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LINE公式アカウントの作り方を5ステップで解説 料金プランも紹介

LINE公式アカウントの作り方を5ステップで解説、料金プランも紹介

LINEは、今や私たちの生活に欠かせないコミュニケーションツールとなりました。そのビジネス版である「LINE公式アカウント」は、企業や店舗が顧客と直接つながり、効果的なマーケティング活動を行うための強力なプラットフォームです。多くの企業が導入を進める一方で、「作り方が難しそう」「どんなことができるのかよくわからない」「料金はどのくらいかかるの?」といった疑問や不安を感じている方も少なくないでしょう。

この記事では、そうした疑問を解消し、誰でもスムーズにLINE公式アカウントを開設・運用できるよう、作り方の全手順を5つのステップに分けて、初心者にも分かりやすく徹底解説します。さらに、アカウント開設後にやるべき初期設定、ビジネスの規模や目的に合わせた最適な料金プランの選び方、そして集客や売上向上につなげるための効果的な活用術まで、網羅的にご紹介します。

この記事を最後まで読めば、LINE公式アカウントの全体像を深く理解し、自信を持ってアカウントを開設し、ビジネス成長のための第一歩を踏み出せるようになります。

LINE公式アカウントとは

LINE公式アカウントは、企業や店舗、団体などが、コミュニケーションアプリ「LINE」を通じてユーザー(顧客やファン)と直接つながるためのビジネス向けアカウントサービスです。個人が日常的に利用するLINEとは異なり、情報発信や顧客とのコミュニケーションに特化した多彩な機能が搭載されているのが最大の特徴です。

かつては「LINE@(ラインアット)」という名称で提供されていましたが、2019年にサービスが統合され、現在の「LINE公式アカウント」となりました。この統合により、従来は一部の大企業しか利用できなかった機能が、中小企業や個人事業主でも手軽に利用できるようになり、規模を問わずあらゆるビジネスで活用が広がっています。

具体的には、友だち登録してくれたユーザーに対して、新商品のお知らせやセール情報、クーポンなどを一斉に配信したり、個別の問い合わせにチャットで対応したりできます。これにより、顧客との継続的な関係を構築し、来店促進やリピート購入、顧客満足度の向上を目指すことが可能です。無料でアカウントを開設できるため、低コストで始められるマーケティングツールとして、飲食店、小売店、美容サロン、ECサイト、教育機関など、多種多様な業種で導入が進んでいます。

個人向けLINEとの違い

LINE公式アカウントと個人向けLINEは、同じ「LINE」というプラットフォーム上にありながら、その目的と機能において明確な違いがあります。個人向けLINEがプライベートな1対1または少人数でのコミュニケーションを主目的とするのに対し、LINE公式アカウントは「ビジネスにおける顧客とのコミュニケーション」を目的として設計されています。

両者の主な違いを理解することは、LINE公式アカウントを効果的に活用する上で非常に重要です。以下に、それぞれの特徴を比較した表をまとめました。

機能・特徴 LINE公式アカウント 個人向けLINE
主な目的 ビジネス利用(情報発信、販促、顧客対応) プライベートなコミュニケーション
友だち登録 ユーザーからの一方的な登録(承認不要) 相互の承認が必要
友だち上限 上限なし 5,000人
メッセージ配信 一斉配信、ステップ配信、セグメント配信が可能 1対1またはグループチャットのみ
自動応答 キーワード応答、AI応答など高度な設定が可能 設定不可
複数人管理 1つのアカウントを最大100人で管理可能 1人での利用が基本
分析機能 友だち数、ブロック数、メッセージ開封数などの詳細なデータ分析が可能 なし
販促機能 クーポン、ショップカード、リッチメニューなどが利用可能 なし
アカウント認証 認証済みアカウント制度あり(信頼性向上) なし
料金 無料プランから有料プランまで複数あり 無料

最大の違いは「友だち」の概念です。個人LINEではお互いが「友だち」になる必要がありますが、LINE公式アカウントでは、ユーザーが企業や店舗のアカウントを一方的に「友だち追加」するだけで関係が始まります。企業側から個人のLINEアカウントを検索して友だち追加することはできません。これにより、企業は個人情報の保護に配慮しつつ、自社に興味を持ってくれたユーザーに対してのみ、情報発信を行える仕組みになっています。

また、複数人でのアカウント管理が可能な点もビジネス利用における大きな利点です。例えば、マーケティング担当者、店舗スタッフ、カスタマーサポート担当者など、複数のメンバーで役割を分担しながら、効率的にアカウントを運用できます。誰がどのメッセージに返信したかなども管理画面で確認できるため、チームでの連携もスムーズです。

これらの違いを理解し、ビジネス専用に設計されたLINE公式アカウントの機能を最大限に活用することが、マーケティング成功への鍵となります。

LINE公式アカウントでできること

メッセージの一斉配信、1対1のチャット機能、自動応答メッセージの設定、クーポンやショップカードの発行、データ分析機能

LINE公式アカウントには、顧客との関係を構築し、ビジネスを成長させるための機能が豊富に用意されています。これらの機能を組み合わせることで、単なる情報発信ツールとしてだけでなく、集客から販促、顧客サポートまで一貫したマーケティング活動を展開できます。ここでは、代表的な5つの機能について、その内容と具体的な活用シーンを詳しく解説します。

メッセージの一斉配信

LINE公式アカウントの最も基本的な機能が、友だち登録してくれたユーザー全員に、メッセージを一度に配信する「一斉配信」です。新商品の案内、キャンペーン告知、セールの先行情報、イベントの案内など、届けたい情報をリアルタイムで多くのユーザーに伝えられます。

テキストだけでなく、画像や動画、スタンプなどを組み合わせることで、視覚的に訴求力の高いメッセージを作成できます。例えば、飲食店の新メニュー紹介では、美味しそうな料理の写真を添えることでユーザーの食欲を刺激し、来店意欲を高めることができます。アパレルショップであれば、新作アイテムのコーディネート画像を複数枚送る「カードタイプメッセージ」を活用することで、雑誌のような感覚で商品を紹介できます。

ただし、配信頻度には注意が必要です。あまりに頻繁にメッセージを送ると、ユーザーに「しつこい」と感じられ、アカウントをブロックされる原因になりかねません。ユーザーにとって本当に価値のある、有益な情報だけを厳選し、適切な頻度で配信することが重要です。週に1〜2回程度を目安に、自社の顧客層の反応を見ながら最適な配信スケジュールを見つけていきましょう。

