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製造業で英語は必要?使える頻出フレーズ40選と勉強法を解説

製造業で英語は必要?、使える頻出フレーズと勉強法を解説

グローバル化が加速する現代において、製造業の現場でも英語力の重要性はますます高まっています。「海外の取引先とコミュニケーションを取りたい」「キャリアアップのために英語を学びたい」と考える技術者や現場スタッフの方も多いのではないでしょうか。

かつて日本の製造業は、国内市場を中心に展開し、英語とは無縁の職種も少なくありませんでした。しかし、企業の海外進出、生産拠点のグローバル化、サプライチェーンの国際化、そして国内での外国人労働者の増加といった変化の波は、製造業のあらゆる職種に英語でのコミュニケーションを求めるようになっています。

この記事では、製造業で英語がなぜ重要なのかという根本的な理由から、英語力があることで得られる具体的なメリット、そして実際に現場で使える英語フレーズや必須単語まで、網羅的に解説します。研究開発、生産管理、調達、海外営業といった職種別に求められる英語力や、製造業で働く方におすすめの実践的な勉強法も紹介します。

本記事を読めば、製造業における英語の必要性を深く理解し、明日からの業務や学習に活かせる具体的な知識とフレーズを身につけることができます。 グローバルな舞台で活躍するための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。

製造業で英語が重要視される理由

海外進出する企業の増加、生産拠点の海外移転、外国人労働者とのコミュニケーション、海外サプライヤーや顧客との取引、海外の最新技術や情報を収集するため

なぜ今、製造業でこれほどまでに英語が重要視されるようになったのでしょうか。その背景には、国内市場の変化とグローバル経済の進展が複雑に絡み合っています。ここでは、製造業で英語の必要性が高まっている5つの具体的な理由を深掘りして解説します。

海外進出する企業の増加

製造業で英語力が求められる最も大きな理由の一つが、日本企業の積極的な海外進出です。少子高齢化に伴う国内市場の縮小を背景に、多くの製造業企業が新たな成長機会を求めて海外市場へと目を向けています。

経済産業省の「海外事業活動基本調査」によると、製造業の海外現地法人数は年々増加傾向にあり、多くの企業がアジア、北米、ヨーロッパなど世界各地に拠点を設けて事業を展開しています。(参照:経済産業省 海外事業活動基本調査)

海外に進出するということは、現地の法規制を遵守し、現地の文化や商習慣を理解した上で事業を運営する必要があることを意味します。この過程で、現地の政府機関、法律事務所、コンサルタント、そしてもちろん顧客やパートナー企業とのコミュニケーションは、その多くが英語で行われます。

例えば、新しい市場で製品を販売するためには、現地の販売代理店と英語で契約交渉を行う必要があります。また、現地法人を設立する際には、法務や会計に関する複雑な手続きを英語で理解し、対応しなければなりません。これらの場面で正確なコミュニケーションが取れなければ、ビジネスチャンスを逃すだけでなく、法的なリスクを抱えることにもなりかねません。

このように、企業のグローバル戦略を推進する上で、英語は単なるコミュニケーションツールではなく、ビジネスを成功に導くための必須スキルとなっているのです。

生産拠点の海外移転

人件費や資材コストの削減、あるいは市場への近接性を目的として、生産拠点を海外に移転する動きも、製造業における英語の重要性を高める大きな要因です。特に、労働力が豊富でコスト競争力のある東南アジア諸国などに工場を建設するケースは、多くの製造業で見られます。

生産拠点が海外に移ると、日本の本社やマザー工場と海外工場との間で、密な連携が不可欠になります。この連携を円滑に進めるための共通言語として、英語が広く用いられています。

具体的には、以下のような場面で英語が必要となります。

  • 技術移管: 日本で開発された新しい生産技術や製造プロセスを、海外工場の現地スタッフに指導する際には、技術的な内容を正確に伝えるための英語力が必要です。図面や仕様書だけでは伝わらない細かなノウハウや注意点を、口頭や資料で補足説明する場面が頻繁に発生します。
  • 品質管理: 日本と同等の品質基準を海外工場で維持するためには、品質管理の考え方や具体的な検査方法を現地スタッフに徹底させる必要があります。品質問題が発生した際には、原因究明と対策立案のために、現地のエンジニアと英語で詳細な技術的ディスカッションを行わなければなりません。
  • 生産計画の調整: 本社からの生産指示や納期変更などを、海外工場に迅速かつ正確に伝える必要があります。サプライチェーン全体の効率を最適化するためには、リアルタイムでの情報共有が不可欠であり、そのコミュニケーションハブとして英語が機能します。
  • 設備導入・メンテナンス: 新しい製造設備を導入する際、海外メーカーの技術者と英語でやり取りをしたり、設備の操作マニュアル(多くは英語)を読み解いたりする能力が求められます。

これらの業務を遂行するためには、日常会話レベルの英語力に加え、製造業特有の専門用語を理解し、使いこなす能力が不可欠です。

外国人労働者とのコミュニケーション

グローバル化の影響は、海外だけでなく国内の生産現場にも及んでいます。日本の生産年齢人口が減少する中で、国内の工場で働く外国人労働者の数は年々増加しています。

厚生労働省の発表によると、「製造業」は外国人労働者が最も多く就労している産業分野です。(参照:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ)彼らの国籍はアジア諸国を中心に多岐にわたるため、現場の共通言語として「やさしい日本語」とともに、あるいはそれを補完する形で英語が使われるケースが増えています。

現場のリーダーや管理者は、多様な文化的背景を持つスタッフに対して、明確で分かりやすい指示を出す責任があります。特に、製造現場では安全確保が最優先事項です。

  • 安全教育: 機械の操作方法、危険区域への立ち入り禁止、保護具の着用義務など、安全に関する指示は、誤解なく全員に伝わらなければなりません。重要な安全指示を英語でも併記したり、口頭で伝えたりすることで、労働災害のリスクを大幅に低減できます。
  • 業務指示: 「どの部品を、いつまでに、いくつ、どのように組み立てるか」といった日々の業務指示を、正確に伝える必要があります。言葉の壁が原因で生産ミスや遅延が発生すれば、工場全体の生産性に影響を及ぼします。
  • 円滑な人間関係の構築: 仕事上の指示だけでなく、日常的な挨拶や簡単な会話を英語で交わすことで、職場内のコミュニケーションが活性化し、チームワークの向上にも繋がります。お互いの文化を尊重し、良好な人間関係を築く上で、英語は重要な架け橋となります。

