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Web開発言語おすすめ10選!初心者向けの選び方も解説

Web開発言語おすすめ10選、初心者向けの選び方を解説

現代のビジネスや個人の情報発信において、WebサイトやWebアプリケーションは不可欠な存在です。そして、それらを支えているのが「Web開発」の技術です。この記事では、これからWeb開発を学びたいと考えている初心者の方に向けて、Web開発の基礎知識から、自分に合ったプログラミング言語の選び方、具体的な学習ロードマップまでを網羅的に解説します。

数あるWeb開発言語の中から、特におすすめの10言語を厳選し、それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく紹介します。この記事を読めば、Web開発の世界への第一歩を、自信を持って踏み出せるようになるでしょう。

Web開発とは

Web開発とは

まずはじめに、「Web開発」が具体的にどのようなものなのか、その定義と可能性について理解を深めましょう。言葉の響きから難しく感じるかもしれませんが、その本質は非常にシンプルです。

WebサイトやWebアプリケーションを開発すること

Web開発とは、その名の通り「インターネット上で動作するWebサイトやWebアプリケーションを設計・構築・運用すること」を指します。私たちが普段、パソコンやスマートフォンでブラウザを通して閲覧しているほぼすべてのコンテンツは、Web開発の技術によって作られています。

ここで重要なのが、「Webサイト」と「Webアプリケーション」の違いです。

  • Webサイト(静的サイト): 主に情報の提供を目的としたもので、誰がいつアクセスしても同じ内容が表示されます。例えば、企業のコーポレートサイトや個人のブログ、お知らせを掲載するページなどがこれにあたります。HTMLやCSSといった言語で記述されたファイルがサーバーに置かれ、ユーザーのリクエストに応じてそのまま表示されるシンプルな仕組みです。
  • Webアプリケーション(動的サイト): ユーザーのアクションに応じて表示内容が変化したり、複雑な処理を行ったりする、よりインタラクティブな機能を持つものです。例えば、SNS、ネットショッピングサイト(ECサイト)、オンライン予約システム、動画配信サービスなどが該当します。ユーザーの入力内容をデータベースに保存したり、条件に応じて異なる情報を表示したりするため、サーバー側でプログラムが動作する必要があります。

Web開発は、単に見た目を作るだけでなく、ユーザーの操作に応じてデータを処理し、その結果を返すという「動的な仕組み」を構築することが中心的な役割となります。この動的な仕組みを実現するために、様々なプログラミング言語が用いられます。

Web開発の重要性は、社会のデジタル化(DX: デジタルトランスフォーメーション)が進むにつれて、ますます高まっています。企業はオンラインでの顧客接点を強化する必要に迫られ、新しいWebサービスが次々と生まれています。このような背景から、Web開発のスキルを持つ人材は、あらゆる業界で求められているのです。

Web開発でできることの具体例

Web開発の技術を身につけると、具体的にどのようなものが作れるようになるのでしょうか。ここでは、代表的な3つの例を挙げて解説します。

Webサイト制作

Webサイト制作は、Web開発の最も基本的な領域です。前述の通り、主に情報発信を目的としたWebページを作成します。

  • コーポレートサイト: 企業の顔となる公式サイトです。会社概要、事業内容、採用情報、お問い合わせフォームなどを掲載し、企業の信頼性やブランドイメージを伝えます。
  • ブログ・メディアサイト: 個人や企業が特定のテーマについて情報を発信するサイトです。記事の投稿・編集・削除といった基本的な機能(CMS: コンテンツ管理システム)を持つものも多く、その場合はWebアプリケーションとしての側面も持ちます。
  • LP(ランディングページ): 特定の商品やサービスの販売・申し込みに特化した、縦長の1枚のWebページです。ユーザーの行動を促すためのデザインや構成が重要となります。

これらのWebサイトは、見た目を整えるフロントエンドの技術(HTML/CSS, JavaScript)が中心となりますが、お問い合わせフォームやCMS機能を実装するには、バックエンドの技術も必要になります。

Webアプリケーション開発

Webアプリケーション開発は、Web開発の技術が最も活かされる分野です。ユーザーとの双方向のやり取りを前提とした、多機能なサービスを構築します。

  • SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス): ユーザー登録、投稿、フォロー、ダイレクトメッセージなど、複雑な機能を持つサービスの代表例です。膨大なデータをリアルタイムで処理し、多くのユーザーが同時にアクセスしても安定して動作する仕組みが求められます。
  • SaaS(Software as a Service): インターネット経由で提供されるソフトウェアサービスです。例えば、オンラインのプロジェクト管理ツール、会計ソフト、顧客管理システム(CRM)など、企業の業務効率化に貢献する様々なアプリケーションがあります。
  • 予約システム: 飲食店や美容院、宿泊施設などの予約をオンラインで完結させるシステムです。空き状況のリアルタイム表示、カレンダーとの連携、決済機能などが含まれます。

これらの開発には、フロントエンドとバックエンドの両方に高度な知識と技術が必要となり、Web開発エンジニアの腕の見せ所と言えるでしょう。

ECサイト構築

ECサイト(電子商取引サイト)の構築も、Web開発の重要な一分野です。オンラインで商品を販売するための、いわば「インターネット上のお店」を作る仕事です。

ECサイトには、Webアプリケーションとしての高度な機能が多数必要となります。

  • 商品管理機能: 商品の登録、在庫管理、価格設定などを行う機能。
  • カート機能: ユーザーが選んだ商品を一時的に保持する機能。
  • 決済機能: クレジットカード、銀行振込、電子マネーなど、様々な決済方法に対応する機能。
  • 顧客管理機能: ユーザーの会員情報、購入履歴、配送先などを管理する機能。
  • セキュリティ: 個人情報や決済情報を安全に取り扱うための強固なセキュリティ対策。

ゼロからECサイトを構築するには専門的な知識が必要ですが、近年ではECサイト構築に特化したプラットフォームやフレームワークも充実しており、これらを活用することで効率的に開発を進めることも可能です。

このように、Web開発は私たちの生活を豊かにし、ビジネスを支える多種多様なサービスを生み出す、非常に創造的でやりがいのある仕事なのです。

Web開発の仕組み【フロントエンドとバックアップエンド】

データ処理・保存、ビジネスロジックの実装、認証・認可、APIの提供

Web開発の世界を理解する上で欠かせないのが、「フロントエンド」と「バックエンド」という2つの領域です。Webサイトやアプリケーションは、この2つが連携して動作することで成り立っています。ここでは、それぞれの役割と仕組みを、レストランの例えを交えながら分かりやすく解説します。