1対1のチャット機能

一斉配信が「多対一」のコミュニケーションであるのに対し、個々のユーザーと直接やり取りできるのが「LINEチャット」機能です。ユーザーからの問い合わせや予約、相談などに個別に対応できます。

この機能の最大のメリットは、電話やメールよりも気軽にコミュニケーションが取れる点です。ユーザーは使い慣れたLINEのインターフェースで質問できるため、問い合わせのハードルが大きく下がります。企業側も、テンプレートを活用したり、担当者間で対応状況を共有したりできるため、効率的かつ質の高い顧客対応が可能です。

例えば、美容サロンでは、お客様からの「来週の予約は空いていますか?」という問い合わせにチャットで答えたり、施術前のカウンセリングを行ったりできます。不動産会社であれば、物件に関する細かな質問に答えたり、内見の日程調整を行ったりするのに活用できます。こうした丁寧な個別対応は、顧客満足度を向上させ、信頼関係の構築に直結します。チャットでのやり取りを通じて、顧客一人ひとりのニーズを深く理解し、パーソナライズされた提案につなげることも可能です。

自動応答メッセージの設定

営業時間外や担当者不在時でも、ユーザーからのメッセージに自動で対応できるのが「自動応答メッセージ」機能です。この機能を活用することで、24時間365日、顧客を待たせることなく一次対応が可能になり、顧客満足度の低下を防ぎます。

自動応答には、大きく分けて2つの種類があります。

  1. 一律応答: ユーザーからどんなメッセージが送られてきても、あらかじめ設定しておいた固定のメッセージを自動で返信する機能です。「お問い合わせありがとうございます。営業時間内に担当者より改めてご連絡いたします。」といった定型文を設定しておくのが一般的です。
  2. キーワード応答: ユーザーが送信したメッセージに特定のキーワードが含まれていた場合に、そのキーワードに対応したメッセージを自動で返信する機能です。例えば、「営業時間」というキーワードに対しては営業時間の案内を、「料金」というキーワードに対しては料金表の案内を自動返信するように設定できます。これにより、よくある質問(FAQ)への対応を自動化し、業務効率を大幅に改善できます。

これらの自動応答機能を上手く組み合わせることで、有人チャット対応の負担を軽減しつつ、ユーザーの疑問を即座に解決できる体制を構築できます。

クーポンやショップカードの発行

LINE公式アカウントでは、再来店やリピート購入を促進するための強力な販促ツールとして、「クーポン」と「ショップカード」を無料で作成・発行できます。

クーポン機能では、「友だち追加ありがとうクーポン」や「お誕生日クーポン」、「雨の日限定クーポン」など、様々な条件で割引や特典を提供できます。作成したクーポンはメッセージで配信できるため、ユーザーはスマホ画面を提示するだけで手軽に利用できます。紙のクーポンと違い、印刷コストや配布の手間がかからず、利用状況(使用率など)をデータで確認できるのも大きなメリットです。抽選機能を使えば、ゲーム感覚で楽しめるクーポンを作成し、ユーザーの関心を引くこともできます。

ショップカード機能は、LINE上で利用できるポイントカードです。店舗に設置したQRコードをユーザーが読み取ることでポイントが貯まり、設定したゴールポイントに達すると特典チケットがもらえる仕組みです。ユーザーは財布の中でかさばる紙のポイントカードを持ち歩く必要がなくなり、紛失の心配もありません。店舗側も、カードの発行コストを削減できる上、利用状況をデータで管理し、リピート率の分析などに活用できます。顧客の囲い込みとロイヤリティ向上に非常に効果的な機能と言えるでしょう。

データ分析機能

LINE公式アカウントの運用において、効果測定と改善を繰り返すために不可欠なのが「分析」機能です。管理画面(LINE Official Account Manager)から、様々なデータを確認し、施策の成果を客観的に評価できます。

確認できる主なデータは以下の通りです。

  • 友だち: 友だち追加数、ターゲットリーチ数(有効友だち数)、ブロック数などの推移を確認できます。どの施策で友だちが増えたか、どんなメッセージでブロックが増えたかを分析することで、今後の運用方針の改善に役立ちます。
  • メッセージ配信: 配信したメッセージの開封数、クリック数などを確認できます。開封率が低い場合はタイトルや配信時間を、クリック率が低い場合はメッセージの内容やデザインを見直すといった具体的な改善アクションにつなげられます。
  • チャット: 応答時間や対応件数など、チャット対応のパフォーマンスを分析できます。
  • クーポン・ショップカード: クーポンの開封数や使用数、ショップカードの取得者数や利用状況などを把握し、販促施策の効果を測定できます。

これらのデータを定期的にチェックし、「なぜこの数値になったのか」という仮説を立て、改善策を実行していく(PDCAサイクルを回す)ことが、LINE公式アカウントの成果を最大化するための鍵となります。感覚的な運用ではなく、データに基づいた論理的なアプローチが成功への近道です。

LINE公式アカウントを導入するメリット

幅広いユーザー層にアプローチできる、メッセージの開封率が高い、顧客との関係を深めやすい、リピート購入や再来店を促進できる

LINE公式アカウントをビジネスに導入することは、多くのメリットをもたらします。日本国内の圧倒的なユーザー基盤を背景に、従来のマーケティング手法では難しかった顧客との深い関係構築を実現します。ここでは、導入によって得られる具体的なメリットを4つの側面から詳しく解説します。

幅広いユーザー層にアプローチできる

LINE公式アカウントを導入する最大のメリットの一つは、日本国内の非常に幅広いユーザー層にアポーチできる点です。LINEは、今や電話やメールに代わる国民的なコミュニケーションインフラとしての地位を確立しています。

LINEヤフー株式会社の公式データによると、LINEの国内月間アクティブユーザー数は9,700万人以上(2024年3月末時点)にものぼります。これは日本の総人口の約7割以上に相当し、10代の若者から60代以上のシニア層まで、性別や地域を問わず、日常的に利用されています。参照:LINEヤフー for Business

他のSNS(例: Instagram, X, Facebook, TikTokなど)は、ユーザー層に特定の偏りが見られる場合がありますが、LINEは全世代に満遍なく浸透しているため、特定のターゲット層だけでなく、あらゆるビジネスが自社の潜在顧客を見つけやすいプラットフォームと言えます。

