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Web開発とは?仕事内容や必要なスキル・言語を初心者向けに解説

Web開発とは?、仕事内容やスキル・言語を初心者向けに解説

現代のビジネスや私たちの生活において、WebサイトやWebアプリケーションはなくてはならない存在です。オンラインショッピングからSNS、動画配信サービスまで、あらゆる場面でWeb技術が活用されています。こうしたサービスを生み出す「Web開発」は、IT業界の中でも特に人気が高く、将来性のある分野として注目されています。

しかし、「Web開発って具体的に何をするの?」「どんなスキルが必要なの?」と疑問に思う方も多いでしょう。この記事では、Web開発の世界に興味を持つ初心者の方に向けて、その全体像を徹底的に解説します。仕事内容や必要なプログラミング言語、学習方法から将来性、キャリアパスまで、網羅的に紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

Web開発とは

Web開発とは

まず、Web開発がどのようなものなのか、その基本的な概念から理解を深めていきましょう。Web開発は、単にWebサイトを作るだけでなく、その裏側で動く複雑なシステムを構築することも含みます。

WebサイトやWebアプリケーションを開発すること

Web開発とは、インターネットを介してブラウザ上で利用できるWebサイトやWebアプリケーションを設計、構築、運用、保守する一連のプロセスを指します。私たちが普段何気なく利用しているサービスのほとんどが、このWeb開発によって作られています。

Web開発によって作られるものは、大きく分けて「Webサイト」と「Webアプリケーション」の2つに分類できます。

  • Webサイト
    企業のコーポレートサイトやブログ、ニュースサイトのように、主に情報を発信することを目的としたものです。Webサイトはさらに、内容が固定されている「静的サイト」と、ユーザーの操作や時間に応じて内容が変化する「動的サイト」に分けられます。例えば、会社の基本情報だけを掲載したページは静的サイト、最新のニュースが次々と更新されるニュースサイトは動的サイトの一例です。
  • Webアプリケーション
    Webサイトの中でも、ユーザーが情報の閲覧だけでなく、データの登録、検索、更新、削除といったインタラクティブな操作を行える、より複雑な機能を持つものを指します。ECサイトでの商品購入、SNSでの投稿や「いいね」、オンラインバンキングでの取引、プロジェクト管理ツールでのタスク管理などがこれにあたります。これらは単なる情報提供に留まらず、ユーザーに特定の機能やサービスを提供することを目的としています。

現代では両者の境界は曖昧になっており、多くのWebサイトがアプリケーションとしての機能を持つようになっています。Web開発は、こうした多様なWeb上のサービスをゼロから作り上げ、世の中に価値を提供する、非常に創造的で重要な仕事です。

Webサイトが動く仕組み

Web開発を理解するためには、Webサイトがどのようにして私たちのブラウザに表示されるのか、その基本的な仕組みを知ることが不可欠です。この仕組みは、大きく分けて「クライアントサイド」と「サーバーサイド」の2つの領域で成り立っています。

  1. ユーザーのリクエスト:
    まず、ユーザーがブラウザのアドレスバーにURL(例: https://www.example.com)を入力し、Enterキーを押します。これは「このページを見せてください」というリクエスト(要求)をサーバーに送る行為です。
  2. DNSによる名前解決:
    ブラウザは、入力されたドメイン名(www.example.com)に対応するIPアドレス(コンピューターが通信するための住所)を知りません。そこで、DNS(Domain Name System)サーバーに問い合わせ、IPアドレスを教えてもらいます。
  3. サーバーへのアクセス:
    IPアドレスが分かると、ブラウザはその住所を頼りに、Webサイトのデータが保管されているWebサーバーにHTTPリクエストを送信します。
  4. サーバーサイドでの処理:
    リクエストを受け取ったWebサーバーは、必要な処理を行います。

    • 静的サイトの場合: 要求されたHTMLファイルや画像ファイルなどをそのまま返します。
    • 動的サイトやWebアプリケーションの場合: Webサーバーはアプリケーションサーバーに処理を依頼します。アプリケーションサーバーは、プログラム(PHPやRubyなど)を実行し、必要に応じてデータベースサーバーからデータを取得・加工して、ユーザーごとに最適化されたHTMLを生成します。
  5. クライアントへのレスポンス:
    サーバーは、生成したHTMLや関連するCSS、JavaScript、画像ファイルなどを、レスポンス(応答)としてユーザーのブラウザに送り返します。
  6. ブラウザでのレンダリング:
    レスポンスを受け取ったブラウザは、HTMLでページの構造を組み立て、CSSでデザインを適用し、JavaScriptで動的な要素を追加します。この処理をレンダリングと呼び、最終的に私たちの目に見えるWebページとして表示されます。

このように、Webページの表示は、クライアント(ブラウザ)とサーバー間のリクエストとレスポンスのやり取りによって実現されています。Web開発者は、この両サイドの仕組みを理解し、適切にプログラムを構築する役割を担います。

Web開発と他の開発との違い

「Web開発」と似た言葉に「システム開発」や「アプリ開発」があります。これらの違いを理解することで、Web開発の位置づけがより明確になります。

開発の種類 主な目的 開発対象 実行環境 主な開発言語・技術
Web開発 WebサイトやWebアプリケーションの構築 ECサイト, SNS, SaaSなど Webブラウザ HTML/CSS, JavaScript, PHP, Ruby, Pythonなど
システム開発 企業や組織の業務効率化、課題解決 業務システム, 基幹システム, 組み込みシステムなど 様々(PC, サーバー, 専用機器) Java, C#, C++, COBOLなど
アプリ開発 スマートフォンやタブレット向けのアプリケーション構築 ゲームアプリ, ツールアプリ, SNSアプリなど iOS, Android Swift, Kotlin, Java, React Nativeなど