フロントエンドとは

フロントエンドとは、ユーザーがブラウザを通して直接見たり、操作したりする部分のことです。Webサイトのデザイン、レイアウト、文字、画像、ボタン、入力フォームなど、画面に表示されるすべての要素がフロントエンドに該当します。

レストランに例えるなら、「客席」や「メニュー」「内装」にあたります。お客様(ユーザー)が直接触れる部分であり、お店の印象や居心地の良さ(ユーザー体験、UX)を決定づける重要な役割を担っています。どんなに料理(バックエンドの機能)が美味しくても、お店が汚かったり、メニューが分かりにくかったりすると、お客様は満足できません。

フロントエンド開発で主に使用される技術は、以下の3つです。これらはWeb開発の基本中の基本であり、最初に学ぶべき必須スキルとされています。

  • HTML (HyperText Markup Language): Webページの「骨格」を作るための言語です。文章の見出し、段落、リスト、画像、リンクといった構造を定義します。レストランで言えば、テーブルや椅子、お皿といった「モノの配置」を決める役割です。
  • CSS (Cascading Style Sheets): HTMLで作られた骨格に「装飾」を施すための言語です。文字の色や大きさ、背景色、レイアウトなどを指定し、Webページを美しく見やすくデザインします。レストランの例えでは、壁紙の色やテーブルクロスのデザイン、照明の明るさといった「内装」にあたります。
  • JavaScript: Webページに「動き」をつけるためのプログラミング言語です。例えば、「ボタンをクリックしたらメニューが開く」「入力フォームに不備があったらエラーメッセージを表示する」といった、ユーザーのアクションに応じた動的な処理を実装します。レストランで言えば、お客様の注文を受けたり、質問に答えたりする「ホールスタッフ」の役割と言えるでしょう。

フロントエンドエンジニアは、デザイナーが作成したデザインカンプを元に、これらの技術を駆使して、ユーザーが快適に操作できるWebページを構築する専門職です。近年では、ReactやVue.jsといったJavaScriptのフレームワーク/ライブラリを用いて、より複雑で高機能なUI(ユーザーインターフェース)を効率的に開発することが一般的になっています。

バックエンド(サーバーサイド)とは

バックエンドとは、ユーザーの目には直接見えない、サーバー側で動く裏方の処理全般を指します。サーバーサイドとも呼ばれます。

レストランの例えで言えば、「キッチン」や「食材倉庫」にあたります。お客様の目には直接触れませんが、美味しい料理を提供するためには不可欠な部分です。ホールスタッフ(フロントエンド)から受け取った注文(リクエスト)に基づき、シェフが調理(データ処理)を行い、完成した料理(レスポンス)をホールスタッフに渡す、という一連の流れを担っています。

バックエンドの主な役割は以下の通りです。

  • データ処理・保存: ユーザーが入力した情報(会員登録情報、投稿内容、購入商品など)を受け取り、データベースに保存したり、逆にデータベースから必要な情報を検索して取り出したりします。
  • ビジネスロジックの実装: サービスの核となる複雑な処理を行います。例えば、ECサイトでの在庫引き当てや料金計算、SNSでのタイムライン生成などがこれにあたります。
  • 認証・認可: ログイン機能を提供し、ユーザーが誰であるかを確認(認証)し、そのユーザーに許可された操作だけを行えるように制御(認可)します。
  • APIの提供: フロントエンドからのリクエストに応じて、必要なデータを適切な形式(JSONなど)で返すための窓口(API: Application Programming Interface)を提供します。

バックエンド開発では、PHP, Ruby, Python, Java, Goなど、多種多様なプログラミング言語が使われます。これらの言語は、データベースとの連携や複雑な計算処理を得意としています。

バックエンドエンジニアは、システムの安定稼働、処理速度の向上、セキュリティの確保など、サービス全体の品質と信頼性を支える非常に重要な役割を担います。

フロントエンドとバックエンドは、APIを介して連携します。 フロントエンドはユーザーの操作に応じて「この情報が欲しい」「このデータを保存してほしい」といったリクエストをAPIに送り、バックエンドはそれを受け取って処理を行い、結果をフロントエンドに返します。この一連の通信によって、動的なWebアプリケーションが実現されているのです。

初心者向け|Web開発言語の選び方5つのポイント

Web開発の世界に足を踏み入れる初心者が最初に直面する大きな壁が「どのプログラミング言語から学べば良いのか?」という問題です。数多くの言語が存在するため、選択を誤ると学習の途中で挫折してしまう可能性もあります。ここでは、後悔しないためのWeb開発言語の選び方を5つのポイントに絞って解説します。

① 作りたいものから選ぶ

最も重要なポイントは、「自分が何を作りたいか」を明確にすることです。目的がはっきりしていると、学習のモチベーションを維持しやすく、習得した知識がどのように役立つかを具体的にイメージできます。目的によって、習得すべき最適な言語は異なります。

作りたいもの 主な領域 おすすめの言語
企業の公式サイトやブログ フロントエンド中心 HTML/CSS, JavaScript, (CMSを扱うなら)PHP
SNSやマッチングアプリ バックエンド中心 Ruby (Ruby on Rails), PHP (Laravel), Python (Django)
AIを組み込んだWebサービス バックエンド(AI/機械学習) Python
大規模な業務システム バックエンド(エンタープライズ) Java, C#
高速処理が求められるサービス バックエンド(パフォーマンス重視) Go, Java
とにかく早くサービスを公開したい バックエンド(高速開発 Ruby (Ruby on Rails), PHP (Laravel)

例えば、「おしゃれなデザインのWebサイトを作りたい」という目標なら、まずはフロントエンドのHTML/CSS、JavaScriptの学習に集中するのが良いでしょう。「AIを使った画像認識アプリを作りたい」のであれば、AI・機械学習ライブラリが豊富なPythonが第一候補になります。

まずは自分が興味を持てる分野や、将来的に開発してみたいサービスを具体的に想像してみましょう。 それが、最適な言語への一番の近道となります。

② 学習のしやすさで選ぶ

プログラミング未経験者にとって、学習コスト(習得難易度)は言語選びの重要な要素です。最初に難易度の高い言語を選んでしまうと、文法の理解や開発環境の構築でつまずき、プログラミング自体が嫌になってしまう可能性があります。

