一気通貫でサポートできる体制が特徴です。特に、BtoB領域におけるマーケティング視点を取り入れたLP制作で多くの実績があります。
参照:株式会社ジオコード公式サイト
② 株式会社LIG
「Life is Good」をコンセプトに、Webサイト制作、コンテンツ制作、システム開発など幅広い事業を展開しています。デザイン性の高さに定評があり、ユーザーの心に響くクリエイティブなLP制作を得意としています。ブログでの情報発信も積極的で、その技術力と企画力がうかがえます。
参照:株式会社LIG公式サイト
③ 株式会社free web hope
LP制作とLPO(ランディングページ最適化)に特化したマーケティングカンパニーです。累計1,000社以上の支援実績で培ったノウハウを元に、徹底したリサーチとデータ分析に基づいた「売れるLP」の制作を追求しています。制作後の改善サポートも手厚いのが特徴です。
参照:株式会社free web hope公式サイト
④ 株式会社GIG
デジタル領域におけるコンサルティングから、UI/UXデザイン、システム開発までを手掛けるデジタルクリエイティブスタジオです。大手企業のコーポレートサイトやサービスサイト、LP制作など、多様な実績を誇ります。戦略設計から実装、グロース支援までをワンストップで提供します。
参照:株式会社GIG公式サイト
⑤ 株式会社CINC
データソリューションを軸に、マーケティング支援事業を展開しています。自社開発のマーケティング調査・分析ツール「Keywordmap」を活用し、データに基づいた客観的で精度の高いコンテンツ企画やLP制作を得意としています。特にSEOを意識したLP制作に強みがあります。
参照:株式会社CINC公式サイト
⑥ 株式会社PULL-NET
LP制作に特化し、これまで2,000社以上の制作実績を持つ会社です。短納期・低価格のプランから、マーケティング戦略を組み込んだ本格的なプランまで、クライアントの予算やニーズに合わせた柔軟な対応が可能です。特に通販・EC業界のLP制作に多くのノウハウを持っています。
参照:株式会社PULL-NET公式サイト
⑦ 株式会社ロックオン
マーケティングプラットフォーム「アドエビス(AD EBiS)」の開発・提供で知られる企業です。広告効果測定の知見を活かし、データドリブンなLP制作や改善提案を得意としています。広告運用と連携し、費用対効果を最大化する視点でのサポートが期待できます。
参照:株式会社ロックオン公式サイト
⑧ 株式会社Ryuki Design
大阪を拠点に、楽天やYahoo!ショッピングなどのECサイト向けLP制作・ページデザインに特化しています。ECモール特有のルールやユーザー行動を熟知しており、売上に直結するデザインを追求しています。リーズナブルな料金設定も魅力の一つです。
参照:株式会社Ryuki Design公式サイト
⑨ 株式会社RAID
「刺さる」をコンセプトに、マンガを活用したLP制作や広告運用を得意とするユニークな会社です。複雑なサービスや商材でも、マンガを用いることで分かりやすく伝え、ユーザーの共感と理解を促進します。BtoB、BtoC問わず幅広い業種での実績があります。
参照:株式会社RAID公式サイト
⑩ 株式会社バリューエージェント
中小企業向けのWebマーケティング支援に強みを持ち、Webサイト制作、SEO対策、広告運用などをトータルでサポートしています。顧客のビジネス全体を理解した上で、売上向上に貢献するための現実的なLP制作・改善提案を行ってくれるのが特徴です。
参照:株式会社バリューエージェント公式サイト
⑪ 株式会社キーワードマーケティング
リスティング広告をはじめとする運用型広告の代理店として、豊富な実績とノウハウを誇ります。広告運用の視点から逆算した、コンバージョン率の高いLPの企画・制作を得意としています。広告アカウントの分析に基づいた改善提案が強みです。
参照:株式会社キーワードマーケティング公式サイト
⑫ 株式会社ZERO