システム開発との違い

システム開発は、Web開発を含むより広範な概念です。システム開発は、企業内の業務を効率化するための基幹システム(会計、人事、生産管理など)や、家電や自動車を制御する組み込みシステム、金融機関の勘定系システムなど、特定の目的を達成するためのあらゆる情報システムを構築することを指します。

その中で、インターネット技術(HTTP、ブラウザなど)を利用して構築されるシステムがWeb開発(Webシステム開発)にあたります。つまり、Web開発はシステム開発の一分野と捉えることができます。システム開発ではJavaやC#といった言語が大規模案件で使われることが多いのに対し、Web開発ではPHP、Ruby、Pythonなど、より迅速な開発に適した言語も広く採用されています。

アプリ開発との違い

一般的に「アプリ開発」という場合、スマートフォンやタブレットにインストールして使用する「ネイティブアプリ」の開発を指すことが多いです。Web開発が作る「Webアプリケーション」と、この「ネイティブアプリ」には明確な違いがあります。

  • 実行環境: Webアプリはブラウザ上で動作しますが、ネイティブアプリはOS(iOSやAndroid)上で直接動作します。
  • インストール: Webアプリはインストール不要で、URLにアクセスするだけで利用できます。一方、ネイティブアプリはApp StoreやGoogle Playからインストールする必要があります。
  • 開発言語: WebアプリはHTML/CSS, JavaScriptなどが中心ですが、ネイティブアプリはiOSならSwift、AndroidならKotlinといった専用の言語で開発されます。(React NativeやFlutterのように、一つのコードで両方のOSに対応できるクロスプラットフォーム技術もあります。)
  • 機能アクセス: ネイティブアプリは、プッシュ通知やGPS、カメラといったデバイス固有の機能にアクセスしやすいというメリットがあります。Webアプリも近年アクセスできる機能が増えていますが、まだネイティブアプリに及ばない部分もあります。

どちらが良いというわけではなく、提供したいサービスの内容やターゲットユーザーに応じて、Webアプリとして開発するか、ネイティブアプリとして開発するかが選択されます。

Web開発の仕事内容

Web開発の仕事は、ユーザーの目に触れる部分を担当する「フロントエンド」と、その裏側を支える「バックエンド」の2つに大きく分かれます。それぞれの役割と仕事内容を詳しく見ていきましょう。

フロントエンド開発

フロントエンド開発は、ユーザーがWebサイトやアプリケーションで直接見て、触れる部分(ユーザーインターフェース、UI)を構築する仕事です。デザイナーが作成したデザインカンプ(設計図)をもとに、ブラウザ上で実際に機能するようにコードを書いていきます。ユーザー体験(UX)に直結する重要な役割を担います。

具体的な仕事内容は多岐にわたります。

  • HTML/CSSコーディング: Webページの骨格となるHTMLと、見た目を装飾するCSSを記述します。デザインを忠実に再現するだけでなく、SEO(検索エンジン最適化)を意識したセマンティックなマークアップや、メンテナンスしやすいCSS設計(BEM、FLOCSSなど)が求められます。
  • JavaScriptによる動的機能の実装: ユーザーのアクションに応じてページの内容を書き換えたり、アニメーションをつけたり、入力フォームのバリデーション(入力チェック)を行ったりします。例えば、「ボタンをクリックしたらメニューが開く」「入力内容に誤りがあればエラーメッセージを表示する」といった機能はJavaScriptで実装されます。
  • レスポンシブWebデザイン対応: パソコン、タブレット、スマートフォンなど、異なる画面サイズのデバイスでWebサイトが最適に表示されるように実装します。メディアクエリというCSSの技術を用いて、画面幅に応じてレイアウトや文字サイズを調整します。
  • UI/UXの改善: ユーザーがより快適に、直感的にサイトを使えるように改善提案や実装を行います。ページの表示速度の改善(パフォーマンスチューニング)や、誰にとっても使いやすいデザイン(ウェブアクセシビリティ)への配慮も重要な仕事です。
  • API連携: バックエンドが提供するAPI(後述)を呼び出し、サーバーから取得したデータを画面に表示したり、ユーザーが入力した情報をサーバーに送信したりします。SNSのタイムライン表示や、ECサイトの商品一覧表示などがこれにあたります。
  • フレームワーク・ライブラリの活用: React、Vue.js、AngularといったJavaScriptフレームワークを用いて、複雑でインタラクティブなUIを効率的に開発します。これらのツールを使いこなすスキルは、現代のフロントエンド開発において必須と言えます。

フロントエンドエンジニアは、技術力はもちろんのこと、デザイナーの意図を正確に汲み取る力や、ユーザー視点で物事を考える力が求められる職種です。

バックエンド開発

バックエンド開発は、ユーザーの目には直接見えないサーバーサイドの処理や、データの管理などを担当する仕事です。Webサービスの「縁の下の力持ち」であり、サービスの安定稼働やセキュリティを支える根幹部分を担います。