学習しやすい言語には、以下のような特徴があります。

  • 文法がシンプルで直感的: コードが人間にとって読みやすく、書きやすい。代表的な言語として、PythonRubyが挙げられます。
  • 環境構築が簡単: 開発を始めるための準備が少なく、すぐにコードを書き始められる。PHPは、レンタルサーバーに最初からインストールされていることも多く、手軽に始めやすい言語の一つです。
  • 日本語の情報が豊富: 学習サイト、書籍、技術ブログなどで日本語の情報がたくさん見つかる。JavaScript, PHP, Ruby, Pythonは、国内のユーザーが多く、情報収集で困ることが少ないでしょう。

一方で、JavaやC++のような言語は、文法が厳密で覚えるべきルールが多いため、初心者にとってはハードルが高く感じられるかもしれません。もちろん、これらの言語も非常に強力で需要が高いですが、最初の言語としては、まず成功体験を積みやすい、学習しやすい言語から始めることをおすすめします。

③ 将来性や需要の高さで選ぶ

プログラミング言語にも流行り廃りがあります。せっかく習得するのであれば、将来性があり、今後も需要が見込める言語を選びたいと考えるのは自然なことです。言語の将来性を測る指標としては、以下のようなものが参考になります。

  • 技術トレンド: AI、機械学習、データサイエンス、クラウドネイティブ、マイクロサービスといった、現在注目されている技術分野で広く採用されているか。この観点では、PythonGo、そしてフロントエンドのTypeScriptが非常に高い将来性を持っています。
  • コミュニティの成長: その言語を使っている開発者の数が増え続けているか。Stack Overflow Developer Surveyのような開発者向けの調査では、近年RustGoTypeScriptといった言語が「最も愛されている言語」として上位にランクインしており、コミュニティの活発さを示しています。
  • 大手企業の採用実績: Google、Meta(旧Facebook)、Amazonといった巨大IT企業が開発やサービスで採用している言語は、技術的な信頼性が高く、エコシステムが発展しやすいため、将来性も高いと言えます。例えば、GoogleはGoやPython、MetaはPHP(Hack)やPythonを大規模に利用しています。

長期的なキャリアを見据えるのであれば、現在の人気だけでなく、数年後も価値が落ちにくい言語を選択するという視点を持つことが重要です。

④ 求人数の多さで選ぶ

Web開発を学んでエンジニアとして就職・転職することを目指している場合、求人数の多さは非常に現実的で重要な選択基準です。求人数が多いということは、それだけ多くの企業がその言語を使える人材を求めているということであり、仕事を見つけやすいことを意味します。

大手求人情報サイトなどで検索してみると、一般的に以下の言語の求人が多い傾向にあります。

  • Java: 大規模な業務システムや金融システムで長年の実績があり、求人数は常にトップクラスです。安定性を重視する企業からの需要が根強いです。
  • JavaScript: フロントエンド開発では必須であり、Node.jsの普及によりバックエンドでも採用が増えているため、求人数は非常に多いです。ReactやVue.jsといったフレームワークのスキルとセットで求められることがほとんどです。
  • PHP: WordPressをはじめとする多くのCMSで採用されているため、Web制作会社や事業会社の案件が豊富にあります。特に中小企業からの需要が高いです。
  • Python: Webアプリケーション開発だけでなく、AI・機械学習エンジニアとしての求人が急増しており、市場価値が非常に高まっています。
  • Ruby: スタートアップやWeb系自社開発企業を中心に根強い人気があり、特にRuby on Railsを使えるエンジニアの需要が高いです。

自分のキャリアプランに合わせて、安定志向ならJava、Web系で幅広く活躍したいならJavaScript、スタートアップで働きたいならRubyといったように、求人市場の動向を参考に言語を選ぶのも賢い方法です。

⑤ 情報の多さやコミュニティの活発さで選ぶ

プログラミング学習は、エラーとの戦いです。学習中に行き詰まったとき、疑問点をすぐに解決できるかどうかは、挫折しないために極めて重要です。そのため、学習リソースの豊富さや、開発者コミュニティの活発さも必ずチェックしましょう。

  • 情報の多さ:
    • 公式ドキュメント: 公式のドキュメントが整備され、分かりやすく書かれているか。
    • 書籍・学習サイト: 日本語の入門書やオンライン学習プラットフォーム(Progate, Udemyなど)の教材が充実しているか。
    • 技術ブログ・Q&Aサイト: QiitaやZenn、Stack Overflowなどで、エラーの解決策や実践的なノウハウが日本語でたくさん共有されているか。
  • コミュニティの活発さ:
    • 勉強会・カンファレンス: 定期的にユーザーグループの勉強会や大規模なカンファレンスが開催されているか。他の開発者と交流し、最新情報を得る良い機会になります。
    • オープンソース: GitHubなどで、その言語を使ったライブラリやフレームワークの開発が活発に行われているか。エコシステムが豊かであるほど、開発効率は向上します。

一般的に、歴史が長くユーザーが多いJavaScript, PHP, Ruby, Python, Javaといった言語は、情報量が多くコミュニティも活発なため、初心者が学習を進める上で非常に心強い存在となるでしょう。

Web開発におすすめの言語10選

ここからは、前述の選び方を踏まえた上で、Web開発に特におすすめのプログラミング言語を10個厳選して紹介します。フロントエンドとバックエンドに分け、それぞれの特徴、メリット、学習のポイントを解説します。

言語名 主な用途 特徴・メリット 初心者向け難易度
フロントエンド ① HTML/CSS Webページの構造とデザイン Web開発の基礎。視覚的に結果が分かりやすい。 ★☆☆☆☆(非常に易しい)
フロントエンド ② JavaScript Webページに動きをつける ブラウザで動作する唯一の言語。フロントエンドでは必須。 ★★☆☆☆(易しい)
フロントエンド ③ TypeScript 大規模なフロントエンド開発 JavaScriptに型安全性を追加。品質と保守性が向上。 ★★★☆☆(普通)
バックエンド ④ PHP Webアプリ開発、CMS構築 Web開発に特化。WordPressで広く採用。情報が豊富。 ★★☆☆☆(易しい)
バックエンド ⑤ Ruby Webアプリ開発(特にスタートアップ) 日本産。フレームワークRailsによる高速開発が強力。 ★★☆☆☆(易しい)
バックエンド ⑥ Python Webアプリ開発、AI・機械学習 シンプルな文法で学びやすい。多様な分野で活用可能。 ★★☆☆☆(易しい)
バックエンド ⑦ Java 大規模業務システム、Androidアプリ 処理速度と安定性が高い。求人数が多く堅牢。 ★★★★☆(やや難しい)
バックエンド ⑧ Go APIサーバー、マイクロサービス Google開発。シンプルで高速、並行処理に強い。 ★★★☆☆(普通)
バックエンド ⑨ C# Windows系アプリ、ゲーム開発 Microsoft開発。ASP.NETでWeb開発、Unityでゲーム開発。 ★★★★☆(やや難しい)
バックエンド ⑩ Swift iOSアプリ開発、バックエンド Apple開発。主にApple製品向け。サーバーサイドも可能。 ★★★☆☆(普通)