LP制作専門の会社として、企画・構成からデザイン、コーディング、公開後の運用までをワンストップで提供しています。特に、ヒアリングを重視し、クライアントの強みや商品の魅力を最大限に引き出す構成力に定評があります。
参照:株式会社ZERO公式サイト
⑬ 株式会社SAKIYOMI
Instagramマーケティング支援を主軸とする会社ですが、そのノウハウを活かしたLP制作も手掛けています。SNSからの集客を前提とした、ビジュアル訴求力が高く、若年層に響くLPデザインを得意としています。SNSとLPを連携させた施策に強みがあります。
参照:株式会社SAKIYOMI公式サイト
⑭ 株式会社ベイジ
BtoB領域に特化したWeb制作会社として、業界内で高い評価を得ています。ロジカルな情報設計と、使いやすさを追求したUIデザインが特徴。企業の課題解決に貢献する、戦略的で質の高いコーポレートサイトやサービスサイト、LPを制作しています。
参照:株式会社ベイジ公式サイト
⑮ 株式会社ポストスケイプ
成果報酬型のLP制作・運用サービスを提供している点が大きな特徴です。初期費用を抑えつつ、コンバージョンが発生した場合にのみ費用を支払うモデルのため、リスクを低減しながらLPOに取り組むことが可能です。
参照:株式会社ポストスケイプ公式サイト
⑯ 株式会社NEO FLAG.
Web制作だけでなく、イベントプロデュースや映像制作も手掛けるクリエイティブカンパニーです。人の心を動かすストーリーテリングを得意とし、感動や共感を呼ぶエモーショナルなLP制作に強みがあります。
参照:株式会社NEO FLAG.公式サイト
⑰ 株式会社デジタリフト
広告運用代理事業を軸に、クリエイティブ制作やデータフィード最適化などを手掛けています。データ分析に基づき、広告からLP、CRMまで一貫したコミュニケーション設計を行うことで、事業全体の成果最大化を目指します。
参照:株式会社デジタリフト公式サイト
⑱ 株式会社ニジボックス
リクルートグループのWeb制作会社として、大規模なWebサイト構築からサービス開発、UI/UXデザインまで幅広く対応しています。ユーザー調査やUXデザインの豊富なノウハウを活かした、使いやすく成果につながるLP制作が可能です。
参照:株式会社ニジボックス公式サイト
⑲ 株式会社クロス・コミュニケーション
Webサイト・アプリの企画・開発からマーケティング支援まで、デジタル領域のソリューションを総合的に提供しています。金融、不動産、人材など、多様な業界での豊富な実績に基づいた、信頼性の高いLP制作が期待できます。
参照:株式会社クロス・コミュニケーション公式サイト
⑳ 株式会社Noname Ttust
Webサイト制作、特にWordPressを用いたサイト構築に強みを持ちます。SEOを意識したサイト設計や、更新しやすいシステム構築を得意としており、LP制作においてもマーケティング視点と運用しやすさを両立した提案が可能です。
参照:株式会社Noname Ttust公式サイト
㉑ 株式会社セプテーニ
国内トップクラスの規模を誇るインターネット広告代理店です。AIを活用した広告運用プラットフォームを自社開発するなど、テクノロジーとデータを駆使したマーケティングを得意としています。広告効果を最大化するためのクリエイティブ制作・LP制作に強みがあります。
参照:株式会社セプテーニ公式サイト
㉒ 合同会社DMM.com
動画配信やEC、英会話など多岐にわたる事業を展開していますが、法人向けサービスとしてWebサイト制作やマーケティング支援も行っています。DMMの多様な事業で培われたノウハウを活かし、企画から制作、集客までをトータルでサポートします。
参照:合同会社DMM.com公式サイト
㉓ 株式会社PLAN-B
SEO、広告運用、インフルエンサーマーケティングなど、デジタルマーケティング領域を幅広く手掛けています。特にコンテンツマーケティングに強みを持ち、ユーザーインサイトを的確に捉えた構成・ライティングによるLP制作を得意としています。
参照:株式会社PLAN-B公式サイト
㉔ 株式会社ipe