このように、国内の製造現場においても、多様な人材が共に働くためのインクルーシブな環境を構築する上で、英語は不可欠なツールになりつつあるのです。

海外サプライヤーや顧客との取引

現代の製造業は、グローバルなサプライチェーンの上に成り立っています。製品を構成する無数の部品や原材料は、世界中の最適なサプライヤーから調達されます。同様に、完成した製品は、国内だけでなく世界中の顧客に向けて販売されます。この「調達(インプット)」と「販売(アウトプット)」の両面で、英語によるコミュニケーションは必須です。

調達・購買の場面:
より高品質な部品を、より安く、安定的に調達するためには、国内だけでなく海外にもサプライヤーを探す必要があります。海外サプライヤーとの取引では、以下のようなやり取りがすべて英語で行われます。

  • 見積もりの依頼 (Request for Quotation)
  • 価格や納期の交渉
  • 品質基準や技術仕様に関する確認
  • 発注書 (Purchase Order) の発行
  • 契約書の締結

特に、技術的な仕様について認識の齟齬があると、納品された部品が使えないといった致命的な問題に繋がりかねません。図面や仕様書に書かれた内容を補足し、細部まで確認するための英語でのコミュニケーション能力が、調達担当者には求められます。

海外営業・販売の場面:
自社の製品を海外市場で販売する場合、顧客とのコミュニケーションは基本的に英語で行われます。

  • 製品の技術的な特長やメリットを伝えるプレゼンテーション
  • 顧客のニーズをヒアリングし、最適な製品を提案するコンサルティング
  • 価格や販売条件の交渉
  • 納品後の技術サポートやアフターサービス

顧客からの技術的な質問に対して、その場で的確に英語で回答できるかどうかが、信頼関係の構築や受注の成否を左右します。単に製品を売るだけでなく、技術的な知見を持ったパートナーとして顧客に認められるためには、高度な専門性を伴う英語力が不可欠です。

海外の最新技術や情報を収集するため

製造業は、技術革新が非常に速い業界です。IoT、AI、3Dプリンティング、新素材といった新しい技術が次々と登場し、生産性や製品の付加価値を大きく左右します。こうした最先端の技術情報の多くは、まず英語で発表されます。

  • 学術論文・技術レポート: 各分野の最新の研究成果は、国際的な学会や専門誌で英語の論文として公開されます。競合他社に先んじて新しい技術トレンドをキャッチし、自社の研究開発に活かすためには、これらの英語文献を迅速かつ正確に読み解く能力が不可欠です。
  • 国際標準規格(ISOなど): グローバル市場で製品を販売するためには、国際的な標準規格に準拠する必要があります。ISO(国際標準化機構)やIEC(国際電気標準会議)などが定める規格書は、基本的に英語で書かれています。これらの規格を正しく理解し、製品設計や品質管理のプロセスに反映させることが求められます。
  • 海外の業界ニュース・展示会: 競合他社の動向、新しい市場のトレンド、革新的な技術を持つスタートアップの情報など、ビジネスに直結する貴重な情報は、海外の専門ニュースサイトや業界団体が発信しています。また、世界最大級の技術展示会(例:ドイツのハノーファー・メッセ)に参加し、最新技術をその目で見て、開発者と直接英語で議論することも重要な情報収集活動です。

英語力は、世界中に溢れる膨大な情報の中から、自社にとって本当に価値のある情報を見つけ出し、活用するための「鍵」と言えるでしょう。情報収集のスピードと質が企業の競争力を直接的に左右する現代において、英語の読解力や聴解力は、すべての技術者にとって重要なスキルとなっています。

英語力があると製造業で得られるメリット

キャリアアップや昇進に有利になる、海外赴任や出張のチャンスが広がる、担当できる仕事の幅が広がる

製造業で英語力を身につけることは、企業にとってのメリットだけでなく、働く個人にとっても大きな価値をもたらします。グローバル化が進む中で、英語力は自身の市場価値を高め、キャリアの可能性を大きく広げる強力な武器となります。ここでは、英語力を持つことで得られる3つの具体的なメリットについて詳しく解説します。

キャリアアップや昇進に有利になる

多くの製造業企業において、英語力はキャリアアップや昇進のための重要な評価項目の一つと見なされています。特に、グローバルに事業を展開する企業では、管理職やリーダー層に英語でのコミュニケーション能力を求める傾向が年々強まっています。

なぜ英語力があると昇進に有利になるのでしょうか。それは、より責任の重いポジションほど、英語を必要とする場面が増えるからです。

  • グローバルな視点での意思決定: 部門長や役員といった上位の役職に就くと、海外拠点を含めた会社全体の経営戦略や事業計画に携わる機会が増えます。海外の市場動向を分析したり、海外法人の業績報告を理解したり、グローバルな視点で物事を判断するためには、英語で情報をインプット・アウトプットする能力が不可欠です。
  • 海外拠点との連携強化: 海外に生産拠点や販売拠点を持つ企業では、現地のマネジメント層と本社の管理職が密に連携を取る必要があります。事業方針の伝達、問題発生時の対応、予算策定など、重要な経営課題について英語で議論し、的確な指示を出す能力は、管理職に必須のスキルです。
  • 重要な交渉の場面: 海外の重要な顧客やサプライヤー、あるいは提携先の企業との交渉は、多くの場合、部長クラス以上の管理職が担当します。こうしたハイレベルなビジネス交渉を英語でリードし、自社に有利な条件を引き出すことができる人材は、企業にとって極めて貴重な存在です。

これらの理由から、企業は将来の幹部候補となる人材を選抜する際、業務遂行能力やリーダーシップと並んで、英語力を重視します。TOEICスコアを昇進の要件としている企業も少なくありません。英語を習得することは、単にスキルを一つ増やすということではなく、より高いレベルの職務に挑戦するための「パスポート」を手に入れることに他なりません。同じ能力を持つ候補者が二人いた場合、英語ができる人材が選ばれる可能性は非常に高いと言えるでしょう。

海外赴任や出張のチャンスが広がる

製造業で働く多くの技術者にとって、海外赴任や海外出張は、自身のスキルを試し、キャリアを飛躍させる絶好の機会です。英語力は、こうしたグローバルな舞台で活躍するためのチャンスを掴むための前提条件となります。