① HTML/CSS【フロントエンド】

HTML (HyperText Markup Language) と CSS (Cascading Style Sheets) は、厳密にはプログラミング言語ではありませんが、すべてのWeb開発の土台となる最も基本的な言語です。Web開発を学ぶなら、誰もが最初に通る道です。

  • HTML: Webページのテキスト、画像、リンクなどの要素を配置し、文書の構造(骨格)を定義します。
  • CSS: HTMLで作成した構造に対して、色、フォント、レイアウトなどのスタイル(装飾)を適用します。

この2つを学ぶことで、まずは見た目通りの静的なWebサイトを作成できるようになります。書いたコードがすぐにブラウザ上で視覚的に確認できるため、プログラミングの第一歩として達成感を得やすく、学習のモチベーションを維持しやすいのが大きなメリットです。

② JavaScript【フロントエンド】

JavaScriptは、Webページに「動き」や「対話性」を加えるためのプログラミング言語です。主要なWebブラウザで標準でサポートされている唯一のプログラミング言語であり、フロントエンド開発において絶対に欠かせない存在です。

  • できること:
    • クリックやマウスオーバーといったユーザーのアクションに応じた表示の変更(メニューの開閉、画像の切り替えなど)
    • 入力フォームの内容を送信前にチェックするバリデーション機能
    • サーバーと非同期で通信し、ページ全体を再読み込みすることなく一部のコンテンツだけを更新する(Ajax)

近年では、Node.jsという実行環境の登場により、サーバーサイド(バックエンド)開発もJavaScriptで行えるようになりました。これにより、フロントエンドからバックエンドまでを一貫してJavaScriptで開発する「フルスタック開発」も可能になり、その重要性はますます高まっています。ReactやVue.jsといった人気のライブラリ/フレームワークもJavaScriptをベースにしているため、モダンなWeb開発を行う上で習得は必須です。

③ TypeScript【フロントエンド】

TypeScriptは、Microsoftによって開発された、JavaScriptを拡張して作られたプログラミング言語です。JavaScriptのすべての機能に加えて、「静的型付け」という大きな特徴を持っています。

  • 静的型付けとは: 変数や関数の引数・戻り値に「これは数値です」「これは文字列です」といったように「型」をあらかじめ定義する仕組みです。

これにより、開発中に型の間違い(数値を期待しているところに文字列を渡してしまうなど)をエディタが検知してくれるため、バグを未然に防ぎ、コードの品質と保守性を大幅に向上させることができます。特に、複数人で開発する大規模なアプリケーションにおいてその真価を発揮します。

近年、多くの企業でJavaScriptからTypeScriptへの移行が進んでおり、求人数も急増しています。JavaScriptの基礎を学んだ後のステップアップとして、ぜひ習得しておきたい言語です。

④ PHP【バックエンド】

PHP (Hypertext Preprocessor) は、サーバーサイドで動作する、Webアプリケーション開発に特化したプログラミング言語です。HTMLの中にコードを埋め込んで記述できる手軽さから、古くから多くのWebサイトで利用されてきました。

  • 特徴・メリット:
    • 文法が比較的シンプルで、初心者でも学びやすい。
    • 世界で最も利用されているCMSであるWordPressがPHPで作られているため、WordPressのカスタマイズ案件やプラグイン開発の需要が非常に多い。
    • LaravelやCakePHPといった強力なフレームワークがあり、効率的な開発が可能。
    • 日本語の技術情報や学習リソースが非常に豊富で、困ったときに解決策を見つけやすい。

Web開発の入門として非常に人気が高く、フリーランスとしても案件を獲得しやすい言語の一つです。

⑤ Ruby【バックエンド】

Rubyは、日本人のまつもとゆきひろ氏によって開発されたオブジェクト指向プログラミング言語です。「ストレスなく、楽しんでプログラミングすること」を重視して設計されており、直感的で書きやすい文法が特徴です。

Rubyの価値を飛躍的に高めたのが、Webアプリケーションフレームワークの「Ruby on Rails」です。「設定より規約(CoC)」という思想のもと、決まったルールに従うことで、驚くほど高速にWebアプリケーションを開発できます。

  • 特徴・メリット:
    • 記述量が少なく、可読性の高いコードを書ける。
      Ruby on Railsの活用により、開発の生産性が非常に高い。
    • 特に、新しいサービスを迅速に立ち上げたいスタートアップ企業で絶大な人気を誇る。

「まずは何か動くものを作ってみたい」という初心者にとって、Ruby on Railsは大きな成功体験をもたらしてくれる強力なツールとなるでしょう。

⑥ Python【バックエンド】

Pythonは、シンプルで読みやすい文法を特徴とするプログラミング言語です。コードが簡潔になるように設計されているため、プログラミング初心者でも比較的習得しやすいと言われています。

もともとはデータ分析や科学技術計算の分野で広く使われていましたが、近年ではWeb開発の分野でも大きな存在感を示しています。

  • 特徴・メリット:
    • AI・機械学習、データサイエンス分野で圧倒的なシェアを誇る。これらの機能を組み込んだWebサービスを開発する際に第一候補となる。
    • DjangoやFlaskといった成熟したWebフレームワークがあり、堅牢なWebアプリケーションを構築できる。
    • Web開発以外にも、データ分析、業務自動化など、幅広い用途に活用できるため、スキルセットの幅が広がる。

将来性が非常に高く、Web開発の枠を超えて活躍したいと考えている人にとって、最適な選択肢の一つです。

⑦ Java【バックエンド】

Javaは、1995年に登場して以来、長年にわたってエンタープライズ(大企業向け)システム開発の主流であり続けているプログラミング言語です。「Write Once, Run Anywhere(一度書けば、どこでも動く)」という思想の通り、OSに依存しない高い汎用性が特徴です。