例えば、若者向けのファッションブランドはもちろん、地域の高齢者向けサービス、主婦層をターゲットにしたスーパーマーケット、ビジネスパーソン向けのスクールなど、どのような業種・業態であっても、その先にいる顧客がLINEユーザーである可能性は極めて高いのです。この圧倒的なリーチ力は、他のマーケティングツールにはない、LINE公式アカウントならではの強みです。

メッセージの開封率が高い

LINE公式アカウントから配信したメッセージは、メールマガジン(メルマガ)と比較して非常に高い開封率を誇ります。メルマガの平均開封率が10〜20%程度と言われる中、LINE公式アカウントのメッセージは、即座にプッシュ通知でユーザーのスマートフォンに届くため、気づかれやすく、開封につながりやすいという特性があります。

具体的な開封率は配信内容やターゲットによって変動しますが、一般的には50%以上、場合によっては70%を超えることも珍しくありません。これは、ユーザーが日常的に家族や友人とのやり取りでLINEアプリを開く習慣があるため、その延長線上で企業からのメッセージにも目を通しやすいからです。

メールの場合、プロモーション用のメールは専用のタブに振り分けられたり、大量の迷惑メールに埋もれてしまったりして、開封される前に削除されてしまうケースが少なくありません。しかし、LINEの場合は、プッシュ通知をタップすれば直接メッセージ画面に遷移するため、ユーザーが内容を確認するまでのハードルが格段に低いのです。

この高い開封率は、企業が伝えたい情報を確実に顧客の手元に届けられることを意味します。時間限定のタイムセールや、当日限定のクーポンなど、即時性が求められる情報を発信する際に、LINE公式アカウントは絶大な効果を発揮します。

顧客との関係を深めやすい

LINE公式アカウントは、一方的な情報発信だけでなく、1対1のチャット機能などを通じて顧客と双方向のコミュニケーションを取れるため、より深く、長期的な関係を築きやすいというメリットがあります。

前述の通り、LINEチャットは電話よりも気軽に、メールよりも迅速にやり取りができるため、顧客は商品購入前の小さな疑問や、サービス利用後のアフターフォローに関する相談などをしやすくなります。こうした個別のコミュニケーションに丁寧に対応することで、顧客は「自分のことを気にかけてくれている」「このお店は信頼できる」と感じ、企業やブランドに対する親近感や愛着(エンゲージメント)が高まります。

さらに、メッセージ配信においても、ただ宣伝を送るだけでなく、顧客の役に立つ情報(例:商品の使い方、専門知識のコラム、地域のイベント情報など)を提供したり、アンケート機能で顧客の意見を求めたりすることで、企業と顧客の間の対話を促進できます。

このような継続的なコミュニケーションを通じて、単なる「売り手と買い手」の関係から、信頼で結ばれた「パートナー」のような関係へと進化させていくことが可能です。こうした強い顧客関係は、競合他社との差別化につながり、長期的なビジネスの安定基盤となります。

リピート購入や再来店を促進できる

新規顧客の獲得コストは、既存顧客の維持コストの5倍かかると言われる「1:5の法則」があるように、ビジネスの持続的な成長にはリピーターの育成が不可欠です。LINE公式アカウントは、リピート購入や再来店を効果的に促進するための機能が充実しています。

その代表格が「クーポン」と「ショップカード」です。一度来店・購入して友だち追加してくれた顧客に対して、「次回使える10%OFFクーポン」を配信したり、来店ごとにポイントが貯まるショップカードを提供したりすることで、再訪のきっかけを能動的に作ることができます。

また、メッセージ配信機能を活用して、顧客の購買履歴や興味関心に合わせて情報を送り分ける「セグメント配信」を行えば、より効果的にリピートを促せます。例えば、「以前Aという商品を購入した顧客」にだけ、その関連商品の情報を送ったり、「最終来店日から1ヶ月が経過した顧客」にだけ、再来店を促す特別なクーポンを送ったりすることが可能です。

このように、LINE公式アカウントを通じて顧客との接点を持ち続けることで、自社のこと忘れられてしまうのを防ぎ、「またあのお店に行こう」「またあの商品を買おう」と思い出してもらうきっかけを定期的に提供できるのです。これにより、顧客の生涯価値(LTV: Life Time Value)を最大化し、安定した収益確保に貢献します。

LINE公式アカウントのデメリットと注意点

アカウントをブロックされる可能性がある、運用に手間や時間がかかる、友だちが増えるまで効果を実感しにくい、一度送信したメッセージは取り消せない

LINE公式アカウントは非常に強力なマーケティングツールですが、メリットばかりではありません。運用を始める前に、デメリットや注意点を正しく理解し、対策を講じておくことが成功の鍵となります。ここでは、運用上、特に注意すべき4つのポイントを解説します。

アカウントをブロックされる可能性がある

LINE公式アカウントの運用における最大の課題は、ユーザーによる「ブロック」です。一度ブロックされてしまうと、そのユーザーに対しては二度とメッセージを配信できなくなり、貴重な顧客接点を失うことになります。ブロックされる主な原因は、ユーザーにとって価値のない、あるいは不快に感じるメッセージ配信です。

具体的には、以下のような配信がブロックにつながりやすいと言われています。

  • 配信頻度が高すぎる: 毎日何通もメッセージが届くと、ユーザーは通知を煩わしく感じ、ブロックを選択しやすくなります。特に、セールス色の強いメッセージばかりだと、その傾向は顕著になります。
  • 自分に関係のない情報ばかり届く: 全員に同じ内容を一斉配信するだけでは、一部のユーザーにとっては不要な情報となってしまいます。例えば、女性向け商品の情報を男性ユーザーに送り続けると、ブロックされる可能性が高まります。
  • 宣伝・広告ばかりで面白みがない: 新商品やセールの告知ばかりでは、ユーザーは飽きてしまいます。時には、商品の裏話やスタッフの日常、業界の豆知識など、ユーザーが読んで楽しめるコンテンツを配信し、アカウントのファンになってもらう工夫が必要です。

これらの対策として、メッセージ配信は「量より質」を重視し、ユーザーにとって有益で価値のある情報を提供することを常に心がける必要があります。配信頻度は週1〜2回程度に抑え、ターゲットを絞ったセグメント配信を活用したり、エンターテイメント性のあるコンテンツを企画したりするなど、ブロックされないための丁寧な運用が求められます。