海外赴任・出張の機会は、様々な形で訪れます。

  • 海外工場の立ち上げ・運営支援: 新しい工場を海外に建設する際、日本のマザー工場から経験豊富な技術者や管理者が派遣され、生産ラインの構築や現地スタッフの教育を主導します。このミッションを成功させるには、現地の建設業者、設備メーカー、そして採用したばかりのスタッフと英語で円滑にコミュニケーションを取る能力が不可欠です。
  • 技術指導・品質改善: 海外工場の生産性や品質に課題がある場合、日本の専門家が現地に赴き、問題解決にあたります。現地の状況を正確に把握し、文化や習慣の違いを乗り越えて改善策を指導するためには、技術的な知識を英語で分かりやすく説明する能力が求められます。
  • 国際展示会への参加・出展: 世界各国の最新技術や市場トレンドを調査したり、自社の製品をグローバル市場にアピールしたりするために、国際的な展示会に参加・出展する機会があります。来場者や他の出展企業の担当者と英語で情報交換をすることで、新たなビジネスチャンスや技術提携のきっかけが生まれることもあります。
  • 海外顧客への技術サポート: 海外の顧客が導入した製品に技術的な問題が発生した場合、現地に飛んでトラブルシューティングを行うことがあります。顧客の不安を解消し、迅速に問題を解決するためには、技術的な説明と丁寧な顧客対応を両立させる高度な英語コミュニケーションが必要です。

これらのチャンスは、当然ながら英語が堪能な社員に優先的に与えられます。「英語ができないから」という理由で、このような貴重な成長の機会を逃してしまうのは非常にもったいないことです。逆に言えば、英語力を磨いておくことで、自ら手を挙げて海外での挑戦を希望できるようになり、キャリアの選択肢を主体的に広げることができます。 海外での経験は、語学力だけでなく、異文化理解力、問題解決能力、交渉力といったポータブルスキルを飛躍的に向上させ、帰国後のキャリアにも大きなプラスの影響を与えるでしょう。

担当できる仕事の幅が広がる

英語力が身につくと、これまで担当していた業務に加えて、より多様で付加価値の高い仕事に携われるようになります。これは、「英語ができる」というスキルが、様々な業務の扉を開く鍵となるからです。

例えば、国内勤務の設計エンジニアの場合を考えてみましょう。英語が不得意な場合、仕事の範囲は日本語の資料や国内のサプライヤーとのやり取りに限定されがちです。しかし、英語ができるようになると、以下のように仕事の幅が大きく広がります。

  • 情報収集の範囲拡大: 海外の最新技術に関する英語の論文や技術レポートを直接読むことができるようになり、より質の高い情報を迅速に入手できます。これにより、製品開発のアイデアソースが格段に豊富になります。
  • グローバルな部品選定: これまで国内サプライヤーに限定していた部品の調達先を、海外のメーカーにも広げることができます。より高性能でコストパフォーマンスの高い部品を英語でリサーチし、技術仕様について直接問い合わせることで、製品の競争力を高めることに貢献できます。
  • 海外規格への対応: 製品を海外で販売するために必要な国際規格(ISO、CEマーキングなど)の要求事項を、原文で正確に理解し、設計に反映させることができます。これにより、グローバル市場に対応した製品開発をリードできます。
  • 海外拠点との共同開発: 海外の研究開発拠点と英語でテレビ会議を行い、共同でプロジェクトを進めることができます。多様なバックグラウンドを持つエンジニアと協働することで、新たな視点やイノベーションが生まれやすくなります。

これは設計職に限った話ではありません。生産管理なら海外工場の生産性改善プロジェクト、品質保証なら海外サプライヤーの品質監査、購買ならグローバルソーシング戦略の立案など、どの職種であっても、英語力があればより戦略的で影響力の大きな仕事を担当できるようになります。

仕事の幅が広がることは、日々の業務に新鮮さややりがいをもたらし、モチベーションの向上にも繋がります。また、様々な業務を経験することで、多角的な視点やスキルが身につき、会社にとって代替の難しい、より価値の高い人材へと成長することができるのです。

英語力が活かせる製造業の主な職種

製造業と一言で言っても、その職種は多岐にわたります。そして、求められる英語力やその使われ方も、職種によって大きく異なります。ここでは、特に英語力が活かせる製造業の4つの主要な職種を取り上げ、それぞれの業務内容と、具体的にどのような場面で英語が必要とされるのかを詳しく解説します。

職種 主な業務内容 英語が活かせる具体的な場面
研究開発・設計 新製品・新技術の研究、製品の構想・詳細設計、試作品の評価 海外の最新論文・技術資料の読解、国際学会での発表・情報交換、海外サプライヤーとの部品仕様の確認、国際規格(ISO等)の理解
生産管理・品質管理 生産計画の立案・進捗管理、品質基準の設定・維持、不良品の分析と対策 海外工場の生産状況の確認、現地スタッフへの技術指導・品質教育、海外サプライヤーへの品質監査、品質問題に関する英語での報告書作成
調達・購買 部品・原材料のサプライヤー選定、価格・納期交渉、発注・在庫管理 海外サプライヤーのリサーチと評価、英語での見積依頼・価格交渉、英文契約書の確認・締結、部品の技術仕様に関する問い合わせ
海外営業 海外市場の調査、新規顧客の開拓、製品プレゼンテーション、契約交渉、アフターフォロー 英語での製品プレゼンテーション、顧客からの技術的な質問への対応、価格・納期・支払い条件の交渉、英文での見積書・契約書の作成

研究開発・設計

研究開発・設計は、製造業の根幹を支える、いわば「頭脳」にあたる部門です。この分野で最先端を走り続けるためには、グローバルな情報収集能力が不可欠であり、英語力は死活問題とも言えます。