SEOコンサルティングを専門とする会社として高い実績を誇ります。その知見を活かし、検索意図を深く分析し、ユーザーの求める情報に応えるコンテンツを盛り込んだSEOに強いLP制作を得意としています。オーガニック検索からの集客を狙う場合に有力な選択肢となります。
参照:株式会社ipe公式サイト
㉕ 株式会社ニュートラルワークス
神奈川県を拠点に、Webサイト制作からSEO、広告運用までを手掛けるデジタルマーケティングカンパニーです。湘南という地域に根ざしながらも、全国のクライアントを対象に、成果にコミットした質の高いサービスを提供しています。丁寧なヒアリングと伴走型支援に定評があります。
参照:株式会社ニュートラルワークス公式サイト
LP制作を外注する際の基本的な流れ6ステップ
LP制作を制作会社に依頼することが決まったら、どのような流れでプロジェクトが進んでいくのでしょうか。事前に全体の流れを把握しておくことで、各ステップで何をすべきかが明確になり、スムーズな進行に繋がります。ここでは、LP制作を外注する際の基本的な6つのステップを解説します。
① 目的とゴールの設定(KGI・KPI)
制作を始める前に、まず最も重要なのが「このLPで何を達成したいのか」という目的とゴールを明確にすることです。これが曖昧なまま進めてしまうと、方向性が定まらず、成果の出ないLPになってしまいます。
この段階で設定すべきなのが、KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)とKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)です。
- KGI(最終ゴール): LPを通じて最終的に達成したい目標。
- 例:商品Aの月間売上100万円、新規問い合わせ月間30件
- KPI(中間目標): KGIを達成するための中間的な指標。LPのパフォーマンスを測る具体的な数値。
- 例:コンバージョン率(CVR)2%、クリック単価(CPC)100円以下、顧客獲得単価(CPA)5,000円以内
これらの数値を設定することで、制作会社も「何を達成すべきか」が明確になり、より具体的な提案が可能になります。また、公開後の成果測定においても、この数値が成功・失敗を判断する客観的な基準となります。なぜLPを作るのか、その目的を社内で十分に議論し、合意形成しておくことがプロジェクト成功の第一歩です。
② 制作会社へ問い合わせ・ヒアリング
目的とゴールが定まったら、候補となる制作会社に問い合わせを行います。この際、事前にRFP(Request for Proposal:提案依頼書)を準備しておくと、非常にスムーズです。RFPには、以下のような情報をまとめておきましょう。
- LP制作の目的・背景
- 設定したKGI・KPI
- ターゲットユーザー像(ペルソナ)
- 商品・サービスの概要と強み
- 予算感
- 希望納期
- 想定している集客方法(広告、SEOなど)
RFPを提出することで、制作会社はプロジェクトの全体像を正確に把握でき、より精度の高い提案と見積もりを作成できます。
問い合わせ後、制作会社との間でヒアリング(打ち合わせ)が行われます。ここでは、RFPの内容を元に、より詳細な要望や課題について議論します。このヒアリングは、制作会社がこちらの意図をどれだけ汲み取ってくれるか、また、担当者との相性を見極める重要な機会でもあります。
③ 企画構成・ワイヤーフレーム作成
ヒアリング内容に基づき、制作会社はLPの設計図となる「企画構成案」や「ワイヤーフレーム」を作成します。
ワイヤーフレームとは、LPにどのような情報を、どのような順番で、どこに配置するかを定めた骨格図のことです。ここでの情報設計が、ユーザーの離脱を防ぎ、コンバージョンへとスムーズに導けるかどうかを決定づけるため、LP制作において最も重要な工程の一つと言えます。
制作会社からは、以下のような視点で構成案が提案されます。
- ファーストビューで何を伝えるか(キャッチコピー、メインビジュアル)