運用に手間や時間がかかる

LINE公式アカウントは無料で簡単に開設できますが、その後の運用には相応の手間(工数)と時間がかかることを理解しておく必要があります。アカウントを作っただけで、自動的に友だちが増えたり、売上が上がったりするわけではありません。

効果的な運用のためには、以下のような継続的な作業が発生します。

  • コンテンツ企画・作成: どのようなメッセージを、いつ、誰に配信するのかを計画し、テキストや画像、クーポンなどを作成する作業。
  • メッセージ配信作業: スケジュールに沿って、手動または予約でメッセージを配信する作業。
  • チャット対応: ユーザーからの問い合わせや相談に個別に対応する作業。迅速かつ丁寧な対応が求められます。
  • データ分析と改善: 配信結果のデータを分析し、次回の施策に活かすための改善点を検討する作業。
  • 友だち集め施策: 店頭での声かけや、SNS・Webサイトでの告知など、友だちを増やすための活動。

これらの業務を誰が担当するのか、どれくらいの時間を割けるのかを事前に計画しておくことが重要です。特に個人事業主や少人数の企業では、他の業務と兼任することが多く、運用が負担になって中途半端になってしまうケースも少なくありません。無理のない運用体制を構築し、まずはできる範囲からスモールスタートすることが、長続きの秘訣です。必要であれば、一部の作業を外部に委託することも選択肢の一つです。

友だちが増えるまで効果を実感しにくい

LINE公式アカウントの多くの機能は、「友だち」という基盤があって初めて効果を発揮します。そのため、アカウント開設直後で友だちが少ない段階では、なかなか目に見える成果を実感しにくいというデメリットがあります。

例えば、友だちが10人しかいない状態でメッセージを一斉配信しても、その影響力は限定的です。クーポンを発行しても、利用者はほとんど現れないかもしれません。この「助走期間」に成果が出ないからといって諦めてしまうケースが後を絶ちません。

重要なのは、焦らずに、まずは地道に友だちを増やす活動に注力することです。店頭に友だち追加用のQRコードを設置して来店客に声かけをしたり、自社のWebサイトや他のSNSアカウントでLINE公式アカウントの存在を告知したり、友だち追加してくれた人へのインセンティブ(限定クーポンなど)を用意したりと、あらゆる手段を使って友だち集めに取り組みましょう。

ある程度の友だち数(例えば100人、500人など)が集まってくると、メッセージ配信やクーポン施策の効果が徐々に現れ始めます。最初のうちは成果が出にくいことを念頭に置き、長期的な視点でコツコツと運用を続ける忍耐力が求められます。

一度送信したメッセージは取り消せない

これは非常に基本的な注意点ですが、見落としがちなポイントです。LINE公式アカウントから一度配信したメッセージは、後から削除したり、内容を修正したりすることは一切できません。これは個人間のLINEで使える「送信取消」機能が、公式アカウントにはないためです。

もしメッセージの内容に誤り(例: 価格の間違い、日時の誤記、誤字脱字など)があった場合、その誤った情報が友だち全員に届いてしまいます。これは、企業の信頼を損なう大きなリスクとなり得ます。間違いに気づいた場合は、改めて訂正とお詫びのメッセージを配信する必要がありますが、その分メッセージ通数を消費してしまいますし、ユーザーに混乱や不信感を与えかねません。

このようなミスを防ぐために、メッセージを配信する前には、必ず複数人で内容をダブルチェック、トリプルチェックする体制を整えることが極めて重要です。特に、キャンペーン情報や価格など、ビジネスに直結する重要な情報を含む場合は、細心の注意を払いましょう。管理画面には、実際にユーザーにどのように表示されるかを確認できる「テスト配信」機能があります。本番配信の前に、必ずこの機能を使って自分やスタッフの個人LINEアカウントにテストメッセージを送り、表示崩れや内容の誤りがないかを確認する習慣をつけましょう。

LINE公式アカウント開設前に準備するもの

LINE公式アカウント開設前に準備するもの

LINE公式アカウントの開設手続きは非常にシンプルですが、スムーズに進めるために、事前にいくつか準備しておくと良いものがあります。ここでは、アカウント作成に必須となる2つのアイテムについて解説します。これらを用意しておけば、5分程度の時間でアカウント開設を完了させることが可能です。

個人用のLINEアカウント

LINE公式アカウントを作成するためには、まず「LINE Business ID」という、LINEが提供する各種ビジネス向けサービスにログインするための共通IDを作成する必要があります。このLINE Business IDを作成する方法は2つありますが、そのうちの1つが「個人のLINEアカウントと連携させる」方法です。

普段スマートフォンで使っている個人のLINEアカウントがあれば、そのアカウント情報を利用して簡単にLINE Business IDを作成できます。この方法のメリットは、IDやパスワードを新しく覚える必要がなく、スマートフォンのLINEアプリで認証するだけで手軽にログインできる点です。

ここでよくある誤解として、「個人のLINEアカウントと連携させると、自分の友だちにビジネスアカウントの存在が知られてしまうのではないか?」「個人のプロフィール情報が流出するのではないか?」という心配がありますが、そのようなことは一切ありません

  • 連携しても、個人のLINEアカウントの友だちリストに、作成したLINE公式アカウントが自動で通知されたり、表示されたりすることはありません。
  • LINE公式アカウントのプロフィールに、個人のLINEアカウントの名前やアイコンが表示されることもありません。
  • 個人のLINEアカウントの情報と、LINE公式アカウントの管理情報は、システム上で完全に分離されています。

あくまで、ログイン時の「認証キー」として個人のLINEアカウントを使用するだけです。多くの人がこの方法で開設しており、最も手軽で推奨される方法です。これから開設する方は、普段お使いのスマートフォンとLINEアプリをご用意ください。

登録用のメールアドレス

もう一つのLINE Business IDの作成方法が、「メールアドレスで登録する」方法です。もし、「個人のLINEアカウントとはどうしても連携させたくない」という場合や、複数人で管理するために特定の個人アカウントに紐づけたくない、という場合には、こちらの方法を選択します。

この方法を選ぶ場合は、登録に使うメールアドレスを一つ用意する必要があります。GmailやYahoo!メールのようなフリーメールアドレスでも登録可能ですが、ビジネスで利用するアカウントであるため、可能であれば会社や店舗で利用している独自のドメインのメールアドレス(例: info@yourcompany.com)を使用することをおすすめします。これにより、アカウントの信頼性が高まります。