  • 最新技術情報のインプット: 新しい製品や技術を生み出すためのアイデアは、世界中から集める必要があります。AI、IoT、新素材、サステナビリティといった分野の最先端の研究は、多くが英語の学術論文や専門誌で発表されます。これらの情報をいち早く、そして正確に読み解く英語の読解力は、研究開発者にとって最も重要なスキルの一つです。競合他社が日本語に翻訳されるのを待っている間に、原文で情報をキャッチできれば、それだけで大きなアドバンテージとなります。
  • 国際学会やカンファレンスでの活動: 世界中の研究者が集まる国際学会は、自身の研究成果を発表し、各国の専門家と意見交換をする貴重な場です。英語で堂々とプレゼンテーションを行い、質疑応答に対応できるスピーキング能力とリスニング能力があれば、自身の研究を世界にアピールし、新たな共同研究のきっかけを掴むことも可能です。
  • 海外サプライヤーとの技術的なやり取り: 製品を設計する過程で、特殊な部品や最新の半導体を海外のサプライヤーから調達するケースは少なくありません。その際、部品の技術仕様書(データシート)を英語で正確に読み解き、必要であればメールや電話で技術的な質問を英語で行う必要があります。専門用語を駆使した precise(正確)なコミュニケーションが、設計ミスを防ぎ、開発スケジュールを守る上で非常に重要です。
  • 国際規格への準拠: 開発した製品をグローバル市場で販売するためには、ISO(国際標準化機構)やIEC(国際電気標準会議)といった国際規格に準拠した設計が求められます。これらの規格書はすべて英語で書かれているため、その要求事項を正しく理解し、設計に反映させる高度な読解力が必須です。

このように、研究開発・設計職では、特に「読む」能力と、専門分野に関する「話す・聞く」能力が重要視されます。

生産管理・品質管理

生産管理・品質管理は、製品を「計画通りに、高い品質で」作り上げるための司令塔であり、守護神です。生産拠点のグローバル化が進む今、この職種でも英語力がますます重要になっています。

  • 海外工場との連携: 海外に生産拠点を持つ企業では、日本の本社(マザー工場)と海外工場との間で、日々の生産状況について密に連携を取る必要があります。「生産は計画通り進んでいるか?」「何か問題は発生していないか?」といった進捗確認は、テレビ会議やメール、チャットツールなどを通じて英語で行われるのが一般的です。現地のマネージャーやエンジニアと対等に議論できるコミュニケーション能力が求められます。
  • 現地スタッフへの技術指導: 日本で確立された生産方式や品質管理手法を海外工場に展開する際、現地スタッフへのトレーニングが必要になります。文化や言語の壁を乗り越え、なぜこの手順が必要なのか、なぜこの品質基準を守らなければならないのか、その背景や理論まで含めて英語で分かりやすく説明するティーチング能力が重要です。
  • 品質問題への対応: 海外工場で品質不良が発生した場合や、海外から調達した部品に問題があった場合、その原因究明と対策立案を主導する必要があります。現地の担当者と英語で詳細な状況をヒアリングし、”5-Why”分析のような手法を用いて根本原因を特定し、再発防止策を共に策定するといった、論理的かつ粘り強いコミュニケーションが求められます。このプロセスでは、不良(defect)、検査(inspection)、公差(tolerance)といった専門用語を正確に使いこなす必要があります。
  • サプライヤー監査(Audit): 部品を供給してくれる海外サプライヤーが、要求した品質基準を満たす製造プロセスを維持しているかを確認するため、現地に赴いて監査(Audit)を行うことがあります。監査では、製造ラインを視察し、品質管理記録をチェックし、担当者に質問をします。これら一連の活動を英語でスムーズに遂行する能力は、サプライチェーン全体の品質を維持する上で不可欠です。

生産管理・品質管理職では、日常的なコミュニケーションから技術的な議論まで、バランスの取れた4技能(読む、書く、聞く、話す)が求められます。

調達・購買

調達・購買は、製品を作るために必要な部品や原材料を、最適な品質・価格・納期(QCD: Quality, Cost, Delivery)で確保する重要な役割を担います。サプライチェーンのグローバル化に伴い、調達・購買担当者の英語力は、企業のコスト競争力に直結すると言っても過言ではありません。

  • グローバルソーシング: より安価で高品質な部品を求めて、世界中のサプライヤーをリサーチし、比較検討します。海外企業のウェブサイトを読み解き、製品カタログや技術仕様書を比較し、有望なサプライヤー候補を見つけ出す情報収集能力と読解力が第一に必要です。
  • 交渉(Negotiation): 新規のサプライヤーと取引を開始する際、あるいは既存のサプライヤーとの年間契約を更新する際に、価格、納期、支払い条件、品質保証などについて交渉を行います。これは調達業務のハイライトとも言える場面であり、相手の主張を正確に理解し、自社の要求を論理的かつ説得力を持って伝える高度な交渉力(スピーキング・リスニング)が求められます。単に値切るだけでなく、Win-Winの関係を築くためのコミュニケーションが重要です。
  • 契約書の確認: 海外サプライヤーとの取引では、契約書はすべて英語で作成されるのが一般的です。契約内容に自社にとって不利な条項が含まれていないか、納期遅延や品質不良時のペナルティはどうなっているかなど、法務部門と連携しながら細部まで慎重に確認するリーガルな側面も含む読解力が必要です。
  • 日常的なコミュニケーション: 発注した部品の納期確認、仕様に関する技術的な問い合わせ、輸送中のトラブル対応など、日々の業務の多くは海外サプライヤーとの英語でのメールや電話のやり取りです。迅速かつ的確なビジネスライティング能力と、要点を押さえた会話力が、スムーズなサプライチェーンの維持に繋がります。

調達・購買職では、特に交渉力を含む「話す」能力と、契約書を読み解く「読む」能力が極めて重要になります。

海外営業

海外営業は、その名の通り、自社の製品を海外の顧客に販売する、グローバル戦略の最前線に立つ職種です。高度なコミュニケーション能力はもちろんのこと、異文化への深い理解と、技術的な知識を兼ね備えている必要があります。

  • 市場調査と新規顧客開拓: 担当する国や地域の市場特性、競合の動向、顧客のニーズなどを調査し、アプローチすべき潜在顧客をリストアップします。その後、メールや電話でアポイントを取り、自社と製品について紹介します。ここでは、相手の関心を引く説得力のあるコミュニケーションが求められます。
  • 製品プレゼンテーションと技術説明: 顧客を訪問し、製品の特長や優位性を英語でプレゼンテーションします。BtoBの製造業の営業では、単に製品のスペックを説明するだけでなく、その製品が顧客のどのような課題を解決できるのかを具体的に示す「ソリューション営業」が中心となります。顧客であるエンジニアからの技術的な質問に対しても、その場で的確に、分かりやすく回答できる深い製品知識と応用力が不可欠です。
  • 価格・条件交渉から契約締結まで: 顧客が製品に興味を持ったら、価格、数量、納期、サポート体制など、具体的な取引条件の交渉に入ります。調達・購買の交渉とは逆の立場になりますが、自社の利益を確保しつつ、顧客にも満足してもらえる着地点を見出す高度な交渉力が求められます。合意に至れば、見積書や契約書を英語で作成し、クロージングまで導きます。
  • アフターフォローと関係構築: 製品を納入して終わりではありません。納品後の技術サポートや、定期的なフォローアップを通じて、顧客との長期的な信頼関係を築くことが重要です。顧客満足度を高め、リピートオーダーや新たなビジネスに繋げるためには、継続的で丁寧な英語でのコミュニケーションが欠かせません。