  • 特徴・メリット:
    • 処理速度が速く、非常に安定しており、セキュリティも高いため、金融機関や官公庁などの大規模でミッションクリティカルなシステムで広く採用されている。
    • 豊富なライブラリと実績があり、信頼性が求められる開発に適している。
    • 求人数が常に安定して多く、キャリアパスを築きやすい。
    • Androidアプリケーション開発の標準言語でもある。

文法が厳格で学習コストはやや高めですが、一度習得すれば、安定した需要のもとで長く活躍できるエンジニアを目指せます。

⑧ Go【バックエンド】

Go(Golang)は、2009年にGoogleによって開発された比較的新しいプログラミング言語です。現代のコンピューティング環境(マルチコアプロセッサ、ネットワーク化されたシステム)を前提に設計されており、いくつかの際立った特徴を持っています。

  • 特徴・メリット:
    • プログラムのコンパイルが非常に高速。
    • 並行処理(複数の処理を同時に効率よく行うこと)を言語レベルで強力にサポートしており、パフォーマンスが求められるサーバー開発に適している。
    • 文法がシンプルで覚えるべきことが少なく、コードの書き方が統一されやすい。

YouTubeやメルカリなど、大規模なトラフィックを捌くWebサービスでの採用実績が増えています。マイクロサービスアーキテクチャとの相性も良く、将来性が非常に期待されている言語です。

⑨ C#【バックエンド】

C#(シーシャープ)は、Microsoftが開発したプログラミング言語で、主に.NET(ドットネット)フレームワーク上で動作します。Javaの影響を強く受けており、文法も似ていますが、よりモダンで便利な機能が取り入れられています。

  • 特徴・メリット:
    • Windows環境との親和性が非常に高く、Windows向けのデスクトップアプリケーション開発で広く使われる。
    • Webアプリケーションフレームワーク「ASP.NET」を使えば、高性能なWebアプリケーションやAPIを開発できる。
    • 世界で最も人気のあるゲーム開発エンジン「Unity」で採用されており、ゲーム開発の分野でも必須の言語。

Web開発だけでなく、ゲーム開発にも興味がある人にとっては、一石二鳥の魅力的な言語と言えるでしょう。

⑩ Swift【バックエンド】

Swiftは、2014年にAppleが開発したプログラミング言語です。主にiPhoneやMac向けのiOS/macOSアプリケーション開発で使われています。モダンで安全性の高い言語仕様が特徴で、Objective-Cに代わるAppleプラットフォームの標準言語となりました。

  • 特徴・メリット:
    • コードが簡潔で読みやすく、安全性を重視した設計になっているため、エラーが起こりにくい。
    • Apple製品との親和性が非常に高い。
    • VaporやKituraといったサーバーサイドのフレームワークを使えば、Swiftでバックエンド開発を行うことも可能

Web開発言語としての主流ではありませんが、iOSアプリと連携するバックエンドを同じ言語で開発したい場合などに選択肢となります。Appleのエコシステムに強い関心がある人におすすめです。

Web開発を学ぶメリット

高い需要と将来性がある、高収入が期待できる、自由な働き方を実現しやすい

時間と労力をかけてWeb開発を学ぶことには、それに見合うだけの大きなメリットがあります。ここでは、Web開発スキルを身につけることで得られる3つの主要なメリットについて解説します。

高い需要と将来性がある

現代社会において、IT技術、特にWeb技術はあらゆる産業の基盤となっています。企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進、オンラインビジネスの拡大、新しいWebサービスの継続的な創出といった大きな流れの中で、Web開発ができるエンジニアの需要は増え続けています。

経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」では、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると予測されており、このことからもWeb開発エンジニアの需要がいかに高いかが分かります。(参照:経済産業省「IT人材需給に関する調査」)

この深刻な人材不足は、スキルを持つエンジニアにとっては大きなチャンスを意味します。一度確かなスキルを身につければ、年齢に関わらず長期的に安定したキャリアを築くことが可能です。また、技術は日々進化するため、新しい技術を学び続けることで、自身の市場価値をさらに高めていくことができます。AIやIoT、ブロックチェーンといった最先端技術も、多くの場合Webをインターフェースとして活用するため、Web開発の知識は将来にわたって腐ることのない重要なスキルセットとなるでしょう。

高収入が期待できる

Web開発エンジニアは、専門性の高い職種であるため、他の多くの職種と比較して高い収入が期待できます。 需要に対して供給が追いついていない状況も、エンジニアの給与水準を押し上げる要因となっています。

もちろん、収入は本人のスキル、経験、専門領域、働く企業の規模などによって大きく変動します。例えば、フロントエンドとバックエンドの両方を扱える「フルスタックエンジニア」や、特定の分野(例:クラウドインフラ、セキュリティ)に深い知見を持つエンジニアは、より高い報酬を得られる傾向にあります。

大手求人情報サイト「求人ボックス」の給料ナビによると、Webエンジニアの平均年収は約599万円となっており、日本の平均給与と比較しても高い水準にあることが示されています。(2024年5月時点、参照:求人ボックス 給料ナビ)

経験を積み、マネジメント能力や高度な技術力を身につけることで、年収1,000万円以上を目指すことも十分に可能な世界です。実力次第で高収入を実現できる点は、Web開発を学ぶ大きな魅力の一つと言えるでしょう。

自由な働き方を実現しやすい

Web開発の仕事は、「PCとインターネット環境さえあれば、場所を選ばずに働ける」という大きな特徴があります。この特性から、多様で自由な働き方を実現しやすい職種として知られています。

  • リモートワーク(テレワーク): 自宅やコワーキングスペースなど、オフィス以外の場所で働くスタイルです。通勤時間を削減でき、プライベートとの両立がしやすくなります。多くのIT企業がリモートワークを導入しており、地方に住みながら都市部の企業の仕事をする、といった働き方も可能です。
  • フレックスタイム制: 始業・終業時刻を自分で決められる制度です。コアタイム(必ず勤務すべき時間帯)以外は、自分の都合に合わせて働く時間を調整できるため、柔軟な働き方が可能になります。
  • フリーランス: 会社に所属せず、個人として独立して仕事を請け負う働き方です。働く時間、場所、仕事内容、報酬などをすべて自分でコントロールできるため、究極の自由な働き方と言えます。もちろん、実力と自己管理能力が求められますが、高いスキルがあれば企業員時代以上の収入を得ることも夢ではありません。