バックエンド開発の主な仕事内容は以下の通りです。

  • サーバーサイドのプログラミング: ユーザーからのリクエストに応じて、適切な処理を行うプログラムを実装します。例えば、ECサイトでユーザーが「購入」ボタンを押した際に、在庫の確認、決済処理、購入履歴のデータベースへの保存といった一連の処理を実行します。使用される言語はPHP、Ruby、Python、Java、Goなど多岐にわたります。
  • データベースの設計と管理: 商品情報、顧客情報、投稿データなど、Webアプリケーションで扱うデータを保存・管理するためのデータベースを設計、構築、運用します。適切なテーブル構造を設計し、高速かつ安全にデータを読み書きできるようにSQLを記述したり、パフォーマンスを監視したりします。
  • APIの開発と提供: フロントエンドや他のシステムが必要とするデータを、決められた形式でやり取りするためのAPI(Application Programming Interface)を開発します。フロントエンドは、このAPIを通じてバックエンドの機能を利用します。これにより、フロントエンドとバックエンドの開発を分離でき、開発効率が向上します。
  • サーバーの構築と運用(インフラ): Webアプリケーションが動作するサーバー環境を構築・設定します。近年では、AWS(Amazon Web Services)やGCP(Google Cloud Platform)といったクラウドサービスを利用することが主流です。サーバーのパフォーマンス監視、負荷分散、セキュリティ設定などもバックエンドエンジニアの重要な責務です。
  • セキュリティ対策: 不正なアクセスやサイバー攻撃からシステムとデータを守るための対策を講じます。SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)といった脆弱性への対策、個人情報の適切な管理など、高度な知識が求められます。

バックエンドエンジニアは、サービスの根幹を支えるため、システムのパフォーマンス、スケーラビリティ(拡張性)、セキュリティといった非機能要件に対する深い知識と責任感が不可欠です。

フロントエンドとバックエンドの両方のスキルを持つエンジニアは「フルスタックエンジニア」と呼ばれ、市場価値が非常に高い存在となります。

Web開発に必要なスキルとプログラミング言語

フロントエンド開発で必要なスキル・言語、バックエンド開発で必要なスキル・言語、Web開発で共通して必要なスキル

Web開発エンジニアになるためには、専門的なスキルとプログラミング言語の習得が欠かせません。ここでは、フロントエンドとバックエンド、そして両者に共通して必要なスキルを具体的に解説します。

フロントエンド開発で必要なスキル・言語

フロントエンド開発は、Webページの「見た目」と「動き」を作り出す役割を担います。そのためには、以下の3つの言語が基本となります。

HTML/CSS

  • HTML (HyperText Markup Language): Webページの構造を定義するための言語です。見出し、段落、リスト、画像、リンクといった要素を配置し、ページの骨格を作ります。「これはタイトル」「これは本文」といったように、文章やコンテンツに意味付け(マークアップ)を行います。
  • CSS (Cascading Style Sheets): HTMLで作成した骨格に対して、デザインやレイアウトを適用するための言語です。文字の色やサイズ、背景色、要素の配置などを指定し、Webページを美しく装飾します。

HTMLとCSSは、Web開発における最も基本的な土台です。これらを習得しなければ、Webページを作ることはできません。初心者はまず、この2つの言語から学習を始めるのが一般的です。近年では、より効率的にCSSを記述するためのSass(サース)などの「CSSプリプロセッサ」の知識も求められることが多くなっています。

JavaScript

JavaScriptは、Webページに動的な機能を追加するためのプログラミング言語です。HTML/CSSだけでは静的なページしか作れませんが、JavaScriptを使うことで、ユーザーの操作に応じたインタラクティブな表現が可能になります。

  • DOM操作: HTMLの要素を動的に追加、変更、削除する。
  • イベント処理: クリックやマウスオーバーといったユーザーのアクションを検知して処理を実行する。
  • 非同期通信 (Ajax/Fetch API): ページ全体をリロードすることなく、サーバーと通信して新しいデータを取得・表示する。

例えば、「送信ボタンを押した時に入力内容をチェックする」「メニューボタンを押したらナビゲーションが開く」「SNSの『もっと見る』ボタンで追加の投稿を読み込む」といった機能は、すべてJavaScriptによって実現されています。現代のWeb開発において、JavaScriptは必須のスキルと言えるでしょう。

JavaScriptのライブラリ・フレームワーク

複雑で大規模なWebアプリケーションを効率的に開発するために、JavaScriptのライブラリやフレームワークが広く利用されています。これらは、よく使われる機能をまとめた部品集や、開発の骨組みを提供するものです。

フレームワーク/ライブラリ 特徴 メリット デメリット
React Meta社が開発。UIを「コンポーネント」という部品単位で管理する。宣言的なUI構築が特徴。 豊富なライブラリ、情報量が多い、ネイティブアプリ開発(React Native)にも応用可能。 学習コストがやや高い、UIライブラリのため状態管理などは別途選定が必要。
Vue.js シンプルで学習しやすい。日本語ドキュメントが充実しており、初心者にも人気。 学習コストが低い、小規模から大規模まで対応可能、公式ライブラリが充実している。 ReactやAngularに比べるとエコシステム(関連ツール)がやや小さい。
Angular Googleが開発。フルスタックな機能を提供するフレームワーク。大規模開発に向いている。 オールインワンで機能が豊富、TypeScriptベースで堅牢な開発が可能。 学習コストが高い、規約が多くコードが複雑になりがち。

これらのツールを使いこなすことで、開発の生産性や保守性を大きく向上させることができます。実務では何らかのフレームワークを使用することがほとんどなため、HTML/CSS/JavaScriptの基礎を固めた後は、これらの学習に進むのが一般的です。