- ユーザーの悩みにどう共感し、課題を提示するか
- 商品やサービスがどのようにその課題を解決できるか
- 導入メリット(ベネフィット)をどう伝えるか
- 信頼性を高めるための要素(お客様の声、実績など)をどこに配置するか
- CTA(行動喚起)をどのタイミングで促すか
提示されたワイヤーフレームをよく確認し、情報の流れに違和感はないか、伝えたいメッセージが過不足なく盛り込まれているかを тщательноチェックしましょう。この段階での修正は比較的容易ですが、後のデザイン制作やコーディング段階での大幅な構成変更は、追加費用や納期遅延の原因となるため、ワイヤーフレームの段階で構成を完全に固めておくことが重要です。
④ デザイン制作
ワイヤーフレームで合意が取れたら、次はその設計図に肉付けをしていくデザイン制作のフェーズに入ります。デザイナーが、ターゲットユーザーの属性やブランドイメージ、LPの目的に合わせて、配色、フォント、写真、イラストなどを選定し、LP全体のビジュアルを構築していきます。
デザインで重視されるポイントは以下の通りです。
- ターゲット層に響くトーン&マナーか
- ブランドイメージと一貫性があるか
- 情報の優先順位が視覚的に分かりやすく表現されているか
- CTAボタンが目立ち、クリックしたくなるデザインか
通常、まずはトップページのデザイン案が1〜2案提示され、その方向性についてフィードバックを行います。デザインの方向性が固まったら、下層部分のデザインを進めていくのが一般的です。デザインは主観が入りやすい部分ですが、「好き・嫌い」だけでなく、「このデザインは設定したターゲットに響くか」「コンバージョンに繋がりそうか」という客観的な視点でレビューすることが大切です。
⑤ コーディング・実装
デザインがFIX(確定)したら、そのデザインデータをWebブラウザ上で正しく表示・機能させるためのコーディング(実装)作業に入ります。デザイナーが作成した一枚の画像のようなデザインデータを、HTML、CSS、JavaScriptといった言語を用いて、Webページとして構築していく工程です。
このフェーズでの主な作業内容は以下の通りです。
- HTML/CSSによる構造化とスタイリング
- スマートフォンやタブレットでの表示を最適化するレスポンシブ対応
- CTAボタンのクリック時などに動きをつけるインタラクションの実装
- 問い合わせフォームなどのシステム実装
- ページの表示速度最適化
コーディングが完了したら、テスト環境で表示確認を行います。PCやスマートフォンの様々なブラウザ(Google Chrome, Safari, Firefoxなど)やデバイスで表示崩れがないか、リンクは正しく設定されているか、フォームは正常に動作するかなどを入念にチェックし、問題があれば修正を依頼します。
⑥ 公開・運用・改善(LPO)
全てのチェックが完了し、最終的な承認が下りたら、いよいよLPを本番環境のサーバーにアップロードし、一般公開となります。
しかし、前述の通り、LPは公開がゴールではありません。ここからが運用・改善フェーズのスタートです。公開後は、アクセス解析ツールなどを用いて、設定したKPI(CVR, CPAなど)を継続的に計測します。
思うような成果が出ていない場合は、その原因を分析し、改善策を立案・実行します。
- アクセス数が少ない: 広告のクリエイティブやターゲティングを見直す
- 離脱率が高い: ファーストビューの訴求が弱い、コンテンツがターゲットとずれている可能性
- CVRが低い: CTAの文言や配置が悪い、フォームが入力しづらい可能性
ヒートマップ分析やA/BテストといったLPO施策を繰り返し行い、LPを最強のセールスツールへと育てていく。このPDCAサイクルを回し続けることが、LPの成果を最大化するための鍵となります。制作会社と運用サポート契約を結び、二人三脚で改善に取り組んでいくのが理想的な形です。
成果につながるLPを制作するための8つのコツ