ライフステージの変化に合わせて働き方を柔軟に変えたい、ワークライフバランスを重視したいと考える人にとって、Web開発のスキルは理想のキャリアを実現するための強力な武器となるでしょう。

未経験からのWeb開発学習ロードマップ

プログラミングの基礎を理解する、フロントエンドの基礎(HTML/CSS/JS)を習得、バックエンド言語を1つ選んで学習する、フレームワークを学ぶ、データベースの知識を身につける、Webアプリを作りポートフォリオを作成する

「Web開発を学びたいけれど、何から手をつければいいのか分からない」という未経験者のために、具体的な学習手順を6つのステップに分けて解説します。このロードマップに沿って学習を進めることで、効率的にスキルを習得し、最終的にオリジナルのWebアプリケーションを開発できるようになることを目指します。

ステップ1:プログラミングの基礎を理解する

いきなり特定の言語の学習を始める前に、まずはすべてのプログラミングに共通する基本的な概念を理解することが重要です。料理で言えば、包丁の使い方や火加減の基本を学ぶようなものです。

  • 学ぶべき基本概念:
    • 変数: データを一時的に保存しておくための「箱」。
    • データ型: 数値、文字列、真偽値など、データの種類。
    • 制御構文: 条件分岐(if文)や繰り返し(for文)など、プログラムの流れを制御する仕組み。
    • 関数・メソッド: 特定の処理をひとまとめにしたもの。
    • オブジェクト指向: プログラムを「モノ」の集まりとして捉える考え方(クラス、インスタンスなど)。

これらの概念は、どのプログラミング言語を学ぶ上でも必ず登場します。Progateやドットインストールといった初心者向けのオンライン学習サイトには、これらの基礎をインタラクティブに学べるコースが用意されているので、まずはそこから始めて全体像を掴むのがおすすめです。

ステップ2:フロントエンドの基礎(HTML/CSS/JavaScript)を習得する

プログラミングの基礎を学んだら、次はいよいよWeb開発の基本であるフロントエンド技術の習得に移ります。目に見える部分から作り始めることで、学習の成果を実感しやすく、モチベーションを維持しやすいためです。

  1. HTML: Webページの骨格を作ります。まずは見出し (<h1>)、段落 (<p>)、リンク (<a>)、画像 (<img>) といった基本的なタグの使い方を覚え、簡単な構造のWebページを作成してみましょう。
  2. CSS: HTMLで作ったページにデザインを適用します。文字の色やサイズ、背景色、要素の配置(FlexboxやGrid)などを学び、見栄えの良いページを作成するスキルを身につけます。
  3. JavaScript: ページに動きを加えます。クリックイベントの処理やDOM(Document Object Model)操作の基本を学び、「ボタンを押したらテキストが変わる」といった簡単なインタラクションを実装できるようになることを目指します。

このステップのゴールは、デザインカンプ(Webサイトの設計図)を見て、それを模写して静的なWebサイトを自力で作成できるレベルです。

ステップ3:バックエンド言語を1つ選んで学習する

フロントエンドの基礎が固まったら、いよいよWebアプリケーションの心臓部であるバックエンドの開発に進みます。ここで、「Web開発言語の選び方」で解説したポイントを参考に、自分が学ぶバックエンド言語を1つだけ選びます。

初心者が陥りがちなのが、複数の言語に同時に手を出してしまうことです。しかし、それは学習が中途半端になる原因となります。まずは1つの言語に集中し、その言語で基本的なWebアプリケーション(データの登録・表示・更新・削除ができるもの)を作れるようになるまで深く学ぶことが非常に重要です。

PHP, Ruby, Pythonなどは、文法が比較的優しく、学習リソースも豊富なため、最初のバックエンド言語として人気があります。

ステップ4:フレームワークを学ぶ

選んだバックエンド言語の基礎文法を学んだら、次はWebアプリケーションフレームワークの学習に進みます。フレームワークとは、Webアプリケーション開発でよく使われる機能をまとめた「骨組み」のようなものです。これを使うことで、ゼロからすべてを作る必要がなくなり、開発の効率と安全性を大幅に向上させることができます。

  • 主要な言語とフレームワークの組み合わせ:
    • PHP → Laravel, CakePHP
    • Ruby → Ruby on Rails
    • Python → Django, Flask
    • Java → Spring
    • JavaScript (Node.js) → Express

フレームワークにはそれぞれお作法やルールがありますが、それに従うことで、質の高いアプリケーションを迅速に構築できるようになります。まずはチュートリアルに沿って、簡単なアプリケーションを作ってみることから始めましょう。

ステップ5:データベースの知識を身につける

動的なWebアプリケーションを作成するためには、ユーザーの情報や投稿データなどを保存しておくデータベースが不可欠です。バックエンド開発と並行して、データベースの基礎知識も学びましょう。

  • 学ぶべきこと:
    • RDB (リレーショナルデータベース) の基本: MySQLやPostgreSQLといった代表的なデータベースの概要を理解します。
    • SQL (Structured Query Language) の基本: データベースを操作するための言語であるSQLを学びます。特に、データの追加(INSERT)、取得(SELECT)、更新(UPDATE)、削除(DELETE)を行うCRUD操作は必ずマスターしましょう。

フレームワークには、SQLを直接書かなくてもデータベースを操作できるO/Rマッパーという機能が備わっていることが多いですが、裏側で何が行われているかを理解するためにも、SQLの基礎知識は必須です。

ステップ6:実際にWebサイトやアプリを作ってみる(ポートフォリオ作成)

ここまでのステップで学んだ知識を総動員して、オリジナルのWebアプリケーションを開発してみましょう。実際に手を動かして何かを作り上げることこそが、最高の学習です。

  • 制作物の例:
    • ブログ投稿・管理システム
    • ToDoリスト(タスク管理アプリ)
    • 簡単な掲示板
    • お気に入りの映画や本のレビューサイト

完成した作品は「ポートフォリオ」として、あなたのスキルを証明する何よりの証拠となります。就職・転職活動の際には、このポートフォリオを提示することで、企業に対して自分の技術力を具体的にアピールできます。最初は簡単なもので構いません。まずは一つ、最後まで作りきることを目標にしましょう。