バックエンド開発で必要なスキル・言語

バックエンド開発は、サーバーサイドのロジックやデータ管理を担当します。多種多様な技術の中から、プロジェクトの要件に応じて最適なものを選択する能力が求められます。

サーバーサイド言語(PHP, Ruby, Python, Javaなど)

サーバーサイドで動作するプログラムを記述するための言語です。それぞれに特徴があり、得意な分野も異なります。

言語 特徴 主なフレームワーク 主な採用例
PHP Web開発に特化しており、歴史が長い。WordPressの採用で圧倒的なシェアを誇る。初心者でも学びやすい。 Laravel, CakePHP WordPress, Facebook(初期)
Ruby 日本人(まつもとゆきひろ氏)が開発。直感的で「書いていて楽しい」文法が特徴。スタートアップで人気。 Ruby on Rails GitHub, Airbnb, クックパッド
Python シンプルな文法で可読性が高い。Web開発だけでなく、AI・機械学習、データ分析など幅広い分野で利用される。 Django, Flask YouTube, Instagram, Dropbox
Java オブジェクト指向の代表的な言語。大規模で堅牢なシステム開発に向いている。金融機関や官公庁で実績多数。 Spring, Jakarta EE 楽天, 金融機関のシステム全般

どの言語を学ぶべきか迷うかもしれませんが、まずはどれか一つを深く学ぶことが重要です。一つの言語をマスターすれば、他の言語の習得も比較的容易になります。求人数や学習コスト、将来性などを考慮して、自分の興味に合った言語を選ぶと良いでしょう。

データベースの知識(SQL)

Webアプリケーションが扱うデータは、データベースに保存されます。バックエンドエンジニアは、このデータベースを操作するためのスキルが必須です。

  • RDBMS (Relational Database Management System): 行と列で構成されるテーブル形式でデータを管理する、最も一般的なデータベースです。代表的なものにMySQLPostgreSQLがあります。
  • SQL (Structured Query Language): RDBMSを操作するための言語です。データの取得(SELECT)、追加(INSERT)、更新(UPDATE)、削除(DELETE)といった基本的な操作(CRUD)は必ず習得する必要があります。
  • NoSQLデータベース: RDBMS以外のデータベースの総称で、柔軟なデータ構造を持つのが特徴です。代表的なものにMongoDBRedisがあり、大量の非構造化データを扱う場合などに利用されます。

まずは、代表的なRDBMSであるMySQLかPostgreSQLと、SQLの基本をしっかり学ぶことが重要です。

サーバー・ネットワークの知識

バックエンドプログラムはサーバー上で動作するため、その土台となるインフラの知識も必要です。

  • OSの知識: サーバーOSとして広く使われているLinuxの基本的なコマンド操作(ファイルの操作、プロセスの確認など)は必須です。
  • Webサーバーの知識: リクエストを受け付けて処理を振り分けるApacheNginxといったWebサーバーソフトウェアの設定や仕組みを理解する必要があります。
  • クラウドサービスの知識: 現代の開発では、AWS, GCP, Azureといったクラウドプラットフォーム上でインフラを構築することが一般的です。EC2やS3(AWSの例)といった主要なサービスの基本的な使い方を理解していると、市場価値が大きく高まります。
  • ネットワークの基礎知識: HTTP/HTTPS、TCP/IP、DNSといった、インターネット通信の基本的なプロトコルについての理解も、トラブルシューティングなどの際に役立ちます。

Web開発で共通して必要なスキル

フロントエンド、バックエンドを問わず、Web開発者として活躍するために共通して求められるスキルがあります。

フレームワーク・ライブラリの知識

前述の通り、現代のWeb開発においてフレームワークやライブラリの利用は不可欠です。これらを活用することで、開発の効率化、コードの標準化、セキュリティの向上が期待できます。常に最新のトレンドを追いかけ、新しいツールを学ぶ意欲が重要です。

コミュニケーションスキル

Web開発は、一人で完結することはほとんどありません。多くの場合、チームでプロジェクトを進めます。

  • チーム内連携: 他のエンジニア、Webディレクター、デザイナー、マーケターなど、様々な職種のメンバーと円滑に連携する能力。
  • 仕様の理解と伝達: 顧客やディレクターの要求を正確に理解し、技術的な仕様に落とし込んだり、逆に技術的な制約を分かりやすく説明したりする能力。
  • バージョン管理: GitGitHubを使い、チームメンバーとコードを共有・管理するスキルは、現代のチーム開発における必須スキルです。

技術力だけでなく、円滑な人間関係を築き、チーム全体の生産性を高めるコミュニケーション能力が、優れたエンジニアには求められます。

Web開発エンジニアの平均年収

担当領域による違い、経験年数による違い、スキルセットによる違い、企業による違い

Web開発エンジニアというキャリアを考える上で、年収は重要な要素の一つです。年収は、担当領域(フロントエンド/バックエンド)、経験年数、スキルセット、勤務先の企業規模などによって大きく変動します。

厚生労働省が提供する職業情報提供サイト「job tag」によると、プログラマーの平均年収は約550.2万円となっています。ただし、これはプログラマー全体の平均値であり、Web開発に特化した場合や、使用する技術によって年収は上下します。
(参照:厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET)job tag プログラマー)