LP制作を外注するにしても、発注側が「成果の出るLPとは何か」を理解しているかどうかで、最終的なクオリティは大きく変わってきます。制作会社にすべてを丸投げするのではなく、自社でもチェックすべきポイントを把握しておくことが重要です。ここでは、コンバージョン率を高めるLPを制作するための8つの重要なコツを紹介します。
① ターゲットとペルソナを明確にする
LP制作の成功は、誰に何を伝えたいかをどれだけ具体的に描けるかにかかっています。 不特定多数に向けたメッセージは、誰の心にも響きません。そこで重要になるのが「ペルソナ」の設定です。
ペルソナとは、商品やサービスの典型的なユーザー像を、架空の人物として具体的に設定したものです。
- 基本情報: 氏名、年齢、性別、居住地、職業、年収、家族構成
- ライフスタイル: 趣味、価値観、休日の過ごし方、よく利用するSNS
- 抱えている悩みや課題: 仕事やプライベートでどんなことに困っているか
- 情報収集の方法: どんなメディアから情報を得ているか
このように、一人の人物が目に浮かぶまで詳細に設定することで、そのペルソナがどんな言葉に心を動かされ、どんなデザインを好み、どんな情報に関心を持つのかが明確になります。 このペルソナに向けてLPを設計することで、メッセージに一貫性が生まれ、強い共感を呼ぶコンテンツを作ることができます。
② ファーストビューで心を掴む
ファーストビュー(FV)とは、ユーザーがLPにアクセスした際に、スクロールせずに表示される画面領域のことです。ユーザーは、このファーストビューをわずか3秒で判断し、続きを読むか、離脱するかを決めると言われています。ここでユーザーの心を掴めなければ、その先のどんなに優れたコンテンツも読まれることはありません。
成果の出るファーストビューには、以下の要素が簡潔に盛り込まれている必要があります。
- キャッチコピー: 誰に向けた、何の商品(サービス)なのか、そしてどんなメリットがあるのかを一言で伝える。
- メインビジュアル: 商品やサービスの世界観や利用シーンを直感的に伝える画像や動画。
- 権威性・信頼性の証明: 「導入実績No.1」「顧客満足度98%」など、信頼性を高める客観的な実績。
- CTA(Call to Action): 「今すぐ無料で試す」「資料請求はこちら」など、ユーザーに取ってほしい行動を促すボタン。
「自分に関係がある」「この先を読めば悩みが解決しそうだ」とユーザーに直感させることが、ファーストビューの最大の役割です。
③ ユーザーの悩みに共感し、解決策を提示する
ファーストビューで興味を引いた後は、ユーザーが抱える悩みや課題に深く寄り添い、「そうそう、それで困っているんだ」と共感を得るパートを展開します。
「〇〇なことでお困りではありませんか?」といった問いかけから始め、ユーザーが日頃感じているであろう不満や不安を具体的に言語化します。自分の状況を理解してくれていると感じたユーザーは、LPへの信頼感を高め、心を開いてくれます。
共感を形成した上で、「その悩み、私たちのサービスが解決できます」と、解決策として自社の商品やサービスを提示します。なぜ解決できるのか、その根拠(独自技術、こだわりの成分、手厚いサポートなど)を分かりやすく説明することで、提案に説得力を持たせることができます。
④ 商品やサービスがもたらす未来(ベネフィット)を伝える
多くのLPが陥りがちな間違いが、商品の「特徴(Feature)」ばかりを羅列してしまうことです。例えば、「メモリ16GB搭載のハイスペックPC」というのは特徴です。しかし、ユーザーが本当に知りたいのは、その特徴によって自分の生活や仕事がどう良くなるのかという「便益(Benefit)」です。
- 特徴(Feature): 高画質なカメラを搭載
- 便益(Benefit): 大切な家族との思い出を、まるでその場にいるかのように鮮明に残せる。
- 特徴(Feature): 24時間対応のチャットサポート
- 便益(Benefit): 深夜にトラブルが起きても、すぐに専門家に相談できるので安心して業務に集中できる。