メールアドレスで登録する場合、まずそのメールアドレス宛にLINEから登録用のリンクが送られてきます。そのリンクをクリックしてパスワードを設定し、LINE Business IDの作成が完了します。その後、作成したID(メールアドレス)とパスワードを使って、LINE公式アカウントの管理画面にログインすることになります。

どちらの方法で作成しても、開設できるLINE公式アカウントの機能に違いはありません。手軽さを重視するなら「個人LINEアカウント連携」、管理の独立性を重視するなら「メールアドレス登録」と覚えておくと良いでしょう。どちらの場合でも、スムーズに手続きを進めるために、事前にどちらの方法を選ぶか決めておくと安心です。

LINE公式アカウントの作り方・開設手順【5ステップ】

LINE Business IDの公式サイトにアクセスする、アカウント作成方法を選択する、アカウント情報を入力する、入力内容を確認する、アカウント開設を完了させる

ここからは、実際にLINE公式アカウントを開設するための具体的な手順を、5つのステップに分けて詳しく解説します。今回は、パソコンのブラウザを使った開設方法を基準に説明します。画面の指示に従って進めれば、誰でも簡単に行えます。

① LINE Business IDの公式サイトにアクセスする

まず、お使いのパソコンのWebブラウザ(Google Chrome, Safari, Microsoft Edgeなど)を開き、検索エンジンで「LINE Business ID」と検索するか、LINE for Businessの公式サイトに直接アクセスします。

公式サイトにアクセスすると、「LINE公式アカウントの開設」といったボタンが見つかりますので、そちらをクリックします。すると、LINE Business IDでのログインまたは新規作成を求める画面が表示されます。ここがアカウント作成のスタート地点です。ブックマークしておくと、今後管理画面にログインする際に便利です。

② アカウント作成方法を選択する

次に、LINE Business IDを作成する方法を選択します。前述の「準備するもの」で説明した通り、以下の2つの選択肢が表示されます。

  1. LINEアカウントで登録
  2. メールアドレスで登録

おすすめは「LINEアカウントで登録」です。こちらを選択すると、QRコードが表示されます。そのQRコードを、個人のLINEアカウントがインストールされているスマートフォンで読み取ります。LINEアプリの「ホーム」タブ右上にある友だち追加アイコンから「QRコード」を選択して読み取ってください。

QRコードを読み取ると、スマートフォン画面に「ログインしますか?」という確認が表示されるので、「ログイン」をタップします。その後、表示される認証番号をパソコンの画面に入力すると、認証が完了し、LINEアカウントとの連携が完了します。

「メールアドレスで登録」を選択した場合は、入力欄に用意したメールアドレスを入力して、「登録用のリンクを送信」ボタンをクリックします。その後、入力したメールアドレスの受信トレイを確認し、LINEから届いたメール本文にあるURLをクリックして、パスワード設定などの手続きを進めます。

③ アカウント情報を入力する

LINE Business IDの作成が完了すると、続いてLINE公式アカウント自体の情報を入力する画面に遷移します。ここで入力する情報が、実際にユーザーに見えるアカウントの基本情報となりますので、正確に入力しましょう。

主に入力が必要な項目は以下の通りです。

  • アカウント名: ユーザーに表示されるアカウントの名前です。店舗名や企業名、サービス名などを設定します。後から変更も可能ですが、頻繁な変更はユーザーの混乱を招くため、最初から正式名称で設定することをおすすめします。最大20文字まで入力できます。
  • メールアドレス: 登録したメールアドレスが自動で入力されています。
  • 会社・事業者名: 個人事業主の場合は屋号や氏名、法人の場合は正式な法人名を入力します。この情報は一般ユーザーには公開されませんが、認証アカウントを申請する際に重要になります。
  • 業種: 「大業種」と「小業種」をプルダウンメニューから選択します。自社のビジネスに最も近いものを選択してください。例えば、レストランであれば「大業種:レストラン・カフェ」「小業種:レストラン」のように選びます。この情報は、LINE内での検索結果などに影響する可能性があります。

全ての項目を正確に入力したら、次へ進みます。

④ 入力内容を確認する

最後のステップの前に、これまで入力してきたすべての情報を確認する画面が表示されます。

  • アカウント名
  • 会社・事業者名
  • 業種

これらの項目に間違いがないか、最後にもう一度、注意深く確認してください。特にアカウント名はユーザーに直接見える部分なので、誤字脱字がないかチェックしましょう。もし修正が必要な場合は、この段階で「戻る」ボタンを押して前の画面に戻り、修正します。

すべての情報に問題がなければ、利用規約などを確認し、同意のチェックボックスにチェックを入れて、「完了する」または「申請する」といったボタンをクリックします。

⑤ アカウント開設を完了させる

「完了する」ボタンをクリックすると、「LINE公式アカウントの作成が完了しました」というメッセージが表示されます。これで、LINE公式アカウントの開設手続きはすべて終了です。

この後、自動的に「LINE Official Account Manager」という、LINE公式アカウントの管理画面に遷移します。この管理画面から、メッセージの作成・配信、プロフィールの設定、友だちの分析など、すべての操作を行います。

以上、5つのステップでLINE公式アカウントは開設できます。手続き自体は非常にシンプルで、特別な専門知識は必要ありません。まずは気軽にアカウントを作成し、管理画面を実際に触ってみることから始めてみましょう。

スマホアプリからの開設手順

アカウント名、業種などを入力、入力内容の確認、利用規約への同意

パソコンを持っていない方や、外出先で手軽にアカウントを作成したい方向けに、スマートフォン専用の「LINE公式アカウント」アプリからもアカウントを開設できます。手順はパソコン版とほぼ同じで、直感的に操作できます。

まず、お使いのスマートフォンのアプリストア(iPhoneの場合はApp Store, Androidの場合はGoogle Playストア)で「LINE公式アカウント」と検索し、専用アプリをインストールします。

アプリを起動すると、パソコン版と同様にログイン画面が表示されます。「LINEアプリでログイン」と「メールアドレスでログイン」の2つのボタンが表示されるので、どちらかを選択します。

「LINEアプリでログイン」をタップするのが最も簡単です。 タップすると、スマートフォンにインストールされている個人のLINEアプリが自動で起動し、認証画面が表示されます。「許可する」をタップするだけで、LINE Business IDの作成とログインが完了します。