一般的に、以下のような傾向が見られます。

  • 担当領域による違い:
    専門性が高く、システムの根幹を担うバックエンドエンジニアの方が、フロントエンドエンジニアよりも平均年収が高い傾向にあります。ただし、近年はフロントエンドの技術も高度化・複雑化しており、ReactやVue.jsなどのモダンなフレームワークに精通したエンジニアの需要は非常に高く、高年収を得ることも十分に可能です。両方のスキルを持つフルスタックエンジニアは、さらに高い年収が期待できます
  • 経験年数による違い:
    • ジュニア(〜3年): 300万円〜500万円程度。まずは基本的な開発スキルを身につけ、実務経験を積む段階です。
    • ミドル(3〜5年): 500万円〜700万円程度。自走して開発を進められ、後輩の指導も担えるレベルです。
    • シニア(5年以上): 600万円〜1000万円以上。技術選定やアーキテクチャ設計、チームのリードなど、より高度な役割を担います。
  • スキルセットによる違い:
    需要の高い言語やフレームワーク(Python, Go, Reactなど)を扱えるエンジニアや、クラウド(AWS, GCP)、AI、セキュリティといった専門分野の知識を持つエンジニアは、高い年収を得やすい傾向があります。複数のスキルを掛け合わせることで、自身の市場価値を高めることができます。
  • 企業による違い:
    自社サービスを展開するWeb系企業や、外資系企業、メガベンチャーなどは、高い技術力を持つエンジニアに対して高待遇を提示することが多いです。一方、受託開発が中心の中小企業では、年収はやや低めになる傾向があります。

年収を上げるためには、常に新しい技術を学びスキルアップを続けるとともに、自身のスキルや経験を客観的に評価してくれる環境を選ぶことが重要です。また、フリーランスとして独立することで、会社員時代よりも高い収入を得るエンジニアも少なくありません。

Web開発エンジニアの将来性

DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速、Webサービスの多様化と進化、慢性的なIT人材不足

技術の進歩が速いIT業界において、Web開発エンジニアの将来性を気にされる方も多いでしょう。結論から言うと、Web開発エンジニアの将来性は非常に明るいと言えます。

Web開発の需要は今後も高い

Web開発の需要が今後も高水準で推移すると考えられる理由は、主に以下の3つです。

  1. DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速:
    あらゆる業界の企業が、競争力を維持・強化するためにデジタル技術を活用した業務改革や新規事業創出に取り組んでいます。その中心となるのがWeb技術であり、業務システムのクラウド化、SaaS(Software as a Service)の導入・開発、ECサイトの構築など、Web開発エンジニアが活躍する場面は増え続けています
  2. Webサービスの多様化と進化:
    5Gの普及により、高速・大容量通信が可能になったことで、動画配信、AR/VR、IoTといったリッチなコンテンツや新しいWebサービスの開発が活発になっています。これに伴い、より高度な技術力を持つWeb開発エンジニアの需要はさらに高まるでしょう。
  3. 慢性的なIT人材不足:
    経済産業省の調査によると、日本ではIT人材の不足が深刻化しており、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると予測されています。特に、AIやIoTといった先端分野を担う人材の不足が懸念されており、高いスキルを持つWeb開発エンジニアは、今後も引く手あまたの状態が続くと考えられます。
    (参照:経済産業省 IT人材需給に関する調査)

このように、社会全体のデジタル化の流れの中で、Web技術はビジネスの根幹を支えるインフラとなっており、それを担うWeb開発エンジニアの重要性はますます高まっていくと断言できます。

AIに代替されないためのポイント

近年、GitHub CopilotなどのAIによるコーディング支援ツールが登場し、「エンジニアの仕事はAIに奪われるのではないか」という懸念の声も聞かれます。確かに、定型的で単純なコーディング作業は、将来的にはAIに代替されていく可能性があります。

しかし、Web開発エンジニアの仕事の本質は、単にコードを書くことだけではありません。AIに代替されない、付加価値の高いエンジニアであり続けるためには、以下のポイントが重要になります。

  • 上流工程のスキルを磨く:
    顧客の課題をヒアリングし、要件を定義し、システムの全体像を設計する「要件定義」や「設計」といった上流工程の業務は、深い業務理解と創造性、コミュニケーション能力が求められるため、AIによる代替が困難な領域です。
  • 問題解決能力を高める:
    複雑なバグの原因を特定したり、システムのパフォーマンスボトルネックを解消したりといった、定型的でない問題解決能力は、エンジニアの腕の見せ所です。経験と論理的思考に裏打ちされたこの能力は、AIには真似できません。
  • コミュニケーションとマネジメント:
    チームメンバーや他部署、顧客と円滑に連携し、プロジェクトを成功に導くコミュニケーション能力やマネジメントスキルは、人間ならではの価値です。
  • 新しい技術への探究心:
    AIを「脅威」と捉えるのではなく、「便利なツール」として使いこなし、常に新しい技術やトレンドを学び続ける姿勢が不可欠です。AIを活用して生産性を高め、自身はより創造的な業務に集中することが、これからのエンジニアに求められる姿です。

結論として、単純な作業しかできないエンジニアは淘汰される可能性がありますが、高度な専門性と問題解決能力を持つエンジニアの価値は、AI時代においてむしろ高まっていくでしょう。

未経験からWeb開発エンジニアになるための4ステップ

Web開発の基礎知識を学ぶ、開発環境を整える、ポートフォリオ(成果物)を作成する、仕事を探す

「未経験からWeb開発エンジニアになりたい」と考えている方のために、具体的な学習ステップを4段階に分けて解説します。焦らず、一つずつ着実に進めていくことが成功への鍵です。