ユーザーは商品そのものを買っているのではなく、その商品を通じて得られる理想の未来(ベネフィット)を買っているという視点を忘れないようにしましょう。お客様が笑顔になっている写真や、具体的な利用シーンを描写することで、ベネフィットをより効果的に伝えることができます。
⑤ 第三者からの評価や実績で信頼性を高める
ユーザーは、企業からの一方的なアピールだけでは、なかなか購入を決断できません。「本当にこの商品は良いものなのだろうか?」という不安を払拭するために有効なのが、第三者からの客観的な評価、いわゆる「社会的証明(Social Proof)」です。
具体的には、以下のような要素をLPに盛り込みます。
- お客様の声・レビュー: 顔写真や実名(イニシャルでも可)を添えることで信憑性が増す。
- 導入実績: BtoBであれば、誰もが知る企業のロゴを掲載すると効果的。
- 専門家や著名人の推薦: 権威のある人物からの推薦は、強い信頼性を生む。
- メディア掲載実績: テレビ、新聞、Webメディアなどでの紹介実績。
- 受賞歴や各種認定: 第三者機関からの客観的な評価。
これらの要素は、ユーザーの最後のひと押しとなり、コンバージョンを強力に後押しします。
⑥ 行動を促すCTAボタンを効果的に配置する
CTA(Call to Action)は、LPのゴールであるコンバージョンに直結する最も重要なパーツです。CTAボタンのデザインや文言、配置を最適化するだけで、コンバージョン率は大きく変わります。
- デザイン: 周囲の色と対照的な目立つ色を使い、ボタンであることが直感的に分かるデザインにする。
- 文言(マイクロコピー): 「送信」のような無機質な言葉ではなく、「無料で資料請求する」「30日間無料トライアルを始める」など、クリックした先に何があるのか、どんなメリットがあるのかが分かる具体的な言葉を選ぶ。
- 配置: ファーストビュー、コンテンツの区切り、そしてページの最下部など、ユーザーが「欲しい」と思ったタイミングで迷わずクリックできるよう、複数箇所に設置する。
- 緊急性・限定性: 「本日限定」「先着100名様」といった文言で、今すぐ行動すべき理由を提示するのも効果的です。
⑦ 入力フォームを最適化して離脱を防ぐ
せっかくユーザーが「購入しよう」「問い合わせしよう」と決意しても、最後の入力フォームが分かりにくかったり、手間がかかったりすると、面倒になって離脱してしまいます。これを「フォーム落ち」と呼び、非常にもったいない機会損失です。
入力フォームの最適化(EFO:Entry Form Optimization)は、コンバージョン率を改善するために必須の施策です。
- 項目数を最小限にする: 必須項目は本当に必要なものだけに絞る。
- 入力支援機能: 郵便番号から住所を自動入力する、全角・半角を自動変換するなど、ユーザーの手間を減らす。
- エラー表示の最適化: どこが間違っているのかをリアルタイムで分かりやすく表示する。
- 離脱防止: フォームから離れようとした際にポップアップで引き止める。
ユーザーにストレスを感じさせない、スムーズな入力体験を提供することが重要です。
⑧ スマートフォンでの見やすさを最優先する
現在、Webサイトへのアクセスの大半はスマートフォン経由です。したがって、LPはPCでの見え方よりも、スマートフォンでの見やすさ・使いやすさを最優先で設計する「モバイルファースト」の考え方が不可欠です。
- フォントサイズ: 小さすぎて読みにくいフォントはNG。16px程度を目安にする。
- ボタンサイズ: 指でタップしやすい、十分な大きさのボタンを設計する。
- 画像の最適化: 画像ファイルが重すぎると表示速度が遅くなり、離脱の原因になるため、画質を保ちつつ容量を圧縮する。
- 電話番号のタップ: スマートフォンの場合、電話番号をタップするとそのまま発信できるように設定する。
PCでデザインを確認するだけでなく、必ず実機(スマートフォン)で操作性を確認し、ストレスなく閲覧・操作できるかをチェックしましょう。
LP制作は外注と自作どっちが良い?