その後は、パソコン版と同じ流れでアカウント情報を入力していきます。

  1. アカウント名、業種などを入力
  2. 入力内容の確認
  3. 利用規約への同意

これらの手順を画面の指示に従って進めるだけで、アカウントの作成が完了します。作成後は、そのままアプリで管理画面が開き、メッセージ配信やチャット対応などの基本的な操作を行えます。

スマホアプリは、外出先からでも顧客からのチャットに迅速に対応できたり、思いついたキャンペーンをすぐに予約配信設定できたりと、機動性の高さが大きなメリットです。パソコンの管理画面は、詳細なデータ分析や複雑な設定を行う際に、スマホアプリは日々の簡単な運用や顧客対応に、といった形でパソコン版とスマホアプリを使い分けることで、より効率的なアカウント運用が可能になります。

アカウント開設後にやるべき初期設定5選

LINE公式アカウントは、開設しただけではまだ「空っぽの箱」と同じ状態です。ユーザーに友だち追加してもらい、効果的に活用していくためには、まず基本的な設定を整える必要があります。ここでは、アカウント開設後、すぐに取り組むべき5つの重要な初期設定について解説します。

① プロフィールを設定する

プロフィールは、ユーザーが友だち追加する際や、追加後にアカウントのホーム画面を訪れた際に表示される「お店や会社の顔」となる非常に重要な部分です。プロフィール情報が充実していると、ユーザーは安心感を持ち、興味を持ってくれやすくなります。

管理画面の「プロフィール」セクションから、以下の項目を必ず設定しましょう。

  • プロフィール写真(アイコン): アカウントのシンボルです。企業のロゴ、店舗の外観、商品の写真、代表者の顔写真など、アカウントのコンセプトが伝わる画像を設定します。丸く切り抜かれて表示されるため、中央に主要な要素が収まるデザインが望ましいです。
  • 背景画像: プロフィールページの上部に大きく表示される画像です。店内の雰囲気やスタッフの集合写真、取り扱い商品のイメージ画像などを使って、アカウントの世界観を表現しましょう。
  • ステータスメッセージ: アカウント名の下に表示される短い一文です。現在のキャンペーン情報や営業時間の案内、キャッチコピーなどを設定します。(例:「夏物セール開催中!」「本日18時まで営業」)
  • 基本情報: 住所(マップ表示も可能)、営業時間、電話番号、WebサイトのURL、予約ページのURLなどを設定できます。これらの情報が正確に記載されていると、ユーザーの利便性が向上し、来店や問い合わせにつながりやすくなります。

これらの情報をしっかりと埋めておくことで、ユーザーが「このアカウントはきちんと運用されている」と感じ、信頼性の向上に繋がります

② 応答モードを設定する

LINE公式アカウントには、ユーザーからのメッセージにどう対応するかを決める「応答モード」という設定があります。これは自社の運用体制に合わせて設定することが重要です。モードは大きく2つあります。

  1. チャットモード: このモードでは、ユーザーからのメッセージに対して、手動で1対1の個別チャット対応を行います。同時に、キーワード応答メッセージなどの簡単な自動応答も併用できます。顧客からの問い合わせに丁寧に対応したい、個別相談を受け付けたいといった場合に最適です。ただし、常に対応できるスタッフが必要です。
  2. Botモード: このモードでは、ユーザーからのメッセージに対して、すべて自動応答で対応します。あらかじめ設定した「自動応答メッセージ(キーワード応答やAI応答)」のみが返信を行い、手動でのチャット対応は一切できません。24時間対応を自動化したい、個別対応のリソースがない、情報発信がメインで問い合わせは想定していない、といった場合に適しています。

最初はどちらのモードが良いか迷うかもしれませんが、まずは「チャットモード」に設定し、営業時間外や定休日には自動応答メッセージで一次対応する、というハイブリッドな運用から始めるのがおすすめです。運用していく中で、問い合わせの量や内容に応じて最適なモードに見直していきましょう。

③ あいさつメッセージを作成する

「あいさつメッセージ」とは、ユーザーが友だち追加してくれた際に、自動で送信される最初のメッセージのことです。これは、アカウントの第一印象を決める非常に重要なコミュニケーションです。

何も設定していないと、デフォルトの味気ないメッセージが送られてしまいます。必ず、自社独自のウェルカムメッセージを設定しましょう。あいさつメッセージに含めるべき要素は以下の通りです。

  • 感謝の言葉: 「友だち追加ありがとうございます!」など、まずはお礼を伝えます。
  • 自己紹介: 自分たちが何者で、どのような情報を発信していくアカウントなのかを簡潔に伝えます。(例:「〇〇カフェです。お得なクーポンや新メニュー情報をお届けします!」)
  • 友だちでいることのメリット: このアカウントを友だちでい続けると、どんな良いことがあるのかを具体的に提示します。(例:「友だち限定の割引クーポンを定期的に配信します。」)
  • 友だち追加特典の案内: もし「友だち追加ありがとうクーポン」などを用意している場合は、このメッセージでプレゼントします。これが、友だち追加の強力なインセンティブになります。

このあいさつメッセージを魅力的なものにすることで、ユーザーはアカウントへの期待感を高め、その後のメッセージの開封率向上や、ブロック率の低下につながります

④ 支払い方法を登録する

LINE公式アカウントは無料で始められますが、より多くのメッセージを配信したい場合は、有料プランへのアップグレードが必要になります。また、友だち集めに効果的な「LINE広告」を利用する場合も、支払い方法の登録が必須です。

将来的に有料プランや広告の利用を検討している場合は、アカウント開設のタイミングでクレジットカード情報を登録しておくとスムーズです。管理画面の「設定」>「アカウント」>「月額プラン」または「広告アカウント」から支払い方法を登録できます。

もちろん、完全に無料で使い続けることも可能ですので、この設定は必須ではありません。しかし、ビジネスの成長に合わせて柔軟に施策を打てるように、あらかじめ登録を済ませておくことをおすすめします。登録しておくだけで料金が発生することはありません。料金は、有料プランに申し込んだり、広告を出稿したりした時点ではじめて発生します。

⑤ 基本情報を確認・編集する

最後に、管理画面の「設定」からアカウントの基本情報を改めて確認・編集しましょう。特に重要なのが「アカウント情報」のセクションです。

ここで設定できる項目の中に「認証ステータス」というものがあります。開設したばかりのアカウントはすべて「未認証」の状態です。ここから「認証済みアカウント」の申請を行うことができます。