① Web開発の基礎知識を学ぶ

何よりもまず、Web開発の土台となる基礎知識を身につけることから始めましょう。

  1. 学習分野を決める:
    まずは、ユーザーの目に触れる部分を作る「フロントエンド」と、裏側の仕組みを作る「バックエンド」のどちらに興味があるかを考え、学習の主軸を決めましょう。もちろん両方学ぶのが理想ですが、最初はどちらかに絞った方が効率的です。一般的には、視覚的に成果が分かりやすいフロントエンドから始める人が多いです。
  2. HTML/CSS/JavaScriptを学ぶ:
    どちらの分野に進むにしても、HTML, CSS, JavaScriptの3つはWeb開発の共通言語であり、避けては通れません。Progateやドットインストールといったオンライン学習サービスは、ゲーム感覚で楽しく基礎を学べるため、最初のとっかかりとして非常におすすめです。ここで、「Webページが表示される仕組み」や「基本的な文法」をしっかりと理解しましょう。
  3. サーバーサイド言語を一つ選んで学ぶ:
    バックエンドに興味がある場合は、PHP、Ruby、Pythonなど、主要なサーバーサイド言語の中から一つを選んで学習します。求人数が多く、学習リソースが豊富なPHPやRubyあたりから始めるのが一般的です。

この段階では、完璧を目指す必要はありません。まずは全体像を掴み、簡単なWebサイトやプログラムを自分の手で動かしてみる体験が重要です。

② 開発環境を整える

学習と並行して、実際の開発で使う環境を自分のパソコンに構築しましょう。プログラミングは、教科書を読むだけでなく、実際に手を動かしてコードを書くことが最も効果的な学習方法です。

  • テキストエディタの導入:
    プログラミングに特化した高機能なテキストエディタをインストールします。Visual Studio Code (VS Code) は、無料で高機能、拡張性も高いため、現在のデファクトスタンダードとなっています。コードの補完機能やエラーチェック機能があり、開発効率を大きく向上させてくれます。
  • Git/GitHubの準備:
    Gitは、コードの変更履歴を管理するための「バージョン管理システム」です。GitHubは、Gitで管理しているコードをオンラインで共有・管理するためのサービスです。チーム開発では必須のツールであり、個人開発でも学習の記録を残したり、ポートフォリオを公開したりするのに役立ちます。アカウントを作成し、基本的なコマンド(add, commit, pushなど)を覚えておきましょう。
  • ローカル開発環境の構築:
    自分のPC上でWebサーバーやデータベースを動かすための環境を構築します。バックエンド開発を行う際には必須です。XAMPP(ザンプ)MAMP(マンプ)といったパッケージを使えば、比較的簡単に環境を整えることができます。また、Dockerという仮想化技術を使えるようになると、より実践的な開発環境を構築できます。

③ ポートフォリオ(成果物)を作成する

基礎知識を学び、開発環境が整ったら、次はいよいよ自分のスキルを証明するための「ポートフォリオ」を作成します。未経験者が就職・転職活動をする上で、ポートフォリオは最も重要なアピール材料となります。

  • なぜポートフォリオが重要なのか?:
    採用担当者は、あなたが「何を学んだか」よりも「何を作れるか」を見ています。ポートフォリオは、あなたの技術力、学習意欲、問題解決能力を具体的に示すことができる唯一の証明書です。
  • 何を作るか?:
    1. 模写コーディング: 既存の優れたWebサイトのデザインをそっくり真似てコーディングします。HTML/CSSのスキル向上に効果的です。
    2. 既存サービスのクローン開発: TwitterやInstagram、ECサイトなど、よく知られたWebサービスの機能を真似て、自分なりにアプリケーションを開発します。フロントエンドからバックエンド、データベースまで、一通りの開発フローを経験できます。
    3. オリジナルアプリケーション開発: 最も評価が高いのが、自分自身のアイデアに基づいたオリジナルアプリの開発です。「自分の身の回りの課題を解決する」といったテーマで、企画から設計、開発、公開までを行うことで、主体性や問題解決能力を強力にアピールできます。
  • ポートフォリオのポイント:
    • コードの質: ただ動けば良いというわけではなく、他の人が読んでも分かりやすい、保守性の高いコードを意識しましょう。
    • READMEを充実させる: GitHubのリポジトリに、アプリの概要、使用技術、こだわった点、苦労した点などをまとめた「README.md」をしっかりと記述します。
    • 公開(デプロイ)する: 作成したアプリを、HerokuやAWS、Vercelといったサービスを利用してインターネット上に公開しましょう。URLを共有するだけで誰でもアクセスできるようになり、評価が格段にしやすくなります。

質の高いポートフォリオを一つ完成させることが、未経験からエンジニアになるための最短ルートと言っても過言ではありません。

④ 仕事を探す

自信の持てるポートフォリオが完成したら、いよいよ仕事探しを始めます。

  • 情報収集: 転職サイト(Green, Findyなど)、転職エージェント、WantedlyなどのビジネスSNSを活用して、未経験者でも応募可能な求人を探します。
  • 応募書類の準備: 履歴書や職務経歴書を準備します。職務経歴書には、学習してきた技術や開発したポートフォリオについて、使用技術や工夫した点を具体的に記述しましょう。GitHubのアカウントも忘れずに記載します。
  • 面接対策: 面接では、なぜエンジニアになりたいのかという志望動機や、ポートフォリオに関する技術的な質問をされることがほとんどです。自分が作ったものについて、自信を持って説明できるように準備しておきましょう。