海外営業職には、製造業の職種の中で最もハイレベルで総合的な英語力が求められると言えるでしょう。ビジネスレベルの流暢さに加え、文化的背景の違いを乗り越えて信頼関係を築く対人スキルが成功の鍵を握ります。

製造業で求められる英語レベルの目安

製造業で求められる英語レベルの目安

「製造業で働くには、どのくらいの英語力が必要なのだろう?」これは多くの方が抱く疑問だと思います。結論から言うと、求められる英語レベルは一律ではなく、担当する職種や具体的な業務内容によって大きく異なります。ここでは、その実態と、一つの指標となるTOEICスコアについて解説します。

職種や業務内容によって必要なレベルは異なる

前章で解説したように、製造業の各職種では英語の使われ方が異なります。そのため、求められる英語スキルの種類やレベルも当然変わってきます。

重要なのは、「読む」「書く」「聞く」「話す」の4つの技能のうち、自分の業務で特にどのスキルが重要になるかを理解することです。

  • 研究開発職や設計職の場合:
    • 最重要スキル: 読解力(Reading)
    • 具体的な業務: 海外の最新論文、技術資料、競合他社の特許、国際規格などを読み解くことが中心。
    • 求められるレベル: 専門的な技術文書を、辞書を使いながらでも正確に理解できるレベル。内容を誤解すると製品の品質や安全性に関わるため、高い精度が求められます。TOEICで言えば、リーディングパートで高得点を取れる能力が望ましいでしょう。
  • 調達・購買職の場合:
    • 重要スキル: 読解力(Reading)と交渉力を含む会話力(Speaking)
    • 具体的な業務: 英文の契約書や仕様書を精読する一方、海外サプライヤーと価格や納期について電話やテレビ会議で交渉する。
    • 求められるレベル: 読解力は法的なニュアンスまで理解できる精度が求められます。会話力は、流暢さよりも、自分の要求を論理的かつ明確に伝え、相手の主張を正確に聞き取る能力が重要です。
  • 海外営業職の場合:
    • 最重要スキル: 総合的なコミュニケーション能力(特にSpeakingとListening)
    • 具体的な業務: 製品プレゼン、顧客との質疑応答、商談、雑談を含めた関係構築など、対面でのコミュニケーションが中心。
    • 求められるレベル: ビジネスの場で臆することなく、自分の意見を述べ、相手と円滑に議論ができる高いレベルが求められます。専門的な話と日常的な会話を織り交ぜながら、信頼関係を築く能力が必要です。TOEICスコアもさることながら、VERSANTやIELTSなどのスピーキングテストのスコアも重視されることがあります。
  • 国内工場の生産管理や品質管理職の場合:
    • 重要スキル: 実用的な会話力(Speaking)と聴解力(Listening)
    • 具体的な業務: 外国人労働者への業務指示、安全教育、簡単な日常会話。
    • 求められるレベル: 複雑な文法や難しい単語よりも、シンプルで明確な表現(Clear and Simple English)を使って、誤解なく意図を伝える能力が重視されます。いわゆる「ブロークン」でも、まずはコミュニケーションを取ろうとする姿勢が大切です。

このように、自分のキャリアプランや現在の業務内容と照らし合わせ、どのスキルを重点的に伸ばすべきか目標を定めることが、効率的な学習の第一歩となります。

TOEICスコアは600点以上が一つの基準

職種によって求められるレベルは異なるとはいえ、客観的な指標として多くの企業で参考にされているのがTOEIC Listening & Reading Testのスコアです。

一般的に、製造業の技術系・事務系職種において、英語を使用する業務を担当するための最低ラインとして「600点」が一つの中間目標とされています。

TOEICテストを運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)のデータによると、スコアとコミュニケーション能力レベルの相関関係は以下のようになっています。

  • 470点~: 日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる。
  • 730点~: どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている。
  • 860点~: Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる。

(参照:ETS “TOEIC Listening & Reading Test Score Descriptors”)

このデータを基に、製造業におけるTOEICスコアの目安を段階的に見てみましょう。

【TOEIC 600点レベル】

  • 位置づけ: 「英語を使う業務のスタートライン」
  • できることの目安:
    • 簡単な業務連絡(定型的なメールのやり取りなど)
    • 海外出張に、英語が得意な上司や同僚と一緒であれば同行できる
    • 辞書を使いながら、時間をかければ簡単な技術マニュアルを読める
  • 企業からの見え方: 多くの企業が海外部門への異動や、英語を使う業務へのアサインを検討し始めるスコアです。「英語への抵抗感がなく、学習意欲がある」と評価され、ポテンシャルを期待されます。

【TOEIC 730点レベル】

  • 位置づけ: 「一人で海外出張に行けるレベル」「英語で主体的に業務を遂行できる」
  • できることの目安:
    • 海外の取引先と、準備をすればテレビ会議で議論ができる
    • 海外の顧客からのメールでの問い合わせに、自分で文章を作成して返信できる
    • 海外の展示会で、自社製品についてある程度の説明ができる
  • 企業からの見え方: このレベルに達すると、多くの企業で「英語ができる人材」として認識され、海外赴任の候補者リストにも名前が挙がるようになります。担当できる業務の幅が大きく広がり、キャリアアップの可能性が格段に高まります。

【TOEIC 860点以上レベル】

  • 位置づけ: 「グローバル人材として、高度な交渉やマネジメントができる」
  • できることの目安:
    • 海外の重要顧客との契約交渉をリードできる
    • 海外拠点の責任者として、現地のマネジメント層と対等に渡り合える
    • 国際学会で、専門家と専門的な内容について自由にディスカッションできる
  • 企業からの見え方: 企業のグローバル戦略を牽引するリーダー候補として、非常に高く評価されます。海外法人の社長や、グローバルプロジェクトの責任者など、重要なポジションを任される可能性が高まります。