Web開発言語の効率的な学習方法

書籍や学習サイトで独学する、プログラミングスクールで学ぶ、メンターを見つける

Web開発の学習ロードマップを実践するにあたり、どのような方法で学べば良いのでしょうか。ここでは、代表的な3つの学習方法のメリット・デメリットを解説します。自分に合った方法を組み合わせることで、学習効果を最大化できます。

書籍や学習サイトで独学する

独学は、最も手軽に始められる学習方法です。自分のペースで、好きな時間に好きな場所で学習を進められます。

  • メリット:
    • コストを抑えられる: 書籍代やオンライン学習サイトの月額料金のみで済むため、費用を安く抑えられます。
    • 学習の自由度が高い: 自分の興味や理解度に合わせて、学習する内容やペースを自由に調整できます。
  • デメリット:
    • 挫折しやすい: 学習計画やモチベーションを自己管理する必要があり、一人では挫折しやすい傾向があります。
    • 疑問点を解決しにくい: エラーや分からないことがあった際に、質問できる相手がいないため、解決に時間がかかったり、行き詰まったりすることがあります。
    • 情報の取捨選択が難しい: 情報が溢れているため、どの情報が正しくて最新なのかを自分で判断する必要があります。

独学におすすめのリソース:

  • オンライン学習サイト: Progate、ドットインストール、Udemyなど。動画やスライド形式で、実際に手を動かしながら体系的に学べます。
  • 書籍: 最新の技術動向を反映した、評価の高い入門書を選びましょう。出版年が新しいことが重要です。
  • 公式ドキュメント: 各言語やフレームワークの公式サイトにあるドキュメントは、最も正確で信頼できる情報源です。

独学を成功させるコツは、小さな目標を立てて達成感を積み重ねることと、QiitaやStack OverflowといったQ&Aサイトを活用して、自力で問題を解決する力を養うことです。

プログラミングスクールで学ぶ

プログラミングスクールは、未経験から効率的にスキルを習得し、エンジニアとしての就職・転職を目指すための体系的なサポートを提供してくれます。

  • メリット:
    • 体系的なカリキュラム: Web開発に必要なスキルを順序立てて効率的に学べるように、カリキュラムが設計されています。
    • メンター(講師)のサポート: 分からないことがあれば、現役エンジニアであるメンターにすぐに質問できるため、挫折しにくい環境です。
    • 転職・就職支援: ポートフォリオ作成のサポートや、キャリア相談、求人紹介など、転職活動を手厚く支援してくれるスクールが多いです。
  • デメリット:
    • コストが高い: 独学に比べて費用が高額になります。数十万円から百万円以上かかる場合もあります。
    • 学習ペースが固定される: カリキュラムに沿って学習を進めるため、自分のペースで学びたい人には窮屈に感じられるかもしれません。

スクールを選ぶ際は、料金だけでなく、カリキュラムの内容、サポート体制、卒業生の就職実績などを総合的に比較検討することが重要です。無料カウンセリングなどを利用して、自分に合ったスクールを見つけましょう。

メンターを見つける

独学とスクールの中間的な選択肢として、個人でメンターを見つけるという方法もあります。メンターとは、学習の指導やキャリアの相談に乗ってくれる、経験豊富な先輩エンジニアのことです。

  • メリット:
    • パーソナライズされた指導: 自分の目標やレベルに合わせて、マンツーマンで的確なアドバイスをもらえます。
    • 実践的な知識が得られる: 現場で使われている生きた知識やノウハウを学ぶことができます。
    • コストの柔軟性: スクールに通うよりは安価で、契約内容も柔軟に決められることが多いです。
  • デメリット:
    • 良いメンターを見つけるのが難しい: 自分と相性が良く、指導力のあるメンターを探す手間がかかります。
    • 体系的な学習は自己管理: カリキュラムが用意されているわけではないため、学習の主体はあくまで自分自身です。

メンターは、知人の紹介やSNS、MENTAのようなメンタリングサービス専門のプラットフォームで見つけることができます。独学で行き詰まりを感じたときや、キャリアについて相談したいときに非常に心強い存在となるでしょう。

言語以外にWeb開発で求められるスキル

フレームワークの知識、データベースの知識、サーバー・ネットワークの知識、コミュニケーションスキル

Web開発エンジニアとして活躍するためには、プログラミング言語の知識だけでは不十分です。ここでは、言語のスキルに加えて、市場価値の高いエンジニアになるために身につけておくべき重要なスキルを4つ紹介します。

フレームワークの知識

現代のWeb開発において、フレームワークを使わずにゼロからアプリケーションを構築することは稀です。フレームワークは、開発の生産性を劇的に向上させ、コードの品質を担保し、セキュリティを高める上で不可欠なツールとなっています。

求人情報を見ても、「Ruby on Railsでの開発経験」「Reactを使ったフロントエンド開発スキル」のように、特定のフレームワークの知識や経験を必須条件としているケースがほとんどです。

学習ロードマップでも触れた通り、自分が選択した言語に対応する主要なフレームワーク(フロントエンドならReactやVue.js、バックエンドならLaravelやRuby on Railsなど)を最低でも1つは深く使いこなせるように学習しましょう。言語とフレームワークはセットで学ぶと考えるのが基本です。

データベースの知識

Webアプリケーションは、その多くがデータを扱うため、データベースの知識はバックエンドエンジニアにとって必須です。

基本的なSQL(特にCRUD操作)を扱えることはもちろん、より高度なスキルとして以下のような知識も求められます。

  • データベース設計: アプリケーションの要件に合わせて、どのようなテーブル構造にするかを設計する能力(正規化など)。効率的で拡張性の高い設計ができると、システムのパフォーマンスに大きく貢献します。
  • パフォーマンスチューニング: クエリ(SQL文)の実行速度が遅い場合に、インデックスを適切に設定するなどして、パフォーマンスを改善するスキル。
  • NoSQLデータベース: 大量の非構造化データを扱う際に利用されるMongoDBやRedisといったNoSQLデータベースの知識。近年のWebサービスでは、用途に応じてRDBとNoSQLを使い分けることが増えています。