未経験からの就職活動は簡単ではありませんが、熱意と行動力、そして質の高いポートフォリオがあれば、必ず道は開けます

Web開発のおすすめ学習方法

Web開発の学習方法は、大きく「独学」と「プログラミングスクール」の2つに分けられます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分の性格や状況に合わせて最適な方法を選びましょう。

独学で学ぶ

書籍やオンライン学習サービスなどを活用し、自力で学習を進める方法です。

メリット デメリット
費用を安く抑えられる モチベーションの維持が難しい
自分のペースで学習できる エラー解決に時間がかかる(挫折しやすい)
自己解決能力が身につく 学習の方向性が正しいか分かりにくい
体系的な知識の習得が難しい
最新の情報や実践的なノウハウを得にくい

独学の最大のメリットは、コストを抑えられる点です。近年は、質の高いオンライン教材が数多く存在するため、独学でも十分にスキルを習得することは可能です。

  • オンライン学習サイト:
    • Progate: スライド形式の教材とブラウザ上で完結する演習で、初心者がプログラミングの第一歩を踏み出すのに最適です。
    • ドットインストール: 3分動画でサクサク学習を進められます。Web開発の環境構築から実践的なアプリ開発まで、幅広いレッスンが揃っています。
    • Udemy: 動画買い切り型のプラットフォームで、世界中の専門家による質の高い講座が豊富にあります。セール時には1,000円台で購入できることも魅力です。
  • 書籍:
    体系的な知識をじっくり学びたい場合は、書籍が有効です。評価の高い技術書を一冊読み通すことで、断片的な知識が繋がり、理解が深まります。
  • 公式ドキュメント:
    プログラミング言語やフレームワークの公式ドキュメントは、最も正確で信頼できる情報源です。英語で書かれていることも多いですが、一次情報にあたる習慣をつけることは、エンジニアとして成長するために非常に重要です。

独学を成功させるコツは、目標を細かく設定し、学習仲間を見つけ、SNSやブログで学習記録を発信することです。これらにより、モチベーションを維持しやすくなります。強い意志と自己管理能力が求められる方法ですが、やり遂げた際には大きな自信と実力が身につくでしょう。

プログラミングスクールで学ぶ

専門のスクールに通い、カリキュラムに沿って学習を進める方法です。

メリット デメリット
体系的なカリキュラムで効率的に学べる 費用が高額(数十万〜百万円程度)
現役エンジニアの講師に直接質問できる 学習ペースが固定される場合がある
挫折しにくい学習環境(メンター、仲間) スクールによって質にばらつきがある
キャリアサポート(就職・転職支援)がある
実践的なポートフォリオ制作のサポート

プログラミングスクールの最大のメリットは、挫折しにくい環境と、学習から就職までの一貫したサポートが受けられる点です。特に、未経験から短期間でエンジニアへの転職を目指す場合には、非常に有効な選択肢となります。

スクールを選ぶ際には、以下のポイントを確認しましょう。

  • カリキュラムの内容: 自分が学びたい技術(言語、フレームワーク)が網羅されているか。
  • サポート体制: 質問への対応時間や方法、メンターの質は十分か。マンツーマンか集団か。
  • ポートフォリオ制作: オリジナルのポートフォリオを制作できるか、そのサポートは手厚いか。
  • 就職・転職実績: 卒業生がどのような企業に就職しているか。転職保証の条件は何か。
  • 料金と受講形式: 料金は妥当か。オンラインかオフラインか、自分のライフスタイルに合っているか。

多くのスクールが無料カウンセリングや体験会を実施しています。複数のスクールの話を聞いて、自分に最も合った場所を慎重に選ぶことが重要です。費用はかかりますが、時間を買って効率的に目標を達成したいと考える人には、プログラミングスクールが最適な選択となるでしょう。

Web開発エンジニアのキャリアパス

Webディレクター、Webマーケター、ITコンサルタント

Web開発エンジニアとしてキャリアをスタートさせた後、どのような道筋があるのでしょうか。技術を極める道以外にも、多様なキャリアパスが広がっています。

Webディレクター

Webディレクターは、WebサイトやWebアプリケーション制作のプロジェクト全体を管理する責任者です。クライアントの要望ヒアリング、企画立案、要件定義、スケジュール管理、品質管理、チームメンバーのアサインなど、プロジェクトの舵取り役を担います。

Web開発エンジニアからWebディレクターにキャリアチェンジするメリットは、技術的な知見を活かせる点です。開発の現場を理解しているため、実現可能な企画を立てたり、精度の高い工数見積もりを行ったり、エンジニアやデザイナーと円滑なコミュニケーションを取ったりできます。技術がわかるディレクターは、現場から非常に重宝されます。

Webマーケター

Webマーケターは、自社のWebサイトやサービスへの集客を最大化し、最終的なコンバージョン(売上や会員登録など)に繋げる役割を担います。SEO(検索エンジン最適化)、Web広告の運用、SNSマーケティング、コンテンツマーケティング、データ分析など、その手法は多岐にわたります。

エンジニア出身のWebマーケターは、技術的な視点からマーケティング施策を立案・実行できるという強みがあります。例えば、SEOにおいては、サイトの表示速度改善や構造化データの実装といった技術的な内部対策を自ら主導できます。また、データ分析においても、SQLを書いてデータベースから直接データを抽出したり、分析ツールを自作したりすることも可能です。