注意点として、TOEICスコアはあくまでインプット能力(聞く・読む)を測るテストであり、アウトプット能力(話す・書く)を直接証明するものではありません。 特にスピーキング能力が重視される海外営業や海外赴任を目指す場合は、TOEIC L&Rで高いスコアを取得した上で、TOEIC Speaking & Writing Testsの受験や、オンライン英会話などでの実践的なトレーニングを併行して行うことが不可欠です。

まずは自身の現状を把握し、キャリアプランに合わせて「まずは600点を目指す」「次は730点を超えて仕事の幅を広げる」といった段階的な目標を設定することが、モチベーションを維持しながら学習を続けるコツと言えるでしょう。

【場面別】製造業で使える実践英語フレーズ集

ここでは、製造業の現場で遭遇する様々な場面で役立つ、実践的な英語フレーズを40個厳選して紹介します。自己紹介からトラブル報告まで、これらのフレーズを覚えておけば、いざという時にスムーズなコミュニケーションが取れるようになります。

自己紹介・挨拶

初対面の相手に、自分が何者であるかを簡潔かつ明確に伝えるためのフレーズです。

  1. I’m [Your Name] from the Production Engineering department.
    (生産技術部の[あなたの名前]です。)
  2. I’m in charge of quality control for the new model.
    (私は新モデルの品質管理を担当しています。)
  3. My main responsibility is to improve the efficiency of our assembly line.
    (私の主な職務は、組立ラインの効率を改善することです。)
  4. It’s a pleasure to meet you. I’m looking forward to working with you.
    (お会いできて光栄です。一緒にお仕事できるのを楽しみにしています。)
  5. Please call me [Your First Name].
    ([あなたの名前]と呼んでください。)

電話・メール対応

海外の取引先とのコミュニケーションで基本となるフレーズです。

  1. This is [Your Name] from [Your Company]. Could I speak to Mr. Smith in the purchasing department?
    ([あなたの会社名]の[あなたの名前]です。購買部のスミスさんをお願いできますか?)
  2. I’m writing to you regarding the delivery schedule of PO #12345.
    (注文番号12345の納期についてご連絡いたしました。)
  3. Could you please send me the specifications for the new sensor?
    (新しいセンサーの仕様書を送っていただけますか?)
  4. I would like to arrange a conference call to discuss this issue.
    (この問題について議論するため、電話会議を設定したいと思います。)
  5. Thank you for your prompt reply.
    (迅速なご返信ありがとうございます。)

会議・交渉

自分の意見を述べたり、相手の意見を確認したりする際に使えます。

  1. From my perspective, we should prioritize cost reduction.
    (私の考えでは、コスト削減を優先すべきです。)
  2. Could you elaborate on that point?
    (その点について、もう少し詳しく説明していただけますか?)
  3. If I understand correctly, you are suggesting that we change the material.
    (私の理解が正しければ、材料を変更するというご提案ですね。)
  4. I agree with your point. Let’s move on to the next topic.
    (あなたの意見に賛成です。次の議題に移りましょう。)
  5. I’m afraid I have a different opinion. We need to consider the long-term quality.
    (申し訳ありませんが、私は違う意見です。長期的な品質を考慮する必要があります。)

工場見学・案内

海外からの訪問者を自社の工場に案内する際に役立つフレーズです。

  1. Welcome to our factory. I’ll be your guide today.
    (私たちの工場へようこそ。本日は私がご案内します。)
  2. First, please put on this hard hat and safety glasses for your safety.
    (まず、安全のためにこちらのヘルメットと保護メガネを着用してください。)
  3. This is our main assembly line where we produce 1,000 units per day.
    (こちらが我々のメインの組立ラインで、1日に1,000ユニットを生産しています。)
  4. On your left, you can see the automated welding process.
    (左手に見えますのが、自動溶接工程です。)
  5. Do you have any questions so far? Please feel free to ask me anything.
    (ここまでで何か質問はありますか?どんなことでもお気軽にご質問ください。)

生産工程・業務指示

現場の外国人スタッフに作業を指示したり、説明したりする際に使います。

  1. Please assemble these parts according to this procedure.
    (この手順書に従って、これらの部品を組み立ててください。)
  2. Make sure that all screws are tightened properly.
    (すべてのネジが適切に締められていることを確認してください。)
  3. Today’s production target is 500 pieces. Let’s work together to achieve it.
    (本日の生産目標は500個です。達成に向けて協力しましょう。)
  4. We are behind schedule. We need to speed up the process.
    (予定より遅れています。工程をスピードアップする必要があります。)
  5. Good job today. Please clean up your work area before you leave.
    (今日もお疲れ様でした。帰る前に作業場を清掃してください。)

機械・設備の操作説明

新しい機械の操作方法やメンテナンスについて説明する際のフレーズです。

  1. To start the machine, press this green button.
    (機械を始動させるには、この緑のボタンを押してください。)
  2. Be careful, this surface gets very hot during operation.
    (注意してください、この表面は作動中に非常に熱くなります。)
  3. In case of emergency, hit the red emergency stop button immediately.
    (緊急の場合は、ただちにこの赤い緊急停止ボタンを押してください。)
  4. This machine requires daily maintenance. Please check the oil level every morning.
    (この機械は毎日のメンテナンスが必要です。毎朝オイルレベルを確認してください。)
  5. If you see this warning light, please stop the machine and call your supervisor.
    (もしこの警告灯が点灯したら、機械を止めて上司を呼んでください。)

品質管理・進捗確認

品質に関する問題や進捗状況を共有する際に使えます。

  1. I found a defect on this part. The surface is scratched.
    (この部品に不良を見つけました。表面に傷があります。)
  2. We need to conduct a 100% inspection for this lot.
    (このロットについては、全数検査を実施する必要があります。)
  3. The measurement is out of tolerance. It exceeds the upper limit.
    (測定値が公差を外れています。上限値を超えています。)
  4. What is the root cause of this quality issue?
    (この品質問題の根本原因は何ですか?)
  5. How is the progress on the improvement action?
    (改善策の進捗はいかがですか?)