データベースを深く理解しているエンジニアは、アプリケーションの性能を根本から改善できるため、市場価値が非常に高いです。

サーバー・ネットワークの知識

開発したWebアプリケーションをインターネット上で公開し、ユーザーがいつでもアクセスできるようにするためには、サーバーやネットワークに関する知識が必要です。

  • Linuxの基本操作: 多くのWebサーバーはLinuxというOSで動いています。コマンドラインでの基本的なファイル操作や設定変更ができるスキルは必須です。
  • Webサーバーの知識: ApacheやNginxといったWebサーバーソフトウェアの役割や基本的な設定方法を理解しておく必要があります。
  • クラウドサービスの知識: 近年では、自社で物理的なサーバーを保有せず、AWS (Amazon Web Services), GCP (Google Cloud Platform), Azureといったクラウドサービスを利用してインフラを構築するのが主流です。これらのサービスを使いこなし、サーバーの構築や運用ができるスキルは、非常に需要が高いです。
  • コンテナ技術: DockerやKubernetesといったコンテナ技術を使うと、開発環境と本番環境の違いをなくし、アプリケーションのデプロイを効率化できます。これもまた、モダンな開発現場で求められる重要なスキルです。

これらのインフラスキルを持つことで、開発から運用までを一貫して担当できる、より価値の高いエンジニアになることができます。

コミュニケーションスキル

意外に思われるかもしれませんが、エンジニアにとってコミュニケーションスキルは、技術力と同じくらい重要です。Web開発は、ほとんどの場合チームで行われます。

  • チーム内での連携: 他のエンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャーなど、様々な職種のメンバーと円滑に連携し、仕様の確認や進捗の報告を行う必要があります。
  • 技術的な内容の説明能力: 複雑な技術的な課題や仕様について、非エンジニアにも分かりやすく説明する能力が求められます。
  • コードレビュー: 他のメンバーが書いたコードをレビューし、建設的なフィードバックを与える、または自分のコードへのフィードバックを素直に受け入れる姿勢も重要です。

円滑なコミュニケーションは、プロジェクトの成功を左右する重要な要素です。技術的な議論を論理的に行い、他者の意見を尊重しながら協力して目標に向かう能力は、どの開発現場でも高く評価されます。

Web開発言語に関するよくある質問

最後に、Web開発言語の学習を始めるにあたって、多くの人が抱く疑問についてQ&A形式で回答します。

Web開発とWeb制作、アプリ開発の違いは?

これらの言葉は混同されがちですが、それぞれ指し示す領域が異なります。

Web開発 Web制作 アプリ開発
主な対象 動的なWebアプリケーション 静的なWebサイト スマートフォンアプリ
具体例 SNS、ECサイト、予約システム コーポレートサイト、LP iOS/Androidのゲーム、ツール
主な技術 フロントエンド + バックエンド フロントエンド中心 Swift (iOS), Kotlin (Android)
複雑さ 高い 低い〜中程度 高い
  • Web開発: ログイン機能やデータベースとの連携など、動的な機能を持つWebアプリケーションを構築すること。バックエンドのプログラミングが必須です。
  • Web制作: 主に企業のコーポレートサイトやLPなど、静的な情報提供を目的としたWebサイトを構築すること。HTML/CSS/JavaScriptといったフロントエンド技術が中心となります。
  • アプリ開発: スマートフォン(iOS, Android)上で動作するネイティブアプリケーションを開発すること。Webブラウザ上で動くWebアプリとは異なり、App Storeなどからインストールして使用します。使用する言語もSwiftやKotlinなど、Web開発とは異なります。

Web開発エンジニアの年収は?

Web開発エンジニアの年収は、スキル、経験、勤務地、企業規模などによって大きく異なりますが、一般的には高い水準にあります。

大手転職サービスdodaの調査によると、技術系(IT/通信)全体の平均年収は452万円ですが、その中でもWebエンジニアは専門性が高いため、より高い年収が期待できます。(参照:doda「平均年収ランキング(業種別の平均年収/生涯賃金)【最新版】」)

経験年数別に見ると、未経験や若手の場合は年収300〜450万円程度からスタートすることが多いですが、3〜5年の経験を積んだ中堅エンジニアになると500〜800万円、さらにチームリーダーや専門性の高いシニアエンジニアになると800万円以上、中には1,000万円を超えるケースも珍しくありません。特に、AIやクラウドインフラといった需要の高いスキルを持つエンジニアは、高い報酬を得やすい傾向にあります。

未経験からでもWeb開発エンジニアになれますか?

はい、未経験からでもWeb開発エンジニアになることは十分に可能です。 実際に、異業種から転職して活躍しているエンジニアは数多くいます。

その理由として、

  1. IT人材の需要が非常に高く、企業が未経験者の採用や育成に積極的であること。
  2. オンライン学習サイトやプログラミングスクールなど、学習環境が非常に充実していること。
    が挙げられます。

ただし、楽な道のりではありません。エンジニアになるためには、本記事で紹介したようなロードマップに沿って、継続的に学習し、実際に手を動かしてポートフォリオを作成する努力が不可欠です。年齢に関わらず、学習意欲と論理的思考力があれば、誰にでもチャンスはあります。

学習時間の目安はどのくらいですか?

Web開発エンジニアとして就職・転職できるレベルのスキルを身につけるための学習時間は、一般的に1,000時間程度が一つの目安と言われています。

  • 1日に3時間学習する場合: 約333日(約11ヶ月)
  • 1日に5時間学習する場合: 200日(約6〜7ヶ月)

もちろん、これはあくまで目安であり、個人のプログラミング経験の有無や学習効率によって大きく変わります。重要なのは、合計時間よりも学習を継続する習慣です。毎日少しずつでもコードに触れる時間を確保し、学習を生活の一部にすることが、目標達成への一番の近道です。焦らず、自分のペースで着実にスキルを積み上げていきましょう。

まとめ

本記事では、Web開発の基本から、初心者向けの言語の選び方、おすすめの言語10選、具体的な学習ロードマップまで、幅広く解説しました。

Web開発は、私たちの生活やビジネスに欠かせないサービスを生み出す、非常に創造的で将来性のある分野です。高い需要と専門性から、高収入や自由な働き方を実現できる可能性も秘めています。

数多くの言語や技術が存在するため、最初はどこから手をつければ良いか戸惑うかもしれません。しかし、最も重要なのは、完璧な計画を立てることよりも、まず一歩を踏み出して行動を始めることです。

この記事で紹介した内容を参考に、

  1. 自分が何を作りたいかを考える。
  2. それに合った言語を1つ選ぶ。
  3. まずはフロントエンドの基礎(HTML/CSS/JavaScript)から学習をスタートする。

というステップで、今日から学習を始めてみてはいかがでしょうか。実際にコードを書き、小さな成功体験を積み重ねていく中で、Web開発の楽しさと奥深さをきっと実感できるはずです。あなたの挑戦を心から応援しています。