ITコンサルタント

ITコンサルタントは、企業の経営課題をITの力で解決する専門家です。クライアントのビジネスを深く理解し、課題を分析した上で、最適なIT戦略の立案やシステムの導入提案などを行います。

Web開発の経験は、ITコンサルタントとして活躍する上で大きな武器となります。技術的な実現可能性やコスト感を踏まえた、地に足のついた現実的な提案ができるからです。クライアントに対して、システムのアーキテクチャや開発プロセスを具体的に説明できるため、高い説得力と信頼を得られます。高い論理的思考力とコミュニケーション能力が求められる、やりがいのあるキャリアです。

これらの他にも、特定の技術を極めて専門性を高める「スペシャリスト」、チームを率いる「エンジニアリングマネージャー」、あるいは独立して「フリーランス」として活躍するなど、Web開発エンジニアのキャリアは多様性に満ちています。

Web開発の学習に役立つおすすめ資格5選

資格取得は必須ではありませんが、知識を体系的に整理したり、客観的なスキルの証明として就職・転職活動でアピールしたりするのに役立ちます。ここでは、Web開発の学習に役立つおすすめの資格を5つ紹介します。

① 基本情報技術者試験

ITエンジニアの登竜門とも言われる国家資格です。テクノロジ系(コンピュータサイエンス、ネットワーク、データベース)、マネジメント系(プロジェクトマネジメント)、ストラテジ系(経営戦略)など、ITに関する幅広い基礎知識が問われます。Web開発に特化した資格ではありませんが、IT業界で働く上で土台となる知識を網羅的に学べるため、特に未経験からエンジニアを目指す方には非常におすすめです。
(参照:独立行政法人情報処理推進機構(IPA) 基本情報技術者試験)

② Webクリエイター能力認定試験

サーティファイWeb利用・技術認定委員会が主催する民間資格で、Webサイト制作におけるデザイン能力とコーディング能力を認定します。HTML5でのセマンティックなマークアップ、CSS3を用いたレイアウトや装飾、JavaScriptによる動的コンテンツの作成スキルなどが問われます。特にフロントエンドエンジニアを目指す方にとって、自身のHTML/CSSスキルを客観的に証明するのに役立ちます
(参照:株式会社サーティファイ Webクリエイター能力認定試験)

③ PHP技術者認定試験

一般社団法人PHP技術者認定機構が運営する、PHPの技術力を認定する民間資格です。初級、準上級/上級、認定ウィザードのレベルがあり、PHPの文法や標準関数、セキュリティに関する知識が問われます。PHPはWordPressをはじめとする多くのWebシステムで採用されているため、PHPを扱うエンジニアとしてのスキルをアピールしたい場合に有効です。
(参照:PHP技術者認定機構)

④ Ruby技術者認定試験

Rubyアソシエーションが運営する、プログラミング言語Rubyの技術力を評価する認定試験です。SilverとGoldの2つのレベルがあり、Rubyの文法、オブジェクト指向、標準ライブラリなどの知識が問われます。Webフレームワーク「Ruby on Rails」の学習を進める上で、基礎となるRubyの知識を体系的に固めるのに役立ちます
(参照:Ruby Association Ruby技術者認定試験制度)

⑤ Python3エンジニア認定基礎試験

一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が実施する、Pythonの基本的な文法知識を問う民間資格です。PythonはWeb開発だけでなく、AIやデータサイエンス分野でも需要が高まっているため、将来のキャリアの幅を広げる意味でも取得価値があります。Pythonを使ったWeb開発を始めたい方の第一歩としておすすめです。
(参照:一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会 Python 3 エンジニア認定基礎試験)

Web開発に関するよくある質問

最後に、Web開発エンジニアを目指す方が抱きがちな疑問についてお答えします。

文系でもWeb開発エンジニアになれますか?

結論から言うと、全く問題なく目指せます。 実際に、文系出身で活躍しているWeb開発エンジニアは数多く存在します。

「プログラミングには数学的な知識が必要」というイメージがあるかもしれませんが、一般的なWeb開発において高度な数学の知識が求められる場面は、ゲーム開発やAIの一部を除いてほとんどありません。

むしろ重要になるのは、仕様書やドキュメントを正確に読み解く「読解力」物事を順序立てて考える「論理的思考力」、そしてチームメンバーと円滑に連携するための「コミュニケーション能力」です。これらのスキルは、文系出身者が得意とすることも多く、大きな強みとなり得ます。必要な技術は後から学習すれば身につきますので、文系だからといって諦める必要は全くありません。

30代・40代からでも目指せますか?

こちらも結論として、十分に可能です。 ただし、20代の若手とは異なる戦略が必要になります。

20代のポテンシャル採用とは異なり、30代・40代の未経験者には、これまでの社会人経験を活かした活躍が期待されます。例えば、前職が営業職であれば顧客折衝能力、管理職であればマネジメント能力といった、プログラミング以外のスキルと掛け合わせることで、独自の価値を発揮できます。特定の業界での業務知識が詳しければ、その業界のWebシステム開発で即戦力として期待されるかもしれません。

学習時間の確保や体力面でのハンディキャップはありますが、それを補って余りある強い学習意欲と、これまでの経験を武器にするという明確なキャリアプランがあれば、年齢は決して障害にはなりません。実際に30代、40代からプログラミングを学び、エンジニアとしてキャリアチェンジを成功させている方は年々増えています。大切なのは、年齢を言い訳にせず、覚悟を持って挑戦することです。