LP制作を検討する際、多くの企業が直面するのが「プロに外注するか、自社で内製(自作)するか」という選択です。それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらが最適かは企業の状況(予算、リソース、求めるクオリティ、目的)によって異なります。ここでは両者の特徴を比較し、自社に合った選択ができるよう解説します。
外注(制作会社・フリーランス)のメリット・デメリット
専門家である制作会社やフリーランスに依頼する方法です。高品質なLPを求める場合に最も一般的な選択肢となります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
外注 | ① 高いクオリティが期待できる デザイン、コピー、マーケティングなど各分野の専門家が制作するため、成果につながる質の高いLPが完成します。 |
① 費用が高額になる 専門知識と技術、人件費がかかるため、自作に比べてコストは数十万円から数百万円と高額になります。 |
② マーケティング視点を取り入れられる 豊富な経験とデータに基づき、戦略的な構成や改善提案を受けられ、コンバージョン率の最大化が期待できます。 |
② 制作会社選びが難しい 数ある会社の中から、自社の目的や予算に合った信頼できるパートナーを見つけ出す手間と目利きが必要です。 |
|
③ 自社のリソースを節約できる 制作に関わる専門的な作業をすべて任せられるため、自社の担当者は本来のコア業務に集中できます。 |
③ コミュニケーションコストがかかる 自社の要望を正確に伝え、認識をすり合わせるための打ち合わせやフィードバックに時間と手間がかかります。 |
|
④ 最新の技術やトレンドを反映できる 制作会社は常に業界の最新動向を追っているため、効果的な技術やデザインのトレンドを取り入れたLPを制作できます。 |
④ 修正や更新に時間と費用がかかる 公開後に軽微な修正をしたい場合でも、都度依頼が必要となり、時間や追加費用が発生することがあります。 |
外注は、Webマーケティングで本格的に成果を出したい、社内に専門知識やリソースがない、そして一定の予算を確保できる企業にとって最適な選択肢と言えるでしょう。
自作(制作ツール・テンプレート)のメリット・デメリット
近年では、専門知識がなくても比較的簡単にLPを作成できるツールやサービスが増えています。これらを活用して自社で制作する方法です。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
自作 | ① 費用を大幅に抑えられる 制作ツールの利用料(月額数千円〜)のみで済むため、外注に比べてコストを圧倒的に低く抑えられます。 |
① クオリティに限界がある デザインや機能がテンプレートに依存するため、プロが作るような訴求力の高い独自のデザインを実現するのは難しいです。 |
② スピーディに制作・公開できる テンプレートに沿って画像やテキストを入れ込むだけなので、早ければ即日でLPを公開することも可能です。 |
② マーケティングの専門知識が必要 成果を出すには、どのような構成やコピーが効果的かというマーケティングの知識が不可欠で、素人が作ると自己満足で終わる可能性があります。 |
|
③ 修正や更新が自由にできる ABテストのための微修正やキャンペーン情報の更新などを、自社のタイミングでいつでも手軽に行えます。 |
③ 時間と手間(人的リソース)がかかる ツールの操作方法の習得や、コンテンツ(原稿、画像)の準備など、担当者の作業負担が大きくなります。 |
|
④ 社内にノウハウが蓄積される 試行錯誤しながらLPを制作・改善していく過程で、Webマーケティングに関する知識やスキルが社内に蓄積されます。 |
④ 成果が出ないリスクがある 時間と労力をかけて制作しても、ノウハウ不足から全くコンバージョンに繋がらない「作っただけ」のLPになる可能性があります。 |
自作は、とにかく予算を抑えたい、まずはテスト的にLPを試してみたい、社内にWebに詳しい担当者がいる、といった場合に適した選択肢です。ただし、成果を出すには相応の学習と試行錯誤が必要であることを理解しておく必要があります。
初心者でもLPを自作できるおすすめツール
もし自作を選ぶ場合、どのようなツールがあるのでしょうか。ここでは、初心者でも比較的扱いやすい代表的なLP制作ツールをいくつか紹介します。
- ペライチ: 「1枚のページをあっという間に」というコンセプトの通り、簡単な操作でLPやホームページを作成できる国産ツールです。豊富なテンプレートと直感的なインターフェースが特徴で、決済機能や予約機能も簡単に追加できます。
参照:ペライチ公式サイト - STUDIO: コーディング不要で、自由度の高いデザインが実現できる日本発のWebデザインプラットフォームです。デザインにこだわりたいが、コードは書けないという方に適しています。CMS機能も搭載しており、ブログのようなコンテンツの更新も可能です。
参照:STUDIO公式サイト - Wix (ウィックス): 世界中で利用されているホームページ作成ツールです。ドラッグ&ドロップの簡単な操作で、非常に多機能なサイトを構築できます。LP専用のテンプレートも多数用意されています。
参照:Wix.com公式サイト
これらのツールは無料プランから始められるものも多いので、まずは実際に触ってみて、自社の目的や担当者のスキルレベルに合ったものを選ぶと良いでしょう。
結論として、事業の成長を左右するような重要なLPであれば専門家への外注を、まずは低予算で試したい、あるいは社内での学習を目的とするなら自作ツール、という使い分けがおすすめです。
LP制作に関するよくある質問
最後に、LP制作に関して多くの企業担当者から寄せられる、よくある質問とその回答をまとめました。
LPの制作期間はどれくらいですか?