トラブル報告・安全指示

緊急事態や安全に関する指示を明確に伝えるためのフレーズです。

  1. We have a problem. Machine #5 has broken down.
    (問題が発生しました。5号機が故障しました。)
  2. There has been a minor accident. Someone slipped on the floor.
    (軽い事故がありました。誰かが床で滑りました。)
  3. Please evacuate the building immediately. This is not a drill.
    (ただちに建物から避難してください。これは訓練ではありません。)
  4. Always wear your personal protective equipment (PPE) in this area.
    (このエリアでは、常に個人用保護具(PPE)を着用してください。)
  5. Watch your step. The floor is slippery.
    (足元に注意してください。床が滑りやすいです。)

覚えておきたい製造業の必須英単語

効果的なコミュニケーションのためには、フレーズだけでなく、基本的な専門単語を知っておくことが不可欠です。ここでは、製造業の様々な場面で頻出する英単語をカテゴリ別に整理して紹介します。これらの単語を覚えることで、英語の技術資料を読んだり、専門家と話したりする際の理解度が格段に向上します。

部署・役職に関する単語

日本語 英語 備考
研究開発部 R&D (Research and Development) Department
設計部 Design Department / Engineering Department
生産技術部 Production Engineering Department
製造部 Manufacturing Department / Production Department
生産管理部 Production Control Department
品質管理部 Quality Control (QC) Department
品質保証部 Quality Assurance (QA) Department QAはプロセス全体、QCは製品検査を指すことが多い
購買部・調達部 Purchasing Department / Procurement Department
工場長 Plant Manager / Factory Manager
技術者 Engineer
作業者 Operator / Worker
監督者 Supervisor

生産・工程に関する単語

日本語 英語 備考
組立ライン Assembly Line
大量生産 Mass Production
試作品 Prototype
リードタイム Lead Time 発注から納品までの時間
ボトルネック Bottleneck 生産工程で最も処理能力が低い箇所
在庫 Inventory / Stock
仕様書 Specification (Spec)
図面 Drawing / Blueprint
工程 Process
効率 Efficiency
生産性 Productivity
自動化 Automation

機械・道具・部品に関する単語

日本語 英語 備考
コンベアベルト Conveyor Belt
フォークリフト Forklift
ねじ Screw
ボルト Bolt
ナット Nut
溶接 Welding
鋳造 Casting
金型 Mold / Die
センサー Sensor
回路基板 Circuit Board (PCB: Printed Circuit Board)
ベアリング Bearing
治具 Jig / Fixture

品質管理に関する単語

日本語 英語 備考
品質 Quality
検査 Inspection
欠陥・不良 Defect / Flaw
不良品 Defective Product / NG (No Good) Product NGは和製英語だが海外工場でも通じることがある
公差 Tolerance
測定 Measurement
監査 Audit
根本原因分析 Root Cause Analysis
是正措置 Corrective Action
予防措置 Preventive Action
校正 Calibration 測定器の精度を調整すること
抜き取り検査 Sampling Inspection

安全衛生に関する単語

日本語 英語 備考
安全 Safety
危険 Hazard / Danger Hazardは潜在的な危険源、Dangerは差し迫った危険
リスク Risk 危険が発生する可能性と重大性の組み合わせ
事故 Accident
保護メガネ Safety Glasses / Goggles
ヘルメット Hard Hat
安全靴 Safety Shoes / Boots
緊急停止 Emergency Stop (E-stop)
労働災害 Industrial Accident / Occupational Accident
避難 Evacuation
消火器 Fire Extinguisher
危険予知 Hazard Prediction KY活動 (Kiken Yochi) は日本独自の概念

製造業で働く人におすすめの英語勉強法

忙しい業務の合間を縫って英語を学習するのは簡単なことではありません。だからこそ、やみくもに勉強するのではなく、製造業という自分のフィールドに特化した、効率的で実践的な学習法を選ぶことが重要です。ここでは、製造業で働く方々に特におすすめの4つの勉強法を紹介します。

業界の専門用語から覚える

一般的な英会話の学習では、日常会話や旅行で使う単語から始めることが多いですが、製造業で働く方がまず優先すべきは、日々の業務で頻繁に目にする、あるいは耳にする専門用語です。

なぜなら、専門用語は業務の核となる部分であり、これを理解できるだけで、会議の内容や技術資料の理解度が劇的に向上するからです。また、自分の仕事に直結するため、学習のモチベーションを維持しやすいというメリットもあります。

具体的な学習ステップ:

  1. 単語のリストアップ: 前の章で紹介したような必須単語リストを参考にしつつ、自分の職場や業務でよく使われる単語(機械の名称、部品名、工程名など)をノートやExcelに書き出してみましょう。日本語、英語、そしてできれば簡単な意味や使い方をセットで記録します。
  2. インプットの強化: リストアップした単語を、単語帳アプリ(Ankiなど)に登録して、通勤時間や休憩時間などのスキマ時間に繰り返し見直します。単語だけでなく、その単語を使った簡単な例文も一緒に覚えると、実際の使い方(コロケーション)が身につきます。例えば、”inspect”(検査する)という単語なら “inspect the product for defects”(製品に欠陥がないか検査する)のように覚えます。
  3. アウトプットへの意識: 覚えた単語を意識して使ってみましょう。いきなり会話で使うのが難しければ、まずは自分で簡単な英文を作ってみるだけでも効果があります。「今日の業務報告を英語で書いたらどうなるだろう?」と考えてみるのです。例えば、「5号機のモーターから異音がしたので、調査した」という内容なら、”I investigated the motor of Machine #5 because it was making an abnormal noise.” のように、覚えた単語を組み合わせて文を作る練習をします。

専門用語は、いわば英語で仕事をするための「共通言語」です。 これを最初に固めることで、その後の学習全体がスムーズに進むようになります。

英語の技術マニュアルや業界ニュースを読む

専門用語を覚えたら、次はそれらが実際にどのように使われているのか、「生きた英語」に触れることが重要です。そのための最適な教材が、英語で書かれた技術マニュアルや業界ニュースです。