認証済みアカウントになると、以下のようなメリットがあります。

  • 青色の認証バッジが付与され、アカウントの信頼性が向上する。
  • LINEアプリ内の友だち検索結果に表示されるようになる。
  • 販促用のポスターデータが無料でダウンロードできる。
  • 「友だち追加広告」など、一部の機能が利用可能になる。

申請には審査があり、必ずしも承認されるわけではありませんが、多くのメリットがあるため、企業や店舗として正式に運営していくのであれば、ぜひ申請しておきましょう。審査は無料で行えます。

これらの初期設定を丁寧に行うことが、LINE公式アカウント運用の成功に向けた盤石な土台作りとなります。

LINE公式アカウントの料金プランを比較解説

LINE公式アカウントは、無料で始められる「コミュニケーションプラン」から、配信数に応じて選べる有料プランまで、3つの料金プランが用意されています。自社のビジネス規模や友だち数、メッセージの配信頻度に合わせて最適なプランを選ぶことが、コストを抑えつつ効果を最大化する鍵となります。

ここでは、各プランの特徴と料金体系を詳しく比較解説します。(料金はすべて税抜です)

プラン名 月額固定費 無料メッセージ通数 追加メッセージ料金 こんな方におすすめ
コミュニケーションプラン 0円 200通/月 不可 まずは無料で試したい方、友だち数が少ない初期段階、個別チャットがメインの方
ライトプラン 5,000円 5,000通/月 不可 定期的に一斉配信を行いたい方、友だち数が数百〜数千人規模の方
スタンダードプラン 15,000円 30,000通/月 3円〜/通 友だち数が多く、積極的にメッセージ配信を行いたい方、顧客セグメントに合わせた配信をしたい方

※上記の情報は2024年4月時点のものです。最新の情報はLINE for Business公式サイトをご確認ください。参照:LINE for Business 公式サイト 料金プラン

重要な注意点として、ここでの「メッセージ通数」は「友だちの数 × 配信回数」で計算されます。 例えば、友だちが500人いるアカウントで月に2回一斉配信を行うと、500人 × 2回 = 1,000通のメッセージを消費したことになります。

それでは、各プランを詳しく見ていきましょう。

コミュニケーションプラン(無料)

月額固定費0円で利用できる、最も手軽なプランです。アカウントの開設や、プロフィール設定、チャット機能、クーポン発行、データ分析など、基本的な機能はすべてこのプランで利用できます。

月に配信できる無料メッセージの上限は200通です。この通数を超えてメッセージを配信することはできません。例えば、友だちが100人いる場合、月に2回の一斉配信で上限に達します。友だちが201人以上いる場合は、一斉配信を1回も送れない計算になります。

そのため、このプランは以下のようなケースに適しています。

  • LINE公式アカウントをまずはお試しで使ってみたい
  • アカウント開設直後で、まだ友だちが少ない(数十人程度)
  • メッセージの一斉配信はほとんど行わず、顧客からの問い合わせ対応(1対1チャット)がメイン

無料で始められるのが最大の魅力ですが、ビジネスが成長し友だちが増えてくると、200通という上限はすぐに超えてしまいます。その際は、後述する有料プランへのアップグレードを検討する必要があります。

ライトプラン(有料)

月額固定費5,000円で、月に5,000通までメッセージを無料で配信できるプランです。コミュニケーションプランの25倍のメッセージを送れるため、多くの企業や店舗にとって、まず目標となるプランと言えるでしょう。

5,000通あれば、例えば友だちが1,000人の場合、月に5回の一斉配信が可能です。友だちが2,000人なら月に2回程度の配信ができます。多くのビジネスにおいて、定期的な情報発信と顧客との関係維持に十分な配信数です。

このプランは、以下のようなケースに適しています。

  • 友だちが数百人〜2,000人程度の規模になってきた
  • 週に1回程度のペースで、キャンペーン情報や新商品案内を一斉配信したい
  • 無料プランの200通では足りなくなった

注意点として、ライトプランでも無料通数(5,000通)を超えてメッセージを追加で配信することはできません。もし月の途中で上限に達してしまった場合、その月はもう一斉配信ができなくなります。自社の友だち数と配信計画を照らし合わせ、5,000通で収まるかどうかをシミュレーションすることが重要です。

スタンダードプラン(有料)

月額固定費15,000円で、月に30,000通までの無料メッセージが含まれる最上位プランです。さらに、このプランの最大の特徴は、無料通数を超過した場合でも、追加料金を支払うことでメッセージを配信し続けられる点です。

追加メッセージの料金は、配信量に応じて変動する従量課金制で、1通あたり3円からとなっています。

このプランは、以下のようなケースに最適です。

  • 友だち数が数千人〜数万人規模の大規模なアカウント
  • メッセージ配信を積極的に行い、売上向上を狙いたい
  • 顧客の属性や行動履歴に合わせて配信内容を変える「セグメント配信」を頻繁に活用したい
  • メッセージ通数の上限を気にせず、柔軟なマーケティング施策を実行したい

月額固定費は高くなりますが、それに見合うだけの配信能力と柔軟性を備えています。LINE公式アカウントを本格的なマーケティングチャネルとして最大限活用したい企業向けのプランです。

プランを選ぶ際は、現在の友だち数だけでなく、今後の増加予測も考慮に入れることが大切です。 プランは月単位でいつでも変更可能なので、最初はコミュニケーションプランから始め、友だちの増加に合わせてライトプラン、スタンダードプランへとステップアップしていくのが賢い使い方です。

LINE公式アカウントを効果的に活用する3つのポイント

友だち集めの方法を工夫する、ユーザーに役立つ情報を配信する、分析機能を活用して改善を繰り返す

LINE公式アカウントを開設し、初期設定を終えたら、いよいよ本格的な運用のスタートです。しかし、ただ闇雲にメッセージを配信するだけでは、期待するような成果は得られません。ここでは、アカウントの効果を最大化し、ビジネスの成長につなげるための3つの重要なポイントを解説します。

① 友だち集めの方法を工夫する

LINE公式アカウントの成果は、友だちの数に大きく左右されます。メッセージを届ける相手がいなければ、どんなに素晴らしいコンテンツも意味がありません。あらゆる機会を捉えて、地道に友だちを増やす努力を続けることが最も重要です。友だち集めの方法は多岐にわたりますが、オンラインとオフラインの両方でアプローチすることが効果的です。