A. LPの制作期間は、その内容やボリューム、制作会社の体制によって大きく異なりますが、一般的には1.5ヶ月〜3ヶ月程度が目安です。
内訳の目安は以下の通りです。
- 企画・構成(ワイヤーフレーム作成): 1〜3週間
- デザイン制作: 1〜3週間
- コーディング・実装: 1〜3週間
- 修正・調整: 1〜2週間
テンプレートを使用する格安プランの場合は2週間〜1ヶ月程度で完成することもあります。一方で、詳細な市場調査や戦略設計から始める高品質なプランの場合は、3ヶ月以上かかることも珍しくありません。希望納期がある場合は、最初の問い合わせ段階で制作会社に伝え、実現可能かどうかを確認することが重要です。
サーバーやドメインの準備は必要ですか?
A. はい、基本的にはLPを公開するためのサーバー(土地)とドメイン(住所)が必要です。
準備の方法は、主に以下の2つのパターンがあります。
- 自社で契約・管理する: すでに自社で契約しているサーバーがあれば、そこにLPを設置することができます。新規で取得する場合も、自社名義で契約・管理します。
- 制作会社に代行してもらう: サーバーやドメインの契約・管理を制作会社に任せる方法です。技術的なことが分からない場合に便利ですが、管理費が別途発生します。また、将来的に制作会社との契約を解除する際に、サーバーやドメインの移管手続きが必要になる場合があります。
どちらのパターンになるかは制作会社の方針や契約内容によります。サーバー・ドメインの所有権が誰にあるのか、管理費用はいくらかかるのかを契約前に必ず確認しておきましょう。
公開後の修正や更新は依頼できますか?
A. はい、多くの制作会社で対応可能です。ただし、料金体系は会社によって異なります。
主な料金体系は以下の通りです。
- スポット対応: テキスト修正1箇所〇円、画像差し替え1点〇円のように、作業内容に応じて都度見積もり・請求が発生する方式。
- 保守契約: 月額〇円といった形で契約し、契約範囲内での修正・更新作業に対応してもらう方式。技術的なサポートや定期的なバックアップが含まれることもあります。
軽微な修正を頻繁に行う可能性がある場合は、保守契約を結んでおくとコストパフォーマンスが良い場合があります。一方で、ほとんど更新の予定がない場合は、スポット対応の方が無駄がありません。自社の運用方針に合わせて、どのようなサポート体制が最適かを選びましょう。
広告運用もセットでお願いできますか?
A. はい、広告代理店やマーケティング支援も行っている制作会社であれば、セットで依頼することが可能です。
LP制作と広告運用を同じ会社に依頼することには、以下のような大きなメリットがあります。
- 連携がスムーズ: 広告の成果を見ながら、LPのどの部分を改善すべきかといった分析や施策の実行がスピーディに行えます。
- 一貫した戦略: 広告で訴求するメッセージとLPの内容に一貫性を持たせやすく、ユーザーの期待を裏切らないためコンバージョン率が高まりやすいです。
- 責任の所在が明確: 成果が出なかった場合に、広告が悪いのかLPが悪いのかといった責任の押し付け合いにならず、一元的に改善に取り組めます。
LPは広告とセットで考えることで初めてその効果を最大化できるため、Web広告の出稿を前提としている場合は、広告運用まで見据えた提案をしてくれる会社を選ぶのが非常におすすめです。