  • 技術マニュアル・仕様書: 職場で使用している機械や測定器のマニュアルに英語版があれば、ぜひそれを日本語版と見比べて読んでみましょう。すでに内容を理解しているため、知らない単語や表現があっても意味を推測しやすく、ストレスなく読み進められます。「日本語ではこう表現するけど、英語ではこういう言い方をするのか」という発見が、実践的な語彙力を養います。
  • 業界ニュースサイト: 自分の専門分野に関連する海外の業界ニュースサイトやオンラインマガジンを定期的に読む習慣をつけましょう。例えば、自動車業界なら “Automotive News”、エレクトロニクス業界なら “EE Times” のようなサイトです(※サイト名はあくまで例です)。これにより、語学力と同時に、業界の最新トレンドや技術動向も把握できるため、一石二鳥の効果があります。最初は見出しだけでも、慣れてきたら記事全体を読むように挑戦してみましょう。
  • 海外の競合他社やサプライヤーのウェブサイト: 興味のある海外企業のウェブサイトを見るのも良い学習法です。製品情報やプレスリリースのページには、その業界で使われる標準的な表現が豊富に含まれています。自社の製品説明と比較してみるのも面白いでしょう。

この学習法のポイントは、無理に全文を完璧に理解しようとしないことです。まずは「大体こんなことが書いてあるな」と概要を掴むことを目標にしましょう。多読を続けるうちに、だんだんと読むスピードと理解の精度が上がっていきます。

オンライン英会話で実践練習を積む

インプット学習と並行して、アウトプット、つまり「話す」練習を積むことは、コミュニケーション能力を向上させる上で不可欠です。そのための最も効果的で手軽な方法の一つが、オンライン英会話の活用です。

製造業のビジネスパーソンがオンライン英会話を最大限に活用するためのポイントは以下の通りです。

  1. 講師の選定: ビジネス経験が豊富な講師や、できればエンジニアリングなどのバックグラウンドを持つ講師を選ぶと、より専門的な会話の練習ができます。講師のプロフィールをよく確認しましょう。
  2. 教材の活用とカスタマイズ: 多くのオンライン英会話サービスにはビジネス英語の教材が用意されています。まずはそれを使ってみるのが良いでしょう。さらに、「会議のロールプレイをしたい」「自分の会社の製品を英語で説明する練習をしたい」といった具体的なリクエストをしてみることを強くおすすめします。自分の業務内容に近いシチュエーションを設定することで、レッスンの内容が格段に実践的になります。
  3. 予習と復習を徹底する: レッスン時間を有効に使うために、話したいテーマや使ってみたいフレーズを事前に準備しておきましょう。レッスン中は間違いを恐れずに積極的に話し、講師から間違いを指摘してもらったり、より自然な表現を教えてもらったりします。レッスン後には、新しく学んだ単語やフレーズを必ず復習し、定着させることが重要です。

週に1〜2回でも継続的にレッスンを受けることで、英語を話すことへの心理的なハードルが下がり、いざという時に口から英語が出やすくなります。「知識として知っている」から「実際に使える」への橋渡しをしてくれるのが、オンライン英会話なのです。

身近な会社の資料などを英語で読んでみる

英語学習のために特別な教材を用意するのも良いですが、最も身近で、最も関連性の高い教材は、実はあなたの会社の中にあります。 自社の英語資料を活用することは、非常に効率的な学習法です。

  • 英語版の会社案内や製品カタログ: ほとんどのグローバル企業は、ウェブサイトやカタログの英語版を用意しています。自社のことなので内容は完璧に理解しているはずです。日本語版と見比べながら、「この製品の特長は、英語ではこんな風にアピールするのか」「企業理念はこう訳されているのか」といった点を確認しましょう。これは、自社の公式な英語表現を学ぶ絶好の機会です。
  • 社内報やIR情報(投資家向け情報)の英語版: 会社の動向や業績について、英語でどのように説明されているかを知ることができます。特にIR情報は、客観的かつ正確な表現が使われているため、質の高いビジネス英語の学習素材となります。
  • 過去の英文メールや議事録: もしアクセスできるのであれば、過去に海外とやり取りしたメールや、英語で行われた会議の議事録などを読んでみるのも非常に勉強になります。どのようなトピックが、どのような表現でやり取りされているのか、リアルなビジネスコミュニケーションの実態を知ることができます。

これらの身近な資料を使うメリットは、業務との関連性が極めて高いため、学習した内容がすぐに仕事に活かせる点です。また、「自分の会社のこと」なので、興味を持って学習を続けやすいという利点もあります。まずは自社のウェブサイトの言語設定を「English」に変えてみることから始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

本記事では、製造業における英語の重要性から、具体的な学習法、そして現場で使える実践的なフレーズまで、幅広く解説してきました。

グローバル化の進展により、製造業における英語の必要性は、もはや一部の海外担当者だけのものではなく、研究開発、設計、生産管理、品質管理、調達といったあらゆる職種の従業員に関わる重要なテーマとなっています。海外進出や生産拠点の移転、グローバルなサプライチェーンの構築、そして国内における外国人労働者の増加といったマクロな変化は、私たちの働く環境に直接的な影響を及ぼしています。

英語力を身につけることは、単にコミュニケーションツールを手に入れるだけではありません。それは、以下のような数多くのメリットをもたらします。

  • キャリアの可能性を広げる: 昇進やより責任のあるポジションへの道が開かれ、海外赴任や出張といった貴重な成長機会を掴むことができます。
  • 仕事の幅を広げる: 海外の最新情報を直接入手したり、グローバルなプロジェクトに参加したりと、より付加価値の高い、やりがいのある業務に挑戦できるようになります。
  • 企業の競争力に貢献する: 個人のスキルアップは、結果として海外の顧客やサプライヤーとの関係を強化し、企業のグローバルな競争力向上に直結します。

もちろん、英語の習得は一朝一夕に成し遂げられるものではありません。しかし、重要なのは、完璧な英語を目指すことではなく、まずは自分の業務に関連する分野から、一歩ずつ学習を始めることです。

今回ご紹介したように、業界の専門用語から覚えたり、身近な技術マニュアルを読んだり、オンライン英会話で実践練習を積んだりと、製造業で働く方に特化した効率的な学習法は数多く存在します。まずは「TOEIC 600点」といった具体的な目標を設定し、日々の業務と関連付けながら学習を継続することが、成功への鍵となります。

この記事が、製造業で働く皆さんが英語学習への第一歩を踏み出すきっかけとなり、グローバルな舞台で活躍するための手助けとなれば幸いです。変化の激しい時代を乗りこなし、自身の市場価値を高めるための最強の武器として、ぜひ英語力を磨いていきましょう。