店頭での声かけやQRコード設置

実店舗を持つビジネスの場合、来店客へのアプローチが最も確実で効果的な友だち集めの方法です。レジ横やテーブル、待合室など、お客様の目に留まりやすい場所に、友だち追加用のQRコードが印刷されたPOPやポスターを設置しましょう。

ただ設置するだけでなく、「LINEで友だちになると、今日から使える100円引きクーポンがもらえますよ!」といった形で、スタッフから積極的にお声がけすることが非常に重要です。友だちになることで得られる「その場でのメリット」を提示することで、追加してくれる確率が格段に上がります。管理画面から無料でダウンロードできる販促用ポスターのデザインを活用するのも良いでしょう。

WebサイトやSNSでの告知

自社のWebサイトやブログ、他のSNS(Instagram, X, Facebookなど)を運営している場合は、それらのメディアでもLINE公式アカウントの存在を積極的に告知しましょう。

Webサイトには、友だち追加ボタンを設置したり、記事の最後に「最新情報はこちらのLINEから」と誘導したりします。他のSNSでは、プロフィール欄にLINE公式アカウントのURLを記載したり、投稿で「LINE限定のお得な情報を配信中!」と定期的にアピールしたりすることが有効です。それぞれのメディアのフォロワーや訪問者は、すでに自社に興味を持っている可能性が高いため、既存のファンをLINEの友だちへと転換させることを目指しましょう。

LINE広告の活用

よりスピーディーに、そして広範囲に友だちを集めたい場合は、「友だち追加広告(CPF広告)」の活用を検討しましょう。これは、LINE NEWSやLINE VOOMなど、LINEの関連サービス内に広告を配信し、友だち追加を直接促すことができる広告メニューです。

年齢、性別、地域、興味関心などでターゲットを細かく設定できるため、自社の見込み顧客となり得る層に効率的にアプローチできます。広告費用はかかりますが、短期間で質の高い友だちを大量に獲得したい場合には非常に効果的な手段です。予算を決めて、まずは少額から試してみることをおすすめします。

② ユーザーに役立つ情報を配信する

友だちが集まってきたら、次はいかにしてブロックされず、良好な関係を維持していくかが課題となります。その鍵を握るのが、配信するコンテンツの「質」です。常に「この情報はユーザーにとって本当に役立つか?」「面白いと感じてもらえるか?」という視点を持つことが重要です。

単なる宣伝や売り込みばかりのメッセージは、ユーザーに飽きられ、ブロックの原因となります。理想的な配信コンテンツのバランスは、「宣伝・販促情報:3割」「ユーザーの役に立つ情報・お楽しみコンテンツ:7割」程度と言われています。

例えば、以下のようなコンテンツが考えられます。

  • 飲食店: 新メニューの告知(宣伝)だけでなく、家庭でできる簡単レシピの紹介、食材の豆知識、スタッフのおすすめの食べ方など。
  • アパレル店: セール情報(宣伝)だけでなく、季節の着回しコーデ術、素材別のお手入れ方法、トレンドカラーの解説など。
  • 美容室: 予約空き状況の案内(宣伝)だけでなく、自宅でできるヘアケア方法、髪の悩みに答えるQ&A、簡単ヘアアレンジ動画など。

このように、ユーザーの生活を豊かにするような、価値ある情報を提供することで、「このアカウントからの情報は有益だから、ブロックせずにおこう」と思ってもらえます。ユーザーとの信頼関係を築き、アカウントのファンになってもらうことが、最終的に売上へと繋がるのです。

③ 分析機能を活用して改善を繰り返す

LINE公式アカウントの運用は、「配信して終わり」ではありません。配信した結果をデータで振り返り、次の施策に活かす「分析と改善」のサイクル(PDCAサイクル)を回し続けることが、成果を継続的に向上させるために不可欠です。

管理画面の「分析」タブからは、様々な貴重なデータを確認できます。最低限、以下の項目は定期的にチェックする習慣をつけましょう。

  • 友だち数の推移: どのタイミングで友だちが増え、どのタイミングでブロックが増えたかを確認します。例えば、「〇〇のキャンペーン告知後に友だちが急増した」「〇〇というメッセージを配信したらブロックが多発した」といった傾向を掴むことで、成功・失敗パターンを学習できます。
  • メッセージの開封率・クリック率: 配信したメッセージが、どれくらいの人に見られ、中のURLがどれくらいクリックされたかを確認します。開封率が低い場合は、配信時間やタイトル(プッシュ通知で表示される部分)に問題があるかもしれません。クリック率が低い場合は、メッセージ本文の内容やデザイン、画像の魅力に改善の余地があると考えられます。

これらのデータを見ながら、「次はタイトルをこう変えてみよう」「配信時間を朝から夜に変えてみよう」「画像をもっと魅力的なものにしてみよう」といった仮説を立て、実行し、また結果を分析する。この地道な繰り返しが、LINE公式アカウント運用の精度を高めていきます。感覚だけに頼らず、客観的なデータに基づいた改善を心がけましょう。

まとめ

本記事では、LINE公式アカウントの概要から、具体的な作り方、開設後の初期設定、料金プラン、そして成果を最大化するための活用ポイントまで、幅広く解説してきました。

LINE公式アカウントは、国内9,700万人以上という圧倒的なユーザー基盤を持つLINE上で、企業や店舗が顧客と直接つながることができる、非常に強力なマーケティングツールです。メッセージの高い開封率や、チャットによる密なコミュニケーション、クーポンやショップカードによる販促機能などを活用することで、顧客との良好な関係を築き、リピート促進や売上向上に大きく貢献します。

アカウントの開設は、本記事で紹介した5つのステップに沿って進めれば、誰でも無料で、かつ短時間で完了できます。大切なのは、アカウントを開設した後に、目的意識を持って運用を続けることです。

  • まずは友だち集めから: 店頭やWebサイトなど、あらゆる接点で友だち追加を促しましょう。
  • ユーザー目線の情報発信: 宣伝だけでなく、ユーザーにとって価値のある有益なコンテンツを提供し、ブロックを防ぎましょう。
  • データに基づいた改善: 分析機能を活用してPDCAサイクルを回し、運用の精度を高めていきましょう。

最初は無料の「コミュニケーションプラン」からでも十分に始められます。まずは気軽にアカウントを作成し、管理画面を触りながら、自社ならではの活用法を見つけていくことが成功への第一歩です。この記事が、あなたのビジネスにおけるLINE公式アカウント活用のきっかけとなれば幸いです。